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第一章
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四限終了のチャイムが鳴った。生徒がバラバラと教室から吐き出されていく。その人ごみに混じるように木下貴之も教室を出る。四階まで上がると人の姿も無くなった。B棟四階の廊下は昼間だというのに薄暗く、しんと静まり返っていた。貴之はその廊下を辿り、屋上への階段を上る。重い金属製の扉を開けると、陽の光が暗さに慣れた目に飛び込んでくる。眩しいな、と思いながら腕の時計に目をやる。時計は十二時二十九分を指している。電波時計の秒針が、スーッと十二の文字盤を通り過ぎた。十二時三十分。いよいよだ。貴之は傍にあるベンチに腰掛ける。
やがて、辺りには厳かにピアノの音が響きだした。太陽の明るさとは対照的な静寂な音色。貴之の乱れた心は、ピアノの一音ごとに静まっていく。貴之は目を閉じた。彼にとって、この時間は唯一心穏やかな時間だった。
貴之が屋上でピアノを聴くことはつい最近できた日課だ。人付き合いが苦痛な貴之は入学以降二年半、逃げるように屋上に行っていた。ピアノが聴こえるようになってきたのはひと月前くらいからだ。それ以来、貴之はピアノの始まる十二時三十分までに屋上に来るようになった。
やがて、辺りには厳かにピアノの音が響きだした。太陽の明るさとは対照的な静寂な音色。貴之の乱れた心は、ピアノの一音ごとに静まっていく。貴之は目を閉じた。彼にとって、この時間は唯一心穏やかな時間だった。
貴之が屋上でピアノを聴くことはつい最近できた日課だ。人付き合いが苦痛な貴之は入学以降二年半、逃げるように屋上に行っていた。ピアノが聴こえるようになってきたのはひと月前くらいからだ。それ以来、貴之はピアノの始まる十二時三十分までに屋上に来るようになった。
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