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第38話 俺は大馬鹿ヤロウだ!
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「双星機ヘレファナーレ……」
初めて聖王機に乗った時のことを今でも覚えている。
あのパワーがあれば、アルフィナを助けられるんじゃないか。
自然とそう思えてくる。
いや、それだけじゃ駄目なんだ。
嘗ての聖女たちだって、聖王機に乗っていたけど実行されることはなかった。
それは何故か?
ラヴェルサの地下プラントを止めても、それによって破壊衝動を含んだラヴェルサの因子が世界中にばらまかれてしまうからだ。
歴代聖女はそれを知らされていて、アルフィナも知っているからこそ、破壊する選択肢はなかった。
でも聖女の力はラヴェルサを沈静化させるんだろ?
だったら地下プラントだって、そのまま浄化されてもいいはずだ。
それができないのは、浄化の力が足りないということか。
あるいは、俺の知らない何か他の原因があるのかもしれない。
――――――――――――――――
「痛っ!」
何かと思ったら、レトが俺の目の前に下りて、蹴りを入れてきてた。
そのまま両手を腰に当てて、俺を見下ろしている。
「何、ぼ~っとしてるのよ! さっきから呼ばれてるわよ!」
言われて気づいて顔をあげる。
部屋にいる全員が俺に視線を送っていた。
キルレイドさんは、やれやれといった仕草を見せた。
「俺が何故、こんな話をしているか分かるか?」
「なんとなくは」
「双星機が見つかったからといって、普通の操者は動かすだけで精一杯だ。それじゃあ、宝の持ち腐れになってしまう。そんな時に聖王機をの能力を引きだせる男が転がり込んできた」
やっぱりそういうことだよな。
「もう一回だけ言うぞ。双星機はまだ完全じゃない。胴体部は発見したが他のパーツは見つかっていない。これでは戦力にならない。そこで剣星には発掘作業を手伝ってもらう。この意味は分かってるな?」
それは単に作業を手伝うだけじゃない。
キルレイドさんたちと共に、アルフィナを救うかどうかの意志を確認しているんだ。
双星機に搭乗できるのは、アルフィナがいない以上は俺だけ。
だから俺に、世界を敵に回しても戦う覚悟があるのかを聞いてるんだ。
でも、今更考え直すことじゃない。
とっくに心は決まってる。
「はい、わかりました。アルフィナを助けるために協力します」
正直言って、具体的にどうすればいいのか、まだ全然分からない。
でも確かな事は、この世界は民主的手段で何かが変わるわけじゃないってことだ。
力がなくては世界を変える事なんてできないんだ。
「当然ながら操縦するのもお前だ、剣星。今までは発掘できても役に立たないと思われてきた。それがお前が現れたことで、最強の聖王機として復活できるんだ」
返事をしてイオリに顔を向ける。
イオリは当然アルフィナを助けるに行くだろう。
「ねーちゃんの方には、操者部隊の指導をしてもらいたい。本来であれば俺の仕事なんだが、ここんとこ色々あって忙しい。教会仕込みの技術指導を任せたい」
それはラヴェルサ相手だけじゃない。
ひょっとしたら対騎士団も視野に入れているのかもしれない。
「もちろん骨折が治ってからで構わない」
骨折?!
イオリは痛そうな素振りを一切見せずに毅然としている。
だけど、あの日の戦いぶりを見れば納得できるものだ。
「心配には及ばない。今日からでもやらせてもらう。ただし、ねーちゃんは止めていただこう」
「失礼した。イオリと呼ばせてもらう。ただ今日は休みだ。こちらの準備ができていない」
そう言われては返す言葉もない。
イオリは黙って頷いた。
「キルレイドさま、そろそろ……」
「おう、もうそんな時間か。悪いな、今日はここまでだ。分からない事があったら遠慮なく聞いてくれ」
その言葉を最後にキルレイドたちが退室していく。
俺は一足先に部屋を出たイオリを追った。
「イオリ!」
「聞こえている、そんな大声を出すな」
「すまなかった。俺は約束を守れなかった」
アルフィナを守るといったことだ。
最後に諦めて、あの場を去る決断をしたのも俺だ。
「剣星は正しい判断をした。今はそう思っている。冷静になれば私にも分かるさ」
イオリの表情は暗く、自分を責めているように見えた。
俺はイオリを助けたい。
一緒にいて支えたい。
だから俺は言うんだ。
今度こそ、一緒にアルフィナを助けようって。
一度は消えかけてしまった希望の光を掴むために。
「イオリ、今度こそ俺と――」
「剣星」
静かだけど、力強い声。
思わず体が硬直してしまう。
「あの夜、私は随分無茶なことを頼んでしまったな。キルレイドの話は恐らく正しいのだろう。アルフィナ様が望んでいたのなら、どうしようもないことだった。そのせいで剣星を苦しめることになった」
イオリは俺に対して大きく頭を下げた。
自分も苦しいのに俺の心配をしてくれてるというのか。
アルフィナを諦めた俺を許してくれるのか。
でもそうじゃないんだ。
「違う。俺は……俺はイオリを助けたかったんだ。そのためにアルフィナを助けようとしたんだ」
「そうだな、私は剣星に助けられた。あの夜、お前がどんな想いだったか分からない。だがお前の腕の中にいる時、不安で一杯だった私の心がどれだけ安らいだか。吐息を感じるたびに、どれほど満たされたことか。お前は知るまい」
俺はあの時、イオリが今にも壊れそうだと感じていた。
抱きしめなければ、崩れてしまうと思っていた。
「だから私を甘えさせないでくれ。私に優しくしないでくれ」
「意味が分からねえよ。俺はイオリが不安なら助けたい。力になりたいんだ」
俺達が想い合ってるわけじゃないのは理解している。
それでも強く拒絶されるような関係じゃないはずだ。
「アルフィナ様は今も苦しんでおられる。そんな中、私にのうのう安らぎを感じていろというのか!」
イオリはそこまで自分を追い詰めてるのかよ。
ここで俺が強引にいっても逆効果にしかならない気がする。
「イオリの気持ちは分かった。でも俺は絶対アルフィナを助けるから」
「すまない」
イオリは立ち去っていった。
俺は元いた部屋に戻るなり、ベッドに突っ伏した。
「最悪だ」
「ちょっとケンセー、どういうことよ」
「…………」
「答えなさ~い!」
レトは小さな体で俺の唇を強引に開かせようとしている。
やがて諦めて、蹴りをいれてきた。
「ケンセーにとって私は何なの!」
「……あいぼう」
「だったら、話してみなさいよ。いっつも一人で考えこんじゃってさ。そんなんだからムッツリスケベになるのよ!」
「それは関係ないと思う」
でもそれもいいかもしれない。
俺だけで解決できないなら助けを求めるのもいいよな。
「私が思うにイオリはケンセーのこと嫌いな訳じゃないと思うのよね」
「うん、俺もそうだと思う」
あの夜のことが愛情じゃなかったとしても、それだけじゃなかった。
もしかしたら、俺がそう信じたいだけなのかもしれない。
でもイオリが俺をなんとも思っていなかったら、そもそも苦しまないだろう。
「それじゃあ、何でケンセーに近づいてくるなみたいに言うのよ」
「思うに、きっと俺がイオリのことを想えば想うほどに、イオリは自分を責めてしまうんだ。自分は罰せられるべきなのに、愛されちゃ駄目なんだって。幸せになっちゃいけないんだって思い込んでるんだ」
「ふ~ん。だから、さっきは素直に引き下がったのね」
あのまま会話を続けても、イオリの心を溶かすのはできなかったと思う。
というか、言葉で伝えられるのか?
自分には好きになってもらう価値が無い、とか思い込んでるなんてないよな。
それでもあの夜、俺が想いを伝えたのは間違いじゃなかったはず。
そうじゃなきゃ、今以上に酷い事になっていた可能性もあるんだ。
最悪ラヴェルサとの決戦中に死んでいたかもしれない。
でも、今は想いを伝えても逆効果になってしまう。
それなのに俺は自分の気持ちを無理矢理イオリに届けようとしてしまった。
イオリの気持ちなんて、これぽっちも感じていなかったんだ。
「俺は馬鹿だ。大馬鹿ヤロウだ」
「うん、そうだね」
「ちょっとは否定してくれよ、相棒」
「イオリはケンセーのこと好き? だけどアルフィナのことはもっと好き?」
「多分、そうだと思う」
きっと単純な好き嫌いだけじゃなくて、複雑に絡み合っているんだろう。
「だから、ちびすけがいないからダメなの?」
「俺は副長と戦ってた時、イオリが笑えない世界なんてぶっ壊してやるって言ったんだ」
「言ったね~。熱い告白だな~と思ってたよ」
随分余裕じゃねーか。
俺にはそんなもん微塵もなかったけどな。
「でも俺は馬鹿だから、それじゃ駄目だって気づかなかったんだ。イオリが笑える世界ってのはアルフィナが側にいるだけじゃ駄目なんだ。きっとアルフィナが笑ってないとイオリは笑えないんだ」
「ケンセー、大変だね。やっぱり障害が大きい方が恋は燃える?」
「流石に大きすぎだ。あの日、俺がアルフィナを救出しても、アルフィナは喜ばなかったと思う。世界のために自ら犠牲になったんだぞ?」
「確かにあいつらが世界中に現れたら、笑うどころじゃないよね」
「結局さ、世界を壊すなんて駄目だったんだ。アルフィナが世界を救いたいと願うなら、俺はどうにかしてその通りにしなくちゃならなかったんだ」
それがアルフィナのためであり、イオリのためだ。
そして俺自身のためになる。
「それこそが俺が貫き通すべき我儘だったんだよ」
世界を壊すなんて言った男が、今度は世界を救いたいだなんて、とんだ笑い話だ。
誰が信じるってんだよ。
俺は何のために副長と戦ったんだろう。
勝って何を手に入れたんだろう。
「それでどうやって世界を救うの? 地下プラントって奴を壊しても駄目なんでしょ?」
「それは、皆で考えよう」
そうだ。俺は何も知らない。
だから皆を頼ろう。
「特にキルレイドさんなんかは、色々知ってそうだしな」
「軽い感じで、イマイチ信用できないけどね」
「俺はあの人の女好きは信じてもいいと思う。多分、聖女が男だったら助けなかったと思うけど。なんか不思議な信頼感がある」
キルレイドさんが団長の元旦那だから信じたいのかもしれない。
後でフォルカにも話を聞いてみよう。
初めて聖王機に乗った時のことを今でも覚えている。
あのパワーがあれば、アルフィナを助けられるんじゃないか。
自然とそう思えてくる。
いや、それだけじゃ駄目なんだ。
嘗ての聖女たちだって、聖王機に乗っていたけど実行されることはなかった。
それは何故か?
ラヴェルサの地下プラントを止めても、それによって破壊衝動を含んだラヴェルサの因子が世界中にばらまかれてしまうからだ。
歴代聖女はそれを知らされていて、アルフィナも知っているからこそ、破壊する選択肢はなかった。
でも聖女の力はラヴェルサを沈静化させるんだろ?
だったら地下プラントだって、そのまま浄化されてもいいはずだ。
それができないのは、浄化の力が足りないということか。
あるいは、俺の知らない何か他の原因があるのかもしれない。
――――――――――――――――
「痛っ!」
何かと思ったら、レトが俺の目の前に下りて、蹴りを入れてきてた。
そのまま両手を腰に当てて、俺を見下ろしている。
「何、ぼ~っとしてるのよ! さっきから呼ばれてるわよ!」
言われて気づいて顔をあげる。
部屋にいる全員が俺に視線を送っていた。
キルレイドさんは、やれやれといった仕草を見せた。
「俺が何故、こんな話をしているか分かるか?」
「なんとなくは」
「双星機が見つかったからといって、普通の操者は動かすだけで精一杯だ。それじゃあ、宝の持ち腐れになってしまう。そんな時に聖王機をの能力を引きだせる男が転がり込んできた」
やっぱりそういうことだよな。
「もう一回だけ言うぞ。双星機はまだ完全じゃない。胴体部は発見したが他のパーツは見つかっていない。これでは戦力にならない。そこで剣星には発掘作業を手伝ってもらう。この意味は分かってるな?」
それは単に作業を手伝うだけじゃない。
キルレイドさんたちと共に、アルフィナを救うかどうかの意志を確認しているんだ。
双星機に搭乗できるのは、アルフィナがいない以上は俺だけ。
だから俺に、世界を敵に回しても戦う覚悟があるのかを聞いてるんだ。
でも、今更考え直すことじゃない。
とっくに心は決まってる。
「はい、わかりました。アルフィナを助けるために協力します」
正直言って、具体的にどうすればいいのか、まだ全然分からない。
でも確かな事は、この世界は民主的手段で何かが変わるわけじゃないってことだ。
力がなくては世界を変える事なんてできないんだ。
「当然ながら操縦するのもお前だ、剣星。今までは発掘できても役に立たないと思われてきた。それがお前が現れたことで、最強の聖王機として復活できるんだ」
返事をしてイオリに顔を向ける。
イオリは当然アルフィナを助けるに行くだろう。
「ねーちゃんの方には、操者部隊の指導をしてもらいたい。本来であれば俺の仕事なんだが、ここんとこ色々あって忙しい。教会仕込みの技術指導を任せたい」
それはラヴェルサ相手だけじゃない。
ひょっとしたら対騎士団も視野に入れているのかもしれない。
「もちろん骨折が治ってからで構わない」
骨折?!
イオリは痛そうな素振りを一切見せずに毅然としている。
だけど、あの日の戦いぶりを見れば納得できるものだ。
「心配には及ばない。今日からでもやらせてもらう。ただし、ねーちゃんは止めていただこう」
「失礼した。イオリと呼ばせてもらう。ただ今日は休みだ。こちらの準備ができていない」
そう言われては返す言葉もない。
イオリは黙って頷いた。
「キルレイドさま、そろそろ……」
「おう、もうそんな時間か。悪いな、今日はここまでだ。分からない事があったら遠慮なく聞いてくれ」
その言葉を最後にキルレイドたちが退室していく。
俺は一足先に部屋を出たイオリを追った。
「イオリ!」
「聞こえている、そんな大声を出すな」
「すまなかった。俺は約束を守れなかった」
アルフィナを守るといったことだ。
最後に諦めて、あの場を去る決断をしたのも俺だ。
「剣星は正しい判断をした。今はそう思っている。冷静になれば私にも分かるさ」
イオリの表情は暗く、自分を責めているように見えた。
俺はイオリを助けたい。
一緒にいて支えたい。
だから俺は言うんだ。
今度こそ、一緒にアルフィナを助けようって。
一度は消えかけてしまった希望の光を掴むために。
「イオリ、今度こそ俺と――」
「剣星」
静かだけど、力強い声。
思わず体が硬直してしまう。
「あの夜、私は随分無茶なことを頼んでしまったな。キルレイドの話は恐らく正しいのだろう。アルフィナ様が望んでいたのなら、どうしようもないことだった。そのせいで剣星を苦しめることになった」
イオリは俺に対して大きく頭を下げた。
自分も苦しいのに俺の心配をしてくれてるというのか。
アルフィナを諦めた俺を許してくれるのか。
でもそうじゃないんだ。
「違う。俺は……俺はイオリを助けたかったんだ。そのためにアルフィナを助けようとしたんだ」
「そうだな、私は剣星に助けられた。あの夜、お前がどんな想いだったか分からない。だがお前の腕の中にいる時、不安で一杯だった私の心がどれだけ安らいだか。吐息を感じるたびに、どれほど満たされたことか。お前は知るまい」
俺はあの時、イオリが今にも壊れそうだと感じていた。
抱きしめなければ、崩れてしまうと思っていた。
「だから私を甘えさせないでくれ。私に優しくしないでくれ」
「意味が分からねえよ。俺はイオリが不安なら助けたい。力になりたいんだ」
俺達が想い合ってるわけじゃないのは理解している。
それでも強く拒絶されるような関係じゃないはずだ。
「アルフィナ様は今も苦しんでおられる。そんな中、私にのうのう安らぎを感じていろというのか!」
イオリはそこまで自分を追い詰めてるのかよ。
ここで俺が強引にいっても逆効果にしかならない気がする。
「イオリの気持ちは分かった。でも俺は絶対アルフィナを助けるから」
「すまない」
イオリは立ち去っていった。
俺は元いた部屋に戻るなり、ベッドに突っ伏した。
「最悪だ」
「ちょっとケンセー、どういうことよ」
「…………」
「答えなさ~い!」
レトは小さな体で俺の唇を強引に開かせようとしている。
やがて諦めて、蹴りをいれてきた。
「ケンセーにとって私は何なの!」
「……あいぼう」
「だったら、話してみなさいよ。いっつも一人で考えこんじゃってさ。そんなんだからムッツリスケベになるのよ!」
「それは関係ないと思う」
でもそれもいいかもしれない。
俺だけで解決できないなら助けを求めるのもいいよな。
「私が思うにイオリはケンセーのこと嫌いな訳じゃないと思うのよね」
「うん、俺もそうだと思う」
あの夜のことが愛情じゃなかったとしても、それだけじゃなかった。
もしかしたら、俺がそう信じたいだけなのかもしれない。
でもイオリが俺をなんとも思っていなかったら、そもそも苦しまないだろう。
「それじゃあ、何でケンセーに近づいてくるなみたいに言うのよ」
「思うに、きっと俺がイオリのことを想えば想うほどに、イオリは自分を責めてしまうんだ。自分は罰せられるべきなのに、愛されちゃ駄目なんだって。幸せになっちゃいけないんだって思い込んでるんだ」
「ふ~ん。だから、さっきは素直に引き下がったのね」
あのまま会話を続けても、イオリの心を溶かすのはできなかったと思う。
というか、言葉で伝えられるのか?
自分には好きになってもらう価値が無い、とか思い込んでるなんてないよな。
それでもあの夜、俺が想いを伝えたのは間違いじゃなかったはず。
そうじゃなきゃ、今以上に酷い事になっていた可能性もあるんだ。
最悪ラヴェルサとの決戦中に死んでいたかもしれない。
でも、今は想いを伝えても逆効果になってしまう。
それなのに俺は自分の気持ちを無理矢理イオリに届けようとしてしまった。
イオリの気持ちなんて、これぽっちも感じていなかったんだ。
「俺は馬鹿だ。大馬鹿ヤロウだ」
「うん、そうだね」
「ちょっとは否定してくれよ、相棒」
「イオリはケンセーのこと好き? だけどアルフィナのことはもっと好き?」
「多分、そうだと思う」
きっと単純な好き嫌いだけじゃなくて、複雑に絡み合っているんだろう。
「だから、ちびすけがいないからダメなの?」
「俺は副長と戦ってた時、イオリが笑えない世界なんてぶっ壊してやるって言ったんだ」
「言ったね~。熱い告白だな~と思ってたよ」
随分余裕じゃねーか。
俺にはそんなもん微塵もなかったけどな。
「でも俺は馬鹿だから、それじゃ駄目だって気づかなかったんだ。イオリが笑える世界ってのはアルフィナが側にいるだけじゃ駄目なんだ。きっとアルフィナが笑ってないとイオリは笑えないんだ」
「ケンセー、大変だね。やっぱり障害が大きい方が恋は燃える?」
「流石に大きすぎだ。あの日、俺がアルフィナを救出しても、アルフィナは喜ばなかったと思う。世界のために自ら犠牲になったんだぞ?」
「確かにあいつらが世界中に現れたら、笑うどころじゃないよね」
「結局さ、世界を壊すなんて駄目だったんだ。アルフィナが世界を救いたいと願うなら、俺はどうにかしてその通りにしなくちゃならなかったんだ」
それがアルフィナのためであり、イオリのためだ。
そして俺自身のためになる。
「それこそが俺が貫き通すべき我儘だったんだよ」
世界を壊すなんて言った男が、今度は世界を救いたいだなんて、とんだ笑い話だ。
誰が信じるってんだよ。
俺は何のために副長と戦ったんだろう。
勝って何を手に入れたんだろう。
「それでどうやって世界を救うの? 地下プラントって奴を壊しても駄目なんでしょ?」
「それは、皆で考えよう」
そうだ。俺は何も知らない。
だから皆を頼ろう。
「特にキルレイドさんなんかは、色々知ってそうだしな」
「軽い感じで、イマイチ信用できないけどね」
「俺はあの人の女好きは信じてもいいと思う。多分、聖女が男だったら助けなかったと思うけど。なんか不思議な信頼感がある」
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