2 / 91
一章
2.異世界は鬼畜だ
しおりを挟む
「皆には近いうちに到来すると言われている九神による魔の災害からこの世界を守ってもらいたいのじゃ」
その言葉を聞いた一人の生徒がどうやってそんなことをすればいいのかと問うとクリーデルトの隣にいた男がいくつかの金色の輪がついた杖をクリーデルトに手渡す。そしてそれの答えを語りだした。
クリーデルトの言っているすべての事をまとめるとこんな感じである。
この世界には九神という者達によって引き起こされる魔の災害というものがありそれが近いうちに到来するのだがハルト達にはそれから世界を守ってもらいたということ。
そしてどうやってそんな事をするのかという問いの答えは能力を駆使して戦うとのことだ。
能力はこの世界特有の力だそうでほとんどの人間が持っているらしい。能力には様々な種類が存在しており日常で役に立つ能力、所謂日常系能力は多くの人がこれを所持しているそうだ。他にも色々あり攻撃系能力や非戦闘系能力があるようだ。攻撃系能力は能力の中でも優劣のつきやすい能力で非戦闘系能力は他者を強化する事が出来る。非戦闘系能力には治癒という大変貴重な能力もあるそうで現在治癒を所持している人はほとんどいないとか。
説明を終えたクリーデルトは杖を二度地面に強く叩きつける。すると皆の目の前に水色の板の様な物が現れた。これは何なのかと皆がざわついているとクリーデルトが騒ぎをなだめるように話し出す。
「そこに表示されているのがお主らの能力じゃ。もちろん装備や武器、生活の好待遇は保証するぞ」
周りでは自身の能力を言い合いで盛り上がっていた。
「えー和希くんの能力、【聖剣】なの!? 凄いやつじゃん!」
「そうなのかな。僕はこういうのよくわからないからな」
一方結華はハルトの隣ではしゃいでいた。
「見て見て! これ良いやつじゃない!?」
結華の所には【治癒】と書かれていた。つまりは非戦闘系能力である。
海斗の所には【超身体能力向上】と書かれていた。これは自身を強化する事は出来るが他者を強化することは出来ない。ということは海斗は戦闘系能力である。
周りではどんどん能力が明らかになりはしゃいでいるがハルトははしゃがず表示されているものをずっと見つめていた。ハルトの様子が変だということに気づいた海斗は「どうしたんだよ?」と声をかけるが全くもって反応がない。その後も反応があるまで呼びかけているとようやくハルトは海斗の声に反応した。
「悪い。なんだ海斗?」
「なんだじゃないだろ。そんなにボーっとしてどうしたんだよ」
「いや実は……俺の能力がないって……書かれてるんだ」
ハルトの言った言葉に驚いた海斗と結華は体を寄せてそれの真偽を確認する。しかし結果はハルトの言った通りのものだった。
落ち込むハルトを励ますように結華が「きっと大丈夫だよ。何か力があるはずだから」という。異世界という現実とは異なる世界でワクワクの気持ちもあったハルトだがやはり能力がない状態で知らない世界で生きていくという事を考えた時不安でいっぱいになりつい「俺、こんなんで異世界で生きていけんのかな。死ぬんじゃ……」と言ってしまった。
それを聞いた結華が「そんなこと言わないで!!」と本気になって怒る。とっさにハルトは「ごめん」と謝った。
ハルト達の空気が悪くなってしまったところでクリーデルトがタイミング良く話しを始める。
「皆確認出来たと思うがこれから必要な物を各自選んでもらって早速特訓をしてもらいたいのじゃが」
クリーデルトがそういうと両隣にいる男がハルト達をどこかに案内しだす。
@@
あの後案内されたのは倉庫のような場所だった。そこには様々な装備や武器が並べられておりそこから好きなものを持っていっていいとのことだった。
みんなそれぞれの能力にあった装備や武器を選ぶと筋肉ムキムキの男が突然現れハルト達を訓練場へと連れ出した。
「今日からしばらくお前らの訓練を見るダリアだ。よろしくな。まずぱっと見で戦闘系能力を持ってるやつは俺のところにそれ以外の非戦闘系とかはあっちのサリアの方に行ってくれ」
能力がないハルトだったがなんとなく海斗と一緒にダリアの方に向かった。
「ほんじゃ、能力はこうなんか一点に集中させるイメージを持ってやるといいぞ。とりあえず好きなようにこれ攻撃してみろ」
ダリアにそう言われ皆は一人一つ目の前に置かれている石で作られた人形に向かって能力を使用し始める。
真っ先に人形を壊したのはやはり完全無欠の和希だった。和希の聖剣はもはや無音に近いレベルで人形を切り裂いていた。そのスゴ技にダリアの方にいる一部の女子とサリアの方に行った女子何名かが黄色い歓声をあげていた。
(はぁ……。なんで俺には能力がないんだよ。こんなんじゃ絶対無理だろ!)
ハルトは怒り任せに剣を人形に向かって振った。すると結果は察しの通りハルトの腕は痺れ剣が地面に落ちてしまった。ハルトは能力もないのに剣の才能もないとなれば一体どうやって生きていけばいいのだろうか、いっそ違う所に……とついまた考えてしまう。
そんなハルトに追い打ちをかけるかのように和希の取り巻きがハルトの事をいじりだす。
「おいおい東雲、なにやってんだよ。こっちでも才能なしか??」
「やめてやれよ。気にしてるかも知れないだろ」
「ほら皆、東雲君をいじめるのはよくないよ。それに才能は人を選ぶからね」
(その守ってるようで一番攻撃してくるのをやめろ)
ハルトは落ちた剣を拾ってその剣を見つめながらため息をつく。
(本当に俺は皆と一緒に世界を救えるのか…? 能力がないのに何が出来るんだ…)
ハルトは心の中で叫ぶ。
(異世界は鬼畜だぁぁぁああ!!!!)
その言葉を聞いた一人の生徒がどうやってそんなことをすればいいのかと問うとクリーデルトの隣にいた男がいくつかの金色の輪がついた杖をクリーデルトに手渡す。そしてそれの答えを語りだした。
クリーデルトの言っているすべての事をまとめるとこんな感じである。
この世界には九神という者達によって引き起こされる魔の災害というものがありそれが近いうちに到来するのだがハルト達にはそれから世界を守ってもらいたということ。
そしてどうやってそんな事をするのかという問いの答えは能力を駆使して戦うとのことだ。
能力はこの世界特有の力だそうでほとんどの人間が持っているらしい。能力には様々な種類が存在しており日常で役に立つ能力、所謂日常系能力は多くの人がこれを所持しているそうだ。他にも色々あり攻撃系能力や非戦闘系能力があるようだ。攻撃系能力は能力の中でも優劣のつきやすい能力で非戦闘系能力は他者を強化する事が出来る。非戦闘系能力には治癒という大変貴重な能力もあるそうで現在治癒を所持している人はほとんどいないとか。
説明を終えたクリーデルトは杖を二度地面に強く叩きつける。すると皆の目の前に水色の板の様な物が現れた。これは何なのかと皆がざわついているとクリーデルトが騒ぎをなだめるように話し出す。
「そこに表示されているのがお主らの能力じゃ。もちろん装備や武器、生活の好待遇は保証するぞ」
周りでは自身の能力を言い合いで盛り上がっていた。
「えー和希くんの能力、【聖剣】なの!? 凄いやつじゃん!」
「そうなのかな。僕はこういうのよくわからないからな」
一方結華はハルトの隣ではしゃいでいた。
「見て見て! これ良いやつじゃない!?」
結華の所には【治癒】と書かれていた。つまりは非戦闘系能力である。
海斗の所には【超身体能力向上】と書かれていた。これは自身を強化する事は出来るが他者を強化することは出来ない。ということは海斗は戦闘系能力である。
周りではどんどん能力が明らかになりはしゃいでいるがハルトははしゃがず表示されているものをずっと見つめていた。ハルトの様子が変だということに気づいた海斗は「どうしたんだよ?」と声をかけるが全くもって反応がない。その後も反応があるまで呼びかけているとようやくハルトは海斗の声に反応した。
「悪い。なんだ海斗?」
「なんだじゃないだろ。そんなにボーっとしてどうしたんだよ」
「いや実は……俺の能力がないって……書かれてるんだ」
ハルトの言った言葉に驚いた海斗と結華は体を寄せてそれの真偽を確認する。しかし結果はハルトの言った通りのものだった。
落ち込むハルトを励ますように結華が「きっと大丈夫だよ。何か力があるはずだから」という。異世界という現実とは異なる世界でワクワクの気持ちもあったハルトだがやはり能力がない状態で知らない世界で生きていくという事を考えた時不安でいっぱいになりつい「俺、こんなんで異世界で生きていけんのかな。死ぬんじゃ……」と言ってしまった。
それを聞いた結華が「そんなこと言わないで!!」と本気になって怒る。とっさにハルトは「ごめん」と謝った。
ハルト達の空気が悪くなってしまったところでクリーデルトがタイミング良く話しを始める。
「皆確認出来たと思うがこれから必要な物を各自選んでもらって早速特訓をしてもらいたいのじゃが」
クリーデルトがそういうと両隣にいる男がハルト達をどこかに案内しだす。
@@
あの後案内されたのは倉庫のような場所だった。そこには様々な装備や武器が並べられておりそこから好きなものを持っていっていいとのことだった。
みんなそれぞれの能力にあった装備や武器を選ぶと筋肉ムキムキの男が突然現れハルト達を訓練場へと連れ出した。
「今日からしばらくお前らの訓練を見るダリアだ。よろしくな。まずぱっと見で戦闘系能力を持ってるやつは俺のところにそれ以外の非戦闘系とかはあっちのサリアの方に行ってくれ」
能力がないハルトだったがなんとなく海斗と一緒にダリアの方に向かった。
「ほんじゃ、能力はこうなんか一点に集中させるイメージを持ってやるといいぞ。とりあえず好きなようにこれ攻撃してみろ」
ダリアにそう言われ皆は一人一つ目の前に置かれている石で作られた人形に向かって能力を使用し始める。
真っ先に人形を壊したのはやはり完全無欠の和希だった。和希の聖剣はもはや無音に近いレベルで人形を切り裂いていた。そのスゴ技にダリアの方にいる一部の女子とサリアの方に行った女子何名かが黄色い歓声をあげていた。
(はぁ……。なんで俺には能力がないんだよ。こんなんじゃ絶対無理だろ!)
ハルトは怒り任せに剣を人形に向かって振った。すると結果は察しの通りハルトの腕は痺れ剣が地面に落ちてしまった。ハルトは能力もないのに剣の才能もないとなれば一体どうやって生きていけばいいのだろうか、いっそ違う所に……とついまた考えてしまう。
そんなハルトに追い打ちをかけるかのように和希の取り巻きがハルトの事をいじりだす。
「おいおい東雲、なにやってんだよ。こっちでも才能なしか??」
「やめてやれよ。気にしてるかも知れないだろ」
「ほら皆、東雲君をいじめるのはよくないよ。それに才能は人を選ぶからね」
(その守ってるようで一番攻撃してくるのをやめろ)
ハルトは落ちた剣を拾ってその剣を見つめながらため息をつく。
(本当に俺は皆と一緒に世界を救えるのか…? 能力がないのに何が出来るんだ…)
ハルトは心の中で叫ぶ。
(異世界は鬼畜だぁぁぁああ!!!!)
2
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる