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一章

16.ハルト語る

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「暖かい」

「そ、そうだな」

「そう言えばハルトの事、私あまり知らないから教えて」

 シノは背中を近づける。そしてハルトの方を見て言った。

「あんまりこれは他の人に言わないでくれよ」

「うん」

「実は俺はこの世界の人間じゃないんだ。異世界から召喚されてここに来たんだ」

「なんで召喚されたの?」

「【ヒルアール王国】の偉い人が言ってたのは近いうちに来るかもしれないを止めて欲しいみたいな感じだったな」

「魔の災害……」

「魔の災害が何か知ってるのか?」

「うん」

 シノはハルトの目を見てコクリと頷いた。

「魔の災害は九神エニアグラムの計画が行われている時の被害の事」

九神エニアグラムってシノを追いかけてるやつのことか」

「そう」

「神なのに魔の災害って言われてるんだな」

「神なんて魔みたいなもの。それでハルト、続き」

「その後は特にないけどトロールに襲われて目を覚ましたらクラスのみんながいなくて……きっと見捨てられたんだ。そして戻っている途中にシノに出逢った」

「私登場」

「でも結果的にシノに出逢えて俺は救われた。ほんとにありがとう」

「……うん」

 シノが下を向いているとハルトがシノの肩に手を置いて声をかける。

「シノ、耳とほっぺが赤いけどのぼせたか?」

「そ、そうかも」

「もうあがるか」

「……うん」

 ハルトが先に上がろうとするとシノがそれより先に樽風呂から出た。タオルとかをつけていなかったので出た瞬間にシノの体が再びハルトの目に映る。

「せめて隠せ!!」

「わかった」

 ハルトに言われてシノは手を使って隠す。

「両手使ってなんで顔を隠してるんだよ!! もっと違うところを隠せ!!!」

 いつの間にか扉の下にタオルと着替えの服が置かれていた。シノとハルトが風呂でいちゃついている時にこっそりアリアが持ってきていたのである。それを使って体の水を拭き取ったシノは服を着て先に家の中へ戻っていった。

(好きな人を前にこんな事普通するもんなのか? もうよくわからん。体は大切にするもんじゃないのか…?)

 その後ハルトはしばらく風呂から出てこなかった。
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