異世界は鬼畜でした。〜クラス転移したが唯一スキルなしで見放された俺は最後の魔女と出会い最強に成り代わる〜

丸手音狐

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一章

67.vsメルリル⑤

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「何が……!?」

 和希達がいきなりいなくなった事に驚いたハルト。同様にそれを見ていた生徒も驚いていた。ハルトはいち早く気を取り直し迫ってきていた氷の鎧に火の弾を放ち溶かす。他の生徒も少し経つと目の前の戦いに集中し始める。

「ハルト! 後ろはもう大丈夫そうだ!」

 後ろから声が聞こえてきた。ハルトは振り向かずともそれが誰なのかわかっていた。

「そうか。まだ後ろで守っていた方が良いんじゃないか?」

「ハルト、お前が好きにしろって言ったんだぞ」

「でも後ろに戦力の和希がいなくなってる以上他の奴らがどうなるかわからないぞ」

「ハルト、俺らはそんなに弱くはないぞ。それに俺達を信じろ」

「信じろ、か。俺はもう行くから」

「おい、ハルト、待てって!」

 ハルトはシノとラムネのいる最前線へと走り出す。手に力を込め近づいてこようとする氷の鎧に火の弾を放ちながら進んでいく。走るハルトの後ろには剣を持った京香の姿があったが海斗の姿はどこにも見当たらなかった。すると次の瞬間ハルトの隣に海斗がいきなり現れる。

「!?」

「俺の能力スキル、忘れたのか? 走りじゃ俺から逃げられないぞ」

「ずるだろ」

「おっ、やっとちゃんと反応してくれた」

「うるせ」

 走っていたハルトはシノとラムネの元に着くとスピードを緩め止まる。それに合わせて海斗も止まった。京香は必死に走ってきて遅れてハルト達の元に到着した。

「ハルト、いいの?」

「こいつらか? 勝手についてきてるだけだ」

「ずっと思ってたけどこの可愛い人達は何なんだ?」

「それは後でいつかそのうち死ぬまでに話すよ」

「いつだよ」

 ハルトはメルリルを見たあとに周辺を見渡す。どこもかしこも氷の鎧と戦闘を繰り広げておりやはりキリがない状況。このまま行けばきっとハルト達側が負ける事になってしまうだろう。実際馬車の方で戦闘をしている者の中には体力の限界を迎え結華に治療してもらっている者もちらほらいるのが見える。つまりはどれだけ早くメルリルを倒せるかが重要となってくる。

 しかしメルリルにはそう簡単には攻撃が通用しないと言うことがハルトの攻撃で判明している。あの翼をどうにかすることができればもしかしたら致命傷を与えることが出来るかもしれない。それとメルリルは攻撃に対して耐久性がないようでちょっとの攻撃でもダメージを負っていた。

 ということはもし直接攻撃を当てる事ができれば形勢逆転することが出来るかもしれないとハルトは思った。

「ハルトさん! もういっそ巻き込んで氷を燃やしちゃいません??」

「そんな事したら俺達は大丈夫かもしれないが他のやつがどうなるかわからないぞ」

「東雲くん、それならいい案があるけど」

 いきなり会話に入ってきた京香がそう言うとハルトはその言葉に反応し何かと訪ねた。そして京香はその問いに対して答える。

「麻衣美の能力スキルを使えばなんとかなると思う。東雲くんのしようとしている攻撃がどれほどまでのものかはわからないけどきっと麻衣美の能力スキルなら大丈夫」

 ハルトは自分と結華、海斗、和希以外の能力スキルについては知らないため麻衣美の能力スキルと言われてもあまりピンと来てはいなかった。そんなハルトの様子を見て京香は話をより詳しく話し始める。

「麻衣美の能力スキル【フィールド】を使えば行けると思うんだけど」

 能力スキル名を言われたハルトだがそれでもピンと来ない様子なのでさらに京香が詳しく話してくれた。

 京香が言っている事をまとめると、まず麻衣美の能力スキルは【フィールド】というものでこれは言わば防御結界の様なものらしい。ドーム型の防御結界は様々な攻撃を遮断する上に防御結界外にいる者の侵入を防ぐことも出来るそう。そして京香が何をしたいかというとこの麻衣美の能力スキルである防御結界を展開しハルトの攻撃からみんなを守れば良いのではないかということである。

 しかし京香にはこの作戦にひとつ懸念点があった。それはハルトの攻撃威力に防御結界が耐えれるかどうかということ。麻衣美のこの能力スキルには一定の耐久値が存在しておりそれを超過すると割れてしまいしばらくの時間使えなくなってしまう。もしハルトの攻撃威力に耐えれず防御結界が割れてしまえば中にいた全員は炎に飲み込まれお陀仏してしまうのだ。
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