隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい

藤永ゆいか

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第2章

彼女宣言②

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反射的に振り返ると、柔らかな雰囲気をまとった茶髪の男の子がニコニコしながら立っていた。

うわ。くりっとした大きな目の、可愛らしいイケメンさん!

あれ? でもこの子、どことなく彗くんと顔の雰囲気が似ているような……?

「おっはよー、彗!」

挨拶をするなり、彗くんにギューッと抱きつく男の子。

「え!?」

教室ではほとんど誰とも話したりしない彗くんに、こんなふうに接する子がいたなんて!

しかも彗って呼び捨てだし。この人、一体何者!?

「ちょっと蓮、離れろ! 暑苦しい」

彗くんが軽く睨むと、蓮と呼ばれた彼は素早く離れる。

「ねえ。もしかしてキミが、最近A組に来たっていう転校生?」
「は、はい。羽生菜乃花です」

私は、彗くんの知り合いの彼に頭を下げる。

「えっと、あなたは?」
「僕は、速水はやみれん。隣のクラスのB組で、バスケ部員だよ。ちなみに僕と彗は、いとこなんだ」

え!?

「す、彗くんのいとこ!?」

速水くんの言葉に、私は開いた口が塞がらない。

彗くんのほうを見ると、肯定するかのようにコクリと頷いた。

「学校で蓮との関係は公にしてないけど。蓮は俺のいとこで、速水財閥の跡取りだ」

……どうりで。なんとなく顔の雰囲気が、彗くんと似てるなって思った。さすがに、そっくりってワケではないけど。

「それで? キミは?」
「え?」
「羽生さんは、彗の何なの? 彗が女の子と歩いてるなんて、珍しいよね」
「えーっと。私は……」

速水くんに聞かれて、私は口ごもる。

いとこなら、彗くんが三池財閥の御曹司なのはもちろんよく知ってるだろうけど。
私が彼のボディーガードってことは、内密にって言われたし。

「……彼女だよ」

どう答えようか私が迷っていると、彗くんが口を開いた。

「え? 彼女!?」
「ああ。菜乃花は、俺の彼女だ」

迷いもなく、彗くんがキッパリと告げる。

「はっ、はあ!?」

速水くんは、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。

「ちょっと! 彗って、こういう地味な子がタイプだったの?」

うう。速水くんったら、ストレートだなぁ。私、絶対に釣り合ってないって思われてるよね。

「蓮、失礼だぞ。そもそも交際は、俺のほうからお願いしたんだから。俺は、街で菜乃花が人助けする姿を見て、彼女の優しさに惚れたんだよ」

彗くん……。

「まあ一番は、男子も顔負けの君の強さに惹かれて……だけどね?」

私の耳元に唇を近づけ、囁くように話す彗くん。

フォローしてくれたと思ったら、そんなことを言って……!


「ちょっと、彗くん。そのことは、言わないって約束……」
「ああ。だから、学校のみんなの前じゃなく、こうして君の耳元で言ってるんだけど?」

ニヤリと口角を上げる彗くん。

「……っ、もう。彗くんの意地悪!」
「ははっ」

彼の笑う息が耳たぶにかかり、ぴくりと肩が揺れる。

「悪い悪い。次からは気をつけるよ」

彗くんが喋るたびに耳に息がかかって……って。多分これ、わざとやってるよね!?
だって彗くん、さっきからずっと楽しそうに笑ってるんだもん。

まさか、彗くんにこんな一面があったなんて。

「へー。彗が学校で笑うところ、久しぶりに見たかも。そっか、キミが彗の彼女……」

彗くんが私から少し離れたと思ったら、今度は蓮くんがぐいっと私に顔を近づけてきた。

「うわっ……!」

ちょっと、そんなにジロジロ見ないで……!

あまりの近さに、私は思わずのけぞってしまう。

男の子にこんな至近距離で見られることに慣れていない私は、急に顔が熱くなるのを感じて、たまらず俯いてしまった。

「おい、蓮。人の彼女を、あまりジロジロ見んなよ」
「いいじゃん。僕、自分にとって兄のような存在の彗の彼女に興味あってさ」

しばらくじっと見たあと、速水くんが私に手を差し出してくる。
ん? この手は何だろう?

「羽生さん、これからよろしく」

あっ。なるほど! 握手ってことね。

「うん。よろしく、速水くん!」

私は、差し出された蓮くんの手に、そっと自分の手を重ねた……つもりだったのに。

「いてててて!」

蓮くんは顔を歪め、大声で叫んだ。

「ちょっと、羽生さん! 力強すぎだよ!」
「ご、ごめん!」

私は慌てて蓮くんの手を離した。まさか、軽く握っただけでこんなことになるとは。

「菜乃花、自分で全然隠せてないじゃない」

隣の彗くんに、呆れたような声で突っ込まれる。

私はもう一度、握手する際には力加減に気をつけようと、心の中で固く誓ったのだった。
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