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バイフーと呼ばれた女
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石動はリングファイルを開いて、自殺者の写真に目を動かした。
「頻発する不審な自殺者に共通するのは、全員晦冥会の元信者、という事だったのです。事情聴取の際に信仰宗教をお尋ねしましたよね? 晦冥会ですかと。今回心中した木原の件、それから江口の件も、いずれも晦冥会の信者だったという情報を我々はつかんでいます」
SТGも同じ情報をつかんでいる。
「じゃあ、この女性も晦冥会の元信者?」
「そういう情報を得ています。ですから、この女性も一連の晦冥会に関する不審な自殺者という事になりますし、その中で唯いつ一命を取り留めた重要参考人だという事になります。もしも今、彼女が目を覚ます事があれば、不審な自殺者を生み出す晦冥会の闇の部分を聞き出せると、少なくとも僕は期待をよせているのです。そして間違いなく、木原や江口を自殺に見せかけて殺害した犯人の名も浮かび上がると確信しています」
「それでか」
羽賀が顔を動かした。石動も話を中断してわたくしに顔を向けた。
「何ですか?」
「いやあ、ペンションの従業員である高田さんが、天道葵の心中事件の事情聴取に不満をもっいていた理由が、いま分かったような気がします。この女性が目覚めれば、ある程度真相がつかめると、警察は考えていたのではないでしょうか? だから、天道の心中事件の事情聴取にあまり身が入らなかった」
わたくしは膝を叩くように言った。
「なるほど、そうですね。それはまああるかも知れませんね。当時はこの女性の非常に軽傷である事から数日内には意識を回復すると医師からも聞かされていましたから。しかし現実はこの有様です。彼女は待ちわびる我々の期待をあざ笑うかのように、一向に目覚める気色がない。それで我々も少々焦ってきているのです」
高層階のせいか、病室がやけに静かに感じた。
「そこへきて江口の自殺が起きてしまった?」
羽賀がまたわたくしを見た。
「宗村さんはライターをやっているだけあって、さすがに勘が鋭いですね。江口サダユキの死は、我々が捜査を安易に考えていたからと見られても仕方がない」
石動はベッドに背中を向けて、窓辺へ歩いて行った。
「晦冥会の元信者が不審な自殺死体として発見されている。それが石動さんの言う通り事実であれば、彼らはなぜ自殺をしなければならなかったのでしょうか?」
わたくしは彼の背中から目が離せなかった。
「宗村さん、分かりませんか? 分かりませんよね。僕だって徹夜で調べてやっと分かったんですから。
つまりこういう事です。晦冥会は、晦冥会を脱会及び脱走したものを片端から始末して回っているという事です」
石動はカーテンに隙間を作って窓の外を覗いた。
「始末? 始末って、殺すってことですか? そんな馬鹿な。そもそも一体何のためにそんな」
「破戒者への神罰、とも取れますが、実際は情報漏えいの防止と言ったところでしょうか。死人に口なしとはよく言ったものです。ただ、僕が調べたデータからは、単純な信者であれば自殺者は発生していないのです。晦冥会で幹部以上の人間の場合、ほぼ確実に自殺をしています」
石動はカーテンを閉じて、今度は近くのソファーに座って足を組んだ。
「ある程度晦冥会の内部に精通した人間が脱会した場合にのみ、晦冥会は口止めのために殺しているという事ですか」
羽賀はわたくしと石動に目を動かした。一般人にここまで捜査内容を開示して良いのか戸惑っている様子に見えた。
「そういう事です。まるで悪の犯罪組織のような非道なやり方ですが、しかしながらその効果は絶大です。なにしろ我々は晦冥会について内情を調べようがないのですから。事情を知る者はみな自殺しています。彼らが施設内で何を企み何を行っているのか知る術がないんです。
そうは言っても不審な自殺の増加は警察の目に留まらないはずはない。僕は仕事の余暇に晦冥会の闇について個人的に捜査を続けてきました。そして最近になってやっと『バイフー』という謎の女性が浮上して来たんです」
「バイフー?」
わたくしは大きく眉を寄せた。
「簡単に言えば、バイフーは晦冥会の暗殺者です。彼女が晦冥会を脱会、脱走した元信者を殺して回っているというのです。ほかに『チンロン』という男の暗殺者も存在するそうです。これらの情報は晦冥会を脱走し警察に身の安全を保証して欲しいと泣き付いて来た東北出身の男から聞き出しました。晦冥会の内部でもまことしやかに囁かれ、もしも晦冥会から脱走をすれば、恐ろしいバイフーが放たれ、地の果てまで追いかけて脱走者を殺すと噂が流れていたそうです。現にその密告した男はどうなったと思います?」
石動は真っ直ぐ前を見つめていた。
「まさか」
「そのまさかです。彼は数日後、警察署の施設内で服毒自殺をしたのです。遺書には晦冥会を裏切った事への懺悔の言葉が綴られていました。僕は彼の訃報を聞いて愕然としましたよ。果たしてバイフーはどうやって彼を殺害したのか、今だに謎のままです。実際元信者の変死が新聞に掲載されているのですから、信者達の恐怖心は現実のものだったと思います」
包帯に包まれた女性の顔へ視線を落とした。心電図の規則的な波形は、電気軸のマイナス三〇から一〇〇の間を波打っていた。
「じゃあ、この女性はバイフーに殺されかけた?」
「間違いないと僕は確信しています。バイフーの目撃情報は無いでも無いです。顔写真はありませんが、目撃情報から似顔絵を作成しました。中国人風の結構な美人でしたよ。羽賀さん、彼に見せてあげて下さい」
羽賀は再び黒いバッグのファスナーを開けて、鉛筆書きのバイフーの似顔絵をわたくしに手渡した。
「あ」
わたくしの声を漏らすのを石動は見逃さなかった。バイフーの似顔絵は思った以上に簡略化された画風だった。
「彼女の得意とする殺害方法は主に毒殺です。元信者に近付き、毒を盛って殺害した後、あたかも自殺したかのように見せかけるのです。僕が知る限り彼女の殺害成功率は九九・九%です」
石動は組んだ足に両手を乗せた。
「残りの〇・一%はこの女性だと?」
「そういう事です」
ベッドで目を閉じている女性はやつれて憔悴して顔色は無いに等しかった。それでも瞳を開ければ二十代半ばの年頃の娘だと想像がついた。
「彼女は毒を盛られたんですか?」
「今回は毒ではありませんでした。いつも通りシアン化水素でも飲まされていれば、今頃彼女はあの世行きでしたが」
「毒殺じゃないなら、なんですか」
「第Ⅲ度熱傷及び気道熱傷。彼女はバイフーの卑劣な放火によって焼死しかけたのです」
「焼死? その割には」
彼女の焼死しかけた割に、全身の包帯を巻いた面積は少なく思えた。石動はソファーから立ち上がった。
「今までのバイフーの情報は関係者による不明確な証言に過ぎません。西洋人だと証言した人もいましたし、東南アジア系だと証言した人もありました。しかし今回はバイフーと接触し直接殺されかけた当事者による証言となります。これはかなり有力な情報です。もしも今回バイフーの身柄を拘束できる事になれば、法廷において決定的な証言にもなります」
法廷という言葉を聞いて、わたくしは目の覚める思いがした。
「石動刑事は、バイフーを逮捕する気なんですか?」
石動は前髪を触った。
「当たり前です。余罪を含めると戦後最大級の大量殺人事件になるでしょう。彼女の寿命がくるまで裁判が続くかも知れません」
羽賀の携帯電話が鳴って、会話が途切れた。振り返ると退室する彼女の背中が見えた。
「では、天道葵と木原正樹もバイフーによって殺害され自殺に見せかけられたという事ですね? 天道と木原は晦冥会を脱会、または脱走していた?」
「そういう事になります。木原と天道は偽名です。恐らくバイフーを恐れて名を騙り、各々地方に散って細々生活をしていた。そこをバイフーに見つかり四週間前に殺され放火された」
『だってどんな理由があったにせよ、今どき一緒になれないからって、心中なんかしますか?』
『何だか人目を気にするようなよそよそしい感じでした、あの二人』
高田の言葉を思い出した。彼らはやはり心中自殺などしてはいなかった。
「しかし、江口の場合はどうでしょう? 彼は現役の晦冥会の幹部ではなかったでしょうか?」
石動はソファーから立ち上がって、しばらくわたくしを見つめた。わたくしは構わず続けた。
「江口は当然バイフーの存在を知っている一人に違いない。そして天道も木原も、心中ではなくバイフーによって暗殺されたと知っていたはず。それなのに天道葵の死について調べていた」
「宗村さん、やけに詳しいですね? 鋭いご指摘の通りです。江口サダユキは晦冥会の現役の幹部であり、バイフーが狙う相手ではなかった。それなのに自殺に見せかけて殺害された。そして木原たち同様に、またしても毒殺という暗殺方法ではなかった。宗村さん、僕は江口の死の連絡を受けた時、正直我が耳を疑いました。完成しかけたジグソーパズルのピースが、突然全く合わなくなった思いです。バイフーに何らかの変化が起きている、僕はそう考えるようになりました」
「変化?」
羽賀が携帯電話を片手に病室に戻って来た。
「宗村さん、そろそろお送りします。だいぶ時間を取らせてしまいました。恋人の椎名美咲さんが待っている事でしょう。僕も署に戻らなければ捜査会議に遅れてしまいます」
石動は、メモ用紙を羽賀に見せて、何かを耳打ちした。わたくしはベッドの横に立って、被害者の女性の深い眠りを見下ろした。
「?」
その時わたくしは、ベッドサイドの床頭台に彼女の私服と思われる衣類の畳まれているのに気が付いた。その中には、カーキ色の頑丈そうな生地のジャケットが混ざっていた。
「頻発する不審な自殺者に共通するのは、全員晦冥会の元信者、という事だったのです。事情聴取の際に信仰宗教をお尋ねしましたよね? 晦冥会ですかと。今回心中した木原の件、それから江口の件も、いずれも晦冥会の信者だったという情報を我々はつかんでいます」
SТGも同じ情報をつかんでいる。
「じゃあ、この女性も晦冥会の元信者?」
「そういう情報を得ています。ですから、この女性も一連の晦冥会に関する不審な自殺者という事になりますし、その中で唯いつ一命を取り留めた重要参考人だという事になります。もしも今、彼女が目を覚ます事があれば、不審な自殺者を生み出す晦冥会の闇の部分を聞き出せると、少なくとも僕は期待をよせているのです。そして間違いなく、木原や江口を自殺に見せかけて殺害した犯人の名も浮かび上がると確信しています」
「それでか」
羽賀が顔を動かした。石動も話を中断してわたくしに顔を向けた。
「何ですか?」
「いやあ、ペンションの従業員である高田さんが、天道葵の心中事件の事情聴取に不満をもっいていた理由が、いま分かったような気がします。この女性が目覚めれば、ある程度真相がつかめると、警察は考えていたのではないでしょうか? だから、天道の心中事件の事情聴取にあまり身が入らなかった」
わたくしは膝を叩くように言った。
「なるほど、そうですね。それはまああるかも知れませんね。当時はこの女性の非常に軽傷である事から数日内には意識を回復すると医師からも聞かされていましたから。しかし現実はこの有様です。彼女は待ちわびる我々の期待をあざ笑うかのように、一向に目覚める気色がない。それで我々も少々焦ってきているのです」
高層階のせいか、病室がやけに静かに感じた。
「そこへきて江口の自殺が起きてしまった?」
羽賀がまたわたくしを見た。
「宗村さんはライターをやっているだけあって、さすがに勘が鋭いですね。江口サダユキの死は、我々が捜査を安易に考えていたからと見られても仕方がない」
石動はベッドに背中を向けて、窓辺へ歩いて行った。
「晦冥会の元信者が不審な自殺死体として発見されている。それが石動さんの言う通り事実であれば、彼らはなぜ自殺をしなければならなかったのでしょうか?」
わたくしは彼の背中から目が離せなかった。
「宗村さん、分かりませんか? 分かりませんよね。僕だって徹夜で調べてやっと分かったんですから。
つまりこういう事です。晦冥会は、晦冥会を脱会及び脱走したものを片端から始末して回っているという事です」
石動はカーテンに隙間を作って窓の外を覗いた。
「始末? 始末って、殺すってことですか? そんな馬鹿な。そもそも一体何のためにそんな」
「破戒者への神罰、とも取れますが、実際は情報漏えいの防止と言ったところでしょうか。死人に口なしとはよく言ったものです。ただ、僕が調べたデータからは、単純な信者であれば自殺者は発生していないのです。晦冥会で幹部以上の人間の場合、ほぼ確実に自殺をしています」
石動はカーテンを閉じて、今度は近くのソファーに座って足を組んだ。
「ある程度晦冥会の内部に精通した人間が脱会した場合にのみ、晦冥会は口止めのために殺しているという事ですか」
羽賀はわたくしと石動に目を動かした。一般人にここまで捜査内容を開示して良いのか戸惑っている様子に見えた。
「そういう事です。まるで悪の犯罪組織のような非道なやり方ですが、しかしながらその効果は絶大です。なにしろ我々は晦冥会について内情を調べようがないのですから。事情を知る者はみな自殺しています。彼らが施設内で何を企み何を行っているのか知る術がないんです。
そうは言っても不審な自殺の増加は警察の目に留まらないはずはない。僕は仕事の余暇に晦冥会の闇について個人的に捜査を続けてきました。そして最近になってやっと『バイフー』という謎の女性が浮上して来たんです」
「バイフー?」
わたくしは大きく眉を寄せた。
「簡単に言えば、バイフーは晦冥会の暗殺者です。彼女が晦冥会を脱会、脱走した元信者を殺して回っているというのです。ほかに『チンロン』という男の暗殺者も存在するそうです。これらの情報は晦冥会を脱走し警察に身の安全を保証して欲しいと泣き付いて来た東北出身の男から聞き出しました。晦冥会の内部でもまことしやかに囁かれ、もしも晦冥会から脱走をすれば、恐ろしいバイフーが放たれ、地の果てまで追いかけて脱走者を殺すと噂が流れていたそうです。現にその密告した男はどうなったと思います?」
石動は真っ直ぐ前を見つめていた。
「まさか」
「そのまさかです。彼は数日後、警察署の施設内で服毒自殺をしたのです。遺書には晦冥会を裏切った事への懺悔の言葉が綴られていました。僕は彼の訃報を聞いて愕然としましたよ。果たしてバイフーはどうやって彼を殺害したのか、今だに謎のままです。実際元信者の変死が新聞に掲載されているのですから、信者達の恐怖心は現実のものだったと思います」
包帯に包まれた女性の顔へ視線を落とした。心電図の規則的な波形は、電気軸のマイナス三〇から一〇〇の間を波打っていた。
「じゃあ、この女性はバイフーに殺されかけた?」
「間違いないと僕は確信しています。バイフーの目撃情報は無いでも無いです。顔写真はありませんが、目撃情報から似顔絵を作成しました。中国人風の結構な美人でしたよ。羽賀さん、彼に見せてあげて下さい」
羽賀は再び黒いバッグのファスナーを開けて、鉛筆書きのバイフーの似顔絵をわたくしに手渡した。
「あ」
わたくしの声を漏らすのを石動は見逃さなかった。バイフーの似顔絵は思った以上に簡略化された画風だった。
「彼女の得意とする殺害方法は主に毒殺です。元信者に近付き、毒を盛って殺害した後、あたかも自殺したかのように見せかけるのです。僕が知る限り彼女の殺害成功率は九九・九%です」
石動は組んだ足に両手を乗せた。
「残りの〇・一%はこの女性だと?」
「そういう事です」
ベッドで目を閉じている女性はやつれて憔悴して顔色は無いに等しかった。それでも瞳を開ければ二十代半ばの年頃の娘だと想像がついた。
「彼女は毒を盛られたんですか?」
「今回は毒ではありませんでした。いつも通りシアン化水素でも飲まされていれば、今頃彼女はあの世行きでしたが」
「毒殺じゃないなら、なんですか」
「第Ⅲ度熱傷及び気道熱傷。彼女はバイフーの卑劣な放火によって焼死しかけたのです」
「焼死? その割には」
彼女の焼死しかけた割に、全身の包帯を巻いた面積は少なく思えた。石動はソファーから立ち上がった。
「今までのバイフーの情報は関係者による不明確な証言に過ぎません。西洋人だと証言した人もいましたし、東南アジア系だと証言した人もありました。しかし今回はバイフーと接触し直接殺されかけた当事者による証言となります。これはかなり有力な情報です。もしも今回バイフーの身柄を拘束できる事になれば、法廷において決定的な証言にもなります」
法廷という言葉を聞いて、わたくしは目の覚める思いがした。
「石動刑事は、バイフーを逮捕する気なんですか?」
石動は前髪を触った。
「当たり前です。余罪を含めると戦後最大級の大量殺人事件になるでしょう。彼女の寿命がくるまで裁判が続くかも知れません」
羽賀の携帯電話が鳴って、会話が途切れた。振り返ると退室する彼女の背中が見えた。
「では、天道葵と木原正樹もバイフーによって殺害され自殺に見せかけられたという事ですね? 天道と木原は晦冥会を脱会、または脱走していた?」
「そういう事になります。木原と天道は偽名です。恐らくバイフーを恐れて名を騙り、各々地方に散って細々生活をしていた。そこをバイフーに見つかり四週間前に殺され放火された」
『だってどんな理由があったにせよ、今どき一緒になれないからって、心中なんかしますか?』
『何だか人目を気にするようなよそよそしい感じでした、あの二人』
高田の言葉を思い出した。彼らはやはり心中自殺などしてはいなかった。
「しかし、江口の場合はどうでしょう? 彼は現役の晦冥会の幹部ではなかったでしょうか?」
石動はソファーから立ち上がって、しばらくわたくしを見つめた。わたくしは構わず続けた。
「江口は当然バイフーの存在を知っている一人に違いない。そして天道も木原も、心中ではなくバイフーによって暗殺されたと知っていたはず。それなのに天道葵の死について調べていた」
「宗村さん、やけに詳しいですね? 鋭いご指摘の通りです。江口サダユキは晦冥会の現役の幹部であり、バイフーが狙う相手ではなかった。それなのに自殺に見せかけて殺害された。そして木原たち同様に、またしても毒殺という暗殺方法ではなかった。宗村さん、僕は江口の死の連絡を受けた時、正直我が耳を疑いました。完成しかけたジグソーパズルのピースが、突然全く合わなくなった思いです。バイフーに何らかの変化が起きている、僕はそう考えるようになりました」
「変化?」
羽賀が携帯電話を片手に病室に戻って来た。
「宗村さん、そろそろお送りします。だいぶ時間を取らせてしまいました。恋人の椎名美咲さんが待っている事でしょう。僕も署に戻らなければ捜査会議に遅れてしまいます」
石動は、メモ用紙を羽賀に見せて、何かを耳打ちした。わたくしはベッドの横に立って、被害者の女性の深い眠りを見下ろした。
「?」
その時わたくしは、ベッドサイドの床頭台に彼女の私服と思われる衣類の畳まれているのに気が付いた。その中には、カーキ色の頑丈そうな生地のジャケットが混ざっていた。
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