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何かとは、何か
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「殺した? 君が、塙昭夫を?」
「そう」
血も涙もない目。心を持たない殺人兵器の目。そのような不知火の目は、わたくしたちの姿をとらえている。戦後最大級の大量殺人事件を引き起こし、それでも飽き足らず、今度は、晦冥会に刃を向けた女。
「宗村さん」
消え入りそうな美咲の声。
晦冥会の祠に入って、その秘密を知ってしまった塙昭夫と、我々は、あまり立場が違っていないのではないかと思われる。我々は、彼と同じように、生きる道がない、そう黙示されているのではないだろうか。
「塙は、晦冥会の秘密を知ってしまった、それが週刊誌に掲載されそうになって、晦冥会は彼を殺した」
「そういうこと。そして、殺されたのは塙だけじゃない。例の企画書に目を通して、原稿を書くよう命じた、週刊スクラム編集部の副編集長、酒巻隆も、同時刻に暗殺された」
「酒巻隆?」
著名人の私生活を暴き、市民の不安を煽る報道、イエロー・ジャーナリズムに属するわたくしでさえ、耳にした事のある編集者の名前。彼はたしか、地方選挙に候補者を送った政治団体「新海の民」を、袋とじのイラストで「侵害の民」と揶揄。新海の民代表の田島歳三は、K新聞本社で社長らの謝罪を受けた席で、服毒自殺を図った。そうとう昔の話だ。このイラストの掲載を決めたのが、当時編集長だった時代の寵児、酒巻隆。マスコミ業界では、数ある業界の闇として、今でも、先輩記者から後輩へと語り継がれている。その、問題児だった酒巻は、K新聞社を懲戒解雇後に、東洋文理社の副編集長として、塙の企画にゴーサインを出した。そして、塙もろとも暗殺された。
「君は、一晩のうちに、二人もの人間を」
「同時刻に暗殺された、と言った。酒巻をやったのは、私じゃない。私は、塙昭夫の写真を渡されただけ」
「え? じゃあ」
「酒巻をやったのは、江口」
「江口? 江口って」
美咲が顔を近づけた。
「江口サダユキは、晦冥会の幹部であり、そして、裏の顔は、チンロンとして暗殺を繰り返していました。晦冥会では、女性の暗殺者をバイフー、男性の暗殺者をチンロンと呼んでいます」
そこまで言われて、ようやく気が付いた。
「江口が、チンロン」
不知火は、左足を伸ばして、残った右足を胸に抱えた。
「あいつは、イヤな奴だった。初めて会った時から、イヤな奴だった。女たらしで、卑怯で、いい女と見るや目の色を変えて、相手の経歴や幼少時代を調べ上げる。弱みを見つけると、そこへ付け込んで、女を自由にしようとする。〝派〟は違ったけど、江口とは一緒にシゴトをする事が多かった。とにかくイヤな思いをした。氷室様は、どうしてあんなろくでもないクズ男に、チンロンをさせていたのか、私は、ずっと不思議に思っていた」
話を聞いていて、再び疑問が浮かんだ。
「今の話は、十二年前のもの。塙昭夫を暗殺したのが、当時バイフーだった君。だとすると、その当時の君は、一体いくつだったんだ?」
不知火は、視線を上げた。
「十六」
美咲が目をむいた。
「十六だって? 高校一年くらいの歳だ。君は、その若さで、一人の男をその手にかけたのか? 君は一体、いつからバイフーに」
「十四の冬」
わたくしは見事に、絶句した。十四歳と言えば、中等教育学校の二学年だ。おでこのニキビを気にして前髪で隠したり、笑うと恥ずかしくて赤く照れたりする、あの、女子生徒だ。担任の先生に指導を受けて、床に正座するような少女たち。晦冥会は、いったいどんな理由があって、十四の少女に人殺しをさせていたというのだ。
ぴとり、と水の音。わたくしの絶句は、しばらく続いた。
晦冥会という大きな宗教団体が、十四の少女の肩に手を置いて、そのまま闇の世界へ連れて行く。その目的として考えられるのは、一つしかないように思われる。それは〝裏切り者の油断〟だろう。様々な理由によって、晦冥会から脱走した幹部たち。彼らは、バイフーによって、おのれの命が狙われる事は百も承知だった。バイフーという暗殺者が、どこの誰なのか見当もつかない、実体のない話のようではあるが、しかし新聞をめくれば、自殺の記事の中に、元幹部たちの名前が掲載されている。事実に間違いない。バイフーは必ず自分たちを殺しにやって来る。彼らは、ありとあらゆる疑いの目をもって、逃避行の中にあったはずだ。チャイムを鳴らす訪問販売の女、駅のホームで毎かい目が合う女、久し振りに会う女友達、バーで声高に笑っている新入社員の女。それら全ての女たちに、彼らは近づく隙さえ与えなかった事だろう。カーテンに隙間を作って、ちらりと外の様子を窺って生きる生活。しかし、そこまでしても、今日に至って誰一人生存者はいない。
してみるとそれは、逃亡者の鉄壁とも言えるガード、その死角にやすやすと入って、彼らの息の根を止めたバイフーが存在したとも言える。即ちそれは、不知火忍という、中学生の少女だったのではないだろうか。裏切り者の油断、晦冥会の暗殺の神髄は、武骨なイメージの殺し屋と、純粋な少女のギャップにあったのではないだろうか。
胸に手を当てて、美咲が沈黙を破った。
「どうしてそんな若さで、バイフーになんか」
不知火は、背中の石の壁に、こつんと頭を打ちつけて、天井を見上げた。
「どうして。それは、単純なこと。バイフーを統括していた氷室様が、普通の人間ではない私を、偶然発見したから。そして、その日がたまたま、私の十四の夏だったから」
「普通の人間ではない?」
言って、美咲はこちらを見た。
〝忍さんの本当の恐ろしさを知った時、おじさんはもう死んでいます〟
〝おじさんは何も分かっていません。忍さんに銃なんて通用しません。返り討ちに遭ったバイフーの二人を思い出して下さい〟
「氷室という男、俺も見た事はあるが、彼は一体、君の何を発見したんだ?」
質問をしながら、わたくしは、一人の能力者を思い浮かべていた。晦冥の荒野を行く、呪われた透視能力者、りお。あれもやはり、普通の人間ではない。この世のものとは思える力を使って、同時に三人の同級生を殺している。不知火は、天井に向かって顔を上げたまま、黒目を下ろした。
「氷室様は、元々は、自衛隊に所属する医官であり、紀瑛総連に入会されてからは、暗殺術の道へと進まれた。人が人を殺す、この一点を専門に、日夜研究を重ねられた。シナンジュというような架空の暗殺術ではなく、白兵戦における生存性の最も高い、リャブコ家が創設したシステマ、その実戦的格闘術に多大な影響をお受けになったとされる。その研究の成果が、我々バイフーの存在。氷室様の極意であり、バイフーの究極は〝空間を生む〟こと。氷室様は当時、その極意を体現できる逸材を探しておられた。そうして、偶然にも私と出会った。それが十四の夏。その日は、薄着でも、肌がべたつく、蒸し暑い夜で、あまりの湿度に、街路灯に白いモヤがかかって見えた。
当時の私は、もうどうにでもなれといった、ひどい虚無感にあった。顔さえ見た事のない母は、生きているのか死んでいるのかさえ定かじゃない。唯一の家族である父は、中国籍から日本に帰化して、真面目に働いていた時期もあったが、結局、賭博に狂って、財産を失った。怖い人たちから逃げ回って、帰って来ない日が続いて、とうとう一人娘の親権を放棄した。親族里親の当てもない私は、児童相談所から、養育里親研修を修了したばかりの、初々しい里親の元に引き取られた。それが、十二の冬。
この里親は、結婚前から、子供の授からない事を承知していた。妻の度重なる手術によるもので、医師から不妊の事実を宣告されていた。しかし、二人は馬鹿に明るく、正直で、直向きだった。これは全て神様の思し召しであり、我々は、嫡子を授かるよりも、困っている子供を迎えて、血の繋がらない親子の引け目を感じさせる事なく、その子を立派に育て上げる。それが、我々に課された使命であると、お天道さまに向かって手を組み合わせるような、のどかな人たちだった。のどかでも、その夫婦は相当な秀才で、夫は不動産鑑定士として、大手企業の合併における資産評価など、大きな仕事を抱えて、寝る暇さえ惜しんでいたし、妻は大学医療センターの医局員として、総回診の列に混ざって、病院の廊下を歩いていた。とにかく金には不自由のない暮らしで、少なくとも私は、クレジットカードを手渡されて、服を買うにしても、ショップの店員に金額など聞いた事がなかった。アパートの一室で半額弁当を食べる生活から、いっきに、キャンドルの明かりを囲って高級ラム料理を食べる、上流家庭の仲間入りをしていた。私は、運が良かった、ただそれだけかと思えば、そうではない。彼ら曰く、マッチングの時に、他の子とは何かが違っていたのが、少し顔をそむけていた私だったという。それは決定的な何かで、しかも二人同時に直感していて、これは運命の出会いだと二人は顔を合わせたのだという。
里親は、養子の私に対して、熱くなりやすかった。ときに、私の教育方針について、激しい議論を繰り広げた。文系か理数系か、芸術かスポーツか、とにかく、学校の行事、塾、習い事、留学、一流家庭教師、私の教育には、多額の金を惜しまなかった。そこへ来て私は、小さい頃から、暗記が得意だった。一度目にしたものは、一瞬で覚えられる。露光によって、被写体が感光剤に焼き付く、写真のフィルムのように、いつまでも残像が頭に残る。それは、ケン玉がうまい、そろばんが得意、習字が三段だ、とか言う、まあ特技といえば特技だった。みんなが普通に出来るものだと思っていたが、いつまでもバスの料金表を見上げている同級生たちを見て、ああ、これは私だけなのだと分かった。それもあって、里親が私に施した英才教育は、ことごとくその成果を上げていった。家庭教師は、最後の教材をベッドへ放って、君はいつでも国公立大入試を受けられると、太鼓判を押した。センター試験後の二次直前期に行われる、T進本番レベル模試、このA判定の本レの解答用紙を手にした里親は、異様に沸いた。成績が良い。これが何よりの宝と言いたげだった。娘の顔よりも、成績表に向かって話すようになった。教材を暗記して、しかるべき時にアウトプットする、たったこれだけの特技で、大人たちはどうしてこうも一喜一憂するのか、当時の私が抱えていたひどい虚無感とは、この点によるものだった」
「十四歳で、模試A判定だって? 冗談じゃない。普通の人間とは違うとは、その、ずば抜けた暗記力のことを指すのか?」
話をさえぎられて、しかもそのさえぎった相手が、里親と変わらぬ大人であることに、不知火はその質問ごと、一笑に付して、話を続けた。
「この頃から私は、世の中に何かを求めるようになっていた。何かとは何か。それは、ハッキリとした形にはならない。頭の中で、波打ち乱れる映像、斜めに伸びたり、縦に縮んだり、まったく形にならない。にもかかわらず、私は、そんな得体の知れない〝何か〟に、強い求心力を感じた。今すぐ何かを求めなければならない。分からないでは済まされない。さあ動け、とにかく動け。頭の中では、常にそのような言葉があった。そうは言われても、何かとは何か、それが答えられなくて、イライラして、収拾がつかない。それは、目には見えないものだけに、論理立てて、相手に説明ができない。自分の中にある問題。自分以外は、変わらない平凡な日常。このギャップに、無性にイラついた。家の中で何をしていても、落ち着ない。たまらず、私は靴を履いた。玄関からドアの外へ出て、住宅街の坂道を駆け下りた。夏祭りの商店街、大きな絵画の飾られた役所のロビー、工事中のアミューズメントパーク、アイドルのコンサート会場の二階席、シャッター街の無人の公園、立ち入り禁止の高層ビルの屋上、私は、世の中の鼓動を間近で聞いた。そこに〝何か〟の答えがありそうに思った。ありはしなかった。それどころか、初めて見るアクチュアルな世界は、私の混乱した頭をさらに混乱させた。文部科学大臣が検定した教科書、それらは統べて、ペテン師の子守歌に思えた。ラーメン屋で週刊誌を見ながら麺をすする作業服、電車の座席に化粧道具を広げるミニスカート、電柱に向かって小便をひっかける破けたジャージ、派手に肌を露出した二人の女を連れて歩く金のピアス、これらは、文系か? 理数系か? 対偶証明法で、間接的に証明できる類のものか? 世の中の鼓動は、つまりは彼らの鼓動だった。何かとは、何か。ふらりとプラットホームに立って、入って来た電車に乗った。無心になって、終電まで電車に揺られた。見知らぬ空の下、無人の駅を出て、フェリーターミナルで最終の船に乗った。甲板から夜景の本土を眺めた。
この世界は、ちゃんと合っているのか。この世界は、正しい方向へと舵を取っているのか。もしもそれが間違った方向へ針路を取っているのであれば、私は、このまま何食わぬ顔で生きていて良いのか。
今にして思えば、これは、誰もが経験する第二反抗期。いわゆるアイデンティティの確立の過程だった。そんな途方もない、身に余る欲求に対して、私は、かえって虚無感を抱きつつ、一人とぼとぼと、横浜のY公園を歩いていた。行く当てなどありはしない。行った所で、何かとは何か、その答えは分からない。家では、里親が心配して待っている。早く帰ってやらなければならない。帰って、通りいっぺん叱られなければならない。海沿いの遊歩道で、ぴたりと足を止めた。海からの強い潮風が、長い髪をさらう。振り返れば、Yベイブリッジの二百六十四灯もの投光器が、主塔をカラフルに彩る。私は、そのロマンチックな夜景に、少しでも満たされる事が叶えば、良かったのかも知れなかった。
それからも私は、舵輪を模った防護柵に手を置いて、手のひらについた赤錆を眺めて、ひどい虚無感にさいなまれていた。ムシムシした真夏の夜とは言え、セーラー襟のワンピース一つでは、海からの風は肌寒いくらいだった。海に係留された貨客船、その美しい電飾に向かって置かれた木のベンチ、そこには誰の姿もなかった。街路灯に、虫たちが音も無く飛び回っている。私は、あまりに迂闊な家出少女だった。都会の闇を知らない、平和な少女だった。突然、園内に植えた茂みが鳴って、振り返った。三人の人影がこちらへ走って来た。私は驚き、逃げる間もなく、黒ずくめの男に羽交い絞めにされた。悲鳴は途中から、口に押し当てられたタオルの中に消えた。軽々と上体を持ち上げられ、両足を担がれ、上下に激しく揺すられながら、近くに停車していた白ワンボックスカーへ押し込まれた。すさまじい勢いで閉まるスライドドア。『出せ!』という荒ぶる男の声。タイヤのキュルキュルいうスリップ音。重力加速度によって、後ろへ倒れる数人。車内の後部座席はフルフラットで、レジャーシートのようなものが敷かれていた。この時になってやっと、私は、乱暴目的で誘拐されたのだと気が付いた。人の顔さえ見分けられない暗い車内、全ての窓はカーテンで蔽われている。私はあお向けにされて、手足を取り押さえられた。生まれて初めて体験する生命の危険。サブウーファーの効いたカーオーディオから、ストリート系のヒップホップが大音量で流れている。誰かが顔を近づけて吐く酒の匂い。肩甲骨に当たる硬くて痛い突起物。対向車のヘッドライトに照らされた運転手の顔が、振り返った。煙草を吸っているように見えたが、匂いが違った。舌打ちをして、運転席のカーテンが閉められた。私は両足をバタつかせた。『黙らせろ』誰かが誰かに命令をした。私の頬が張られた。ものすごい力だった。頭に星が散った。鼻血が出た、と思った。気持ちの悪い男の手のひらの感触が、私のすねから内ももへと移り、乱れたワンピースの裾が、腰の辺りまでたくし上げられた。何かとは、何か。頭の中で波打ち乱れる映像、斜めに伸びたり、縦に縮んだり、する中で、いよいよ、四角い形に定まって来た。私は、闇の向こうへ目を見ひらいた。何かとは、何か。四角い形は、錆びた古代の鉄の扉。第一使徒ペテロが開錠するような古い鍵、それが、重い鉄の音を立てて、外れた。私の首筋に、温かくて湿ったモノ当たって、顎の先端まで動いた。『上モノだ』、右耳に、荒い息づかい。古代の鉄扉にすき間が出来た。内側から、びゅうびゅうと吹き荒れる漆黒の風の音が聞こえる。ああ、そうだった。何かとは、何か。それは、あいつだ。私の全身の力が、ゆっくりと抜けていった」
「そう」
血も涙もない目。心を持たない殺人兵器の目。そのような不知火の目は、わたくしたちの姿をとらえている。戦後最大級の大量殺人事件を引き起こし、それでも飽き足らず、今度は、晦冥会に刃を向けた女。
「宗村さん」
消え入りそうな美咲の声。
晦冥会の祠に入って、その秘密を知ってしまった塙昭夫と、我々は、あまり立場が違っていないのではないかと思われる。我々は、彼と同じように、生きる道がない、そう黙示されているのではないだろうか。
「塙は、晦冥会の秘密を知ってしまった、それが週刊誌に掲載されそうになって、晦冥会は彼を殺した」
「そういうこと。そして、殺されたのは塙だけじゃない。例の企画書に目を通して、原稿を書くよう命じた、週刊スクラム編集部の副編集長、酒巻隆も、同時刻に暗殺された」
「酒巻隆?」
著名人の私生活を暴き、市民の不安を煽る報道、イエロー・ジャーナリズムに属するわたくしでさえ、耳にした事のある編集者の名前。彼はたしか、地方選挙に候補者を送った政治団体「新海の民」を、袋とじのイラストで「侵害の民」と揶揄。新海の民代表の田島歳三は、K新聞本社で社長らの謝罪を受けた席で、服毒自殺を図った。そうとう昔の話だ。このイラストの掲載を決めたのが、当時編集長だった時代の寵児、酒巻隆。マスコミ業界では、数ある業界の闇として、今でも、先輩記者から後輩へと語り継がれている。その、問題児だった酒巻は、K新聞社を懲戒解雇後に、東洋文理社の副編集長として、塙の企画にゴーサインを出した。そして、塙もろとも暗殺された。
「君は、一晩のうちに、二人もの人間を」
「同時刻に暗殺された、と言った。酒巻をやったのは、私じゃない。私は、塙昭夫の写真を渡されただけ」
「え? じゃあ」
「酒巻をやったのは、江口」
「江口? 江口って」
美咲が顔を近づけた。
「江口サダユキは、晦冥会の幹部であり、そして、裏の顔は、チンロンとして暗殺を繰り返していました。晦冥会では、女性の暗殺者をバイフー、男性の暗殺者をチンロンと呼んでいます」
そこまで言われて、ようやく気が付いた。
「江口が、チンロン」
不知火は、左足を伸ばして、残った右足を胸に抱えた。
「あいつは、イヤな奴だった。初めて会った時から、イヤな奴だった。女たらしで、卑怯で、いい女と見るや目の色を変えて、相手の経歴や幼少時代を調べ上げる。弱みを見つけると、そこへ付け込んで、女を自由にしようとする。〝派〟は違ったけど、江口とは一緒にシゴトをする事が多かった。とにかくイヤな思いをした。氷室様は、どうしてあんなろくでもないクズ男に、チンロンをさせていたのか、私は、ずっと不思議に思っていた」
話を聞いていて、再び疑問が浮かんだ。
「今の話は、十二年前のもの。塙昭夫を暗殺したのが、当時バイフーだった君。だとすると、その当時の君は、一体いくつだったんだ?」
不知火は、視線を上げた。
「十六」
美咲が目をむいた。
「十六だって? 高校一年くらいの歳だ。君は、その若さで、一人の男をその手にかけたのか? 君は一体、いつからバイフーに」
「十四の冬」
わたくしは見事に、絶句した。十四歳と言えば、中等教育学校の二学年だ。おでこのニキビを気にして前髪で隠したり、笑うと恥ずかしくて赤く照れたりする、あの、女子生徒だ。担任の先生に指導を受けて、床に正座するような少女たち。晦冥会は、いったいどんな理由があって、十四の少女に人殺しをさせていたというのだ。
ぴとり、と水の音。わたくしの絶句は、しばらく続いた。
晦冥会という大きな宗教団体が、十四の少女の肩に手を置いて、そのまま闇の世界へ連れて行く。その目的として考えられるのは、一つしかないように思われる。それは〝裏切り者の油断〟だろう。様々な理由によって、晦冥会から脱走した幹部たち。彼らは、バイフーによって、おのれの命が狙われる事は百も承知だった。バイフーという暗殺者が、どこの誰なのか見当もつかない、実体のない話のようではあるが、しかし新聞をめくれば、自殺の記事の中に、元幹部たちの名前が掲載されている。事実に間違いない。バイフーは必ず自分たちを殺しにやって来る。彼らは、ありとあらゆる疑いの目をもって、逃避行の中にあったはずだ。チャイムを鳴らす訪問販売の女、駅のホームで毎かい目が合う女、久し振りに会う女友達、バーで声高に笑っている新入社員の女。それら全ての女たちに、彼らは近づく隙さえ与えなかった事だろう。カーテンに隙間を作って、ちらりと外の様子を窺って生きる生活。しかし、そこまでしても、今日に至って誰一人生存者はいない。
してみるとそれは、逃亡者の鉄壁とも言えるガード、その死角にやすやすと入って、彼らの息の根を止めたバイフーが存在したとも言える。即ちそれは、不知火忍という、中学生の少女だったのではないだろうか。裏切り者の油断、晦冥会の暗殺の神髄は、武骨なイメージの殺し屋と、純粋な少女のギャップにあったのではないだろうか。
胸に手を当てて、美咲が沈黙を破った。
「どうしてそんな若さで、バイフーになんか」
不知火は、背中の石の壁に、こつんと頭を打ちつけて、天井を見上げた。
「どうして。それは、単純なこと。バイフーを統括していた氷室様が、普通の人間ではない私を、偶然発見したから。そして、その日がたまたま、私の十四の夏だったから」
「普通の人間ではない?」
言って、美咲はこちらを見た。
〝忍さんの本当の恐ろしさを知った時、おじさんはもう死んでいます〟
〝おじさんは何も分かっていません。忍さんに銃なんて通用しません。返り討ちに遭ったバイフーの二人を思い出して下さい〟
「氷室という男、俺も見た事はあるが、彼は一体、君の何を発見したんだ?」
質問をしながら、わたくしは、一人の能力者を思い浮かべていた。晦冥の荒野を行く、呪われた透視能力者、りお。あれもやはり、普通の人間ではない。この世のものとは思える力を使って、同時に三人の同級生を殺している。不知火は、天井に向かって顔を上げたまま、黒目を下ろした。
「氷室様は、元々は、自衛隊に所属する医官であり、紀瑛総連に入会されてからは、暗殺術の道へと進まれた。人が人を殺す、この一点を専門に、日夜研究を重ねられた。シナンジュというような架空の暗殺術ではなく、白兵戦における生存性の最も高い、リャブコ家が創設したシステマ、その実戦的格闘術に多大な影響をお受けになったとされる。その研究の成果が、我々バイフーの存在。氷室様の極意であり、バイフーの究極は〝空間を生む〟こと。氷室様は当時、その極意を体現できる逸材を探しておられた。そうして、偶然にも私と出会った。それが十四の夏。その日は、薄着でも、肌がべたつく、蒸し暑い夜で、あまりの湿度に、街路灯に白いモヤがかかって見えた。
当時の私は、もうどうにでもなれといった、ひどい虚無感にあった。顔さえ見た事のない母は、生きているのか死んでいるのかさえ定かじゃない。唯一の家族である父は、中国籍から日本に帰化して、真面目に働いていた時期もあったが、結局、賭博に狂って、財産を失った。怖い人たちから逃げ回って、帰って来ない日が続いて、とうとう一人娘の親権を放棄した。親族里親の当てもない私は、児童相談所から、養育里親研修を修了したばかりの、初々しい里親の元に引き取られた。それが、十二の冬。
この里親は、結婚前から、子供の授からない事を承知していた。妻の度重なる手術によるもので、医師から不妊の事実を宣告されていた。しかし、二人は馬鹿に明るく、正直で、直向きだった。これは全て神様の思し召しであり、我々は、嫡子を授かるよりも、困っている子供を迎えて、血の繋がらない親子の引け目を感じさせる事なく、その子を立派に育て上げる。それが、我々に課された使命であると、お天道さまに向かって手を組み合わせるような、のどかな人たちだった。のどかでも、その夫婦は相当な秀才で、夫は不動産鑑定士として、大手企業の合併における資産評価など、大きな仕事を抱えて、寝る暇さえ惜しんでいたし、妻は大学医療センターの医局員として、総回診の列に混ざって、病院の廊下を歩いていた。とにかく金には不自由のない暮らしで、少なくとも私は、クレジットカードを手渡されて、服を買うにしても、ショップの店員に金額など聞いた事がなかった。アパートの一室で半額弁当を食べる生活から、いっきに、キャンドルの明かりを囲って高級ラム料理を食べる、上流家庭の仲間入りをしていた。私は、運が良かった、ただそれだけかと思えば、そうではない。彼ら曰く、マッチングの時に、他の子とは何かが違っていたのが、少し顔をそむけていた私だったという。それは決定的な何かで、しかも二人同時に直感していて、これは運命の出会いだと二人は顔を合わせたのだという。
里親は、養子の私に対して、熱くなりやすかった。ときに、私の教育方針について、激しい議論を繰り広げた。文系か理数系か、芸術かスポーツか、とにかく、学校の行事、塾、習い事、留学、一流家庭教師、私の教育には、多額の金を惜しまなかった。そこへ来て私は、小さい頃から、暗記が得意だった。一度目にしたものは、一瞬で覚えられる。露光によって、被写体が感光剤に焼き付く、写真のフィルムのように、いつまでも残像が頭に残る。それは、ケン玉がうまい、そろばんが得意、習字が三段だ、とか言う、まあ特技といえば特技だった。みんなが普通に出来るものだと思っていたが、いつまでもバスの料金表を見上げている同級生たちを見て、ああ、これは私だけなのだと分かった。それもあって、里親が私に施した英才教育は、ことごとくその成果を上げていった。家庭教師は、最後の教材をベッドへ放って、君はいつでも国公立大入試を受けられると、太鼓判を押した。センター試験後の二次直前期に行われる、T進本番レベル模試、このA判定の本レの解答用紙を手にした里親は、異様に沸いた。成績が良い。これが何よりの宝と言いたげだった。娘の顔よりも、成績表に向かって話すようになった。教材を暗記して、しかるべき時にアウトプットする、たったこれだけの特技で、大人たちはどうしてこうも一喜一憂するのか、当時の私が抱えていたひどい虚無感とは、この点によるものだった」
「十四歳で、模試A判定だって? 冗談じゃない。普通の人間とは違うとは、その、ずば抜けた暗記力のことを指すのか?」
話をさえぎられて、しかもそのさえぎった相手が、里親と変わらぬ大人であることに、不知火はその質問ごと、一笑に付して、話を続けた。
「この頃から私は、世の中に何かを求めるようになっていた。何かとは何か。それは、ハッキリとした形にはならない。頭の中で、波打ち乱れる映像、斜めに伸びたり、縦に縮んだり、まったく形にならない。にもかかわらず、私は、そんな得体の知れない〝何か〟に、強い求心力を感じた。今すぐ何かを求めなければならない。分からないでは済まされない。さあ動け、とにかく動け。頭の中では、常にそのような言葉があった。そうは言われても、何かとは何か、それが答えられなくて、イライラして、収拾がつかない。それは、目には見えないものだけに、論理立てて、相手に説明ができない。自分の中にある問題。自分以外は、変わらない平凡な日常。このギャップに、無性にイラついた。家の中で何をしていても、落ち着ない。たまらず、私は靴を履いた。玄関からドアの外へ出て、住宅街の坂道を駆け下りた。夏祭りの商店街、大きな絵画の飾られた役所のロビー、工事中のアミューズメントパーク、アイドルのコンサート会場の二階席、シャッター街の無人の公園、立ち入り禁止の高層ビルの屋上、私は、世の中の鼓動を間近で聞いた。そこに〝何か〟の答えがありそうに思った。ありはしなかった。それどころか、初めて見るアクチュアルな世界は、私の混乱した頭をさらに混乱させた。文部科学大臣が検定した教科書、それらは統べて、ペテン師の子守歌に思えた。ラーメン屋で週刊誌を見ながら麺をすする作業服、電車の座席に化粧道具を広げるミニスカート、電柱に向かって小便をひっかける破けたジャージ、派手に肌を露出した二人の女を連れて歩く金のピアス、これらは、文系か? 理数系か? 対偶証明法で、間接的に証明できる類のものか? 世の中の鼓動は、つまりは彼らの鼓動だった。何かとは、何か。ふらりとプラットホームに立って、入って来た電車に乗った。無心になって、終電まで電車に揺られた。見知らぬ空の下、無人の駅を出て、フェリーターミナルで最終の船に乗った。甲板から夜景の本土を眺めた。
この世界は、ちゃんと合っているのか。この世界は、正しい方向へと舵を取っているのか。もしもそれが間違った方向へ針路を取っているのであれば、私は、このまま何食わぬ顔で生きていて良いのか。
今にして思えば、これは、誰もが経験する第二反抗期。いわゆるアイデンティティの確立の過程だった。そんな途方もない、身に余る欲求に対して、私は、かえって虚無感を抱きつつ、一人とぼとぼと、横浜のY公園を歩いていた。行く当てなどありはしない。行った所で、何かとは何か、その答えは分からない。家では、里親が心配して待っている。早く帰ってやらなければならない。帰って、通りいっぺん叱られなければならない。海沿いの遊歩道で、ぴたりと足を止めた。海からの強い潮風が、長い髪をさらう。振り返れば、Yベイブリッジの二百六十四灯もの投光器が、主塔をカラフルに彩る。私は、そのロマンチックな夜景に、少しでも満たされる事が叶えば、良かったのかも知れなかった。
それからも私は、舵輪を模った防護柵に手を置いて、手のひらについた赤錆を眺めて、ひどい虚無感にさいなまれていた。ムシムシした真夏の夜とは言え、セーラー襟のワンピース一つでは、海からの風は肌寒いくらいだった。海に係留された貨客船、その美しい電飾に向かって置かれた木のベンチ、そこには誰の姿もなかった。街路灯に、虫たちが音も無く飛び回っている。私は、あまりに迂闊な家出少女だった。都会の闇を知らない、平和な少女だった。突然、園内に植えた茂みが鳴って、振り返った。三人の人影がこちらへ走って来た。私は驚き、逃げる間もなく、黒ずくめの男に羽交い絞めにされた。悲鳴は途中から、口に押し当てられたタオルの中に消えた。軽々と上体を持ち上げられ、両足を担がれ、上下に激しく揺すられながら、近くに停車していた白ワンボックスカーへ押し込まれた。すさまじい勢いで閉まるスライドドア。『出せ!』という荒ぶる男の声。タイヤのキュルキュルいうスリップ音。重力加速度によって、後ろへ倒れる数人。車内の後部座席はフルフラットで、レジャーシートのようなものが敷かれていた。この時になってやっと、私は、乱暴目的で誘拐されたのだと気が付いた。人の顔さえ見分けられない暗い車内、全ての窓はカーテンで蔽われている。私はあお向けにされて、手足を取り押さえられた。生まれて初めて体験する生命の危険。サブウーファーの効いたカーオーディオから、ストリート系のヒップホップが大音量で流れている。誰かが顔を近づけて吐く酒の匂い。肩甲骨に当たる硬くて痛い突起物。対向車のヘッドライトに照らされた運転手の顔が、振り返った。煙草を吸っているように見えたが、匂いが違った。舌打ちをして、運転席のカーテンが閉められた。私は両足をバタつかせた。『黙らせろ』誰かが誰かに命令をした。私の頬が張られた。ものすごい力だった。頭に星が散った。鼻血が出た、と思った。気持ちの悪い男の手のひらの感触が、私のすねから内ももへと移り、乱れたワンピースの裾が、腰の辺りまでたくし上げられた。何かとは、何か。頭の中で波打ち乱れる映像、斜めに伸びたり、縦に縮んだり、する中で、いよいよ、四角い形に定まって来た。私は、闇の向こうへ目を見ひらいた。何かとは、何か。四角い形は、錆びた古代の鉄の扉。第一使徒ペテロが開錠するような古い鍵、それが、重い鉄の音を立てて、外れた。私の首筋に、温かくて湿ったモノ当たって、顎の先端まで動いた。『上モノだ』、右耳に、荒い息づかい。古代の鉄扉にすき間が出来た。内側から、びゅうびゅうと吹き荒れる漆黒の風の音が聞こえる。ああ、そうだった。何かとは、何か。それは、あいつだ。私の全身の力が、ゆっくりと抜けていった」
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