102 / 131
宮國の仇
しおりを挟む
不知火はひざを抱え、そのひざの上に、顔を乗せている。一見した所、何ら変哲もない、普通の顔だ。その顔は、前にも述べたが、古代中国の四大美人、貂蝉という美女のイメージに近い。それは、彼女の実の父が中国国籍であった事から、来ているのかも知れない。暗がりにも肌は白く、透き通るようで、これと言った痣は無い。
十四の夏、強姦に遭いそうになって、さかしまに加害男性たちを殺害、警察の目を欺けるため、車ごと海の底へ沈めて、証拠を隠滅。その暗殺者としての才覚に、いち早く目を付けた氷室は、当時中学生だった彼女に恐ろしい暗殺術を叩き込んだ。それは、血を吐くような厳しい訓練だったという。こう聞いてわたくしは、武器の装備、整備、射撃などの戦闘技術の訓練、殉職者が出るような職業軍人の軍事訓練を想像したが、〝空間を生む〟とか何とか言っている所を見ると、常人には見当もつかない、禅武合一の境地を求めていたのかも知れない。氷室は、戦闘技術の研究に没頭していたと聞いたので、毒性学の研究者は、指南役として、別にいたのだろう。とにかくその余計な訓練のお陰で、暗殺史上最悪のバイフー、不知火忍が誕生した。その体を見る限り、指の一本でも、欠損は見られない。下着を脱いで全裸になれば、古い銃創の痕に目が行くのかも分からないが、その美しい姿からは、無傷である事を暗に期待してしまう。十年以上、生死を分ける修羅場をくぐり抜けての、連戦連勝、無敗の無傷、これは、想像をしてみただけでも、恐ろしい。
ぴとり、と水の音。地底湖に水が落ちて音も無く輪が広がるような、悠久さえ感じさせる音。岩石の向こうに、水源でもあるのだろうか。
それと、もう一つ。不破〝斎〟の話だ。晦冥会の元統主、不破昂佑の長女、斎。不知火の話で飛び出したその名前は、記憶に新しい。
〝わたしが信者でいた短い期間に、一つだけ、晦冥会にとって大きな出来事が起きました。大切な人の死です〟
晦冥会の信者となって、支部精舎で九ヶ月間生活をした、美咲の話。
〝その出来事とは、晦冥会の統主不破昂佑の長女、不破斎が亡くなったというものでした〟
現役の統主の娘、歳が若そうに聞こえた。
〝享年十九歳でした〟
二十前の若さの死は、なんとなく、不治の病を思い浮かべたのだが。
〝自殺です〟
氷室の吹挙もあって、不知火は、十四という異例な若さで、晦冥会の暗殺者バイフーとなった。暗殺者、しかしそれは、あくまで裏の世界の話であって、本来の目的は、統主の継承者〝斎〟の身の安全を守護すること。それが、晦冥会にとっても、不知火にとっても、最も重要な役目であった事は、世間一般的な世襲のしくみを考えれば、言うまでもないだろう。晦冥会を一つの国に例えれば、皇族の護衛や皇居の警備などを行う皇宮護衛官と等しく、警護技術だけではなく、教養として、茶道や華道、和歌などの日本文化に精通するような、品格の高さも求められる。それは皇室典範の法律的な話ではあるが、しかし、それから遠く離れるような話ではなく、〝斎〟の身に巻き起こる不測の事態に迅速に対応でき、外敵を退け、のみならず、立ち居振る舞いの正しさ、言葉遣い、英語、中国語などの語学は、必要最低限だっただろう。そんな中、十四歳の中学生を引き連れて、堂々と氷室は統主の前にひざまずいた。晦冥会の理事長とは言え、なんの冗談かと、同席の側近は冷たい目を向けたのではないか。
『統主様、斎様をお守りする者を連れて参りました』
いくら、血を吐くような厳しい訓練を受けたとしても、いくら、氷室の研究した暗殺術の集大成だとしても、そこは中学生の少女、周囲の戸惑いと疑いの目は、防ぎようがない。銃を撃ちながら走って来る連中や、暗闇から忍び寄って来る暗殺者から、どうやってその細い腕で対抗できるのか。また、知略をめぐらせた政治的圧力、言葉巧みな大人の詐欺の手口に対して、中学生の頭でどう対抗できるのか。斎様の御身に万が一の事があれば、あなたはどう責任を取られるのか。結果から考えれば、氷室の推薦者に対して、誰一人として賛同者は得られなかっただろう。そこで氷室は、不知火のちからを皆に知らしめるため、秘策にうって出たのではないだろうか。
「塙の話、だったっけ」
長い沈黙を破って、不知火は、語りを再開させた。
「十二年前、私は、東洋文理社の塙昭夫の写真を渡された。一方の江口は、同社副編集長の酒巻隆の写真が渡され、執行の時間が添えられた。暗殺それ自体は、なんて事はなかった。江口は関西へ飛んで、出張中の酒巻が大阪のホテルで愛人といる所を。私は、A区の塙のマンションの一室で、彼が原稿の執筆中に。ちょうど河川敷が浴衣でにぎわって、打ち上げ花火に歓声が上がっていたのを覚えている。二人の暗殺は、ほぼ同時刻に執行された。脱会者のような、ガチガチに警戒した相手ではなかったし、悪い男たちに追われて逃げ込んだという、少女の嘘をまるっきり信じていたから、それ自体は、あっさりと済んだ。私は、書斎にうつ伏せになって倒れた、塙の死体の上に立って、パラパラと原稿をめくった。野心むき出しに書かれた、塙昭夫の原稿。〝某宗教団体と謎の祠の真相〟その草稿をすべて暗記して、ライターで火を点けた。皮肉にも、数キロメートルにも及ぶナイアガラのまばゆい光が、昼間のように室内を照らした。壁に貼られた登山地図が、明々と目に映った。それが、晦冥会の秘密の祠を印す地形図。私は、今回の暗殺の理由なんて知らされていないし、それほど興味もなかったけど、何となく、この地形図には深い意味がありそうに思って、本当はいけないのだけど、壁から剥がして、懐に入れた。いっぽう江口はと言えば、相変わらず馬鹿な奴、無関係な愛人にまで手を出して、色々にやったらしく、氷室様はたいへん苦労をなされて、事態の収拾に当たられた。それでも翌日の夕刊には、小さく、自殺した三人の記事が掲載された」
不知火の口調からは、〝生命の尊厳〟という、宗教倫理学と、法倫理学とを結び付ける重要な原則が、みじんも感じられなかった。人として、純正かつ自然な概念に基づいた原則、それは、逃げあがいている虫を、踏みつぶして笑っている少年と、対話している気分だった。
「晦冥会という宗教団体は、自分たちにとって都合の悪い人間は、始末をするのか」
わたくしは、目の前の不知火を、晦冥会の化身とでも見るような、険のある言葉をかけた。
「そう。だから、あなたたちだって、この先しかるべき時に、始末される。ここから奇跡的に逃れられたとしても、結果は同じこと。そんなものはとてもシンプルで、あまり意味がないこと」
悪魔のちからを使う不知火、それは、その代償は、あるのだろうか。彼女はもしや、すでに悪魔の影響を受け始めているのではないだろうか。もうすでに、人として自然な感情が。
「俺たちの始末の話は、まあ置いておいて、君は、塙の部屋に貼られた地形図、それでもって、晦冥会の秘密の祠の存在や位置を知った。そして、今こうして、晦冥会の秘密に手を出そうとしている、そういう事なのか?」
「簡単に言うけど、地形図は、十二年前のもの。この地は、もともと雑木林だった所へ、戸数三〇を超えるペンション街が出来上がった。だから、目印となる地形は、一変してしまった。しかも、この地形図は、どうしてか塙のお手製で、地図上の×印が、メルカトル図法の座標でいう、経緯度が何度か、正確には分からない。さらにそこへ来て、晦冥会は、一般人が祠へ侵入した事実を忌み嫌い、案じて、大がかりな仕掛けを施して人目から完全に隠してしまった。これでは、塙が残した秘密の地形図があるとは言え、いくら私でも、祠のある場所さえ見つけられなかった」
〝ただ、十年以上も昔に、作業服を着た多くの男の人たちが、設計図のような紙を手にして、その祠を建造している光景が見えました。それは、いまおじさんが目の前にしている、晦冥会の祠と、全く同じ構造の祠を建造している光景です〟
〝結局、晦冥会の秘密の祠は、もう一つの祠によって、完全に守られたということ〟
太古秀勝は、もう一つの祠で、晦冥会の秘密を暴こうと躍起になって、息を引き取った。
〝それから最後にもう一つ、その祠、ここのオーナーである岸本さんが出入りしている映像が見えました〟
「岸本」
「そう。彼は毎月、決まって、ペンションから姿を消す。空は青く、山は黒い、夜中のような早朝。レイヤリングした登山服に着替えて、ペンションの裏にある細い沢を歩いて、真っ黒い山の中へ消えて行く。しばらくして、窓が明るくなって、ちらほら家族が起きて来ては、彼の不在に全く気にする様子がない。極度の山好きを奇人扱いして、何も考えず、テレビを観て笑っている。昼過ぎ、片手にコシアブラや青みずをにぎって、泥だらけになって帰って来る、奇人。山菜の量が少ない。私はいぶかしんで、翌月の朝、彼の背中を追った。軽装で来た事を後悔させるような、険しい尾根筋を歩き、尾行を巻くようなチシマザサの藪漕ぎ、その後にたどり着いた先に、私は意外な顔をした。思いがけない山の洞穴から、ケイビングのような道中の先にある地下室、それは、塙の原稿通りの祠だった。日が高くなって、彼の下山姿を見下ろした後、私は、真剣にその祠の様子を調べた。計器類は、温圧計、高感度精密微差圧計などがあり、針は生きている。紙垂を飾った祠の配された、正面の大きな石壁は、手のひらでかろうじて触れていられるくらい、高温になっている。中央にぽつんと回転式のダイヤルが取り付けられているが、その目盛が何の意味を持つのか、暗証番号が必要なのか、正直、見ているだけでは分からなかった。それからも頻繁に、謎の祠の調査を進めたが、晦冥会の秘密を暴くような仕掛けや手掛かりは、一つも見つからなかった。無情にも、月日はだらしなく過ぎた。私は、もどかしく思って、勝負に打って出た。オーナーが知っている晦冥会の情報、それに全てを賭けようと思った。それはつまり、彼をテンプテーションして、誘い出し、二人きりの密室で酒にLSDを混ぜて飲ませた」
「なに」
〝葵のペースに流される形になって、だんだん俺と彼女は嫁よりも深い関係になっていった〟
〝しかしだ。しかし俺は、天道葵とただならぬ関係にあったのだ。妻子ある俺がこんな事を言って恥かしいのだが、それでも俺と葵は確かに愛し合っていた〟
そうか。岸本は当時、天道葵こと不知火に、ひと芝居うたれたのだ。肉体関係なんていう、よこしまな事実は、なかった。それなのにあいつは、ひどく思い悩んで、バイトが心中した後で、俺にまで相談を持ち掛けて来た。あいつはただ、不知火にいいように操られただけ。毎月見回る晦冥会の祠について、その秘密を聞き出す目的で、いっとき美女から誘惑されただけ。LSD、俗に言う自白剤を飲まされて、意識が朦朧とした中、記憶があやふやになった、ただそれだけの話。
「あいつは、何も知らされていない」
不知火は、右手で頭を掻いた。
「そう。まったく、無駄骨を折った。考えてみれば、守秘義務を放棄した脱会者を、片っ端から殺していく晦冥会が、彼みたいな一般人に情報を漏らすはずはなかった」
その無駄骨のお陰で、わたくしは今、ここにこうして立っている。
「君は、晦冥会の幹部だったんだろう? 幹部と言えば、一般的な信者と扱いや待遇が全く違う。晦冥会の内部事情やなんかも、すべて知っていたんじゃないのか?」
美咲が頷く。
「晦冥会の歴史は、とても古い。特に、紀瑛総連の時代は、分からない事だらけ。ここ数年の、新しい幹部が知り得る情報なんて、ごくわずか。旧紀瑛総連の老師に至っては、不気味な存在でしかない。しかも、不破一族に関する系譜や班位、実在性や在位期間なんて、神話と入り混じって、ほとんどが不確か」
不知火は、胸の間から、ロケットペンダントを引き抜いた。そして、開閉式のチャームを開けて、不破昂佑のエマーユを見つめた。
「でも、これだけ大規模な施設だ。古代エジプトのファラオが、墓あらしを防ぐため、ピラミッドの建築関係者を皆殺しにしたって話はあるが、まさか、現代にあって、ここの施工業者を殺すってのは、さすがにないだろう」
「本気で秘密を守る決意があるなら、消した方が早い。実際、晦冥会の脱会者は一人も生存していない」
わたくしの頭の中に、作業服を着た男たちの、首を吊った黒い影が、いくつも浮かんだ。
「消すだって? 晦冥会は、人命を何だと思っている。これだけ死人の山を築いて、そこまでして守らなければならない、晦冥会の秘密とは、いったい何だ。黄金像や燈明皿の発見で、証拠立てられた、江戸幕府の埋蔵金塊か? それとも、花穂や葉を乾燥させた大麻を加工している工場か? はたまた、長期間強制労働させる、タコ部屋労働の土工部屋か? それを隠しているのか?」
ペンダントを胸に戻すと、不知火は急にそわそわし出し、立ちひざになって、床に転がったベレッタへ手を伸ばした。
「それは、この扉の奥へ入ってみなければ、分からない。熱を管理している所を見ると、土工部屋というのは合っていない。それに、頻繁に人が出入りする所ではないから、犯罪に使われる違法な物品を流通させているとも思えない。とは言うものの、晦冥会の信者たちの噂では、晦冥会は昔から、金のなる木というモノが存在して、布教活動の目覚ましい発展に一翼を担った、その金のなる木とは、日本のどこかに厳重に保管されている、と言う。では、その金のなる木とは具体的に何を示すのか。それは、斎様や、氷室様でさえ、まったく知らされていない。金のなる木を隠してあるだろう、秘密の祠の存在は、何とか調べ上げたが、そこへ通じる暗証番号なんて、お手上げだった」
「そんな不確かで、解読不可能な暗証番号。君はそれを、敷島なら解読できると、本気でそう思っているのか?」
不知火は、ベレッタのキャッチを押して、マガジンを引き抜くと、一発の銃弾を込め直した。強装弾でも装填したのだろうか。一歩、二歩と、忍び足を使って、祠の中央に立つ。
「宮國瑞希が、そう言った」
声の大きさを意識した、囁き声だった。
「さっきから、宮國瑞希って、誰だ」
その質問に対しての回答は、思いがけず、隣から返った。
「宮國瑞希さん、彼女は、私と同じ敷島探偵グループの社員です。つまり探偵の一人です。敷島さんがたいへん可愛がられていた方です」
「探偵?」
「一ヶ月以上も前、行方不明人の調査依頼で、或る女性の行方を追って、この地で調査に入ったのを最後に、彼女の音信は途絶えました。現在も、宮國さんは行方不明のままです」
〝なんとしてでもこの手で犯人を捕まえなければならないのだ。この手で彼女の仇を打たなければならない〟
敷島は電話口で、不可解な言動を放った。〝彼女の仇〟という言動だ。
「敷島が可愛がっていた部下が、この地で行方不明になっている? それは、今回の晦冥会の件と何か関係があるのか?」
「その件も含めて、慎重に調査を進めるようにと、わたしは派遣の指示を受けて参りました」
〝敷島さんは自由な発想の持ち主で、インターネット内に仮想現実の職場を作って、各地に散らばった社員と連絡を取り合っているのです〟
〝わたしは今回、敷島さんと行動を共にしていました。突然敷島さんからここへ来るよう指示されました〟
そうか。そういう事だったのか。いくら学生時代の懐かしい友人とは言え、雇ったバイトの一人が心中したからって、敷島がわざわざ自分の所の探偵を派遣するなんて、少々やり過ぎだと思っていた。それは実は、自分の可愛がっていた部下が、この地で行方不明になった、その調査が本当の目的で、この地へ美咲を送り込んだ。
「STGの取締役であり、名探偵として有名な敷島レナ、そいつが可愛がっていたって言うくらいだから、その、宮國瑞希っていうのは、特別な存在だったのか?」
その答えは、美咲からは返らず、その代わりに、聞き覚えのある女の声が、祠の入口から聞こえて来た。
「宮國瑞希は、輝かしい才能にあふれた、期待の新星だった。それは、名探偵として雑誌に取り上げられる俺よりも、遥かに凌駕する逸材だった。警察の初動の遅れから、迷宮入りしかけたS区一家殺害事件、テレビの前で俺がうなっていると、瑞希はまったく新しい発想で、事件解決の突破口を開く。彼女は間違いなく、STGのこれからの未来を背負って立つ、いわばSTGの継承者だった」
それは、実に十年ぶりに聞いたであろう、敷島レナの生の声だった。
十四の夏、強姦に遭いそうになって、さかしまに加害男性たちを殺害、警察の目を欺けるため、車ごと海の底へ沈めて、証拠を隠滅。その暗殺者としての才覚に、いち早く目を付けた氷室は、当時中学生だった彼女に恐ろしい暗殺術を叩き込んだ。それは、血を吐くような厳しい訓練だったという。こう聞いてわたくしは、武器の装備、整備、射撃などの戦闘技術の訓練、殉職者が出るような職業軍人の軍事訓練を想像したが、〝空間を生む〟とか何とか言っている所を見ると、常人には見当もつかない、禅武合一の境地を求めていたのかも知れない。氷室は、戦闘技術の研究に没頭していたと聞いたので、毒性学の研究者は、指南役として、別にいたのだろう。とにかくその余計な訓練のお陰で、暗殺史上最悪のバイフー、不知火忍が誕生した。その体を見る限り、指の一本でも、欠損は見られない。下着を脱いで全裸になれば、古い銃創の痕に目が行くのかも分からないが、その美しい姿からは、無傷である事を暗に期待してしまう。十年以上、生死を分ける修羅場をくぐり抜けての、連戦連勝、無敗の無傷、これは、想像をしてみただけでも、恐ろしい。
ぴとり、と水の音。地底湖に水が落ちて音も無く輪が広がるような、悠久さえ感じさせる音。岩石の向こうに、水源でもあるのだろうか。
それと、もう一つ。不破〝斎〟の話だ。晦冥会の元統主、不破昂佑の長女、斎。不知火の話で飛び出したその名前は、記憶に新しい。
〝わたしが信者でいた短い期間に、一つだけ、晦冥会にとって大きな出来事が起きました。大切な人の死です〟
晦冥会の信者となって、支部精舎で九ヶ月間生活をした、美咲の話。
〝その出来事とは、晦冥会の統主不破昂佑の長女、不破斎が亡くなったというものでした〟
現役の統主の娘、歳が若そうに聞こえた。
〝享年十九歳でした〟
二十前の若さの死は、なんとなく、不治の病を思い浮かべたのだが。
〝自殺です〟
氷室の吹挙もあって、不知火は、十四という異例な若さで、晦冥会の暗殺者バイフーとなった。暗殺者、しかしそれは、あくまで裏の世界の話であって、本来の目的は、統主の継承者〝斎〟の身の安全を守護すること。それが、晦冥会にとっても、不知火にとっても、最も重要な役目であった事は、世間一般的な世襲のしくみを考えれば、言うまでもないだろう。晦冥会を一つの国に例えれば、皇族の護衛や皇居の警備などを行う皇宮護衛官と等しく、警護技術だけではなく、教養として、茶道や華道、和歌などの日本文化に精通するような、品格の高さも求められる。それは皇室典範の法律的な話ではあるが、しかし、それから遠く離れるような話ではなく、〝斎〟の身に巻き起こる不測の事態に迅速に対応でき、外敵を退け、のみならず、立ち居振る舞いの正しさ、言葉遣い、英語、中国語などの語学は、必要最低限だっただろう。そんな中、十四歳の中学生を引き連れて、堂々と氷室は統主の前にひざまずいた。晦冥会の理事長とは言え、なんの冗談かと、同席の側近は冷たい目を向けたのではないか。
『統主様、斎様をお守りする者を連れて参りました』
いくら、血を吐くような厳しい訓練を受けたとしても、いくら、氷室の研究した暗殺術の集大成だとしても、そこは中学生の少女、周囲の戸惑いと疑いの目は、防ぎようがない。銃を撃ちながら走って来る連中や、暗闇から忍び寄って来る暗殺者から、どうやってその細い腕で対抗できるのか。また、知略をめぐらせた政治的圧力、言葉巧みな大人の詐欺の手口に対して、中学生の頭でどう対抗できるのか。斎様の御身に万が一の事があれば、あなたはどう責任を取られるのか。結果から考えれば、氷室の推薦者に対して、誰一人として賛同者は得られなかっただろう。そこで氷室は、不知火のちからを皆に知らしめるため、秘策にうって出たのではないだろうか。
「塙の話、だったっけ」
長い沈黙を破って、不知火は、語りを再開させた。
「十二年前、私は、東洋文理社の塙昭夫の写真を渡された。一方の江口は、同社副編集長の酒巻隆の写真が渡され、執行の時間が添えられた。暗殺それ自体は、なんて事はなかった。江口は関西へ飛んで、出張中の酒巻が大阪のホテルで愛人といる所を。私は、A区の塙のマンションの一室で、彼が原稿の執筆中に。ちょうど河川敷が浴衣でにぎわって、打ち上げ花火に歓声が上がっていたのを覚えている。二人の暗殺は、ほぼ同時刻に執行された。脱会者のような、ガチガチに警戒した相手ではなかったし、悪い男たちに追われて逃げ込んだという、少女の嘘をまるっきり信じていたから、それ自体は、あっさりと済んだ。私は、書斎にうつ伏せになって倒れた、塙の死体の上に立って、パラパラと原稿をめくった。野心むき出しに書かれた、塙昭夫の原稿。〝某宗教団体と謎の祠の真相〟その草稿をすべて暗記して、ライターで火を点けた。皮肉にも、数キロメートルにも及ぶナイアガラのまばゆい光が、昼間のように室内を照らした。壁に貼られた登山地図が、明々と目に映った。それが、晦冥会の秘密の祠を印す地形図。私は、今回の暗殺の理由なんて知らされていないし、それほど興味もなかったけど、何となく、この地形図には深い意味がありそうに思って、本当はいけないのだけど、壁から剥がして、懐に入れた。いっぽう江口はと言えば、相変わらず馬鹿な奴、無関係な愛人にまで手を出して、色々にやったらしく、氷室様はたいへん苦労をなされて、事態の収拾に当たられた。それでも翌日の夕刊には、小さく、自殺した三人の記事が掲載された」
不知火の口調からは、〝生命の尊厳〟という、宗教倫理学と、法倫理学とを結び付ける重要な原則が、みじんも感じられなかった。人として、純正かつ自然な概念に基づいた原則、それは、逃げあがいている虫を、踏みつぶして笑っている少年と、対話している気分だった。
「晦冥会という宗教団体は、自分たちにとって都合の悪い人間は、始末をするのか」
わたくしは、目の前の不知火を、晦冥会の化身とでも見るような、険のある言葉をかけた。
「そう。だから、あなたたちだって、この先しかるべき時に、始末される。ここから奇跡的に逃れられたとしても、結果は同じこと。そんなものはとてもシンプルで、あまり意味がないこと」
悪魔のちからを使う不知火、それは、その代償は、あるのだろうか。彼女はもしや、すでに悪魔の影響を受け始めているのではないだろうか。もうすでに、人として自然な感情が。
「俺たちの始末の話は、まあ置いておいて、君は、塙の部屋に貼られた地形図、それでもって、晦冥会の秘密の祠の存在や位置を知った。そして、今こうして、晦冥会の秘密に手を出そうとしている、そういう事なのか?」
「簡単に言うけど、地形図は、十二年前のもの。この地は、もともと雑木林だった所へ、戸数三〇を超えるペンション街が出来上がった。だから、目印となる地形は、一変してしまった。しかも、この地形図は、どうしてか塙のお手製で、地図上の×印が、メルカトル図法の座標でいう、経緯度が何度か、正確には分からない。さらにそこへ来て、晦冥会は、一般人が祠へ侵入した事実を忌み嫌い、案じて、大がかりな仕掛けを施して人目から完全に隠してしまった。これでは、塙が残した秘密の地形図があるとは言え、いくら私でも、祠のある場所さえ見つけられなかった」
〝ただ、十年以上も昔に、作業服を着た多くの男の人たちが、設計図のような紙を手にして、その祠を建造している光景が見えました。それは、いまおじさんが目の前にしている、晦冥会の祠と、全く同じ構造の祠を建造している光景です〟
〝結局、晦冥会の秘密の祠は、もう一つの祠によって、完全に守られたということ〟
太古秀勝は、もう一つの祠で、晦冥会の秘密を暴こうと躍起になって、息を引き取った。
〝それから最後にもう一つ、その祠、ここのオーナーである岸本さんが出入りしている映像が見えました〟
「岸本」
「そう。彼は毎月、決まって、ペンションから姿を消す。空は青く、山は黒い、夜中のような早朝。レイヤリングした登山服に着替えて、ペンションの裏にある細い沢を歩いて、真っ黒い山の中へ消えて行く。しばらくして、窓が明るくなって、ちらほら家族が起きて来ては、彼の不在に全く気にする様子がない。極度の山好きを奇人扱いして、何も考えず、テレビを観て笑っている。昼過ぎ、片手にコシアブラや青みずをにぎって、泥だらけになって帰って来る、奇人。山菜の量が少ない。私はいぶかしんで、翌月の朝、彼の背中を追った。軽装で来た事を後悔させるような、険しい尾根筋を歩き、尾行を巻くようなチシマザサの藪漕ぎ、その後にたどり着いた先に、私は意外な顔をした。思いがけない山の洞穴から、ケイビングのような道中の先にある地下室、それは、塙の原稿通りの祠だった。日が高くなって、彼の下山姿を見下ろした後、私は、真剣にその祠の様子を調べた。計器類は、温圧計、高感度精密微差圧計などがあり、針は生きている。紙垂を飾った祠の配された、正面の大きな石壁は、手のひらでかろうじて触れていられるくらい、高温になっている。中央にぽつんと回転式のダイヤルが取り付けられているが、その目盛が何の意味を持つのか、暗証番号が必要なのか、正直、見ているだけでは分からなかった。それからも頻繁に、謎の祠の調査を進めたが、晦冥会の秘密を暴くような仕掛けや手掛かりは、一つも見つからなかった。無情にも、月日はだらしなく過ぎた。私は、もどかしく思って、勝負に打って出た。オーナーが知っている晦冥会の情報、それに全てを賭けようと思った。それはつまり、彼をテンプテーションして、誘い出し、二人きりの密室で酒にLSDを混ぜて飲ませた」
「なに」
〝葵のペースに流される形になって、だんだん俺と彼女は嫁よりも深い関係になっていった〟
〝しかしだ。しかし俺は、天道葵とただならぬ関係にあったのだ。妻子ある俺がこんな事を言って恥かしいのだが、それでも俺と葵は確かに愛し合っていた〟
そうか。岸本は当時、天道葵こと不知火に、ひと芝居うたれたのだ。肉体関係なんていう、よこしまな事実は、なかった。それなのにあいつは、ひどく思い悩んで、バイトが心中した後で、俺にまで相談を持ち掛けて来た。あいつはただ、不知火にいいように操られただけ。毎月見回る晦冥会の祠について、その秘密を聞き出す目的で、いっとき美女から誘惑されただけ。LSD、俗に言う自白剤を飲まされて、意識が朦朧とした中、記憶があやふやになった、ただそれだけの話。
「あいつは、何も知らされていない」
不知火は、右手で頭を掻いた。
「そう。まったく、無駄骨を折った。考えてみれば、守秘義務を放棄した脱会者を、片っ端から殺していく晦冥会が、彼みたいな一般人に情報を漏らすはずはなかった」
その無駄骨のお陰で、わたくしは今、ここにこうして立っている。
「君は、晦冥会の幹部だったんだろう? 幹部と言えば、一般的な信者と扱いや待遇が全く違う。晦冥会の内部事情やなんかも、すべて知っていたんじゃないのか?」
美咲が頷く。
「晦冥会の歴史は、とても古い。特に、紀瑛総連の時代は、分からない事だらけ。ここ数年の、新しい幹部が知り得る情報なんて、ごくわずか。旧紀瑛総連の老師に至っては、不気味な存在でしかない。しかも、不破一族に関する系譜や班位、実在性や在位期間なんて、神話と入り混じって、ほとんどが不確か」
不知火は、胸の間から、ロケットペンダントを引き抜いた。そして、開閉式のチャームを開けて、不破昂佑のエマーユを見つめた。
「でも、これだけ大規模な施設だ。古代エジプトのファラオが、墓あらしを防ぐため、ピラミッドの建築関係者を皆殺しにしたって話はあるが、まさか、現代にあって、ここの施工業者を殺すってのは、さすがにないだろう」
「本気で秘密を守る決意があるなら、消した方が早い。実際、晦冥会の脱会者は一人も生存していない」
わたくしの頭の中に、作業服を着た男たちの、首を吊った黒い影が、いくつも浮かんだ。
「消すだって? 晦冥会は、人命を何だと思っている。これだけ死人の山を築いて、そこまでして守らなければならない、晦冥会の秘密とは、いったい何だ。黄金像や燈明皿の発見で、証拠立てられた、江戸幕府の埋蔵金塊か? それとも、花穂や葉を乾燥させた大麻を加工している工場か? はたまた、長期間強制労働させる、タコ部屋労働の土工部屋か? それを隠しているのか?」
ペンダントを胸に戻すと、不知火は急にそわそわし出し、立ちひざになって、床に転がったベレッタへ手を伸ばした。
「それは、この扉の奥へ入ってみなければ、分からない。熱を管理している所を見ると、土工部屋というのは合っていない。それに、頻繁に人が出入りする所ではないから、犯罪に使われる違法な物品を流通させているとも思えない。とは言うものの、晦冥会の信者たちの噂では、晦冥会は昔から、金のなる木というモノが存在して、布教活動の目覚ましい発展に一翼を担った、その金のなる木とは、日本のどこかに厳重に保管されている、と言う。では、その金のなる木とは具体的に何を示すのか。それは、斎様や、氷室様でさえ、まったく知らされていない。金のなる木を隠してあるだろう、秘密の祠の存在は、何とか調べ上げたが、そこへ通じる暗証番号なんて、お手上げだった」
「そんな不確かで、解読不可能な暗証番号。君はそれを、敷島なら解読できると、本気でそう思っているのか?」
不知火は、ベレッタのキャッチを押して、マガジンを引き抜くと、一発の銃弾を込め直した。強装弾でも装填したのだろうか。一歩、二歩と、忍び足を使って、祠の中央に立つ。
「宮國瑞希が、そう言った」
声の大きさを意識した、囁き声だった。
「さっきから、宮國瑞希って、誰だ」
その質問に対しての回答は、思いがけず、隣から返った。
「宮國瑞希さん、彼女は、私と同じ敷島探偵グループの社員です。つまり探偵の一人です。敷島さんがたいへん可愛がられていた方です」
「探偵?」
「一ヶ月以上も前、行方不明人の調査依頼で、或る女性の行方を追って、この地で調査に入ったのを最後に、彼女の音信は途絶えました。現在も、宮國さんは行方不明のままです」
〝なんとしてでもこの手で犯人を捕まえなければならないのだ。この手で彼女の仇を打たなければならない〟
敷島は電話口で、不可解な言動を放った。〝彼女の仇〟という言動だ。
「敷島が可愛がっていた部下が、この地で行方不明になっている? それは、今回の晦冥会の件と何か関係があるのか?」
「その件も含めて、慎重に調査を進めるようにと、わたしは派遣の指示を受けて参りました」
〝敷島さんは自由な発想の持ち主で、インターネット内に仮想現実の職場を作って、各地に散らばった社員と連絡を取り合っているのです〟
〝わたしは今回、敷島さんと行動を共にしていました。突然敷島さんからここへ来るよう指示されました〟
そうか。そういう事だったのか。いくら学生時代の懐かしい友人とは言え、雇ったバイトの一人が心中したからって、敷島がわざわざ自分の所の探偵を派遣するなんて、少々やり過ぎだと思っていた。それは実は、自分の可愛がっていた部下が、この地で行方不明になった、その調査が本当の目的で、この地へ美咲を送り込んだ。
「STGの取締役であり、名探偵として有名な敷島レナ、そいつが可愛がっていたって言うくらいだから、その、宮國瑞希っていうのは、特別な存在だったのか?」
その答えは、美咲からは返らず、その代わりに、聞き覚えのある女の声が、祠の入口から聞こえて来た。
「宮國瑞希は、輝かしい才能にあふれた、期待の新星だった。それは、名探偵として雑誌に取り上げられる俺よりも、遥かに凌駕する逸材だった。警察の初動の遅れから、迷宮入りしかけたS区一家殺害事件、テレビの前で俺がうなっていると、瑞希はまったく新しい発想で、事件解決の突破口を開く。彼女は間違いなく、STGのこれからの未来を背負って立つ、いわばSTGの継承者だった」
それは、実に十年ぶりに聞いたであろう、敷島レナの生の声だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる