転生先がマフィア(お嬢)でした。

七井

文字の大きさ
13 / 14
外伝(恋愛多く含みます。)

イヤホンに夢中になっていると、ヤツが来ます。/ルイ,シバ

しおりを挟む

私…ルイは大広間のでけぇテーブルの席にちょこんと座った。
そして、小さい端末を慣れない手つきでスクロールし、お気に入りを再生。
この端末はボスから貰ったもので、この世界でのスマホみたいなモノらしい。
それはそれは使えます!…という事で、私は今ソレに夢中だ。
運動が好きな私だがなんせ、こんな豪雪なんだもの。遊べるはずもなく。

「お嬢。ケーキ買ってきたんだけど、食べる?」

ズカズカと入ってきたソイツはシバ。…私の護衛である。
まぁ、護衛と言っても、ご主人様のプライベートは知りたがるわ…疲れるヤツだ。
だが、私は純情きゃわいい乙女ちゃんにならないといけないため、笑顔を見せる。

「ケーキ!?…シバがそんなの買うなんて意外なんだけど。」

「うるっせ!!!俺だってスイーツ男子だわ!!」

絶対そんな事ないだろ、とか思いながら曲のボリュームを上げる。
私はその曲の中に気をとられていくのだ。
時折シバが『チョコが良いかー?』なんて聞いているが適当に返す。

…しっかし、スマホみたいなのあって良かったなー!
ゲームとかあるのかな?やばい、すごいワクワクしてきた!!
私は溢れ出るニヤケ顔を抑えきれずに想像を膨らませていた。その時。



ーーーーぷつん。



休む事なく右耳に垂れていた音色が無くなる。思わず振り返った。


「…どんだけ夢中になってんの?お嬢様ぁ。」


なんとシバが私の片方のイヤホンを持って呆れた表情をしていた。
『えっ』と気の抜けた顔をすると彼の顔はもっと悪化する。

「俺がせっかくお嬢様のために買ってきてあげたのにさぁ…たかだか音の出るオモチャ
    に夢中になってるなんて…俺は不愉快なんだけどなぁ?                                                   」

やばい…完全に怒っている。私は顔に血が引けるのを感じた。
シバは一回気分を下げると上げるのに苦労のかかるやつだ。
…一体どっちがご主人様なんだか。
しかし、今回の場合は特別らしく、彼はいつもの笑みを浮かべた。

「でも、まぁ…そんなオモチャと…俺。どっちが好きなのか興味あるけどねぇ。」

私が顔を真っ赤にすると、シバは取ったイヤホンを自分の耳にそっと当てた。
そしてまた、にたぁっとする。

「こういう曲、好きなんだ。…でもお嬢は俺の声の方が効いちゃうんじゃない?」

すると彼の顔は急接近してくる。耳元で悪魔の様に囁いた。

「…良いのかなぁ?このまま放っといて…。何するかわかんねぇ犬を放し飼いして。」

手に汗が滲む。…くっ!なんて痴態だろうか!(言ってみたかっただけ。)

「うるさい…私、ケーキは良いから曲に…

「へぇ…ここまで言っちゃう?俺も紳士じゃないから………さっ!!」

「わ、ちょぉぉ!!!?」

いきなりボリュームをゼロまで落とされ、顔を自分の方に向けさせた。
目の前にはシバがいる。それがなんだか、いつもと違う様で……。
曲が無いせいで自分の心臓の音が凄い聞こえる。シバにも聞こえそう。

「なぁ、お嬢…。俺だってそんな馬鹿じゃねぇよ。こういうコトくらい…解んだろ?」

シバの声は熱を帯びている。私はしどろもどろになってしまう。
すると顔を近づけて……いや、ちょっと待て待て待てェ!!!!!

なんだ、この展開は?!乙女ゲームか?そうなのかーーー!!
私は色んな考え張り巡らせる。

「目……閉じてよ。」

まさかぁぁぁっっっっっっtっr????!!!!
顔がピークに達する。私はやけくそで目を閉じた。

「…………っっ。」

唇に冷たい感触。…それはそのまま私の口の中に溶け落ちた。
…しかし、予想と違う。





「……………甘い?」






「ご名答。」




目を開けると過去最高のゲス顔を見せるシバが居た。
そう、それは甘かったのだ。柔らかくて溶けそうで…。
それはシバの手を見ると、直ぐに判明した。




ーーーシバの手に乗るフォークには……『生クリーム』があった。




私はそれをぼやっと見つめる。…時間を置いて顔が紅潮してきた。



あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!キスだと思ったわぁぁぁぁ!!!!!



「口移しだったけど、お味は如何でしたか?」

「はぁぁ??!口移し??!!!キスとほとんど同じじゃん!!!」

「キスだと思ったんだ?」

「うっ…………。」


急所を突かれると私はもっと真っ赤になった。…もう、ハズい。



◆◆◆

翌日。



端末を見るとシバから一件のメールと音声メッセージが流れてきた。

なんだろう、と思いソレを開く。



『俺も良い曲見つけちゃって。是非聴いてほしいな。』

シバにしては難易度低めのメッセージだった。
私はホッとして音声の方開いてみる。





…それは私とシバの昨日の『ケーキあーん』の私の声だった。

私がその後シバに怒鳴りつけるのは言うまでもない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

没落貴族は最果ての港で夢を見る〜政敵の公爵令嬢と手を組み、忘れられた航路を拓いて帝国の海を制覇する〜

namisan
ファンタジー
日本の海運会社に勤めていた男は、事故死し、異世界の没落貴族の三男ミナト・アークライトとして転生した。 かつては王国の海運業を牛耳ったアークライト家も、今や政争に敗れた見る影もない存在。ミナト自身も、厄介払い同然に、寂れた港町「アルトマール」へ名ばかりの代官として追いやられていた。 無気力な日々を過ごしていたある日、前世の海運知識と経験が完全に覚醒する。ミナトは気づいた。魔物が蔓延り、誰もが見捨てたこの港こそ、アークライト家再興の礎となる「宝の山」であると。 前世の知識と、この世界で得た風を読む魔法「風詠み」を武器に、家の再興を決意したミナト。しかし、その矢先、彼の前に最大の障害が現れる。 アークライト家を没落させた政敵、ルクスブルク公爵家の令嬢セラフィーナ。彼女は王命を受け、価値の失われた港を閉鎖するため、監察官としてアルトマールに乗り込んできたのだ。 「このような非効率な施設は、速やかに閉鎖すべきですわ」 家の再興を賭けて港を再生させたい没落貴族と、王国の未来のために港を閉鎖したいエリート令嬢。 立場も思想も水と油の二人が、互いの野望のために手を組むとき、帝国の経済、そして世界の物流は、歴史的な転換点を迎えることになる。 これは、一人の男が知識と魔法で巨大な船団を組織し、帝国の海を制覇するまでの物語。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...