如月さん、拾いましたっ!

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

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23話(2)濡れた浴衣に、濡れた手?!概念も恋もすくい取りたい夏の夜?!

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「何食べる?! 何やる?!」
「私、金魚掬いやってみたいです~~金魚要らないですけど」


 沢山並ぶ屋台にテンションが爆上がりする。のほほんと、祭りの雰囲気を楽しんでいる如月を見上げた。


 金魚掬いかぁ、お祭りっぽい!! 良いかも!! 金魚要らんけど!! 如月と手を繋ぎ、金魚掬いの屋台へ向かう。後ろから兄が怠そうに着いてきた。


「へい!! いらっしゃい!! 1回500円だよ」


 如月が財布から1000円札をおじさんに渡すと、兄が「俺、なんか食べ物買ってくるね」と、言い残し、違う屋台へ行ってしまった。


「この白い和紙で掬うんですね」


 如月がポイを水面に付け、金魚を掬った。和紙は破れ、穴が空いた。


「穴が空きました!!!! まだ1回しかやってないのに!!!」


 如月は金魚掬いに課金して、もう1本ポイを手に入れた。


「下手なんじゃね?」


 ポイを水面に付け、泳ぐ金魚をサッと掬う。和紙が破れた。なんだこれ。もう破れたんですけど。


「卯月さんも破れてますけど」


 如月はもう500円課金した。


「ウォーミングアップ!!! 次は絶対とる!!! 金魚要らんけど!!!」


 私はポイを水中に入れ、狙いを定め、金魚を掬った。


 和紙が破れた。


「破れましたね」


 如月は破れた和紙を見つめ、再度、金魚掬いに課金した。


「如月やってみてよ」


 水中にポイを入れる如月を見つめる。和紙が金魚に触れ、破れた。金魚掬いとはこんなにも難しいものなのか?


「なんか掬えないんですけど。これはアレですか? 金魚は要らないという概念がポイから金魚に伝わり、破れているということでしょうか?」


 なんだその理論は。よく分からない。如月は1000円札を更に渡した。


「だったら、このポイを2本重ねて概念が伝わらないようにやれば良いんじゃね?」


 受け取ったポイを2つ重ね、水中に入れてみる。


「なるほど」
「よっと……って、また破れたぁあぁあぁあぁあ!!! これはアレか!! 2枚程度では概念が突き抜けるということか!!!」


 2枚重ねたポイと金魚を交互に見つめる。


「むしろ5枚くらい重ねて、金魚は要らないという概念の波動を防ぐべきでは?!?!」


 如月が2500円払い、5本のポイを私に押し付けた。


「やってみる!!!」


 重ねた5本のポイで金魚を掬ってみる。


 当然のように、破れた。


「くそがぁあぁあぁあぁあ!!! 5枚重ねても尚、突き破る概念の力だと言うのかぁあぁぁあ!!!」


 ばき。破れたポイを半分に折ると、如月が腕を組み、考え始めた。


「……根本的にやり方が悪いんですかね?」
「もっと合理的に掬う方法があるとか?」
「合理的とは……? 無駄なく金魚を掬う……もはや、ポイの必要性はない!!」


 如月が金魚を入れるお椀を水中に沈め、金魚を掬った。


「取れました!!!」
「それ、合理的なの?」
「え? 理にかなってません?」
「まぁ確かに? その方がコスパもいいかも~~」


 水中にお椀を沈め、泳ぐ金魚を救う。


「取れたぁ!!!! 初げっと!!!」
「やりましたね!!!」


 嬉しくて、お互い笑みが溢れる。しかし、金魚掬いのおじさんが私たちを睨んだ。


「ポイでとれ!!!! ポイで!!!」
「だって取れないんですもん~~」


 如月はお椀の中の金魚を水中へ戻した。


「はい、金魚!!!」


 ビニール袋に入れられた金魚を、渡されるが、如月は全く受け取ろうとしない。なぜなら私たちはーー。


 如月と顔を見合わせて、金魚屋に言い放つ。


「「金魚は要らないんで!!」」
「二度とくるな!!!!!」


 如月と一緒に立ち上がり、屋台を離れた。


「なんか濡れちゃいましたね」


 お互い袖が水に濡れてびしょびひょだ。でも、そんなこと気にしないで、再び手を繋ぎ、歩き始める。


「楽しかったから良いんじゃない?」


 そして、気づく。兄、どこいった??


「お兄ちゃんって……」
「へ? あ、なんか食べ物買いに行くって言ってませんでしたっけ?」
「食べ物とは?」
「たこ焼き的な? 知らんけど」
「なるほど」


 とりあえずたこ焼き屋へ向かってみる。


 じゅうぅ~~。


「うまそ!! 家で作ったやつと全然違う!!」
「買いますか」


 お金を払い、たこ焼きを手に入れる。ぐぅ。兄は見つからないが、お腹は空いてきた。とりあえず軽く食べてしまおう。食べたいものを手当たり次第、手に入れる。


「卯月さんみてください~~お面買いました」


 頭に狐のお面を付け、片手には綿飴を持っている。ぉお、如月、狐パロ!!!(※違います)


「めちゃくちゃエンジョイしてる!!」
「肉串とかポテトとか色々持ってる卯月さんに言われたくないです~~」
「あ、お兄ちゃん」


 また兄の存在を忘れかけていた!!! 巾着からスマホを取り出し、兄へ電話をかける。繋がらない。んーー、まぁいっか。


「み~つ~け~た~~っ!!」


 じゃがバターを片手に持った兄が人混みをかき分けて、やって来た。


「なんかいっぱい買ってるし!!!」
「どっかで座って食べません?」
「あっちに階段があったから、あっちで座って食べよ」


 兄と如月と一緒に階段へ移動して、腰掛けた。


「ところでなんで2人とも浴衣が濡れてるの?」


 兄が不思議そうに訊くと、如月がクスッと笑いながら答えた。


「それはあれですよ、2人で楽しいことしてたから」
「思ったより(金魚が)大きくて……あまり上手に出来なかったぁ……」
「え?! 何?! 何してたの?! やめてよ!!! 変なことしてないよね?! されてない?!」


 あうあう。肩が揺らされる。


「最後は(手が)ぐちゃぐちゃに濡れちゃいましたね。でも卯月さん、とっても上手でしたよ。また機会があったらシましょうね」


 如月めっちゃ楽しそう。お兄ちゃん、大好きか!! 知ってるけど!! 兄が赤く染まった頬を、両手で押さえ叫んだ。


「ぁあぁあぁあぁあ!!! やめて!! 妹にそんなことさせないで!!!」
「お兄ちゃん何言ってるの?」


 白く濁った目で兄を見つめる。


「野外でそんなっ……俺だって……シてみたいっ…」


 如月の目が濁った。


 羨ましそうに見てくる兄の視線が痛い。何? 2人になりたいの? もう、しょうがないなぁ、少しだけだよ。後で絶対お小遣い徴収するからね。


「私、もう一度屋台みてくるね!!」


 私は片目を軽く閉じ、兄へウインクして、階段を降りた。

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