71 / 173
第七章 「ディストリビューション」
第57話 「ケモ耳の影」
しおりを挟む
~憲章暦997年3月28日(光の日)~
休日の朝。
リアディスの空は澄み渡り、昨夜までの騒がしさが嘘のような穏やかな空気が流れていた。
「アルさん、今日はわたし庭の手入れをしておきたいんです。最近は慌ただしかったですし……」
朝食を終えたあと、アイラがそう言いながらプラチナブロンズの髪をひとまとめにして、庭に出る準備をしている。
「そうか。なら俺とヒカリで買い出しに行ってくる」
「はい、お願いします。あっ、卵と牛乳も忘れないでくださいね」
念押しに苦笑しつつ、俺とヒカリは街へ出た。
リアディスの大通りは、朝から賑わっていた。露店の呼び込みの声、運河を渡る荷船の軋む音、商人たちの取引を急ぐ足音。魔獣事件で一時は緊張が走った街も、表面上は普段の生活を取り戻しているように見えた。
「アディスさん、すごい人ですね」
ヒカリが瞳をきらきらさせながら通りを見回す。
「ああ。市場は休む暇がない。どれだけ混乱があっても、人は食べるし、物は必要だ」
最初に立ち寄ったのは日用品の店だった。石鹸や油、保存食をまとめて買い、アルカナプレートをかざして支払いを済ませる。シャリーンという音とともに、光の粒が弾けて消える。
「おう、旦那。最近は小麦も野菜も値が張ってきてるから気をつけな」
会計をしてくれた商人が、さもありなんといった顔で肩をすくめた。
「アズーリア帝国との緊張が続けば、物流が滞る。そうなりゃ、真っ先に値が跳ね上がるのは食料さ」
聞き飽きた話ではあるが、市井の声からは切実さがにじんでいた。俺は軽く頷き、ヒカリを連れて次の店へ向かう。
卵、牛乳、干し肉、香草――必要なものを一つずつ袋に詰めていく。ヒカリは買い物のたびに「これってどうやって料理するんですか?」と興味津々に尋ねてきて、その様子に店主たちも思わず笑顔を見せていた。
だが、通りを歩く人々の話題は明るいものばかりではなかった。
「帝国がまた兵を増やしてるらしいぞ」
「本当に戦になるのかね……」
耳に入る噂は物騒なものばかりだ。市場の熱気の裏に、見えない不安が渦巻いているのを感じた。
買い物袋を手に下げ、帰り道の石畳を歩いていたときだった。
ふと、視界の端を青い影が横切った。
角を曲がるその刹那――見覚えのある、青いケモ耳。
「……イオナ?」
思わず口から名前が漏れる。
「え?」
隣のヒカリが振り向いた時には、もうその姿は角の向こうに消えていた。
俺は買い物袋を握り直し、足を速める。
「アディスさん!? ちょ、ちょっと待ってください!」
呼び止める声を背に、俺は角を曲がった。だが、そこには人通りの多い通りと、分かれ道がいくつも広がっているだけ。
青い耳の姿はどこにもない。
「……見失ったか」
立ち尽くしていると、遅れてヒカリが駆け寄ってきた。頬を少し赤らめ、息を弾ませている。
「アディスさん、急にどうしたんですか?」
「……いや、知ってる奴を見かけた気がしたんだが」
言いながら、ようやく周囲を見回す。
石畳は割れ、壁は落書きに汚れ、異臭が漂っている。気づけば治安の悪い裏路地に足を踏み入れていた
。
「……しまったな」
薄暗い通りに冷たい風が吹き込む。嫌な予感が背筋を撫でた。
その時だった。
「おい、こんな所に客人とは珍しいな」
路地の奥から、にやついた顔の男たちが三人現れた。腰にナイフを差し、肩で風を切るように歩いてくる。
「買い物帰りか? 荷物、ちょっと見せてもらおうじゃねえか」
露骨な因縁のつけ方だ。ヒカリが不安そうに俺の袖を握る。
「下がってろ」
俺はヒカリを背に庇い、男たちと対峙した。
「へえ、カッコつけるじゃねえか兄ちゃん」
一人が吐き捨てるように笑い、拳を振り上げた。
次の瞬間だった。
ヒカリの体が前へ飛び出していた。
迷いのない動きで、男の腕を掴み、その勢いを利用して背負い投げのように地面へ叩きつけた。
ドン、と鈍い音が路地に響き、男は呻き声を上げて動けなくなる。
「なっ……!」
残りの二人が目を剥く。その隙を逃さず、ヒカリは反射的に蹴りを繰り出し、一人の腹を正確にとらえた。巨体が折れ曲がり、膝をつく。
最後の一人は顔を青くしながら後ずさった。
「ちっ……厄介なガキを連れてやがる」
吐き捨てて、路地の奥へと逃げ去る。
静寂が戻った。
「……ヒカリ」
俺は呆然とヒカリを見つめた。
ヒカリは肩で息をしながら、自分の手を見つめている。
「……い、今の……体が勝手に……」
ヒカリの声は震えていた。
「昔、ちょっと空手を習ってたんです。でも、こんなの……」
言い訳のような言葉。だが俺の目には、ヒカリの動きは素人のそれではなかった。
潜在的に眠っている何かが、瞬間的にあふれ出したとしか思えなかった。
「……アディスさん、ごめんなさい。驚かせちゃいましたよね」
ヒカリが不安げに俺を見上げる。
「いや……助かったよ。だけど、ヒカリ……」
続く言葉は飲み込んだ。今は追及する時じゃない。
「帰るぞ。アイラが心配する」
「……はい」
二人で袋を持ち直し、裏路地を抜けて陽光の射す大通りへと戻る。
屋敷に戻ると、庭で作業をしていたアイラが駆け寄ってきた。
「おかえりなさい。卵と牛乳はちゃんと買えましたか?」
「ああ、忘れずにな」
袋を掲げると、アイラは安堵したように微笑んだ。
ヒカリも笑顔を作り、荷物を見せている。
けれど俺の胸の奥には、まだ消えない二つの違和感が残っていた。
一つは――青いケモ耳の影。イオナは、やはりまだリアディスにいる。
もう一つは――ヒカリの力。ヒカリの中に眠るものは、ただの武術経験では説明できない。
転移者――何もないわけがないか……
庭に咲いた小さな花を眺めながら、俺は二つの影に思考を巡らせた。
休日の朝。
リアディスの空は澄み渡り、昨夜までの騒がしさが嘘のような穏やかな空気が流れていた。
「アルさん、今日はわたし庭の手入れをしておきたいんです。最近は慌ただしかったですし……」
朝食を終えたあと、アイラがそう言いながらプラチナブロンズの髪をひとまとめにして、庭に出る準備をしている。
「そうか。なら俺とヒカリで買い出しに行ってくる」
「はい、お願いします。あっ、卵と牛乳も忘れないでくださいね」
念押しに苦笑しつつ、俺とヒカリは街へ出た。
リアディスの大通りは、朝から賑わっていた。露店の呼び込みの声、運河を渡る荷船の軋む音、商人たちの取引を急ぐ足音。魔獣事件で一時は緊張が走った街も、表面上は普段の生活を取り戻しているように見えた。
「アディスさん、すごい人ですね」
ヒカリが瞳をきらきらさせながら通りを見回す。
「ああ。市場は休む暇がない。どれだけ混乱があっても、人は食べるし、物は必要だ」
最初に立ち寄ったのは日用品の店だった。石鹸や油、保存食をまとめて買い、アルカナプレートをかざして支払いを済ませる。シャリーンという音とともに、光の粒が弾けて消える。
「おう、旦那。最近は小麦も野菜も値が張ってきてるから気をつけな」
会計をしてくれた商人が、さもありなんといった顔で肩をすくめた。
「アズーリア帝国との緊張が続けば、物流が滞る。そうなりゃ、真っ先に値が跳ね上がるのは食料さ」
聞き飽きた話ではあるが、市井の声からは切実さがにじんでいた。俺は軽く頷き、ヒカリを連れて次の店へ向かう。
卵、牛乳、干し肉、香草――必要なものを一つずつ袋に詰めていく。ヒカリは買い物のたびに「これってどうやって料理するんですか?」と興味津々に尋ねてきて、その様子に店主たちも思わず笑顔を見せていた。
だが、通りを歩く人々の話題は明るいものばかりではなかった。
「帝国がまた兵を増やしてるらしいぞ」
「本当に戦になるのかね……」
耳に入る噂は物騒なものばかりだ。市場の熱気の裏に、見えない不安が渦巻いているのを感じた。
買い物袋を手に下げ、帰り道の石畳を歩いていたときだった。
ふと、視界の端を青い影が横切った。
角を曲がるその刹那――見覚えのある、青いケモ耳。
「……イオナ?」
思わず口から名前が漏れる。
「え?」
隣のヒカリが振り向いた時には、もうその姿は角の向こうに消えていた。
俺は買い物袋を握り直し、足を速める。
「アディスさん!? ちょ、ちょっと待ってください!」
呼び止める声を背に、俺は角を曲がった。だが、そこには人通りの多い通りと、分かれ道がいくつも広がっているだけ。
青い耳の姿はどこにもない。
「……見失ったか」
立ち尽くしていると、遅れてヒカリが駆け寄ってきた。頬を少し赤らめ、息を弾ませている。
「アディスさん、急にどうしたんですか?」
「……いや、知ってる奴を見かけた気がしたんだが」
言いながら、ようやく周囲を見回す。
石畳は割れ、壁は落書きに汚れ、異臭が漂っている。気づけば治安の悪い裏路地に足を踏み入れていた
。
「……しまったな」
薄暗い通りに冷たい風が吹き込む。嫌な予感が背筋を撫でた。
その時だった。
「おい、こんな所に客人とは珍しいな」
路地の奥から、にやついた顔の男たちが三人現れた。腰にナイフを差し、肩で風を切るように歩いてくる。
「買い物帰りか? 荷物、ちょっと見せてもらおうじゃねえか」
露骨な因縁のつけ方だ。ヒカリが不安そうに俺の袖を握る。
「下がってろ」
俺はヒカリを背に庇い、男たちと対峙した。
「へえ、カッコつけるじゃねえか兄ちゃん」
一人が吐き捨てるように笑い、拳を振り上げた。
次の瞬間だった。
ヒカリの体が前へ飛び出していた。
迷いのない動きで、男の腕を掴み、その勢いを利用して背負い投げのように地面へ叩きつけた。
ドン、と鈍い音が路地に響き、男は呻き声を上げて動けなくなる。
「なっ……!」
残りの二人が目を剥く。その隙を逃さず、ヒカリは反射的に蹴りを繰り出し、一人の腹を正確にとらえた。巨体が折れ曲がり、膝をつく。
最後の一人は顔を青くしながら後ずさった。
「ちっ……厄介なガキを連れてやがる」
吐き捨てて、路地の奥へと逃げ去る。
静寂が戻った。
「……ヒカリ」
俺は呆然とヒカリを見つめた。
ヒカリは肩で息をしながら、自分の手を見つめている。
「……い、今の……体が勝手に……」
ヒカリの声は震えていた。
「昔、ちょっと空手を習ってたんです。でも、こんなの……」
言い訳のような言葉。だが俺の目には、ヒカリの動きは素人のそれではなかった。
潜在的に眠っている何かが、瞬間的にあふれ出したとしか思えなかった。
「……アディスさん、ごめんなさい。驚かせちゃいましたよね」
ヒカリが不安げに俺を見上げる。
「いや……助かったよ。だけど、ヒカリ……」
続く言葉は飲み込んだ。今は追及する時じゃない。
「帰るぞ。アイラが心配する」
「……はい」
二人で袋を持ち直し、裏路地を抜けて陽光の射す大通りへと戻る。
屋敷に戻ると、庭で作業をしていたアイラが駆け寄ってきた。
「おかえりなさい。卵と牛乳はちゃんと買えましたか?」
「ああ、忘れずにな」
袋を掲げると、アイラは安堵したように微笑んだ。
ヒカリも笑顔を作り、荷物を見せている。
けれど俺の胸の奥には、まだ消えない二つの違和感が残っていた。
一つは――青いケモ耳の影。イオナは、やはりまだリアディスにいる。
もう一つは――ヒカリの力。ヒカリの中に眠るものは、ただの武術経験では説明できない。
転移者――何もないわけがないか……
庭に咲いた小さな花を眺めながら、俺は二つの影に思考を巡らせた。
0
あなたにおすすめの小説
魔法至上主義の世界で『筋力』だけカンストした男が拳一つで全てを覆す
ポポリーナ
ファンタジー
魔法こそが至高——この世界では呼吸も移動も戦闘も、あらゆる営みが魔力で成り立っている。
筋力は「野蛮人の遺物」と蔑まれ、身体を鍛える者は最底辺の存在とされていた。
そんな世界に転生した元・体育教師の剛田鉄心は、魔力適性ゼロ、しかし筋力だけが測定不能のカンスト値。
魔法障壁を素手でぶち抜き、転移魔法より速く走り、最上位魔法を腹筋で弾く——
「なぜ魔法を使わないんだ!?」と問われるたびに「だって使えないし」と笑う男の、
常識を腕力でねじ伏せる痛快・逆転無双が今始まる!
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~
仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。 そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。
しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。
ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。
武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」 登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。
これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる