俺だけ魔力が買えるので、投資したらチートモードに突入しました

白河リオン

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第十一章 「デッドクロス」

Short Stories 5 「りゅうのおはなし」

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 夜のロピカルハ。潮風はやわらかく、遠くで波が静かに寄せては返す。

 木造の家の窓からは、月明かりが差し込み、部屋の床に揺れる影を落としていた。

「おかあさん、まだねむくない」

 小さな声が、布団の中から聞こえる。

「もう遅い時間よ、ラニ」

 母親はくすりと笑いながら、子どもの額にかかった前髪を撫でた。

「でも……えほん、よんで」

「また? 昨日も読んだでしょう?」

「きょうは、りゅうのおはなし!」

 期待に満ちた瞳が、月の光を受けてきらきらと輝く。

 母親は、ため息をついたふりをして、本棚から一冊の古びた絵本を取り出した。

 表紙には、青い龍と赤い龍が描かれている。

「……それじゃあ、ロピカルハのはじまりのおはなしね」

 子どもは、布団の中でもぞりと動き、母親の腕にぴたりとくっついた。

 母親は、ゆっくりとページを開く。



 

 

 
 

 

 
 

 

 子どもは、じっと母親の声を聞いている。



 
 

 

 

 

 

「こわい……」

 子どもが小さくつぶやく。

「だいじょうぶよ」

 母親は優しく笑った。



 

 

 

「……しんじゃったの?」

「そうね。

 

 ページがめくられる。

 そこには、赤い龍が人の姿に変わる絵が描かれている。



 

 今のロピカルハの王様は、その赤い龍の血をひいているのよ」

「じゃあ、りゅうのおうさま?」

「ふふ、そうね。王様は龍の子供ね」

 母親は本を閉じかけながら、最後の一文をやさしく読む。



 部屋は静まり返っていた。

「……あおいりゅう、かわいそう」

「青い龍もきっとどこかでみんなことを見守ってるわ。ラニのこともね」

「ほんとに?」

「ええ、だからロピカルハの海は、こんなに綺麗なのよ」

「……だったらあかいりゅうは?」

「いまも、王様たちのなかにいて守ってくれてる」

「すごいね」

 声が、眠気が混じる。

「もう寝なさい」

 母親は、子どもの額に口づけを落とす。

 子どものまぶたが、ゆっくり閉じていく。

 波の音が、子守歌のように響く。

 やがて、規則正しい寝息が聞こえはじめた。

 母親は、静かに絵本を閉じ、灯りを落とす。

 窓の外では、月明かりが海を照らしていた。

 遠い昔の龍の物語は、今日もこうしてやさしく語り継がれている。
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