魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第六章【エルフの隠れ里】

6-4 魔導書の腕輪

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 ウィッチの家の地下室 】

…コォォ……

猛竜騎士「……なんじゃこりゃ、地下室なんてあったのか」キョロキョロ

猛竜騎士がウィッチへと連れられて行った場所は、台所を抜けた先にある地下室であった。

ウィッチ「パーティを解散したあと、魔法研究に勤しむために作った部屋よ」
猛竜騎士「怪しい道具がいっぱいあるなー…」
ウィッチ「独自のポーションなんかも開発してたりしたからね」
猛竜騎士「危ねぇことを……」

ウィッチ「まぁそれは気にしないで」
ウィッチ「それより……、これよ」
ゴソゴソ…コトッ
猛竜騎士「……腕輪?」

ウィッチはテーブルの上に、銀色の魔石が装飾された腕輪を置いた。
埋め込まれている魔石の魔力が強いのか、
薄暗い地下室の中でも妙な輝きを放っている。
 
ウィッチ「闇魔法、バーサクを習得する腕輪と同じように造られた、装着して魔法を覚える腕輪よ」
猛竜騎士「なんだって!?」
ウィッチ「魔導書と同じように、これを装着するだけで魔法を会得できるの」
猛竜騎士「そんなもの、聞いたことないぞ…」
ウィッチ「当たり前でしょ、私が造ったんだから」
猛竜騎士「は!?」

ウィッチ「これはまだ習得可能の魔法を読み込ませられる状態で、腕輪を装着した者の最初に利用した魔法をセーブできるの」
ウィッチ「次に着けた者は、その前者の魔法と同じ魔法を感覚的に習得できるって感じかな」

猛竜騎士「…本当に装着型の魔導書じゃないか」
ウィッチ「解散後、色々とやってたからね~。こんなのも造っちゃったってわけ♪」
猛竜騎士「闇魔法を会得できるのと同じようなシステムってわけだな」
ウィッチ「というか、全く同じだけどね」
猛竜騎士「これを使えば、魔剣士や白姫に装着させて、随時魔法の習得に自然と励めるということか」
ウィッチ「魔導書を開かなくてもいいから、いつもの生活の中に魔法を習得できる優れものよ」
猛竜騎士「凄いな……」
ウィッチ「何個かあるから、これであの子たちに魔法を覚えさせてあげればいいんじゃないかしら」
猛竜騎士「…受け取れるものは受け取るぞ?」
ウィッチ「遠慮しなくていいわよ」
猛竜騎士「遠慮はしないさ」
ウィッチ「ふふっ、それでこそ猛竜騎士ね♪」
猛竜騎士「……しかし、他にもいろいろあるな」キョロキョロ
ウィッチ「冒険者時代に集めたものや、私が開発したものなんかあるからね…」

猛竜騎士「…」キョロキョロ
猛竜騎士「……ん?」ピクッ

ウィッチ「どうしたの?」
猛竜騎士「……なんだ、あの奥にある箱は。強烈な魔力を感じるぞ」
ウィッチ「あぁ、あれは……何でもない」
猛竜騎士「…何でもないって、あんな強烈な魔力を放ってるのにか?」
ウィッチ「ちょっと研究中の新アイテムなの。まだ魔力の抑え込みが出来なくて、ああなっちゃってるのよ」
猛竜騎士「一体何なんだアレ…。つーか、見覚えが……」
ウィッチ「…」

奥側にある木箱の中から、
猛烈な魔力を感じる"何か"があることに気が付いた。
しかし、ウィッチは気にしないでと猛竜騎士を地下室から押し出す。
無論、それが「ただの道具ではない」ことは理解したが、
ウィッチが思った以上の力で見るなと訴えていることも同時に理解し、
不本意ながらもそれに従った。

ウィッチ「…気にしない気にしない!気のせいでしょ!」グイッ!
猛竜騎士「うお、押すなって!」
ウィッチ「それよりほら、その魔力の腕輪を持って、魔剣士たちに教えるんでしょ!」グイグイッ
猛竜騎士「わ、分かったって…!」
ウィッチ(……知られたら、怒られちゃうからね)
猛竜騎士(…)

…………
……



……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10分後 ツリーハウス 】

魔剣士「ふーん、これが魔導書の代わりの腕輪ねぇ。こうやって着けるのか」スチャッ
白姫「確かに、魔導書を開いている時と一緒の温かさは感じます」パァァ

猛竜騎士「魔剣士の腕輪には部分的強化を、白姫の腕輪には光魔法の感覚とヒールを仕込んである」
猛竜騎士「普段の生活に支障がない程度で、他の修行をしながら魔法を習得できるらしい」

地下室でウィッチから受け取った腕輪にそれぞれの魔法を組込み、
二人へ教える魔法を習得できるようにしたのだ。

魔剣士「なるほどな、そういうことか」

幼ウィッチ「存分に励むがよい!」
幼ウィッチ「とりあえず装備しておけば、勝手に魔法の感覚と会得もできるはずじゃ」


猛竜騎士「わざわざ来てもらってすまなかったな」
幼ウィッチ「全くじゃ。まだ家の掃除も済んでおらんというのに…」
猛竜騎士「あとで手伝いに行くよ」
幼ウィッチ「んふふ、そんなにワシと一緒にいたいのか?」ニマー
猛竜騎士「ばっ!だから違うっつーの!」
幼ウィッチ「遠慮するな、ほれほれ」グイグイ
猛竜騎士「身体を押し付けんな!」

白姫「…」
白姫「……」グイグイ…
魔剣士「…なんでお前まで俺にやる!?」ビクッ!

幼ウィッチ「ふふふ、それじゃあの~」フリフリ
猛竜騎士「はいはい、ありがとさん」
ガチャッ…バタンッ……

魔剣士「…ふぅ」
白姫「ウィッチさん、何度見ても綺麗だし可愛い人だよねぇ~」
魔剣士「まぁな」
白姫「頭も良いし、私なんかと全然違う…。憧れちゃうなぁ……」
魔剣士「お前も充分に、可愛らしいお姫様だろうが」
白姫「…そ、そうかなっ!?」テレッ
魔剣士「あ、あぁいや……!?」
白姫「へへーっ」
魔剣士「うんむ…」
 
猛竜騎士(…居づらい)

魔剣士「それでオッサン、魔導書を開く必要がなくなったっつーことは……」
猛竜騎士「ん…、実践や勉強をしつつ、鍛錬をできるということだな」ニヤリ
魔剣士「なるほど、実践だな!」
猛竜騎士「勉強もな」
魔剣士「さっそく実践だ!!」
猛竜騎士「お前は枯渇で倒れたんだから、今日は一日勉強しろ」
魔剣士「いやだ」
猛竜騎士「…」
魔剣士「……嫌だ」
猛竜騎士「やれ!」
魔剣士「えー…」
 
猛竜騎士「せっかく、こんなに本があるんだ」
猛竜騎士「今日は自習でいいから、好きな本を読んで知識を身に着けておけ」

魔剣士「……へいへい」
猛竜騎士「俺はまた少し外に出てくるから、白姫と一緒に勉強しておけよ」
魔剣士「へーい…」
猛竜騎士「返事はハイだろうが」
魔剣士「へい」
猛竜騎士「…」
魔剣士「へい」
猛竜騎士「…勉強してろよ」クルッ
ガチャッ…バタンッ!

魔剣士「…」
魔剣士「……やっと行ったか、勉強勉強うるせえなぁ」

白姫「でも魔剣士、面白そうな本がいっぱいあるよ?」キョロキョロ
魔剣士「本なんざ頭が痛くて読めないっつーの」
白姫「私は好きなんだけどなぁ…。一般常識集とかあるし、これでも読んでみようっと」ゴソゴソ…
魔剣士「俺は寝てるかな」フワァ…
白姫「もー…」

魔剣士「だってよぉ、読みたい本なんて……」
魔剣士「…」
魔剣士「……!」ハッ

白姫「少しは探してみようよ。あるかもしれないよー……」

魔剣士「こ、これは!?」
ダダダダッ、バッ!
白姫「わっ!?」
魔剣士「なんだこれ!」バッ!
白姫「どど、どうしたの!?」
魔剣士「……闇魔術についての歴史書じゃねえか!?」
ペラペラペラッ…!
白姫「あ、自身を超強化するっていう…?」
魔剣士「…これは面白そうだな」
白姫「興味があるなら読んでみるといいんじゃないかな♪」
魔剣士「おうよ、そうしてみるわ!」
白姫「うんっ」

…………
……



……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 夕刻 】

ガチャッ……!
猛竜騎士「帰ったぞー。大物とはいかんかったが、晩飯用の天然の野菜と肉を採れたんで今焼くから待ってろ」
魔剣士「おう、お帰り」
白姫「お帰りなさい!」

猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……おや?」
猛竜騎士「魔剣士、てっきり寝ているかと思ったが……きちんと本を読んで勉強してたのか」

魔剣士「ちっと面白そうな本があったんでな」

猛竜騎士「……闇魔法の歴史書、か」

魔剣士「オッサンが言ってたやつで、ちょーっと面白そうで気になってたんでな」ハハハ

猛竜騎士(ありゃ教養書だな……)
猛竜騎士(腕輪のあるであろう古代遺跡や、闇魔法の会得については書いてないだろうしまぁいいか)

魔剣士「……悲惨な歴史についてたくさん書いてあるのな」
猛竜騎士「そらな」
魔剣士「バーサク魔法、自身の超強化。純粋な魔力と物理強化を施す、故に術者はバーサーカーと呼ばれるねぇ…」
猛竜騎士「今はもう失われた魔法だからな」
魔剣士「バーサクを覚えるための腕輪ってのは、もう存在してないんだろ?」
猛竜騎士「存在していないものと言っていいだろうな」
魔剣士「…っちぇ。あったら取りにいったんだがなぁ」
猛竜騎士「無茶言うな。存在したといわれる古代遺跡は、生半可な実力で潜れるもんじゃないんだ」
魔剣士「ふーん……」

猛竜騎士「…とりあえず今日は晩飯を食べて、明日に備えて寝るぞ」
猛竜騎士「明日からは、腕輪も手に入れたことでよりレベルを上げるための鍛錬を行っていくんだからな」

魔剣士「あいよ」
白姫「わかりました!」

猛竜騎士(……なんだか長い1日だったな)
猛竜騎士(しかし、明日からは掘り下げた実践や勉強をして、世界に通用する冒険者へと育てていかねば……)
猛竜騎士(セントラル王国の動きも気になるが、今は目の前のことをこなす、こなさせるだけだ)

……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・


 
ようやく腰を下ろし、
バウンティハンターや王国の追手の緊張から離れられた3人。
エルフ族との対立も気になるところであったが、
その日は2週間ぶりの安眠で、疲れを癒すことが出来た。

……そして次の日……

魔剣士と白姫は、猛竜騎士、ウィッチの手伝いにより実践と勉強を指南され、西方大地での本格的な修行が開始された。
猛竜騎士は黙秘していたが、魔剣士、白姫と3人で世界踏破をするための修行となっていたのは言うまでもない。
やがて、時間は流れ。
何度か月と太陽が入れ替わった頃――……


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