上 下
1 / 7

長ったらしいプロローグ

しおりを挟む
 西暦201X年。VR(バーチャル・リアリティー)技術の飛躍的な発達は、ゲームやアトラクションといった娯楽を新たなステージへと押し上げた。
 そこに広がるのは、あくまでもリアルではなく、リアリティのある仮想世界。にもかかわらず、現実にはあり得ない世界への圧倒的な没入感、そして何より、どこでも、それこそ家でも楽しめるという点において、VR技術を応用した娯楽は爆発的な人気を得た。
 特に、ゲームの分野において元より存在していたオンラインゲームとの融合は、プレイヤー達に更なる世界観の拡張をもたらした。俗に言う、VRMMOの誕生である。世界中に広がるネットワークを利用した、世界中の人々との協力、及び対戦プレイは、人種間に存在する言語の壁を取り払い、誰もが身近に感じられる空間を創りだした。とはいえ、そうしたオンラインゲームでは当然のように自己顕示欲や邪心を抱えた人間もいる為に、VRに移行してもチートやら荒らしやらの問題がしばしば起こるのだが、そこはあまり本筋には関係ないのでここでは割愛させていただく。

 さて、そうした来歴はさておき、ここ近年で様々なVRMMOのゲームが登場した。『マイソロジー・オブ・エルドラド』、縮めて『MoE』も、そうした大規模オンラインゲームの一つである。
 このゲーム、元は海外で出版された同名のファンタジー小説を原作としており、過去に数回、それを元にしたゲームが発売されている、知る人ぞ知る名作でもある。ファンタジーと銘打たれてはいるが、その実SF的な要素―例えばファンタジーの世界なのに、その世界の自然や文明を破壊しようとする機械軍団が登場したり、外宇宙から宇宙人が攻めてきたり等―も擁しており、異世界と言っても、地球と同じようなどこかの銀河系に存在する惑星であるという事を認識させる事になった草分け的な作品でもあった。
 それ以外にも、派生作品で革新的な要素を取り入れた結果、「異世界ファンタジーはどんな発想で書いて(描いて)もいいんだ!」とファンが解釈した事により、この世界におけるそうした作品の多くは、二次創作を含め実にカオスな様相を呈している。ゾンビだらけの作品は当たり前。巨大サメを始めとしたB級映画チックな生物がいるのも当たり前。中には完全に個人の性癖丸出しなニッチな作品すらある。
 そうした幅広さと寛容さを備えた異世界ファンタジーの原点とも言える『MoE』は、当然ながらこの世界の日本人の、底知れぬHENTAI魂にも直撃した。
 日本のとある企業が開発、リリースしたこのVRMMO『MoEオンライン』は、そうした幅広さと寛容さに影響されて生み出された、まさしく渾身の一作であった。
 メインは異世界『ガルドヘイム』における、魔法文明『マジェント』と機械文明『マキナ』による星の支配権を賭けた壮大な勢力争いではあるが、基本的に運営は戦いを強いる事無く、寧ろプレイヤー側に重きを置いている為、普通に敵対勢力の領地に足を踏み入れても何のペナルティーもないし、イベントも互いの戦いを誘発するものよりも、原作にもあった宇宙人の侵略や、異世界からの邪神の降臨など、協力して行えるものの方が多く作られている。
 勿論、「戦争こそがこの作品の醍醐味!」と思うプレイヤーに配慮し、戦争推奨サーバーなども作られており、そのあまりにも徹底された配慮に、多くのプレイヤーが涙したという。

 だが、そんな良心的オンラインゲームも、今まさに終わりを迎えようとしていた。


「んほォォォォ!!!180連回してもマキナちゃんがでないィィィ!!!」
「がんばれ!がんばれ!」
「むさ苦しいカッコしてンな台詞吐いとんちゃうぞッテメッコラー!」
「アーン!?せっかく応援してやってるのにその態度はねェだろうがァ!?オォン!?」
「黙れホモ」
「四文字で嫌がらせやめろォ!俺はホモじゃねェ!」
「じゃあゲイ」
「英語圏風に言い換えても変わらねェよ!?」

―MoEのとあるサーバー。惑星ガルドヘイムの双方の文明の国の境界線にある中立地帯『ニュート』。プレイヤーからはシンプルにNTと呼ばれるこの場所の、更に辺境の遺跡めいた場所に、その二人のプレイヤーはいた。

 一人は銀髪に眼鏡で、現実世界に存在するタクティカルベストをお洒落にしたようなコンバットスーツという、一見クールな見た目に反し、酷い顔芸と、どこか関西弁混じりな叫びを披露する青年。
 もう一人は、もじゃもじゃの黒髪に真っ赤なバンダナ、鍛え上げられた上半身に衣服を纏わない代わりに弾帯を巻きつけ、脚部には漆黒のプレートアーマーを穿き、極め付けには申し訳程度に頭に乗せられた魔法使いのとんがり帽子という、どこかで見たようでそうでもないような珍妙な男。
 そしてそんな二人の前には、何やら巨大な石造りの物体が鎮座している。それをよく見てみれば、現実世界において駄菓子屋等に置いてある、ガチャガチャやガシャポンこと、カプセルトイの筐体に似ている。
 眼鏡の青年は、そんな巨大物体に光る何かを投げ込み、ひたすらに念じていた。
 そんな青年に茶々を入れながら、青年からのドライな対応に叫ぶ奇怪な魔法使い擬きの男。その後ろには、なんと男の十倍は軽くあるであろう、巨大な白い竜が控えているではないか。

「この子はなァ!俺の息子みてェなモンなんだよ!見ろこのクリクリとした目をよォ!可愛いだルルォ!?」

 どうやら、勢い余って巻き舌になってしまうぐらいに、男は竜に熱を入れているのだろう。そんな彼が可愛がる竜は、「キュクルゥ」と、その見た目からは想像できない鳴き声を発した。
 そして、見た目だけで言えば知的クールな眼鏡の青年だが、そんな彼の所謂「中の人」は、見た目とは真逆の人間ようだ。煽り煽られを何度も繰り返していく内に知性がどんどん下がっていくその様は、見ていて悲しくなること間違いなしである。

 眼鏡の青年の名は『ヴィクター』。お察しの通り、ネット上ではカッコよくいたいと、それっぽい見た目と名前にしているだけの残念過ぎる男である。ちなみによく「お前関西人だろ?」と言われるが、本人は頑なに違うと否定している。
 そして変態的装備をした男は『ジョン・D』。通称、ジョン。恐らく見た目からわかるであろうアメリカかぶれの男であり、ゲーム内における職業であるクラスにおいて、コマンドーなるクラスであると自称しているが、勿論そんなクラスは無い。

 見るからにおかしなこの二人、実を言えばフレンド同士であり、しかもいくつか共通点がある。
 一つは、彼らは同じ、『サマナー』と呼ばれるクラスである事。サマナーとはその名の通り、モンスターを召喚し、共に行動をする事ができるクラスである。一般的なクラスでもゲーム内通貨を使用する事でNPCを雇ったりする事ができるが、そうしたNPCとサマナーが召喚したモンスターの違いは、成長する事にある。プレイヤーと共に成長し、絆を育んでいけるパートナーモンスターの存在は、特にペットが飼えないプレイヤーからかなり好評である。
 そして、もう一つは―

「るっせーわ!俺はロボ娘萌えなんじゃオラァ!羽の生えたトカゲに興味はないんじゃ!」
「おま、その言葉はな!俺に、いや、俺達にケンカを売る言葉だぞ!かかって来い!」
「じゃきゃあしい!ンな事やっとったらサービス終了してまうやろうが!」
「ケッ!じゃあ言ってやるよ。『出るわけねェ』ってな!ランク最高、確率1%、それで百回回しても一度も来ない。そんなんじゃあ、絶対出るわけねェよなァ!?」
「馬鹿野郎お前!俺は当てるぞお前!当てて、最後の最後にめい一杯可愛がるんや!アァーーーッ!!!ペロペロしたいッ!!!」

―人外好きを拗らせている事だ。ただし、二人の好みはハッキリと分かれているが。

 今、ヴィクターがのめり込んでいるのは、この遺跡地帯限定で回す事ができるガシャ、『機械の祖』と呼ばれるものである。
 サマナー限定で回す事ができるこのガチャは、装備品のみならず、パートナーとなるモンスター、特に機械文明マキナに属する機械系モンスターが排出される。そしてその見どころは、何といってもここでしかゲットできない、最高ランクのパートナーモンスター、『マキナ』。機械文明と同じ名前を冠するこのモンスターは二種類存在し、『A(アダム)型』と『E(イヴ)型』、名前から分かる通り男女二通りのタイプが存在する。設定上、機械文明の始祖とされる存在だけあり、その能力は強力無比。誰でも喉から手が出る程のモンスターだが、残念ながら確率の問題で、多くのプレイヤーは挫折してしまった。唯一、アダム型だけはとあるプレイヤーが引き当てたが、イヴは未だ、誰のパートナーにもなっていない。
 そんな伝説級のモンスターに、何故ヴィクターは固執するのか?手に入れたという名誉?無双の力?
 否。断じて否。これに関しては、彼ら二人を含めた全ての人外好きが否定するだろう。
 そうだ。あるのはたった一つ。たった一つの、シンプルな理由。

「可愛いはッ!正義ッ!」
「それはわかるッ!わかるが…もう、休めッ…!」
「休まねぇ!休めねぇ!休んで、たまるかぁーーーッ!!」

 もはやどちらが現実なのか分からなくなってしまう程に、今この場は異様な熱気に包まれていた。たった二人に、竜が一体だけなのに。

 しかしながら、読者の諸君は不思議に思うだろう。「何故このアホはこんなに焦っているんだ?」とかそんな事を。

 理由はたった一つ。この大人気VRMMO、MoEのサービスが、間もなく終了するからだった。

 「何故大人気なのにサービスが終了するんだ?大人気なら、課金なりなんなり、する人がたくさんいるだろうに」
 そう思われる方々もいるだろうから、ここで一つ思い出してほしい。このゲームの運営が、如何なる性質であるかを。

 このゲームが終了する理由は、ひとえに運営があまりにも良心的だった為だ。

 この手のオンラインゲームにおいてサービスが終了する理由には、大きく分けて三つある。
 一つは、プレイヤー人口の減少。そもそもプレイしてくれる人間がいなければ、オンラインゲームに存在価値など無きに等しい。だが、このゲームに関して言えば、中々の人気を誇っていたゲームなので、これには当てはまらない。
 一つは、プレイヤー自体の質の問題。先程も書いたが、オンラインゲームにはチート、荒らしなど、本来なら許されない違法行為をやるプレイヤーというものが、少なからず存在する。それにより、このゲームがつまらなく感じてしまい、プレイしようという人間が減ってしまうというものだ。MoEもまた例外ではないのだが、元々そうしたプレイヤーが少ないのと、運営がきちんと働いている為に、この問題には悩まされていない。
 そして最後の一つ、運営の経済状況の悪化。これこそが、MoE終了の理由である。
 この運営、あまりにも良心的なゲーム環境を提供する事にこだわってしまった為に、無課金でも十分以上にプレイできる、つまり課金をする人間が圧倒的に少なくなる状況にしてしまったのだ。
 元よりこうした基本無料プレイのゲームで儲ける為には、プレイヤーからの課金が必要になる。では、その課金が無くなればどうなるか?答えは単純。赤字になって運営が不可能になるのだ。儲けがあれば、しっかり社員に給料を払って、新しいイベントなり何なりでサービスを続行できただろうが、十分な儲けが無ければ、そもそも商売として成り立たない。そんなゲームは、運営も、そしてそんな運営に投資をしてきた者達も、続ける理由が無くなってしまうだろう。
 今回のサービス終了は、そうした理由から起きた事態であった。

 現在の時刻は、23時55分を回った頃。そして、全てのサービスが終了するのは、0時になった瞬間。それまでに、なんとしてでもヴィクターは、マキナE型をゲットしなくてはならないのだ。それこそが、彼の使命なのだ!

 そこ、下らないとか言わない。


******


―一方その頃、日本の某所にある研究施設。

 外観は立派な研究施設ではあるが、『超次元研究所』という如何にもな看板が、この研究施設の胡散臭さを際立たせてしまっている。
加えてこの日の天候は、大雨に雷警報がでる程の大荒れ模様。そのせいなのか、建物のあちこちが老朽化してるように見えるのは、きっと気のせいだろう。そうに違いない。

「博士ぇ、ひっどい天気ですけど、ホントに実験開始するんですかぁ?」
「なーにを言うとるんだねチミは。当たり前田のクラッカーヴォレイ!じゃてな!」
「博士、もしかして見た目より若かったりするんですかぁ?」
「イヤミか貴様ァ!」

 そんな施設の中では、荒れた頭部に荒れた白髭、加えて継ぎ接ぎだらけの白衣を着た如何にもマッドサイエンティストな老人が、巨大なリング状の物体の前で高笑いを響かせ、それを助手か部下らしい青年が、やや冷めた目で見守っていた。

「フェーッヘッヘッヘ!いよいよじゃ!いよいよ、この次元超越移動装置が完成するのじゃ!」
「ワー、パチパチパチ」
「エラい棒読みじゃなお前。拍手まで口にするか。…まぁいい。もう間もなくに迫る栄光に比べれば…」

 今度は声を潜め、不気味な笑みを漏らすマッドサイエンティスト。そんな狂気に取り憑かれた老博士を後目に、助手の青年は辺りを見渡す。

「あれぇ?相場サンがいませんよぉ?」
「相場ァ!貴様、またゲェムをやっとるな!?」

 そう怒鳴り散らしながら、老博士は室内にある机、その物陰へと歩み寄る。
 はたして、ヨレヨレの白衣を着ただらしなさそうな男、相場はそこにいた。老博士達の最初の位置からは見えないように蹲り、頭には、ポータブルタイプのVRゴーグルヘッドセットが装着されている。
 それを見た老博士は、「ムキィー!」とわざわざ口にしながら、相場の胸倉を掴んだ。

「ちょっとちょっと。今別れを惜しんでるところなんですからやめてくださいって」
「何が別れじゃ!これから世紀の瞬間が訪れるっちゅうのに!」
「だってね。あの名作オンラインゲームの、そのサービス終了が今日の0時なんですよ?その0時までいたいって思うのは、ファンとして当たり前じゃあないですか」
「説明ご苦労、と言いたい所じゃが、給料分の仕事ぐらいキッチリやれィ!」
「へいへい」

 ゴーグルを外した相場は嫌そうにそう返すと、手をひらひらとはためかせながら、実験にて使用するコンソールへと歩み寄る。

「ほれ、グイッとな」
「ゲェーッ!?そのレバーは装置起動レバーじゃないッスかぁ!?」
「相場ァ!貴様ァ!」
「あー、やだやだ。僕には実験なんかより、こっちの方が大事なんですって…」

 そんないい加減な態度を見せたまま、相場は何事も無かったかのように、先程までいた物陰に戻っていく。
 そんな相場の態度に腸が煮えくり返るような思いを抱き、顔を真っ赤にする博士だったが、それに対し助手の方は、どういうわけか顔が青ざめてしまっている。

「は、博士…」
「なんじゃねチミ。今ワシはな、あのアホンダラにどう説教してやろうかと…」
「それどころじゃないんスよぉ!なんか装置が変な事になって…」
「何?」

 そう言われて装置の方を振り向けば、エンストを起こした車よりもおかしな音を立てながら、火花をまき散らしているではないか。
 そして丁度その時、けたたましい雷鳴が研究所内に響き渡る!

「わぁーーーッ!?博士!装置がなんか更に光ってますよぉ!?輝いてる!今一番輝いてるよキミィ!」
「言われんでも分かっとるわい!」
「だから今日はやめとこうって言ったんですよぉ!もぉ!」

 流石にこの事態はまずいと分かるのか、助手が慌てふためき、博士も慌てる。欲を優先させなければこんな事にはならなかっただろうが、生憎この博士、天気予報は基本的にチェックするのが煩わしいタイプだった。

「わーん!オラこんなトコやだ!故郷の村に帰らせていただきます!」
「貴様、都会生まれの都会育ちって言っとったじゃろうが!」

 大慌てで実験室から逃げる博士と助手。しかし彼らは気づかない。

「もうすぐ…もうすぐMoEが…僕の青春が終わる…やべ、涙出てきた」

 ヘッドセットを着けているせいで、周りの状況を理解できていない相場が、まだ取り残されている事に。

 そして実験室は、爆発音と光に包まれた。


******


「…ん?」

 丁度その頃、残り僅か二分ほどでサービスが終了するという状況下で、ヴィクターの無謀とも思えるラストチャレンジを見守っていたジョンは、自分の視界が妙にブレるような感覚に襲われていた。
 目に見える景色が、ほんの一瞬、アナログテレビ特有の砂嵐のような異常を起こすのだ。
 かれこれログインして六時間以上はここにいるから、そのせいだろうかとジョンは首を傾げるが、それにしてもそのノイズが発生する頻度が、段々と増えている気がするのだ。

 ここでジョンの直感が訴えかけてくる。「あれ、これなんかヤバくね?」と。

「な、なぁ、ヴィクターよ…」
「えーんやーこーらやっと!」
「おい、ヴィクター…」
「これが俺の!全力全開!」
「……」
「諦めたら、そこで試合終了ですよ」

 そこまで来て、ジョンの額に青筋が浮かび、堪忍袋の緒が切れるどころか、堪忍袋そのものが爆発した。


「ヘイ!【リアルネームにつき規制表示】!」
「!!!?!?!こ、こんにゃろ、何言いだしとんやお前ーッ!人おらんからって本名はあかんやろ!」
「そんな事言ってる場合じゃねぇぞ!なんか雲行き怪しくなってきてんぞ!」
「何が!」
「なんかさっきからノイズが…」
「かぁーッ!そんなん後や後!あとこの10連!これで合計200連!これで決める!」
「あー!畜生!だったら早くしろ!」
「言われずともォ!」

 この二人、なんやかんやでリアルでも付き合いのある程に仲が良いようである。だが、その選択が流石にミスなのは、誰の目から見ても明らかだろう。
 先程までは間隔を空けてノイズが走っていたが、今は違う。そのノイズが、継続して発生しているのだ。だが、男達の迸る熱情は、もうどうにも止まらない。別に変な意味ではなく。

 そして気付けば、残り1分。

「うぉぉぉぉ!!!」
「早くしろーッ!間に合わなくなっても知らんぞーッ!」

 30秒。

「駄目…挫けそう…」
「あぁん!?最近だらしねぇな!?」

 15秒。

「ひィ…残り、3回…!」

 10秒。

「あ…あと一回しかねぇ…!」
「構わん。回せ」

 5秒。

「もうアカンてこれ…」
「…!いや待て!この光は!」

 1秒。

「…えっ?これ来」

 た、と言い終わらない内に、彼らの視界は光に包まれた。サービス終了の瞬間は電源の落ちたテレビゲームのようだと聞いていたが、別にそんな事はなかったらしい。


しおりを挟む

処理中です...