緋色の竜狩り

やまねん

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サルブ村救出戦

瘴気に覆われた村サルブ エピローグ

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「今帰ったぞ!」

バコォン!!
迷宮の女神は勢いよく教会のドアを開けた。

「女神様、おかえりなさいませ!貴女のお命じ通り、教会はアンデッドどもから死守致しました。」

リザードマン隊は迷宮の女神の前に跪き、臣下の礼をとる。

「うむ、皆よくやったのじゃ!大義であったぞ!」

リザードマン隊は女神に褒められ皆嬉しそう顔をしている。

「しかし、皆…傷だらけじゃな…まずは迷宮に戻り体を癒してほしい…褒美はその後でな♪」

「はっ!では、女神様……失礼致します。」

リザードマン達は女神が発生させた空間の亀裂に飛び込み迷宮へと帰っていく。

「ただいま~」

ルルが帰ってきた

その声を聞いたシオンはベッドから跳ね起きルルのもとへと駆け寄る。

「ルル様、おかえりなさいませ。よくぞご無事にご帰還されました。神殿の奪還、お見事です。」

シオンはルルの前で臣下の礼をとる。

「ありがとう♪シオン。シオンもよく頑張ってくれたね」

ルルはシオンを優しく抱きしめた。

「いっ──!?」

突然の温もりにシオンの全身が硬直する。
敬愛する主人に抱きしめられシオンは今にも喜びが爆発しそうになった。

「ル、ルル様……!?」

「頑張ってくれたご褒美♪」

ルルは嬉しさでわなわな震えるシオンの頭を撫でる。

「ぁ……///」

シオンは真っ赤になりながらもルルのナデナデを受け入れていた。

「シオンの体、傷だらけだから後でちゃんと綺麗にしようね」

「ルル様……!」

シオンは感謝の言葉すら口にする余裕がなくなっている。

敬愛する主人に抱きしめられて、あまつさえ頭まで撫でられているのだ。もうどうしたらいいか分からなかった。

「全く…駄メイドめ…デレデレしおって…」
 
ふてくされるようにそんな二人を見つめる迷宮の女神。

「酒呑童子も来てくれてありがと♪シオンのことも助けてくれたんでしょ?」

シオンが恍惚とした表情で固まる中、ルルは酒呑童子の方へ向き直った。

「私がここについた時に、シオンがピンチだったからな…まぁ、仲間として当然のことをしたまでだ。」

 酒呑童子は軽く腕を組みながら微笑した。

「おかげで、なかなか見れないシオンの可愛らしいところが見れたぞ。」

「酒呑童子!それは言わない約束ですよ!」

慌てて反論するシオンだが、彼女の顔は真っ赤である。
それを見てさらにニヤリとする酒呑童子。

シオンも反論したいが、これ以上騒ぐと逆に自分が恥ずかしくなるため黙ることしかできない。

「シオンさんも隅におけないなぁ♪」

ルルもシオンをみながらニヤニヤしている。

「そ、そろそろ教会の方が帰ってこられるかもしれません…治療の準備をしなければ…」

シオンは真っ赤な顔を隠すように急いで教会の奥へと向かった。

「あれれ~?シオンが照れて逃げちゃったぞ♪」

ルルは笑いながらそう言う。

「フフ……あの忠義者のメイドにも、可愛い一面があるということだな」

酒呑童子も薄く微笑みながら応えた。

他愛のないやりとりをしていると瘴気が晴れたお陰で目を覚ました村長がやってきた。

「皆様、もしかしてこのサルヴを救ってくれた…フリムの方々では?」

「はい、あたし達はフリムから来たけど…」

「もしかして、貴女は緋色の竜狩りのルル様では…サルヴを救って頂き感謝申し上げます…」

深々と頭を下げる村長、そこへルミナとズィオも帰ってきた。

「おお、ズィオ神父、シスター・ルミナ!2人共よくぞ無事で…」

「村長さん!元気になったのですね!」

「はい、おかげさまで…ズィオ神父、シスター・ルミナ。村の為に、本当によく頑張ってくれました…2人共…ありがとうございます。」

村長は涙ぐみながら2人に礼を述べた。

「村長さま……村の皆さんの安全こそが私たちの望みでしたから」

「ズィオ神父、私が倒れた後のこと…お聞かせ願えますか?」

ズィオは村長に今までのことを話し出した。

ルミナとキャラバンの守備隊のおかげで村民に被害がなかったこと。

瘴気が発生した原因はサルヴ神殿に魔王軍の配下の者が現れ聖印の紋を奪い神殿を魔殿に堕天させたからということ。

神殿を奪還する為に魔王軍とルル達が戦ってくれたこと。

復天の儀を行い神殿を取り戻し瘴気を払ったこと。全てを話すと村長は礼を述べた。

「そうでしたか……まさか魔王軍がここまで来るとは……私共の力不足が悔やまれますが、このサルヴが守れたのはルル様方のお力添えがあってこそ……本当にありがとうございます」

村長は改めてルル達に向かい深々と礼をする。

そして迷宮の女神と酒呑童子に気づくと、再び驚きの表情を見せた。

「こちらの方々は一体……?」

「彼らも私達と一緒に戦ってくれた仲間よ!」

ルルが答えると、村長はさらに頭を下げた。

「なんと……ありがとうございます!」

村長の誠意ある態度に、酒呑童子も軽く一礼した。迷宮の女神は誇らしげに胸を張っている。
その様子を見て皆が笑顔になる。
こうしてサルヴ村には久々の平和な時間が訪れたのだった。

翌朝──。
村では早速復興作業が始まった。人々は疲れ果てた体を休めつつも、協力しながら倒木や瓦礫の撤去を進めていく。村長は負傷した村民たちを気遣いながら、自らも現場に立ち指揮を取っていたが作業の途中でルル達に気付き駆け寄ってきた。

村長はルル達にあらためて感謝を伝える。村を救ってくれたのになんのもてなしも出来ず心苦しいと告白する村長はサルヴの秘湯に入っていかないかと提案しルミナに案内するようにお願いするのであった。

村長は復興作業の手を止め、ルル達の姿を見つけるとすぐに駆け寄ってきた。

「おや?皆さん……!こんな朝早くから!」

「おはようございます!村長さん♪」

ルルが元気よく挨拶を返す。村長は皆の顔を見渡し、安堵の表情を浮かべると深々と頭を下げた。

「この度は本当に……言葉では言い表せないほど感謝しております。我が村がこうして再び生き返ることができたのも、ひとえに皆様のご尽力があればこそ……」

「いえいえ~♪私たちはただできることをしただけですから」

ルルが照れ臭そうに笑う。隣でシオンが小さく頷いた。

「それでもです!」

村長は少し感情的になりながら続けた。

「あなた方がいなければ、我々はあの瘴気に飲み込まれて全滅していたでしょう……村は灰となり、思い出は消え……何もかも……」
その目に涙が浮かぶ。言葉を詰まらせると、深呼吸をしてからまた穏やかな口調に戻った。

「今更ですが……何のお礼もできていないのが心苦しくて……」

「お礼なんていらないですよ。それに復興だってまだ始まったばかりじゃないですか!」

ルルは明るく答えたが、村長は首を横に振った。

「それでも何かさせていただきたくて……そうだ!サルヴには古くから伝わる秘湯があるんです。遠い昔より豊かな山と水の精霊によって守られた泉…その源泉を利用した天然の温泉なのです!」

「秘湯!?」
ルルと迷宮の女神が同時に目を輝かせる。

「はい!そこで疲れを癒していただきたいのです!」
村長は熱心に説明した。

「魔王軍との激闘でお疲れでしょうし……ぜひ入浴されてみてください。きっと皆さまの傷も癒してくれるはず!」

その提案にルルはぱっと表情を明るくした。

「おおぉ~!それは楽しみですね!」

「じゃあ決まりですね~♪」

迷宮の女神も乗り気である。

「妾も温泉でゆっくりしたいと思っていたところじゃ!」

「ただ……秘湯までは少し道が険しくて……」村長が懸念を口にすると、それまで黙って聞いていたルミナが進み出た。

「村長様!それなら私がご案内いたします!」
ルミナが自信を持って申し出る。

「ほぅ……シスター・ルミナが?頼もしいですね!」村長の表情が晴れる。

「サルヴのことは誰よりも詳しいと思います!特に神殿周辺はよく知っていますので安心してください!」

「それは良かった!」
村長は安堵の息をつく。

「では、よろしく頼みますね」

「任せてください!」

ルミナは凛々しい姿勢で応えた。

「ちょうど神殿から行く道もありますし……」

「決まりじゃな!」

迷宮の女神が高らかに宣言する。

「さて温泉へ行こうではないか!」

「行こう♪行こう♪」

ルルもワクワクした様子で続ける。

シオンと酒呑童子も静かに微笑んだ。

「では準備を整えてまいります」

シオンが小さな声で言うと、

「私も同行しよう」

と酒呑童子も腰を上げた。

「皆さん、どうぞごゆっくり!温泉でしっかり疲れをとってくださいね!」

村長は改めて頭を下げながら言った。

「ありがとうございます!行ってきます!」

ルル達は元気良く返事をして出発するのであった。

ルミナが先頭を歩き始めると迷宮の女神が軽快に続き酒呑童子も後に続いた。シオンは最後尾から皆を見守るように歩いていく。

こうして一行はサルヴ村の秘湯を目指し山頂を目指していく。その道中ルミナから聞くサルヴの歴史や自然についてなど色々なお話を聞きながら皆それぞれ楽しく会話を弾ませていった・・・

やがて霧深い森の中へと入っていくと不思議なことに少しずつ空気が清浄化されているように感じられた・・・
(おぉ~?なんだか空気が澄んでいるようなきがするのじゃ…?)
そんな風に思っているうちにようやく目的地へ辿り着くことが出来た!

目の前には湯気立つ大きな池のような場所がありそこにいるだけで暖かくなってくるようだ・・・そして中央付近には美しい鳥居が設置されておりその奥には……
「あそこが入口になります!さぁ行きましょう♪」
ルミナに導かれながら一行はゆっくりと進んで行った……その時一瞬だけ足元から柔らかい光が差し込んだような感覚があった……次の瞬間目の前に広がるのは美しい景色と癒される香り漂う素晴らしい空間だったのであった!!
「凄くいい雰囲気の温泉♪早速入ろうよ♪」


湯けむりが立ち込める秘湯。湯気の中に揺らめくのは美しい山々と澄み切った青空。まさに天国のような眺めだ。

「うわぁ~気持ちいい♪」
ルルは伸び伸びと手足を伸ばし湯船に身を沈めた。シオンも続いて入り、水面に映る自分の姿をちらりと確認しながら微笑む。

「ルル様の肌、とても滑らかですね……」
「えぇ?そんなことないよ~」

ルルは照れくさそうに髪をかき上げる。その仕草があまりに可愛らしく、シオンは思わず見惚れてしまう。

一方、迷宮の女神は少し離れた岩の上に座り、両手を頬に当てながら満足げに目を細めていた。
(はぁ~最高なのじゃ♪この絶景……ルルとシオンの美しい裸体……まさに二つの宝物なのじゃ)

「ムフフ~♪お主ら本当に綺麗な肌をしてるのぅ~♪ルルもシオンもなかなか良い乳をしておるしのぅ~♪おまけにくびれも尻も良くて堪らないのじゃ」

迷宮の女神が思わず漏らした言葉にルルは思わず飛び上がりかけた。

「女神様のエッチ!!」

「ほほう……照れているのか?ますます可愛いのじゃ♪」

女神は愉快そうに笑う。その時、酒呑童子が持参した徳利を片手に近づいてきた。

「迷宮の女神、あんたもなかなか良い趣味を持っているな」

酒呑童子は妖艶な眼差しで女性陣を見渡しながら酒を一口含む。

「鬼っ子…なぜ貴様がここにいるのじゃ?」

迷宮の女神が眉をひそめた。

「心外だな。ここは共同浴場だろう?ならば私ががいても構わんだろう」

酒呑童子は悪びれる様子もなく返す。

「もう!酒呑童子まで!ほんとにエッチ何だから…」

ルルが頬を赤らめながら抗議し体をお湯に隠す。酒呑童子は軽く肩をすくめた。  

「問題なかろう。それともこの美しい景色を独占したいとでも?」

その視線の先には霧に包まれた壮大な山並みと輝く川面が見える。

確かに絶景と言わざるを得ない。

ルルは困惑しながらも観念したように呟く。

「はぁ~……もういいや……せっかくだしゆっくりしようかな……」

一同はしばらく無言で湯に浸かる。聞こえるのは鳥のさえずりと湯の流れる音だけだった。温泉特有の硫黄の香りが心地よい。

「ところでルミナちゃんはどう?ちゃんとリラックスできてる?」

ルルが水着姿のルミナに声をかける。

「はい!お陰様で疲れが取れてきました。この温泉は治癒効果もありますし…」

ルミナは優雅に微笑み返す。シスターとして禁欲的な生活を送ってきた彼女にとってこうしたひとときは新鮮なものだろう。

「それなら良かった♪」
ルルも安心したように笑う。

一方で酒呑童子は静かに盃を傾けながら感慨深げな表情を浮かべていた。

(このような穏やかな時間……いつ以来だろうか)

彼にとっても珍しい休息の刻となっていた。

かつて血生臭い戦場で過ごした日々とは対照的な平和なひとときだ。

迷宮の女神もまたゆったりとした表情で遠くを見つめる。温泉の心地よさと共にルルとシオンの裸体も存分に堪能できたことで大変満足していた。

「ふぅ……極楽極楽なのじゃ♪」

迷宮の女神は満ち足りた笑みを浮かべる。

ルルはその様子を見て苦笑いを浮かべた。

「女神様、なんかおばあちゃんみたいだよ♪」

「何を言うか!妾はピチピチギャルじゃ!そういうこという奴はその可愛らしい乳を揉み解してやるぞ!」

逃げ出すルルを楽しそうに追いかける女神。

こうして再び楽しげな笑い声が響いたのであった。

一行はサルヴ村秘湯にてしばしこの世の極楽を味わうのであった。喧騒から離れ大自然の中で穏やかなひと時を過ごすことによってみんな心身共に癒されていた。それこそが冒険者達への最大の報酬でもあったのだ。

やがて日も暮れていき茜色に染まる空の下温泉から上がるルル達。ルミナが最後まで湯加減を確認しながら全員が上がって行く様子を見守っていた。そして温まった身体をタオルで拭き服を着替えた後改めて集まってみれば各々満ち足りた表情であった!
これからまた新たな旅路が彼女達を待ち受けているであろうが今だけは和やかな雰囲気で皆思い思い休憩したり談笑していた……

「あっ!シオン見て見て!星出てきてるよ!」

ルルが空を指差して言う。

「ホントですね……綺麗……」

シオンも空を見上げる。

温泉から上がった後も続く楽しい時間。今日という一日を振り返れば多くの出来事が起きたが今はこの静かな時を噛み締めながら次なる目標に向けて動き出すエネルギーとなっていることだろう。

酒呑童子もまた杯を傾けながら星空を見上げ思うところがあるようだった。一方迷宮の女神は相変わらずマイペースに鼻歌交じりで歩いている姿が見える。

ルミナはこれからもこの様な平和な日々が続く様に星空に祈りを込めるのであった。
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