原始時代に生き抜いた最強の戦士オクルトス

ジンクス

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三人目:魔王の娘ヘルクレア

王の代償

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全てが闇に包まれた空間に存在する魔宮殿。
その宮殿は魔界全土を統べる王族と、その配下だけが住める場所。

そしてその宮殿の最奥に魔王だけが座れる「王座」が存在する。
いま、その王座は この物語の主人公 ヘルクレアの父
アルクレストオブマイアの異名を持つ私の父、ダグゼスが座っている。

ダグゼスは王座に深く座り、眼を閉じている。

私は 王座に座る父の横に立ち、会議に耳をよせていた。

「さすれば、北の魔境から反逆者が来てるっていうのか?」
「ああ、確かな情報だ。俺も最初はびっくりしたさ、まさかアレを収めた王に刃向かおうってんだからな」

モノ共と私は、ちらりと王座の後ろに飾られている魔族の宝剣「ファントムダンサー」を見る。

その昔、まだダグゼスが王ではなかった時代。
魔剣に魅入られた魔族が、その剣に触れた瞬間に正気をなくし
全てを破壊しようとした。
その結果、空間が歪みを始め、全てを吸い込むブラックホールへと変貌した。

数えきれない程の魔族が吸い込まれ死に絶えたが

すべての魔族がどうすることもできなく、なすすべなく その場に踏みとどまる事しかできなかったが

そんな中、ダグゼスだけはしっかりとその両足を大地に立たせ仁王立ちで魔剣と向き合っていた。

その場に居合わせていた魔族たちは固唾をのんで見守った。

私を含めて他の魔族も全員、このダグゼスのように歩くことなど到底できなかった。

ダグゼスはゆっくりと魔剣に近づく。

この時、私は、私にだけはハッキリと見えるものがあった。

父は単純に歩いているワケではなかったのだ。

魔剣が放ち続ける膨大で強大な魔力の波に逆らうように自らも魔力を発して反発していたのだ。

ダグゼスが剣の前に立ち、その柄に触れた瞬間に世界に亀裂が入り始めた。
無尽蔵にあふれ出す強大な魔力に、世界という器が限界を迎えようとしていたのだ。

ダグゼスが剣の柄を両手で握り締めた瞬間に、ダグゼスの両肩、背中、ふとももが瞬間的に裂傷し
魔剣とダグゼスを中心に衝撃波が発生しはじめる。

ダグゼスが眼を見開き、歯を食いしばって両手に己に存在する全ての魔力を注ぎこんでいった。

すると、次第に世界の亀裂と、ブラックホールは みるみるうちに閉じていく。

魔界は元の姿に戻りつつあるが、魔剣がそれに抗うように、どんどん魔力の放出を強めていくのを感じた。たとえるならホースから水を出したときに、口をつねって出すか出さないかの違いみたいなものだ。

世界が元通りになるにつれて、魔力の放出が鋭くなっていく。

ダグゼスは体中に数えきれない程の切り傷が増えていく。

ここまで来て初めてダグゼスが死力の声をあげる。
「我が名はダグゼス!!我こそは魔界随一となる存在なり!
聞け!!魔剣よ!そして、今一度我が魂に震えよ!!!!!!!!!」

その声に反応するように魔剣は光始める。
白い光、そして刀身はピンク色に発光していった。
魔剣が持ち主を認めた時、その剣の本当の力が発揮されるということが その時
初めて判明したのである。

魔剣の暴走が納まると魔族達はダグゼスを魔王として崇めた。


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