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三人目:魔王の娘ヘルクレア
別次元の私7
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ベッドで仰向けになっている私の横に、全体的に藍色の綺麗に折り畳まれた制服が置かれていた。
私はその制服の生地を指先で触りながら夢の事を考えていた。
夢の内容はあまり思い出せない、ぼんやりと覚えているのは
夢の中で出会った人物が、私を見て「ミツケタ」と言っていたような気がする・・。
私の記憶に関係することだったのだろうか。
胸のボタンを閉めているときに違和感に気づく。
「この服、少し小さい・・・」
服を全て着た私は、朝食を取るべく一階に降りる。
一階に降りるとテーブルに終夜が朝食を運んでいる所だった。
私の姿に気づくと終夜は手を止めて
「おお、よく似合っているね」
「ありがとう、でも少し窮屈」
「あれ・・おかしいなぁ・・・普通サイズよりも少し大きめにしたつもりだったのだけど」
「大丈夫」
そう言うと私は席についた。
今朝の朝食は、1つの皿に生野菜、ウインナー、目玉焼き。
そして別の皿にこんがりと焼けた食パン。
朝食の定番といった感じだ。
ちなみにこのウインナーはお店に売られている物ではなく、終夜が自分で作ったウインナーだそう。
たぶんシカかイノシシか・・・どちらかの肉で作られているに違いない。
私はウインナーにフォークを突き立てると肉汁が溢れた
そのまま口に運び、一口かじる。
「・・・おいしい」
狩猟した肉は、しっかりと血抜きという作業を完璧にこなさなければ
食肉にしたときに肉自体が臭くなるというが、終夜の作った肉には臭みなどは一切なかった。
完璧な仕上がりのウインナーがそこにあった。
朝食を食べ終えると、すっかり登校時間となってしまった。
玄関に私の鞄が見える
「準備もせずに、そのまま寝てしまっていたようだったからね、僕が準備をしておいたんだよ」
黒塗りに少し茶色が混ざったような皮靴を履き、鞄を拾い上げ
「いってくる」
外に出て、ちらりと玄関を再び見ると、笑顔で手を振っていた。
すっかりフリルの後姿が米粒のように小さくなったのを確認すると終夜は玄関のドアを閉めた。
「さーて・・フリルちゃんが脱ぎ捨ててる服を洗いますかね」
そう言うと終夜はフリルの部屋にあがる
案の定、思っていたとおり服は脱ぎ散らかしてあった。
「ふぅ・・・女子力っていうのを教えたほうがいいのかな・・」
脱ぎ散らかしてある服を拾い上げると同時に、1つのことを思い出す。
「あ・・・しまった、そういえばドレス洗濯機に入れたままだぞ」
終夜は服を手に脱衣所に入り、洗濯機を開けると驚いた表情をした。
「あちゃぁ~・・・もしかしてこのドレス、色落ち激しいやつだったのか??」
見ると、水が透明ではなく、真っ黒い水になっていた。
水溜りの中からドレスを救い上げるとドバドバと雫、水が滴り落ちた。
その色は赤色の雫をしたたり落としている。
「よかった、かなり色が出てるみたいだけど、ドレスは真っ黒のままだ
でも、この色・・赤色・・?真っ黒だと思っていたけど、赤色なんだろうか?」
終夜は疑問に思ったが、あまり深く考えずに洗濯機の水を排水溝に流すと、ドレスを干しに向かった。
私はその制服の生地を指先で触りながら夢の事を考えていた。
夢の内容はあまり思い出せない、ぼんやりと覚えているのは
夢の中で出会った人物が、私を見て「ミツケタ」と言っていたような気がする・・。
私の記憶に関係することだったのだろうか。
胸のボタンを閉めているときに違和感に気づく。
「この服、少し小さい・・・」
服を全て着た私は、朝食を取るべく一階に降りる。
一階に降りるとテーブルに終夜が朝食を運んでいる所だった。
私の姿に気づくと終夜は手を止めて
「おお、よく似合っているね」
「ありがとう、でも少し窮屈」
「あれ・・おかしいなぁ・・・普通サイズよりも少し大きめにしたつもりだったのだけど」
「大丈夫」
そう言うと私は席についた。
今朝の朝食は、1つの皿に生野菜、ウインナー、目玉焼き。
そして別の皿にこんがりと焼けた食パン。
朝食の定番といった感じだ。
ちなみにこのウインナーはお店に売られている物ではなく、終夜が自分で作ったウインナーだそう。
たぶんシカかイノシシか・・・どちらかの肉で作られているに違いない。
私はウインナーにフォークを突き立てると肉汁が溢れた
そのまま口に運び、一口かじる。
「・・・おいしい」
狩猟した肉は、しっかりと血抜きという作業を完璧にこなさなければ
食肉にしたときに肉自体が臭くなるというが、終夜の作った肉には臭みなどは一切なかった。
完璧な仕上がりのウインナーがそこにあった。
朝食を食べ終えると、すっかり登校時間となってしまった。
玄関に私の鞄が見える
「準備もせずに、そのまま寝てしまっていたようだったからね、僕が準備をしておいたんだよ」
黒塗りに少し茶色が混ざったような皮靴を履き、鞄を拾い上げ
「いってくる」
外に出て、ちらりと玄関を再び見ると、笑顔で手を振っていた。
すっかりフリルの後姿が米粒のように小さくなったのを確認すると終夜は玄関のドアを閉めた。
「さーて・・フリルちゃんが脱ぎ捨ててる服を洗いますかね」
そう言うと終夜はフリルの部屋にあがる
案の定、思っていたとおり服は脱ぎ散らかしてあった。
「ふぅ・・・女子力っていうのを教えたほうがいいのかな・・」
脱ぎ散らかしてある服を拾い上げると同時に、1つのことを思い出す。
「あ・・・しまった、そういえばドレス洗濯機に入れたままだぞ」
終夜は服を手に脱衣所に入り、洗濯機を開けると驚いた表情をした。
「あちゃぁ~・・・もしかしてこのドレス、色落ち激しいやつだったのか??」
見ると、水が透明ではなく、真っ黒い水になっていた。
水溜りの中からドレスを救い上げるとドバドバと雫、水が滴り落ちた。
その色は赤色の雫をしたたり落としている。
「よかった、かなり色が出てるみたいだけど、ドレスは真っ黒のままだ
でも、この色・・赤色・・?真っ黒だと思っていたけど、赤色なんだろうか?」
終夜は疑問に思ったが、あまり深く考えずに洗濯機の水を排水溝に流すと、ドレスを干しに向かった。
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