逆愛-gyakuai-

槊灼大地

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逆愛Ⅴ 0.5《洸弍side》

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毎年恒例の林間学校。



夏休みに姉妹校の生徒会メンバーを全員集めて交流を深めるというもの。



当然、大空もいる。



出来ることなら参加したくなかった。



大空を見たくなかった。



苦しくて、どうしたらいいか分からないから。



必要最低限関わらないようにしよう。





「缶蹴り?」


「そうだよ!だって交流を深めるんだからゲームしないと」



FI学園の天野とKY学園の古蒔楼くんが今回の司会役。



研修メニューは二人で決めてるはずなのに言い合いをしている。



「おい…ジロ…それ打ち合わせで言ってないだろ」


「だってさっき思い付いたんだもん。缶蹴りってやったことないからやりたい!庶民の気持ち知りたい」


「あのなぁ…」



冷静な天野も、古蒔楼くんには勝てない。



「いーじゃんマコちゃん!」


「まぁ…いっか」




そんなわけで、缶蹴りが始まった。



【ルール】

・決められた場所に缶を置く

・始めに鬼が10秒数える間に他の人は隠れる

・鬼は隠れてる人を見つけたら、その人の名前を呼んで缶の位置に戻り缶を踏みつける(その人は鬼につかまりゲームオーバー)

・鬼がいない間に誰かが缶を蹴ると鬼の負け

・鬼が全員見つけて缶を踏むか、缶が誰かに蹴られたらゲーム終了



「鬼は僕ね!マコちゃんにも、嵐くんにも勝つ」


「手強い子が鬼かよ…」


「手加減してやれよジロ」


「やーだよ」







古蒔楼くんが鬼になり、缶蹴りスタート。




「いーち、にーぃ…」




皆ダッシュで隠れる。




俺も隠れる場所を探して走ってると、左目のコンタクトが落ちた。



「痛っ…マジかよ」




コンタクトを探そうか隠れようか悩んで立ち尽くしていると、誰かに手を引っ張られた。






「何やってんすか。早く隠れないと負けますよ」






そいつは俺の手を引っ張って誘導し、柱に隠れた。



聞き覚えのある声。





「大空…」



壁に俺を押し付けて、俺を隠すように大空が覆い被さり鬼の動きを見ていた。



俺の目の前には、大空の胸板。



走ったからか、息が荒く鼓動の速さが伝わる。




「うちの学校で誰か一人でも負けたら豆腐食わせるって言われたんで、絶対勝ちましょう」



あぁ、だから助けてくれたのか。



こいつ豆腐嫌いだもんな。


「マジで古蒔楼くん鬼っすよ。色んな意味で…」


「短距離走は全国の中学で1位だからな」


「まぁ…50mは俺でも負けますよ。ただ、200mからなら俺は余裕で勝てますから」



だからこの距離で隠れてるってわけか。



大空も足は速いもんな。



去年の体育祭は女子にキャーキャー言われてたな。



ただの変態なのに。



それでも抱かれてた頃は幸せだった。



楽しかった。
温かかった。




傍に居れるだけで良かった。



この胸板を通して聞こえる大空の鼓動を何度聞いたか。



懐かしい雰囲気。




「洸弍先輩?」



大空に呼ばれ顔を上げてしまった。



ダメだ。
泣きそうになる。




「コンタクトが落ちて目が痛ぇ…」


「大丈夫ですか?」




大空が左手で俺の頬を触る。



手から伝わる体温が愛しい。




見つめ合ったまま沈黙が続く。










「洸弍先輩、俺のどこが嫌いなんですか?」










嫌いなところなんてあるわけない。



だから俺は口を開かなかった。



好きだよ。
好き過ぎて辛いんだ。








「10数えても言わない場合は、キスします」







嫌いなんかじゃない。



お前しかいらないのに。




でも、ここで好きだと言ったら大空は…




10


9


8


7


6


5


4



3



2













「嵐くん見ーっけ!」







瞬間、古蒔楼くんが大空を見つけて缶へと向かっていった。




「マジかよ!」




大空は俺の頬から左手を放し、慌てて古蒔楼くんを追いかけていった。






胸が、ドキドキしてる。



あのままキスを待ってた俺は、やっぱり最低な先輩だな。





近くに居ると欲しくなるから、




だから早く林間学校が終わることを願った。



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