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逆愛Ⅷ《洸弍side》4
しおりを挟む「やめ…放せ!放せよ!放…!!」
嫌だ。
怖い。
いつも幻影に魘される。
泣いて叫んで抵抗したって、
いつもそこには大空がいないんだ。
「や、だ…!大空ぁ…大空ぁっ!助け…」
お前が好きなのに、
好きじゃないやつに抱かれて、それを見られて、
苦しくてたまらない。
お前が好きだって伝えたかったのに、
―…大空はいない
「大丈夫。俺、ここに居ますから」
大空は俺の手を開放し、グイッと引き寄せて抱きしめた。
髪を撫でて、背中を摩って力強く包み込んだ。
「大…空?」
「はい。居ますよ、ここに」
夢を見ているようだ。
雨の降る暗い部屋に大空はいないのに、目の前にいるのは確かに大空だ。
もしかしてまた夢が覚めてしまう気がして、俺は大空の背中に両手を回して抱きついた。
息が吸えないくらい泣き過ぎて過呼吸になる俺を、大空は落ち着くまで抱きしめていた。
「落ち着きました?」
何分かして我に返った。
夢じゃない。
大空が俺の顔を触ろうとした瞬間、俺は更に大空の胸に顔を埋めて抵抗した。
「…顔見んな」
目の前に大空がいることが嬉しい。
俺が大空を好きになっても、大空は追放されない環境になった。
帝真がいるとしても、それでも俺の気持ちを知って欲しいと思った。
でも困るだろうな。
もう好きな奴がいるのに、前に好きだった奴から告白されたら。
でもさ、大空
俺はこんなに人をちゃんと好きになったことがないんだ。
「大空…」
「はい」
「俺は今からお前を困らせることを言う」
だから今は困ってくれ。
ちゃんと真実を知ってさえくれればいい。
想いがもう通じなくてもいいから。
「大空が好きだ」
散々嫌いって言っておいて、「好き」なんて言っちまった。
恥ずかしくて顔が上げられない。
大空は俺の頭の上に顔を乗せて、俺を抱きしめている。
「俺のこと嫌いなんじゃないんですか?」
大空の質問に戸惑った。
しばらく沈黙が続き、雨の音が増す。
もうここまできたら、真実を言ってもいいよな。
そう思って口を開いた。
「足利槞唯に、お前を好きになったらお前をこの学園から追放させるって言われた」
でも、お前は帝真が好きなんだよな。
知ってるよ、もう遅いって。
「だから言えなかった。好きって言えばお前が追放されるから」
でも知って欲しいから。
「本当は好きだったんだよお前が」
お前を傷付けたのは、お前を守るためだって。
「何で本当のこと言わなかったんですか…俺、追放されても構わなかったのに」
「お前に会えなくなるくらいなら、俺は自分の気持ちを押し殺す…好きなんだよお前が」
あぁもう。
顔を上げたら大空は困ったような顔をしてるんだろうな。
好きじゃない奴からこんなこと言われても今更困るよな。
ただ、知ってもらえるだけで軽くなるから。
お前が手に入らないのは知ってるから。
これで満足だよ。
「俺も好きです」
大空の発言に、埋めていた顔を上げて大空を見つめた。
「本当に…?」
ウソだろ?
「だってお前には帝真が…」
「竜は先輩の身代りになってくれただけで、恋愛感情は無い親友ですよ。図書室以来、してないです」
帝真は親友?
俺の身代り?
―…大空が好きなのは
思考が混乱している途中で、大空は俺の唇を再び奪った。
そんな中、俺の携帯電話が鳴った。
「いいんですか?携帯鳴っ…」
それどころじゃない。
大空がキスを止めると、俺は無意識にキスを再開した。
舌を絡めて、抱き合って。
欲しかった。
ずっと俺は大空が欲しかったんだ。
「先輩、俺の部屋行きましょう」
「バカ…鍵が無ぇだろ」
大空はポケットから過去資料室の鍵を取り出し、部屋の鍵を開けた。
「お前っ…持ってたのかよ鍵」
「先輩と一緒に居たかったんで」
そして大空の部屋へと向かい、過去資料室を後にした。
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