天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa

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〜スカーレットの誕生日会とエンターテイナー〜

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 そしてスカーレットの誕生日の当日を迎える。

 朝からバタバタと屋敷はせわしない。俺達も貴族が来る誕生日会用の服装を用意してもらい,着慣れない服に袖を通す。

 「おいカナデ,どうじゃ?」
 「クロエ似合う似合う!」
 俺はクロエの言葉を流した。

 「カナデ~窮屈じゃね? この服装」
 「我慢しろロイ」
 俺は少し緊張していた。

 「なんじゃカナデ緊張しているのか?」
 「ああ,そうらしい」
 「なんだよ最高の貴族飯食えるんだから喜べよ」
 「ああそうだな」
 ロイの頭をクシャクシャと撫でる。

 しばらくすると,屋敷に続々と様々な人達が訪れる。
 バーンとカミラはお客さん達の相手でとにかく忙しそうだ。

 そして誕生日会が始まる。屋敷の裏庭にある広大な庭にテーブルと椅子が並べられ,こういった誕生日会では珍しいらしいが,外で行われた。
 辺りはすでに暗くなり,夜になっている。高台にある為か星々が綺麗に見え外で食事するには最高のロケーションだった。

 「おいおい二人共しっかりしてくれよ! 俺達の出番はこれからだぞ!」
 「大丈夫じゃよカナデ」
 「だいじょ%&」
 クロエは酒をロイはたらふく食事を食べている。
 
 「それにしてもビッククラブ最高に美味じゃな。酒にも良く合う」
 「ほん%$#&」
 「ロイ何言ってるのか全くわかないよ」
 俺はスカーレットの為の演奏の準備を始める。

 「よしそろそろ二人共行くぞ!!」
 「「おお」」

 港街特有の新鮮な魚介類の食事,俺達が捕まえてきたビッククラブの料理にも皆舌鼓したつづみを打っていた。食事も酒も同時に堪能たんのうしてる中でメインディッシュが始まる。

 ロイが皆の前に出て,大きな声で言葉を発する。
 「さあさあ皆さん!! 今日はスカーレット様の誕生日会にお越しいただきまして誠にありがとうございます。それでは本日の主役であるスカーレットに様に登場して頂きましょう。全員度肝抜かれるなよ」

 俺は演奏を始め出す。
 「♫~♫♫♪♪♫♫♪♪♫♫♪♫♪」
 ショパン作曲『エチュードop.10-1』
 スカーレットの登場を華やかに彩ろうと思う。

 演奏が始まると,裏庭から屋敷へと続く長い階段の上に純白のドレスを着たスカーレットが屋敷から姿を現す。
 初めて見た時の印象のスカーレットとは全く違い,とても素敵で綺麗だった。

 クロエがパチンッ! と指を鳴らすと,階段の両脇から炎の円柱が盛大に灯る。燃え盛る炎の中スカーレットは一歩一歩階段を降りてくる。

 青い長いカーペットをつたって降りてくる。
 両脇の炎の円柱の横を通ると,スカーレットの背中から水で出来た水龍が現れ,炎を消していく。一歩一歩階段を降りる度に純白のドレスが少しずつ蒼く染まっていく。

 音楽と共に長い階段を降りてくるスカーレット。何度も水龍が現れ炎を消していく。
 最後まで階段を降りると,スカーレットの姿を消すように煙が出てきた。

 煙の中からスカーレットが姿を現すと,純白だったドレスが蒼いドレスへと変わっていた。

 最後に水龍が空へ飛んでいき,空で弾けるとキラキラした光が落ちてくる。
 まるで空から星が落ちてきたかのようだった。
 「皆様,本日は私の成人の誕生日にお集まり頂きまして,誠にありがとうございます。私共の街チェスター,そして今日の誕生日会を心ゆくまで楽しんで下さい」

 訪れていた貴族達は微動だにして動かない。
 クロエが拍手をすると,ハッとしたかのように皆拍手をする。

 誕生日会の続きが始まった。
 間髪入れずに俺は続けて演奏をする。

 「♫~♫♫~♫♫,♫♫,♫♫~♫♪~」
 ショパン作曲『華麗なる大円舞曲』
 今日のような華やかな夜会にはもってこいの曲だ。
 スカーレットの誕生日会の成功を祈願して心から演奏する。

 その後,ライムと共に様々な曲を演奏した。

 クロエはピアノの前に陣取り,酔っ払っていた。
 ロイは横で食いすぎて動けないようだった。

 スカーレットは色んな人達に話しかけられている様子だった。
 どうにか誕生日会は上手いったと思う……いや! きっと上手くいった。

 今日の演出に関してはクロエのおかげだった。純白ドレスが蒼くなったのも幻術魔法でそう見えるようにしたのだった。
 炎と水もクロエの魔法おかげで,煙もそうだった。それにしてもクロエは本当に凄い奴なんだとついつい忘れてしまう。たまには感謝してやろうと俺は思った。

 スカーレットの誕生日会はなんとか終了した。
 後片付けをしていると,スカーレットが俺達の所へときて感謝の言葉を述べた。

 「カナデさん今日はありがとうございました。本当に助かりました。おかげでとても素晴らしい誕生日会を行う事が出来ました」
 「クルクル姉ちゃん今日綺麗だったぞ」
 「ありがとうロイさん」

 「いいのじゃいいのじゃ! それにしても良かったのスカーレット。思っている以上に素晴らしかったな~」

 「クロエの魔法が凄かったな。まさかあんな幻想的な事になるとは」
 「カッカッカ! それだろ? そうだろ? もっと褒めんか」
 
 「よっ! 流石天才クロエ様です!」
 酔っ払っているから更に調子に乗っているクロエ。

 バーンとカミラも来て感謝された。
 「本当に今日はありがとうございました。おかげで色々な貴族や人達と交流を持つ事が出来ました。我々もやっと貴族の仲間入りをする事が出来たと思います! 娘のスカーレットの縁談もいくつか来まして,これからもっと家もこの街も発展させる事が出来ると思います」

 「俺達はそんなに大した事はしてないです。それにこの街を見て回ったとき,皆がスカーレット嬢の誕生日を自分の事のように喜んで祝っていました。その姿を見ただけで,どれだけこの街にマルガレータ家が愛されてるのか分かります。政略結婚なんてしなくてもこの街はこれからどんどん発展してきますよ」

 「なんだよクルクル姉ちゃん結婚すんのか?」
 「そんなすぐにする訳ではないだろうけど,いつかはそうなるんじゃないのか」
 「なんだそっかぁ……」
 「あれ? なんだロイ。お前」
 「馬鹿ちげ~よ!」
 「へぇ~~まあいいけど」

 「カナデのくせして!!」
 「なんじゃ二人して,余も混ぜろ! 楽しそうじゃな」

 俺達は誕生日会を上手く終えたのだった。

 次の日の朝,朝食を食べている最中に……
 「バーンさん俺達明日にもこの街を離れようと思っています」
 「カナデもうか?? もうちょっと居たかったのじゃが」

 「十分楽しんだだろ。別れるタイミングを逃すと,どんどん別れられなくなるから」
 「貴族飯も屋台も美味かったのにな~」

 「そうですか……私達はカナデさんに感謝しておりますから,いつまででも居てもらっても構わないと妻と話しておりましたが,仕方ありませんね。でしたら明日に報酬の支払いをさせて頂きます」
 「わかりました」

 「カナデさん達そんな急に旅立つんですか? 急な旅なんでしょうか?」
 「急な旅ではありません。ですが,居心地がいいとずっと居てしまいそうで,俺自身の本来の目的を見失いそうになってしまうので,その前に旅立ちたいと」

 「旅の目的とは何なんでしょうか?」
 「そうですね……音楽という文化を広める事と楽しむこと,そして俺自身の演奏家として成長する事ですかね」

 「そうなんですね……カナデさんまたこの街に来て頂けますか?」
 「勿論ですスカーレット嬢。それに他の二人と一匹がきっとまた来たいって言い出します」

 「確かにまた来たいのじゃ」
 「屋台全制覇してないしな! また来るぜクルクル姉ちゃん」
 「わかりました」

 俺達は朝食を済ませると,それぞれ自由な時間を過ごした。
 ロイとクロエは街に出て,屋台を巡りに行った。

 俺は久々にゆっくりした時間を過ごした。一人でピアノとヴァイオリンを弾く。
 マルガレータ家の料理長にお願いして,ライムに料理を手伝わせる事にした。料理の腕が上がって,レパートリーが増えたら良いなと目論んでいる。

 この世界に来て,初めて一人で演奏をしているかもしれない。いつも誰かが居たりどこか騒がしい場所で弾いている事しかなかった。
 一人で弾いて驚いた事は自分の耳でもはっきり分かるほど音が変わった。それは良い事だと信じたい。でも俺自身変わってきているという事なんだろうと思う。

 俺は集中しきって,気付くと夕方になっていた。
 限界までハシゴしてきた,クロエとロイが戻ってきた。ライムもいつの間にか戻ってきていて,俺達は風呂に入り,最後の貴族飯を堪能した。
 皆腹いっぱいで遊んだからか,すぐに眠りについた……

 「カナデさんこれが今回全ての報酬になります」
 「ありがとうございます」
 とてつもなく大量のお金が入っているのが分かるほど膨れた袋を渡された。
 「それとですね。こちらも是非もらって下さい」
 見るとそこには馬車があった。

 「馬車ですね。これも頂いていいんですか?」
 「ええ勿論です。スカーレットに聞いたら,歩いて移動していたと聞いたので,馬車があれば何かといいと思いまして」

 「確かにありがたいですが……馬を操る事が出来る人がいないんですよ……」
 「なーにそんな難しくないです。ちょっとやれば出来るようになります」

 「はいはーい! オイラ操縦したい!」
 「ロイ操縦するのか?」
 「やるよ」
 「それじゃあ今から少し練習させましょう」

 「ロイ,ライムも一緒に連れて行け。ライムもよく覚えておくんだぞ」
 ロイはライムを連れて馬車を操縦の練習をしに行った。

 そんな時間が経たないで,ロイが操縦しながら馬車が戻ってきた。
 「どうだった??」
 「意外と簡単だったぜ。なあ? ライムもそう思うだろ?」
 ライムも動いて反応している。

 「じゃあ馬車の操縦はロイとライムにしばらくは任せようかな。その間に俺も覚えるよ」
 「ではそろそろ俺達は行きます!」
 「ありがとうございましたカナデさん。いい旅を」

 「カナデさん本当に色々とありがとうございました」
 「スカーレット嬢もお元気で」

 「じゃあそろそろ行くぞー!」
 ロイが馬車を動かし,俺達はチェスターの街を出る。
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