小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

yuraaaaaaa

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決戦・後

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 俺達は今、狭い山道を進んでいる。
 遠くには馬の足音と、砂塵が舞っている。
 ベラトリアの軍が行軍しているからだろう。

 「ジャン、こんな場所進んで相手を追うことに意味あるのか? 戦える場所なんてあんのか?」
 (アウグスト辺境伯が持っていた地図によると、この道の先は平地に続いている。そこで応戦出来ると思う)

 「ふ~ん。まあいいけど……」
 アウル軍は進軍していく。

 山岳を進んでいき山をひとつ越え、断崖に囲まれた真っ直ぐ続く道を進むと、開けた場所に辿り着いた。

 しかし、その場所は平地などではなく、大きな大きな闘技場のように周りは断崖に囲まれ、すでに到着していたベラトリア連合国の軍が待ち構えていた。

 (おいジャン。平地なんかねえぞ)
 (いや……そんな――)

 その断崖の上からさらに兵士が現れる。どう見ても味方ではない。

 「ガッハッハ!」
 大きな笑い声が聞こえてくる。

 「お前がロア王国の三傑の一人、ジャン・アウルだな! 私の名前はヴァリック! お前をここで仕留めさせてもらう!」
 その声の主は大きな体格をしていてヴァリックと名乗った。今回の総大将の名前だ。

 「おいおい……どうなってんだよ……」
 頭の中は、疑問しか浮かんでこない俺。

 戸惑っているその時だった――。

 「放てーーーーーー!!」
 ヴァリックが大きな声で指示をすると、空一面の色が変わるほどの矢が降ってきた。

 これはどうみてもまずいと思った瞬間、とつもない突風が巻き起こり、全ての矢が風によって弾き飛ばされ断崖に刺さる。

 般若のお面を飛ばないように抑え、お面と指の間から俺の前に見えた姿は、グロッセだった。

 「ジャン様! 逃げてください! ここは俺が止めます!」
 それは突然だった。

 「何言ってんだよグロッセ!」
 俺は叫ぶ。

 「早く! 時間がない! 俺の部隊が殿を務めます! ジェイド大将ーーー!!!」
 「ジャン様を連れて行って下さい! 早く!」

 「分かった……私の兵も三百残していく。グロッセ殿は頼んだぞ!」
 「任せて下さいよ大将!」
 グロッセは大剣を構える。

 「おいおいおいおい! 本当になに言って――」
 「全速力で逃げるよジェイド!!」

 「グロッセ貴様……また手柄を持っていくのか!」
 「リリアか。お前も早く逃げろ……ジャン様を頼んだぞ」
 「お前に言われるまでもない。主様は私が守る」

 「早く逃げやしょうドクター!」
 「にっげろ! にっげろ!」

 「グロッセ!!」
 「ジャン様! 褒美は期待していいっすよね!?」
 「勿論だ。なんでも言っていいぞ」

 「そりゃあ楽しみだな! お前ら行くぞーー!!」
 「「「おおおおおお」」」
 グロッセの部隊が突撃していく。

 「全軍退却ーー!!」
 (おい! ジャン! グロッセおいて逃げんのかよ!)

 「逃がすなーーーー!!」
 ヴァリックの声も聞こえる。

 全速力で逃げようとしても道々の断崖には伏兵が潜んでいた。
 上から矢や大きな岩でアウル軍に攻撃を仕掛けてくる。

 「ジャン様を護れーー!!」
 盾を持った兵士達が追走し、ジャンを攻撃の雨から護る。

 それだけではなく、断崖の上から相手の兵達が駆け下りてくる。
 何故こんな状況になってしまったのか、俺には全く分からなかった。
 今はとにかく逃げるしかなかった。

 断崖に囲まれた道を抜け、山道を急いで進んでいく。

 「ジャン様ーーーー!!!!」
 山に生えている木々に兵が忍んでいて、そこから飛びかかって斬りかかってくる連合国軍兵士が。
 ジャンは対応が遅れ、一撃を食らってしまった……。
 「主様ーー!!」
 リリアがその兵士を斬り伏せる。

 般若のお面は割れ、顔の左側に深い切り傷が。
 致命傷ではないが、血が流れ出て、顔の左半分が血だらけになった。

 「主様大丈夫ですか??」
 「リリア助かった……とにかく早く逃げるぞ!」

 どこに隠れていたんだと言いたくなるほど、ベラトリア連合国の兵士が現れ襲ってきた。
 ジャンを護るように四方を兵士が追走し、さらにリリアとジェイドが近くを護る。

 とにかく逃げ切る事だけに専念し、馬を飛ばすジャン。
 ……。

 やっと最初に戦っていた荒野まで来る事が出来た。
 ジャンは後ろを振り返る。

 「追っては来ていないようだね」
 「ジャン様! 油断してはいけません。ここにも伏兵が潜んでいるかもしれません!」
 「ああ分かってるジェイド。ロッカーラまでこのまま突っ走るぞ!」
 馬の速度を緩めずそのまま走っていく。

 行きよりも帰りの方が時間は早く感じるものだが、とてつもなく長く感じる。
 
 パンッパンッ! パンッパンッ!
 遠くで大きな音が四回鳴る。
 アウグスト辺境伯からの合図で、撤退の合図だった。

 「ジェイド、リリア! エルガルド、テディもいるか? このままロッカーラまで戻るぞ!」
 「「はっ!」」

 「アイアイサー」
 「了解ドクター」

 そのまま突っ走り、夕方になる前にロッカーラに到着する。
 
 四回音が鳴った合図は、戦に勝ったという意味も込められている。
 なのでロッカーラにいるアウグスト軍は、戦勝した事を祝って酒盛りを始めていた。

 そんなアウグスト軍とは対照的な疲弊したアウル軍が到着する。
 「……ジェイド、僕らの兵士達はどの位の数が今いる?」

 「グロッセと共に残した兵は千三百です。今ここにいるのはざっと千五百位でしょうか……」
 「分かった……僕は今から辺境伯の下へ行ってくる。兵士を休ませてやってくれ」
 「かしこまりました」

 ジャンは馬から降りて一人でアウグスト辺境伯のいるテントへと向かう。
 テントの近くまで行くと、中から笑い声が聞こえる。

 「失礼します! ジャン・アウル戻りました! 中へ入ってもよろしいでしょうか?」
 「どうぞー!」
 辺境伯の声にジャンは反応し、テントの中へと入った。

 「子爵のおかげで今回の戦は楽に勝つことが出来ました。ありがとうございます! あれ? 怪我しているんですか? 大丈夫ですかな?」
 にこにこと気持ち悪い笑顔を浮かべてジャンに近寄ってくる辺境伯。

 腰に備えているダガーを一本手に取り、アウグスト辺境伯に向けるジャン。
 その瞬間、辺境伯の近くにいた二人の兵士が剣を抜き、ジャンに敵意を向けて構えた。
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