小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

yuraaaaaaa

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決戦・前

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 「おいおい。なんでここの地面だけこんなに濡れてんだよ!」
 目の前に広がる荒野の地面は、何故か豪雨が降った後のようにぬかるんでいた。

 「ジャン……これどういう事だよ」
 (相手がした事なのは間違いないと思うけど……どうしてなのかはわからない)

 「ジャン様、これは一体どういう事なんでしょうね……」
 「わかんねぇ~よ。取りあえず始めてみりゃあ分かるだろうよ」

 「行くぞーー!!」
 俺の号令と共に全軍を突撃させた。

 相手はこちらの様子を見て、軍は動かさずに飛び道具を使ってきた。
 空から何百という弓矢が降り注ぐ。

 「テディーーーーー!!!!!!!」
 「はいはい! ドクター! ドクドクオッぺーパイ!」
 テディが地面に両手を突き、魔法を使う。

 地面から土魔法による大きな壁を出してもらうつもりだったが、壁は途中で崩れてしまった。
 「あれれ~? おかしいぞ~? ドクター! 壁が造れないよぉ~」

 「「「「うがぁぁあぁぁぁ」」」」
 壁を造れなかった事で矢を防ぐことが出来ず、矢の雨がアウル軍を襲った。

 「矢を防げーー!!」
 「避けろーー!!」
 ジェイドの雄叫びが上がる。

 あちこちで兵士達が矢によって負傷していく。

 「クソがッ!! クソ! クッソーーー!」
 俺は怒りに任せて、回復魔法を広範囲に使った。
 辺りの景色が新緑の色に包まれて、怪我した兵士達の傷口が回復していく。

 「ジャン……頼んだ……」
 俺は意識を飛ばした。


 (…………ジャン? 戦はどうなった?)
 「ユウタ起きたの? どうにかなったよ……」
 (どうにかとは?)
 「ユウタが気絶した後、すぐに後退して立て直そうとしたけど、待ってましたと言わんばかりに相手は突撃してきて乱戦状態になったんだよ。皆が踏ん張ってくれて壊滅にならずに済んだ戦いだったよ……。一日目が終了して、今から分隊長を呼んで軍議をする所だよ」

 (悪いジャン。俺が思いつきで突っ込んだせいで……)
 「いや、軍が突撃したことで色々と分かったことがあるよ」
 (ん? それはどういう?)
 「それについては後で――」

 「失礼します!」
 テントを潜って分隊長達が現れた。

 「待ってたよ皆。明日以降の戦いについてなんだが……それよりもまずは、戦って分かった事がある。相手は僕達の情報を詳細に知っている。という事が今日の戦いで分かった」

 「地面が濡れていたのは、テディの土魔法を知っていて、対応したんだろう……それに弓矢などの長距離での攻撃が多かったのは、僕達の軍が接近戦には強いことを知っていたからだと思う」

 ジャンが話す内容を、テディ以外は真剣な表情で聞いていた。

 「ジャン様、一つよろしいでしょうか?」
 「どうした?」

 「そんな事があるのでしょうか? 近くの国ならまだしも、ベラトリア連合国はダラムとは逆方向で、ジャン様が活躍しているのも最近の話です。それまでのジャン様の爵位は男爵です。そんな隅々まで情報を手にしてるという事が信じられません」

 ジェイドが話していることは俺も思う。
 昔のアウル家なら他の国で知られていても不思議に思わないが、父親が最近亡くなり、新たな当主となったアウル軍の事まで知っているのは不思議でしかない。

 「僕もそう思うけど……相当な数の優秀な密偵がいるのかもしれない。情報が漏れているのは確かだと思う。そうでないと今日の戦い方は説明出来ない」

 「ってことはですよジャン様。情報が漏れてるなら戦いが厳しくなるんじゃないっすか?」
 「きびちー! きびちー! キビビビキーン!」
 テディは全く空気を読まずに一人で踊っている。

 「今回の戦はいつもとは違って、目の前の敵を倒す必要がない。相手の罠に乗る必要もない。だから守りに徹して均衡状態を維持するだけでいい」

 「アウグスト辺境伯からの撤退命令が出るまで時間稼ぎをするということですね」

 「なんだかそれはつまんねぇーっすね」
 「今回も私の活躍はお預けですか……」

 「相手に僕らの情報が漏れているんだ……無闇に戦うと痛い目を見るよ、今日のようにね」

 「ドクターの言いたいことは分かったけど、俺達はどれ位の日にち戦ってりゃあいいんだ?」

 「早ければ四日、長くても七日ってところだろう。それ以上長くなるようならきっと辺境伯から何か連絡があるはずだよ」

 「分かりやした」
 エルガルドは頭を掻きながら納得したようだった。

 「殲滅する必要もないんだ。そんなに難しい事じゃない。被害は最小限に……終わったらアウグスト辺境伯からたんまり報酬を頂いてダラムへ帰ろう。頼むよ皆!」

 「「「はっ」」」
 分隊長達はそれぞれテントを後にした。

 (簡単な戦だと思っていたけど、油断は駄目だなやっぱ)
 「僕らに油断なんかする余裕なんてないよ。経験したことがあるって言っても、たかだか数回なんだ。初陣と変わらない」

 (俺だけだったら今日の戦闘で全滅していたかもな)
 「それを言ったら、僕だってそう思うことが何度も合ったよ。適材適所」

 「ハハハ、そういう事だな」
 ジャンは眠りにつき、次の日を迎える。

 昨日と同じように向かい合ってはいるが、全軍で突撃するような事はしない。

 少し交わって戦ったりするが、基本的には守りの姿勢。お互いに被害はほとんど出なかった。
 時間だけが経過していく……。
 
 二日目は何も進展せず終りを迎えた。
 三日目も同様に戦い、死者はゼロ。負傷者も軽いけが数人だけで終わる戦闘だった。

 俺自身はつまらないと感じていたが、初日の事があった手前、ジャンに突っ込んで戦おうぜとは、とてもじゃないが言えなかった。
 退屈ではあるかも知れないけど、こんな事で帰れるなら越したことはないとジャンは言う。

 そして四日目の戦闘が始まる。
 ジャンの予測が正しければ、早ければ今日で決着がつく。

 また今日も同じように戦うのかと思っていたが、今まで違うことが一つあった。
 それは、あれだけぬかるんでいた地面が乾いていた事だった。

 これはアウル軍には吉報で、テディの魔法。
 ゴーレムを造り出すことが出来る。
 戦況を有利に運べると俺は思っていた。

 「今日で終わるといいなぁ」
 俺は綺麗な空を見上げながらポツリと呟いた。

 「ジャン様準備が整いました」
 「よし、じゃあ昨日と同じように気楽に始めるか」
 そうしてアウル軍は守備の形を取った。

 睨み合う時間がまた始まると思いきや、相手は急に動き出し、全軍引き上げていく。

 「おいおい! 急にどうしたんだこりゃ!」
 (……)

 「一体どうしたんでしょうか?」
 「わかんねぇよジェイド……」

 (ジャンどうすんだ?)
 (後を追おう)
 (大丈夫なのか?)

 普段の勢いとは異なって俺は心配になった。何故なら俺でさえ罠なんじゃないかと思ったからだ。

 (罠だったとしても、このままにしておく事は出来ない……僕らの目的は相手を留まらせる事なんだ。中央や右翼の方に援軍に行ったかもしれない)

 「チッ! どっちみちめんどくせぇって事かよ!」
 「ジャン様……? どうされましたか?」
 「ジェイド、相手を追うぞ。全軍前進するぞ」
 「わかりました」

 「全軍に、警戒しながら進めって事も同時に伝えてくれ」
 「はっ!」
 
 俺達アウル軍は、移動するベラトリア連合国軍を追っていく。
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