小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

yuraaaaaaa

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ベラトリア連合国

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 (ジャンどうしたんだ?)
 「いや、何でもない……」

 封を切り、ジャンは手紙の中身を確認する。
 「ベイル……分隊長達を呼んで来てくれ」
 「かしこまりました」

 「ジャン様、全員揃いました」
 机を挟んで、分隊長五人が勢揃いする。
 「先程手紙が届いたんだが、援軍に来て欲しいという内容だった」

 「つまり、また戦いに行くのですか?」
 「そういう事だなジェイド」
 「今度もダル公国っすか?」
 腕を組みながら自信に満ちた表情でグロッセが聞いてきた。

 「いや、それが相手はベラトリア連合国なんだよ」
 「え!? それは本当っすか!?」
 「本当だよ」

 「それは遠いですね……ダル公国とは正反対に位置する国ではないですか。何故こんな遠いダラムのジャン様へ援軍の要請をしたんですかね?」

 「ん~そこなんだよねジェイド。ただ手紙の相手は、アウグスト・ミノルスキー辺境伯からなんだ。子爵の僕らが断る事も中々難しいから出立しようと思っている。出陣する準備を進めてほしい」

 「「「「はっ!」」」」
 「分かったよ~ん」
分隊長達は部屋を後にする。

 「ジャン様、お気をつけて下さい」
 「ありがとうベイル、気をつけて行ってくるよ。エミリの事は頼んだぞ」
 「かしこまりました」
 バタンッ。ベイルが部屋を出て扉が閉まる。

 (今回の場所って遠いのか?)
 「ダラムとはほぼ反対側になるからね。到着するのに二週間はかかる」

 (ゲッ! 超遠いじゃん! 何で俺達なんだよ! 近くの貴族に頼めよ!)
 「アウグスト辺境伯の考えが何かあるのかも知れない……」

 (そいつは一体何者なんだ?)

 「軍略に長けた人だと聞いたことがある。ベラトリア連合国の侵攻を止めているのはアウグスト辺境伯のおかげだと言われているみたいだよ。会った事はないから、詳しい人柄とかは分からない。ロア王国には欠かせない貴族なのは間違いないかな。ベラトリアと戦ばっかりしていて貴族の集まりには滅多に現れない人だから謎の多い人物でもあるかな」

 (へぇ~。戦に強い奴が、わざわざ反対側にいるジャンを呼んだのかよ)
 「だから良く分からないんだ……」

 「とにかく行ってみるしかない」
 ジャンはいつもより不安を帯びているような声をしていた。
 準備をすぐに整えたアウル軍は、アウグスト辺境伯が待つロッカーラへと向かう。

 約二週間をかけてようやく到着した。
 ロッカーラは様々な幕舎ばくしゃですでに大きな陣が敷かれており、町のような大きさになっていた。

 「ジャン様お疲れ様です」
 「皆もお疲れ! 長かったね本当に。でもこれからが本番だからね気を引き締めてね」

 「主様お任せください! 今度こそ私の部隊が活躍してみせます!」
 「とりあえずさっさと挨拶して休まないっすか!?」
 「グロッセの言う通りだな。アウグスト辺境伯の下へ行こう」

 「ジャン・アウル子爵でしょうか?」
 一人の兵士がジャンに話しかけてきた。

 「如何にも。私がジャン・アウルだ」
 「アウグスト様がお待ちです。一緒に来てもらえるでしょうか?」
 そう言われたジャンは馬から降りる。

 「ジェイド一緒に来てもらえるか?」
 「はっ!」
 ジェイドと共に兵士の後を付いて行く。

 テントの数からいって、相当な数の兵が投入されていることが分かる。
 しばらくすると歩みを止める。
 「こちらのテントの中に、アウグスト様がいらっしゃいます」

 案内されたテントの中へとジャンは入った。
 「おお! おお! もしかして君がジャン・アウル子爵ですかな!?」
 「そうです……」

 「ふむふむ。噂で聞いたよりも勇敢そうですね! おっと失礼、私が今回の戦の総指揮を任されているアウグスト・ミノルスキー辺境伯です」
 そう名乗った男性が、頭を下げる。

 「頭を上げてくださいアウグスト辺境伯」
 顔を上げた辺境伯の顔は青白く気味が悪かった。

 ジェイドの身長よりも成長したジャンを軽々と見下ろす辺境伯。
 190センチを超えるであろう長身。手足は女性のように細く、とても剣や武器を扱えるとは思えなかった。

 女性のように伸びた長い髪の毛の間から見える目は、ギョロギョロと動き、どこを見ているの分からなかった。一言でいうと気持ち悪い……。

 「ジャン子爵は勇敢で紳士でもあるのですね!」
 風貌とは似つかわしくない明るい口調が、余計に気味の悪さを際立たせる。

 「とにかく座って下さい」
 アウグスト辺境伯に言われ、椅子に座る。

 「お酒でもいかがですか?」
 「いえ、私はまだ成人してませんから」
 「おっと、それは知りませんでした。失敬、失敬」

 「アウグスト辺境伯、一つお聞きしてもよろしいですか?」
 「どうぞ!」
 酒の入った瓶をそのまま口を付けて辺境伯は飲んだ。

 「何故わざわざ遠い場所である私を呼んだんでしょうか?」
 「それはそうですよね! 説明します!」

 「率直に言うと、私のワガママです!」
 「ワガママ……ですか?」

 「ええ、私が会ってみたかったのです。最近噂になっているジャン子爵を直接見て、話してみたかったのです! 私は、戦ばかりで貴族の集まりには出席出来ませんからね」
 「それだけですか?」

 「本当にそれだけなんですよ! 本当に遠くまで申し訳ありません。帰りには出来るだけのお礼をしたいと思っています」
 「それで、会ってみてどう思いましたか? ご期待に応えられましたか?」

 「それはもう! 見るからに勇敢、それでいて頭も良さそうだ。隣にいる部下の教育もキチッとしているようだし人望もありそうです! それだけで十分ですよ」

 「それなら良かったです。戦は開戦するんですよね? 私達はどういった事をすれば良いのでしょうか??」

 「それを忘れていました!」
 アウグスト辺境伯は、目の前のテーブルに地図を広げた。

 「ジャン子爵はここの場所を守って欲しいのです。相手はこの荒野に陣取っていると思いますが、その場に釘付けにしてくれればそれで構いません」
 広げた地図に指を指し、作戦を説明するアウグスト辺境伯。

 「この場所、中央は私が請け負います。山を挟んだ右翼は私の部下が、同じよう山を挟んだ左翼は、ジャン子爵に請け負ってもらいたいのです。中央での相手は築城で有名なヴァリックです。鉄壁の守りなので、右翼から崩していこうと考えています。右翼が崩れたら今までの経験上、ヴァリックは撤退すると思っています! 私の部下が右翼を突破するまで、左翼の部隊をその場に釘付けにしておいて欲しいのです」

 「なるほど……です。相手の数はどの程度なんですか?」
 「左翼と右翼は三千人程と。中央のヴァリックは一万人位だと情報が入っています」
 「私が連れてきた兵の数が三千百なんで対抗出来ますね」
 「作戦の全貌は理解してくださいましたか? 何か聞きたことはありますか?」

 「仮にですが、右翼が突破出来なかった場合、どうするんですか?」
 「そうなった時は、すぐに撤退します。撤退したとしても、ヴァリックは追ってこないと思います。ジャン子爵が相手にする部隊は今回の戦が初陣という情報が入りました。ですので、そんなに難しい役目ではないかと私は考えています」

 「分かりました。左翼は私にお任せ下さい! 開戦はいつになりますか?」
 「明後日になります。今日はゆっくり休んで下さい! 食べ物とお酒をたんまり用意しておりますので」

 「心遣いありがとうございます。それでは失礼します辺境伯」
 「ジャン子爵、よろしくお願いします!」
 ジャンはお辞儀してテントを後にする。

 「ジェイド、アウグスト辺境伯をどう感じた?」
 「どうとは?」
 
 「率直な感想が聞きたい」
 「そうですね。どことなく策略家って感じでした。何か裏があるんじゃないかと」
 「僕もそう思う……だけど作戦自体、特に変わったこともないし。考えすぎかな?」
 「私ではちょっと判断しかねます」

 「とにかく慎重に行動しようか」
 「分かりました」
 自分達の陣へと戻ったジャンは自分のテントの中へと入る。

 「ユウタは今回の戦いどう思う?」
 (どう思うって言われてもなぁ。とりあえず目の前の敵をぶっ飛ばせばいいんだろ?)
 「ハハハ! 確かにそうだね! 僕はちょっと考えすぎなのかもね」
 (そうだよ考えすぎなんだよ。もっと簡単にいこうぜ)

 「そうだね……とりあえず寝て、明日ゆっくり考えよう」
 ジャンはそのまま眠りにつく。

 次の日の朝にはロッカーラを出て、自分達の持ち場になる場所へと目指し出陣した。

 目的地である場所に到着すると、相手はアウル軍より先に到着しているようだった。 

 何もないだだっ広い荒野の場所に、三千対三千の兵士が向かい合う。
 今までにはなかった妙な緊張感が漂う。

 俺は、全身に感じる違和感に身震いした。
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