61 / 95
第二章
ルイス国王の弟
しおりを挟む
「それじゃあ二人共頼んだぞ」
「はい」
「任せて!」
朝を迎えて準備を整えた三人。
三人はローブで姿を出来るだけ隠し、それぞれ分かれて出発する。
ジャンとロベルタは、ルイス国王から離れてそれぞれ尾行した。
出来るだけ人目を避けて、ルイス国王は目的地へと進んでいく。
中央の広場や賑わっている箇所を通り過ぎ、王都の奥へと進む。
目指している場所は、昨日泊まったあばら家の反対側だ。
(魔法の気配とか、人に見られてる気配とかあるか?)
「誰かに見られているような気配はないかな。索敵魔法も今の所はない」
特に変わった事もなく、順調にルイス国王は道を進んでいく。
徐々に人の行き交いが少ない場所に入り込んでいき、一軒の家の前にルイス国王は到着した。
門や塀、外壁は蔦が絡まり、所々の窓は割れ、庭は雑草が伸び放題で手入れは一切されていない。人が普段出入りし、住んでいるような雰囲気はない。
ルイス国王は門を開けて中へと入っていく。
ジャンは近くの建物の屋根からその様子を窺っている。
ロベルタもどこかでその様子を見ているはずだ。
建物に入ってから暫く時間が経過した。
(何も……起きないな)
「話し合いをしているのか、それとも何かが起きたのか?」
ルイス国王が、雷の魔法を使う事が合図になっている。
その瞬間、建物に侵入する事になっているが、仮に魔法が使えないような状況になっていたらマズイと、今になって頭を過った。
建物に目を向け、様子を見ていたが、突然辺りが暗くなっていった。
ジャンが空を見上げる。
先程まで快晴だった空が突然曇り、天上では不穏な音が鳴り響く。
すると、目の前が真っ白になった。
何があったのかと周りをキョロキョロしていると、遅れて音が降ってきた。
ドカーン! ゴロゴロ~!
登っていた建物が揺れ動いた。
「ユウタ! 出番だよ! 二階の正面の窓!」
「オッケー!」
俺は仮面を被り、建物に向かって全力で飛ぶ。
パリーン!
窓を割って部屋へと入る。反対の窓からはロベルタが入ってきた。
ダガーを抜き、ルイス国王と複数人の男の間に入る。
「どいつを殺りゃあいいんだ!?」
「正面で寝ているリグリット以外は殺していい」
その言葉を聞いて、目の前にいる敵を片っ端から殺していく。
一人……二人。三人、四人! 五人! 六、七、八。
「おっとっと――。こんなもんでいいかな?」
「ああ、ありがとうジャン! それにロベルタも!」
ルイス国王は弟であるリグリットに近づいていく。
「ハハハ。兄上一人じゃなかったのかよ。それになんだそのデタラメな強さは!」
「リグリット……本当にお前がやったのか?」
「さっきも言っただろ!? 俺が手引きしたってな!」
「なんだよ! 怪しんでた通りだったって事か?」
「ルイス国王は殺したって俺は聞いてたんだけどな~! まさか生きてたとはな!」
「リグリットだっけ!? お前はなんでルイス国王を殺したかったんだ?」
「なんでかって?」
リグリットは立ち上がる。
「そんな事決まってるだろ! 俺が国王になれるからだよ! ロア王国の王様になれたらなんでも思い通りに出来るんだぜ! 楽しいだろ?」
「たった一人の人間を殺すだけでそれが実現出来るんだ。殺したくもなるだろ?」
リグリットは目を見開き、俺達に向かって叫んだ。
「俺はさ、ここにいる中で誰よりも頭が悪いし世の中の事もほとんど知らない! そんな俺でも確実に言えることがある。お前は国王の器じゃない! それになったとしても国が滅ぶだろうよ」
吐き捨てるように俺は言った。
「実際になった訳でもないのにお前に未来なんて分かるのかよ!?」
「どっちみちあなたはもう終わりよ! 国家反逆罪で処刑ですもの」
「そんな事分かってるっつーの。あ~あ。もうちょっとだったのにな!」
リグリットは落胆したのか、糸が切れた人形のように座り込んだ。
「リグリット……いくら腹違いとはいえ、お互いに身内は私とお前しかいなんだぞ? 尊重は出来なかったのか?」
「尊重? 馬鹿かよ! 出来る訳ないだろ!? もういいだろ? さっさと殺せよ」
「……」
ルイス国王は、少し俯いて口を閉ざした。
「身内だからって躊躇ってるのか? ここで殺しておかないと、こういう奴は何度だって命を狙って来るぜ?」
「分かってる……分かっているよ――。ジャン頼めるか?」
「任せてくれ」
ルイス国王は天井を見上げ、深く息を吐いた。
「ロベルタと先に外に出て、入り口で待っているから……苦しまないように頼む」
「了解!」
ロベルタとルイス国王が部屋を出ていく。
「さてと、最後に何か言いたいことはあるか?」
「お前、どこのどいつなんだ? 兄上の親しい人間でお前程の腕が立つ奴を俺は知らない。それに殺されるならせめて教えてくれ!」
俺は般若のお面を外した。
「俺の名前はジャン・アウル。聞いたこと位はあるだろ?」
「お前があのアウル家の人間か! 噂では弱いって事しか聞いた事がなかったが、嘘じゃねえかよ! そうかそうか。兄上はお前みたいな実力者を隠していたんだな」
「じゃあそろそろいいか?」
「ああ……」
リグリットの首を斬り裂き、胴体から切り離す。
ゴロゴロと転がり、リグリットの目と合った。
布で首を包み込み、右手に持つ。
二人が待つ建物の入り口へと歩を進めていく。
「終わったか?」
「ええ、終わりましたよルイス国王……こちらが証拠になります」
ジャンはルイス国王に布を手渡す。
その時に遠くの方で、歓声のような声が上がるのが聞こえた。
「この歓声は何なの??」
「行ってみようか」
三人は、歓声がする場所へと向かって行った。
「はい」
「任せて!」
朝を迎えて準備を整えた三人。
三人はローブで姿を出来るだけ隠し、それぞれ分かれて出発する。
ジャンとロベルタは、ルイス国王から離れてそれぞれ尾行した。
出来るだけ人目を避けて、ルイス国王は目的地へと進んでいく。
中央の広場や賑わっている箇所を通り過ぎ、王都の奥へと進む。
目指している場所は、昨日泊まったあばら家の反対側だ。
(魔法の気配とか、人に見られてる気配とかあるか?)
「誰かに見られているような気配はないかな。索敵魔法も今の所はない」
特に変わった事もなく、順調にルイス国王は道を進んでいく。
徐々に人の行き交いが少ない場所に入り込んでいき、一軒の家の前にルイス国王は到着した。
門や塀、外壁は蔦が絡まり、所々の窓は割れ、庭は雑草が伸び放題で手入れは一切されていない。人が普段出入りし、住んでいるような雰囲気はない。
ルイス国王は門を開けて中へと入っていく。
ジャンは近くの建物の屋根からその様子を窺っている。
ロベルタもどこかでその様子を見ているはずだ。
建物に入ってから暫く時間が経過した。
(何も……起きないな)
「話し合いをしているのか、それとも何かが起きたのか?」
ルイス国王が、雷の魔法を使う事が合図になっている。
その瞬間、建物に侵入する事になっているが、仮に魔法が使えないような状況になっていたらマズイと、今になって頭を過った。
建物に目を向け、様子を見ていたが、突然辺りが暗くなっていった。
ジャンが空を見上げる。
先程まで快晴だった空が突然曇り、天上では不穏な音が鳴り響く。
すると、目の前が真っ白になった。
何があったのかと周りをキョロキョロしていると、遅れて音が降ってきた。
ドカーン! ゴロゴロ~!
登っていた建物が揺れ動いた。
「ユウタ! 出番だよ! 二階の正面の窓!」
「オッケー!」
俺は仮面を被り、建物に向かって全力で飛ぶ。
パリーン!
窓を割って部屋へと入る。反対の窓からはロベルタが入ってきた。
ダガーを抜き、ルイス国王と複数人の男の間に入る。
「どいつを殺りゃあいいんだ!?」
「正面で寝ているリグリット以外は殺していい」
その言葉を聞いて、目の前にいる敵を片っ端から殺していく。
一人……二人。三人、四人! 五人! 六、七、八。
「おっとっと――。こんなもんでいいかな?」
「ああ、ありがとうジャン! それにロベルタも!」
ルイス国王は弟であるリグリットに近づいていく。
「ハハハ。兄上一人じゃなかったのかよ。それになんだそのデタラメな強さは!」
「リグリット……本当にお前がやったのか?」
「さっきも言っただろ!? 俺が手引きしたってな!」
「なんだよ! 怪しんでた通りだったって事か?」
「ルイス国王は殺したって俺は聞いてたんだけどな~! まさか生きてたとはな!」
「リグリットだっけ!? お前はなんでルイス国王を殺したかったんだ?」
「なんでかって?」
リグリットは立ち上がる。
「そんな事決まってるだろ! 俺が国王になれるからだよ! ロア王国の王様になれたらなんでも思い通りに出来るんだぜ! 楽しいだろ?」
「たった一人の人間を殺すだけでそれが実現出来るんだ。殺したくもなるだろ?」
リグリットは目を見開き、俺達に向かって叫んだ。
「俺はさ、ここにいる中で誰よりも頭が悪いし世の中の事もほとんど知らない! そんな俺でも確実に言えることがある。お前は国王の器じゃない! それになったとしても国が滅ぶだろうよ」
吐き捨てるように俺は言った。
「実際になった訳でもないのにお前に未来なんて分かるのかよ!?」
「どっちみちあなたはもう終わりよ! 国家反逆罪で処刑ですもの」
「そんな事分かってるっつーの。あ~あ。もうちょっとだったのにな!」
リグリットは落胆したのか、糸が切れた人形のように座り込んだ。
「リグリット……いくら腹違いとはいえ、お互いに身内は私とお前しかいなんだぞ? 尊重は出来なかったのか?」
「尊重? 馬鹿かよ! 出来る訳ないだろ!? もういいだろ? さっさと殺せよ」
「……」
ルイス国王は、少し俯いて口を閉ざした。
「身内だからって躊躇ってるのか? ここで殺しておかないと、こういう奴は何度だって命を狙って来るぜ?」
「分かってる……分かっているよ――。ジャン頼めるか?」
「任せてくれ」
ルイス国王は天井を見上げ、深く息を吐いた。
「ロベルタと先に外に出て、入り口で待っているから……苦しまないように頼む」
「了解!」
ロベルタとルイス国王が部屋を出ていく。
「さてと、最後に何か言いたいことはあるか?」
「お前、どこのどいつなんだ? 兄上の親しい人間でお前程の腕が立つ奴を俺は知らない。それに殺されるならせめて教えてくれ!」
俺は般若のお面を外した。
「俺の名前はジャン・アウル。聞いたこと位はあるだろ?」
「お前があのアウル家の人間か! 噂では弱いって事しか聞いた事がなかったが、嘘じゃねえかよ! そうかそうか。兄上はお前みたいな実力者を隠していたんだな」
「じゃあそろそろいいか?」
「ああ……」
リグリットの首を斬り裂き、胴体から切り離す。
ゴロゴロと転がり、リグリットの目と合った。
布で首を包み込み、右手に持つ。
二人が待つ建物の入り口へと歩を進めていく。
「終わったか?」
「ええ、終わりましたよルイス国王……こちらが証拠になります」
ジャンはルイス国王に布を手渡す。
その時に遠くの方で、歓声のような声が上がるのが聞こえた。
「この歓声は何なの??」
「行ってみようか」
三人は、歓声がする場所へと向かって行った。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる