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違和感
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「ちょっといいかい旦那」
「シャオか? 入ってきて良いぞ」
もう寝ようとしていたジャンの所に、シャオがやってきた。
「アズーラ城の見張りが、今日は殆ど見当たらない。忍び込むならチャンスだぜ旦那」
「なら今すぐ行こうか」
作戦を実行してから九日が経過した。
変わらず相手からは反応がなく、効果がないと感じていたが、やっと少しは効果が出てきたようだ。
「シャオ。アズーラ城に入ったら出来るだけ城内の情報を集めてくれ」
「りょうかい」
「行くぞ」
幸運にも今夜は月が空に出ていない。忍び込むには良い夜だ。
シャオが見つけたという死角が多いルートを使うと、簡単にアズーラ城に到着し忍び込む事が出来た。
「ここからは別行動だ。三十分後に再びここで」
「りょうかい旦那」
俺達は、二手に分かれてアズーラ城を探索する事に。
自分達がやった事とはいえ、城内はとんでもない悪臭が漂っていた。
臭過ぎて目が染みる程だ。
それにしても人の気配が無さ過ぎる。
だけど、所々で建物に灯りが付いているのを見ると、誰も居ない訳ではなさそうだ。
「おいこっちだ! 早くしろ!」
声が聞こえ、数人が走ってどこかへ向かっている。
俺はそれが気になり、そいつらの後をついて行く。
そいつらは、城内にある大きな建物に入っていった。
俺は忍者のように無音でその建物に近づいていき、窓からそっと中を覗き込む。
覗き込んだ部屋には、苦しみ悶えている人が大勢、横になって並べられていた。
その人達に魔法を掛けている人や、看病している人が。
他の窓から見た違う部屋も、そして近くにある他の建物も何軒か覗いたが、同じような状態だった。
(もしかしてだけど、今この瞬間が、攻める最高のチャンスなんじゃないか?)
(多分、いやユウタの言う通りだね)
(さっさとシャオと合流して戻るか)
誰にも気付かれないようにその場を離れ、シャオとの合流地点へと戻る。
「ちょっと待たせちまったかな旦那」
「今来た所だ。自軍に戻りながら報告頼むシャオ」
「城内は異様な程、人が少ないと感じたよ。戦争をしているという気配がない。それだけじゃなくて、食料庫を見つけたんだが、殆ど食料がなくて尽きかけていた」
「それは奇妙だな……俺はいくつかの建物を覗いたが、病人のような人で溢れかえっていたよ」
「旦那の作戦通りって感じか?」
「どうだろうな……城内を見て思ったのは、今が攻め時って事。戻ったらすぐに攻めるぞ!」
「ゲッ! 忙しないねぇ~ったく」
「それじゃあシャオ。到着してすぐで悪いが、隊長共全員起こして俺のテントに来るように伝えてくれ」
「はいはい」
――。
「全員集まったな。早速だけど今から全軍でアズーラ城を攻める! 侵入して分かったけど、今が絶好のチャンスだ」
「旦那の言う通りチャンスだよ。見張りの兵士もほとんどいなかったしな。ヒックヒック!」
「静かに準備を始め、一時間後に全軍で攻める。テディのゴーレムで門を壊して場内へと突入する!」
「「「「はっ!」」」」
その場で解散し、それぞれ準備に取り掛かった。
「なあジャン……レオンの親父がやられるような戦いだったのに、こんな簡単に攻め落とせそうなの違和感しかないんだが」
(僕もそう思うよ)
「とにかくいきゃあ、何が待っているか分かるか」
奥歯に何かが挟まっているような、気持ち悪い違和感を感じたまま、俺は向かう。
「ジャン様、全員集まりました」
「ありがとうジェイド。それじゃあ始めようか」
「俺達アウル軍が先頭を切る。ルークとゲルテ伯爵は、後を付いてきてくれ。行くぞ!」
今宵のような闇夜には、アウル軍の黒い防具はよく馴染む。
すぐに気付かれる事は、まずないだろう。
警戒しながら進んだが、驚く程何もなく門の前まで到着した。
「テディ頼む」
「オジョー!!」
テディが両手を地面に付けると、手と地面が光出す。
ゴゴゴゴゴゴゴッ。
いつもは三体のゴーレムを生み出すが、三体分の魔力を注いだゴーレムが出現。
アズーラ城の城壁が、肩の高さまでの巨大なゴーレムを生み出した。
「門を破壊してくれ!」
「お任せマルマール!」
テディが拳を握り、両手を上げると、連動してゴーレムも同じような動きをする。さらにジャンプし、拳を振り下ろす。
ゴーレムもジャンプして、城壁に拳を振り下ろした。
その一撃で、壁一面にヒビが入る。
「ガジョーン!!」
そして突っ張り、突っ張り、突っ張り!
テディが何度も何度も突っ張りし、正面の壁を破壊する。
「突撃するじょーー!!」
最後に壁を蹴り飛ばし、正面の壁は完全に崩れた。
「行くぞーー!!」
「「「おおおおおお!!」」」
全軍でアズーラ城内へと入り込んだ。
魔法国兵士による抵抗をみせるかと思ったが、いとも簡単アズーラ城は落ちた。
わざわざ気合を入れたのに、拍子抜けだ。
「「「おおおおおお!」」」
兵士達の雄叫びが上がる。
夜は過ぎ、東の空が明るくなってきた。
違和感が拭いきれないまま、アズーラ城を攻略した。
「シャオか? 入ってきて良いぞ」
もう寝ようとしていたジャンの所に、シャオがやってきた。
「アズーラ城の見張りが、今日は殆ど見当たらない。忍び込むならチャンスだぜ旦那」
「なら今すぐ行こうか」
作戦を実行してから九日が経過した。
変わらず相手からは反応がなく、効果がないと感じていたが、やっと少しは効果が出てきたようだ。
「シャオ。アズーラ城に入ったら出来るだけ城内の情報を集めてくれ」
「りょうかい」
「行くぞ」
幸運にも今夜は月が空に出ていない。忍び込むには良い夜だ。
シャオが見つけたという死角が多いルートを使うと、簡単にアズーラ城に到着し忍び込む事が出来た。
「ここからは別行動だ。三十分後に再びここで」
「りょうかい旦那」
俺達は、二手に分かれてアズーラ城を探索する事に。
自分達がやった事とはいえ、城内はとんでもない悪臭が漂っていた。
臭過ぎて目が染みる程だ。
それにしても人の気配が無さ過ぎる。
だけど、所々で建物に灯りが付いているのを見ると、誰も居ない訳ではなさそうだ。
「おいこっちだ! 早くしろ!」
声が聞こえ、数人が走ってどこかへ向かっている。
俺はそれが気になり、そいつらの後をついて行く。
そいつらは、城内にある大きな建物に入っていった。
俺は忍者のように無音でその建物に近づいていき、窓からそっと中を覗き込む。
覗き込んだ部屋には、苦しみ悶えている人が大勢、横になって並べられていた。
その人達に魔法を掛けている人や、看病している人が。
他の窓から見た違う部屋も、そして近くにある他の建物も何軒か覗いたが、同じような状態だった。
(もしかしてだけど、今この瞬間が、攻める最高のチャンスなんじゃないか?)
(多分、いやユウタの言う通りだね)
(さっさとシャオと合流して戻るか)
誰にも気付かれないようにその場を離れ、シャオとの合流地点へと戻る。
「ちょっと待たせちまったかな旦那」
「今来た所だ。自軍に戻りながら報告頼むシャオ」
「城内は異様な程、人が少ないと感じたよ。戦争をしているという気配がない。それだけじゃなくて、食料庫を見つけたんだが、殆ど食料がなくて尽きかけていた」
「それは奇妙だな……俺はいくつかの建物を覗いたが、病人のような人で溢れかえっていたよ」
「旦那の作戦通りって感じか?」
「どうだろうな……城内を見て思ったのは、今が攻め時って事。戻ったらすぐに攻めるぞ!」
「ゲッ! 忙しないねぇ~ったく」
「それじゃあシャオ。到着してすぐで悪いが、隊長共全員起こして俺のテントに来るように伝えてくれ」
「はいはい」
――。
「全員集まったな。早速だけど今から全軍でアズーラ城を攻める! 侵入して分かったけど、今が絶好のチャンスだ」
「旦那の言う通りチャンスだよ。見張りの兵士もほとんどいなかったしな。ヒックヒック!」
「静かに準備を始め、一時間後に全軍で攻める。テディのゴーレムで門を壊して場内へと突入する!」
「「「「はっ!」」」」
その場で解散し、それぞれ準備に取り掛かった。
「なあジャン……レオンの親父がやられるような戦いだったのに、こんな簡単に攻め落とせそうなの違和感しかないんだが」
(僕もそう思うよ)
「とにかくいきゃあ、何が待っているか分かるか」
奥歯に何かが挟まっているような、気持ち悪い違和感を感じたまま、俺は向かう。
「ジャン様、全員集まりました」
「ありがとうジェイド。それじゃあ始めようか」
「俺達アウル軍が先頭を切る。ルークとゲルテ伯爵は、後を付いてきてくれ。行くぞ!」
今宵のような闇夜には、アウル軍の黒い防具はよく馴染む。
すぐに気付かれる事は、まずないだろう。
警戒しながら進んだが、驚く程何もなく門の前まで到着した。
「テディ頼む」
「オジョー!!」
テディが両手を地面に付けると、手と地面が光出す。
ゴゴゴゴゴゴゴッ。
いつもは三体のゴーレムを生み出すが、三体分の魔力を注いだゴーレムが出現。
アズーラ城の城壁が、肩の高さまでの巨大なゴーレムを生み出した。
「門を破壊してくれ!」
「お任せマルマール!」
テディが拳を握り、両手を上げると、連動してゴーレムも同じような動きをする。さらにジャンプし、拳を振り下ろす。
ゴーレムもジャンプして、城壁に拳を振り下ろした。
その一撃で、壁一面にヒビが入る。
「ガジョーン!!」
そして突っ張り、突っ張り、突っ張り!
テディが何度も何度も突っ張りし、正面の壁を破壊する。
「突撃するじょーー!!」
最後に壁を蹴り飛ばし、正面の壁は完全に崩れた。
「行くぞーー!!」
「「「おおおおおお!!」」」
全軍でアズーラ城内へと入り込んだ。
魔法国兵士による抵抗をみせるかと思ったが、いとも簡単アズーラ城は落ちた。
わざわざ気合を入れたのに、拍子抜けだ。
「「「おおおおおお!」」」
兵士達の雄叫びが上がる。
夜は過ぎ、東の空が明るくなってきた。
違和感が拭いきれないまま、アズーラ城を攻略した。
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