〜鉄塊〜

yuraaaaaaa

文字の大きさ
20 / 33
第二章

〜復活と戦い〜

しおりを挟む
 次の日の朝,俺は普段通りに起き上がろうとしたら,全身が痛すぎて起き上がれなかった。とんでもない筋肉痛が俺を襲った。
 それでもなんとかベッドから這い出て朝の支度を済ませて学校へと向かう。

 師匠とやっている鍛錬や学校の授業で学ぶ事も大事だと思うが,俺の一番の強み,それは鉄騎との適合率である事は変わらない。 

 鉄騎に乗って,俺が出来ること出来ない事をもっと具体的にする事をした。
 和久さんが言っていたように他の場所にバリアを作る事が出来るのか?

 そして,他の鉄騎を透明化する事が出来るのか?
 他にも考えられるあらゆる事を試した。

 その中で分かったことはなんとなくイメージは出来るけど程度では扱うのは難しい事が分かった。
 はっきりイメージ出来るものしかきちんと具現化して扱うことができない。

 俺は他の場所や鉄騎にバリアを張る事は可能だった。
 しかし透明化は難しかった。俺自身を透明化出来るのは自分がどんな形をしているのか,どんな姿なのか? どのように姿を透明化すればいいのか? という事を感覚的に全て分かっているから,出来るという事が分かった。

 他の鉄騎はどの位の高さや幅があるのか? など細かい事がイメージ出来ないために,一箇所や部分的に透明化する事が出来るのだが,全てを透明化するのは難しいみたいだった。

 ただ自分がイメージしている場所にバリアを張ったりする事は可能だった。
 これは使い方次第で皆の役に立つ事が出来ると思った。

 自分がチームの為に今出来そうな事を徹底してやるようにした。
 俺達のチームは授業以外に,放課後皆で残って個人的な鉄騎の練習とチームの練習をひたすらしていた。
 
 上級生に相手をしてもらって,チームの連携などを磨いた。
 以前のような醜態を晒すことにはならなかった。

 財前が居た頃のチーム力には程遠いが,バラバラだった頃と比べると大分マシになった。
 恵が基本的に暴走して彩乃とぶつかっていたのは俺のバリアがフォローをして,ぶつからないようにした。前線の恵が. 傍若無人ぼうじゃくぶじんに動き回るせいで,雷斗の射撃が恵に当たる事がしばしばあったが,恵の背後をフォローする事でそういう事が減った。

 それでも恵の動きが速すぎて追いつかない事も多い。雷斗も雷斗で腕を上げたのか射撃の連射と撃つまでの速度が速く,上手く対応する事が難しい……

 あれから恵と雷斗の成長がありえない。個人の能力が飛躍的に爆上がりしている。
 雷斗は威力を上げるのは難しかったらしく,連射と精密な命中率で威力を補う事にしたらしく,今までの数倍の弾を打ち込む。そしてほぼ同じ箇所に当てる事が出来るようになっていた。

 恵は恵で,上級生との一対多数での鉄騎の模擬戦のおかげで,今までよりさらに動きが速く,無駄の少ない動きに,もっとアクロバティックになり,双剣だったのが,足の爪先にも刃を付ける事を可能にして計四本の刃で戦うスタイルを確立した。
 
 恵のアクロバティックな動きに合ったスタイルだと思う!
 恭子もそんな二人に影響されてか,自分自身で新しい攻撃手段を模索しているようだ。

 彩乃は最初は戸惑っていたが,今では慣れて上手く立ち回ってくれている。
 そこに今の俺のフォローが入りなんとか戦えるようになってきた。
 徐々にではあるが,俺達のチームの新しい形が出来ようとしていた。
 
 最近の日課になっている事だが,放課後恭子がチーム戦術と作戦の講義をしてくれた。
 「とまあ――今日はこの辺で終わりにしましょう! お疲れ様」
 「今日もこの後訓練場に行く?」

 「まあ行くでしょ! 個人もだけど,チームの連携をもっと上手くなった方がいいし」
 「それよりさ~恵お前ホントに動きすぎなんだよ! いっつもいっつも。なんであんなに幅取らないと戦えないんだよ!」

 「撃った時には居なかったくせして,一瞬で射線入って来るなよ!」

 「というより射線気にして戦ってくれよ!」
 「私は……雷斗さんが下手くそなだけなんじゃないですか?」

 「はぁ!? お前ふざけんなよ! こっちがどんだけ気を使って撃ってると思ってるんだよ!」
 「ひぇ……ごめんなさい」

 「恵さんは正直暴れ過ぎです。私も戦っている時困っています」
 「私は……制御してます」

 「あれで制御してるの? 恵ちゃん……」
 「まあでもそれでもなんとか雄二のおかげで崩壊せずに済んでる訳だが」

 「ん? 俺のおかげか?」
 「そうね! 急に雄二くんどうしちゃったの?」

 「確かに! 雄二お前急にどうしたんだ?」
 「どうした? ってどういう意味だよ」

 「だって急になんかやる気になったし,鉄騎の戦闘でも腕が相当上がったし」
 「ここ最近で一番変化したのは雄二くんよね」

 「まあやる気になったのはいいんじゃねぇ~の!?」
 「それでもまだ私達は上達しないといけないと思う」

 「それじゃあ訓練しにいきますか!」
 「「「「了解」」」」

 俺達は訓練を重ねた。学校の授業に放課後,そして夜俺は師匠との鍛錬を重ねた。
 
 チームとしても野外での演習でも今までの遅れを取り戻すが如く成績を上げていった。
 とにかくツボに入った時の瞬発力と爆発力は凄い。

 Antsybalのレベル0やレベル1を倒すだけだが,殲滅するまでの時間が他の一年生のチームと比べて圧倒的に早いのが俺達のチームだ。

 以前よりも戦闘中に遥かに口喧嘩する頻度も,罵声も増えたが,どうしてだか何故か上手くまとまってきているのが不思議だ。
 こういう時にチームワークとは何か? と思う事がある。
 お互いがお互いをある程度譲歩するものがチームワークだと思っていた。

 だけど,全て尖った人達がお互いをぶつけ合って,徐々に円に近い形にしていくのが,本当のチームワークというものかもしれないと俺は考えていた。
 
 訓練や授業を頑張っている頃,三年生がとある場所のAntsybalの調査に出掛け,そして戻ってきた。

 とある場所というのは,俺達チームが初めて野外演習に行った時の巣の調査だった。
 あの時変異種が仲間を呼んだ事でAntsybalの巣窟となっているようなのだ。

 山口先生が学校の授業の前に報告をしてくれた。

 「この前藤井達のチームが行ったAntsybalの巣に三年達が調査に行ってきた。それで分かった事はAntsybalだらけの巣になったって事だ。レベル3も何体かいるみたいだ」

 「そこで冬月大佐は全学年で殲滅作戦を実行する事を決めた。まあ総力を使って一掃する事になったんだが,このクラスからも一チーム選出しなくてはいけない」
 「正直私も大佐もどのチームを作戦に使うか迷っている所だ。一年生は対して重要な位置に配置される訳でもないし,私はどのチームでもどうでもいいと思うんだが,そうも言ってられなくてな」

 「よぉ~し! 今決めた! お前らこの作戦に名乗りを上げるチームは模擬戦で戦え!」
 「勝ったチーム,一番強いチームを選抜してやる」
 「作戦の実行は一週間後位って言っていたから,明日模擬戦をする事に決めた。名乗りを上げるチームは明日の朝学校で代表者が私に言ってくれ」

 「じゃあ今日は解散! じゃあな~~~」

 相変わらずふざけた教師だなとつくづく思ったが,強ければいいという単純明快でそれはそれでいいと思った。
 俺達のチームは集まった。

 「勿論俺達は参加するだろ?」
 雷斗が率先して参加表明する。

 「私も雷斗くんの意見に賛成だけど他の皆はどう?」
 「私は……どっちでもいいです」

 「私も参加したいわ! せっかく頑張ってるんだから選ばれたいわ」
 「雄二くんは?」

 「あそこの巣はある意味では俺達のせい……だと思う。なのに俺達が参加しないなんてありえないだろ? 俺達で本当はカタを付けたい所だけど,きっと東雲会長が殲滅してくれると思う。俺らはそんな三年生のサポートをしよう」

 「そう! じゃあ決まりね。明日美咲先生には私が言っておくから」
 意見が一致した所で,いつもように訓練へと出向いた。

 次の日になり,山口先生に俺達は参加表明を伝えた。

 「意外に二つのチームしか名乗り上げなかったな。じゃあ藤井のチームと加藤のチームで今日の鉄騎の授業で模擬戦をやるから,その時に勝ったチームが選抜チームとして決める。じゃあまあ二チームとも頑張れ~」

 今日一日の授業は身に入らなかった。模擬戦の事で頭がいっぱいで,座学の授業も他の授業も上の空だった。

 昼休みに恭子がメンバーを集めた。
 「今日の模擬戦だけど,相手のチームの特徴とか個人個人のデータとかあるけど,皆にも伝えておこうかと思ってるんだけど??」

 「いやいい! 藤井だけ知っていればいいよ。俺達も知っていれば勝てる確率も上がるだろうし,本来ならそうすべきなんだろうけど,未知の分からい相手と戦った時に俺達は簡単に負けたんだ。そういう意味でも知らない事が訓練の一つになると思ってるから俺は知らなくていい」

 雷斗が雷斗らしくない発言をする。あの時の事を今でも雷斗の中で思う所がるようだ。

 「私は……関係ないからいらないです」
 「藤井さん。私はそのデータ教えてほしいわ!」

 「雄二くんは?」
 「ん~俺もいいや! 恵や雷斗が作戦どおりに動いてくれるとも思えないし,その瞬間瞬間の判断と応用が俺には大切かなと」

 「分かったわ,じゃあ彩乃ちゃんにだけ詳しく話すわね!」

 恭子と彩乃を残し,他は解散した。

 昼休みが終わると,俺は鉄騎が置いてある駐騎場へと向かった。
 これから模擬戦を行うからだ。

 駐騎場に着く。

 「これから藤井のチームと加藤のチームで模擬戦を行いま~す! 勝ったチームが今度の殲滅作戦の選抜チームになりま~す」
 全く緊張感のない声が駐騎場に響く。

 「二チームが行う模擬戦を見て,他のやつらは今後の鉄騎の参考にするように!」
 「そして模擬戦を行う二つのチームは模擬戦である事を忘れずに全力で戦うように」
 「じゃあ準備を始めてくれ」

 俺達は鉄騎に乗り込み模擬戦の準備をし終えた。そしてお互い戦う準備が出来た。

 「よぉ~し! それでは始め!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

処理中です...