4 / 49
四 学園での出会い
しおりを挟む
学園に着くと寮は幸いながら二人部屋で、私はほっとして荷物を解いた。指定された期間内での入寮だから、初日に入るのは私ぐらい。入学手続きを済ませて先生方や寮母さんに挨拶すると意外と静かな日々を過ごすことができた。
そして、侍女から身の回りの世話をされなくなって判明したことは、私の髪はストレートだった。ゲームのイラストのようにライバル役のテンプレの縦巻きドリルロールはコテでかなり癖をつけていたのが判明した。
――毎朝のあれはそうだったのね。凄い時間の無駄だったわ。早朝からの長時間の苦行、熱いわ、長いわで大変だったのに。
鏡に映る黒髪ストレートな自分の姿を見るとある意味ほっとした。中身はそれなりの精神年齢になるので、流石にあの巻き巻きロールを今の自分に見るにはキツかった。これならそう違和感は無いね。この方が見慣れているかな。自分の切れ長の綺麗な黒銀の瞳を見返した。
こうしてみると自分の顔も色白でそれなりに顔も整っている。まあ、乙女ゲームのライバルキャラだしね。
体型もすらりと背が高い。胸もそれなりにあってそこは文句など無く谷間を見て感動している。
今日も学園内の探検でもしようと私はクローゼットに向かった。そして、ドレスではなく、兄のフロックコート一式を取り出した。学園には決められた制服もあるが、式典以外は好きな服装でも認められている。流石超お嬢様学校。正直ね、ごてごてしたドレスよりこちらの方が一人で着易いし動き易い。
この服は六歳上の兄の小さい頃のお古をこっそりとってきた。やっぱり、ドレスより動きやすいのよね。それにお古といってもさすがお貴族さま。数回着るとすぐ新調するから綺麗なままなのよねぇ。
お母様のドレスなんて一回着るともう公式では絶対袖を通さないし、気に入らないといって着ないものさえあるんだから、うーん、なんてもったいない。
私は腰まで届く髪をリボンで一つに束ねた。そうすると気分まですっきりする。
改めて姿見の中の自分を見返した。うん。まあまあ。男装の麗人っぽいかも。実は私は前世では某音楽歌劇団のコスチュームプレイは大好きだった。それを思い出して気分も上々になった。ドレスは、嫌いではないけれど正直一人で着るのは面倒くさい。
もう一度鏡の中の自分の姿に満足げに見遣ってから生徒の身分証を首から下げた。そして、私は散策のために部屋を出た。
学校内に寮があり、校舎とは廊下で繋がっている。
学校外もそのうち出てみよう。なにげに一人でお出かけは初めてかもしれない。今までは侍女から護衛や家族までぞろぞろ引きつれて出かけていたのよね。
学園外に出るには申請をしなくてはならない。良家の子女を預かっているといことから学園の警備は厳重だった。ガードマンが常に敷地内を巡回して、門には事務所もあり人の出入りを厳しくチェックしている。
一通り校舎の周囲を歩くと私は中庭の噴水の所でしばし休憩した。
その周囲には白い薔薇が咲き始めていた。
「へえ、いい匂いね」
そういって私は薔薇に顔を近づけた。そのとき、かさりと向こうの茂みがゆれた。
「……」
そこには金髪でスカイブルーの瞳の持ち主の文句なしの美少女が佇んでいた。つい私は彼女に見惚れていた。
いやいや、別に私は百合とかではないけれど……。
ここまで完璧に美しいと同性でも見惚れるだけの話である。彼女は完璧な容姿で形の良い口を開くとその美しい声が天上の学の楽の音のように響いた。
「あなたはもしや白薔薇の精のお方ですか?」
それは澄んだソプラノの声で心地よく思わず聞き惚れていた。
美人で声もいいなんて! 声優は誰? とか思っているとそれが自分に向かって言われたのだと、私は気がつくのに時間が少しかかった。
――だってね。今までに見た誰よりも目の前の彼女の方が美人だもの……。その人から自分が妖精なんかと言われるとは思ってもみないじゃない?
彼女の方が白薔薇の妖精とやらがぴったりよ。いや、女神様でも……。
それでも私はなんとか微笑みを浮かべることができた。
「私が? ……自分より貴女の方こそ薔薇の女神ではありませんか? ……いや、薔薇の花も貴女には適うまい。薔薇もそう感じて、今すぐ散り急いでしまうかもしれませんね」
私がそう彼女に話しかけると何故か彼女はその美しい頬をピンクに染めていた。
――え? 何? 私、もしかして何かのフラグ立てちゃた? まあ、いいかー。
「私は新入生のアーシア・モードレットと申します。どうぞよろしく」
私はそう言って手を差し伸べてみた。自己紹介は今後の人間関係にはとても大切だしね。
「まあ、失礼しましたわ。私も同じく新入生でジョーゼット・ローレンと申しますわ。こちらこそよろしくお願いいたします」
その名前で私は彼女があの王太子妃候補の公爵令嬢だと分かった。一応これでも私も侯爵令嬢として育てられたから有力貴族の名前ぐらいは知っている。
――でも、まるでこれこそ運命的な出会いってものよね。
私はそう考えつつ最上級の礼をとった。
勿論それは女性の型のものよ。薔薇の騎士様とやらみたいに膝をついたりしないからね!
すると彼女は可愛らしく目を丸くしていた。
……まあ、なんて、愛らしいのかしら、それも美女は絵になるわよね。眼福、眼福。
「私、てっきり先輩かと思いました。同じクラスで嬉しいわ」
ふふっと彼女はそう言うと華がほころぶように微笑んだ。
美人過ぎるわ~。美人はなにしても絵になるわ。
私はくらりと眩暈を感じながら、できれば全力で彼女のお友達になろうと思った。
そして、侍女から身の回りの世話をされなくなって判明したことは、私の髪はストレートだった。ゲームのイラストのようにライバル役のテンプレの縦巻きドリルロールはコテでかなり癖をつけていたのが判明した。
――毎朝のあれはそうだったのね。凄い時間の無駄だったわ。早朝からの長時間の苦行、熱いわ、長いわで大変だったのに。
鏡に映る黒髪ストレートな自分の姿を見るとある意味ほっとした。中身はそれなりの精神年齢になるので、流石にあの巻き巻きロールを今の自分に見るにはキツかった。これならそう違和感は無いね。この方が見慣れているかな。自分の切れ長の綺麗な黒銀の瞳を見返した。
こうしてみると自分の顔も色白でそれなりに顔も整っている。まあ、乙女ゲームのライバルキャラだしね。
体型もすらりと背が高い。胸もそれなりにあってそこは文句など無く谷間を見て感動している。
今日も学園内の探検でもしようと私はクローゼットに向かった。そして、ドレスではなく、兄のフロックコート一式を取り出した。学園には決められた制服もあるが、式典以外は好きな服装でも認められている。流石超お嬢様学校。正直ね、ごてごてしたドレスよりこちらの方が一人で着易いし動き易い。
この服は六歳上の兄の小さい頃のお古をこっそりとってきた。やっぱり、ドレスより動きやすいのよね。それにお古といってもさすがお貴族さま。数回着るとすぐ新調するから綺麗なままなのよねぇ。
お母様のドレスなんて一回着るともう公式では絶対袖を通さないし、気に入らないといって着ないものさえあるんだから、うーん、なんてもったいない。
私は腰まで届く髪をリボンで一つに束ねた。そうすると気分まですっきりする。
改めて姿見の中の自分を見返した。うん。まあまあ。男装の麗人っぽいかも。実は私は前世では某音楽歌劇団のコスチュームプレイは大好きだった。それを思い出して気分も上々になった。ドレスは、嫌いではないけれど正直一人で着るのは面倒くさい。
もう一度鏡の中の自分の姿に満足げに見遣ってから生徒の身分証を首から下げた。そして、私は散策のために部屋を出た。
学校内に寮があり、校舎とは廊下で繋がっている。
学校外もそのうち出てみよう。なにげに一人でお出かけは初めてかもしれない。今までは侍女から護衛や家族までぞろぞろ引きつれて出かけていたのよね。
学園外に出るには申請をしなくてはならない。良家の子女を預かっているといことから学園の警備は厳重だった。ガードマンが常に敷地内を巡回して、門には事務所もあり人の出入りを厳しくチェックしている。
一通り校舎の周囲を歩くと私は中庭の噴水の所でしばし休憩した。
その周囲には白い薔薇が咲き始めていた。
「へえ、いい匂いね」
そういって私は薔薇に顔を近づけた。そのとき、かさりと向こうの茂みがゆれた。
「……」
そこには金髪でスカイブルーの瞳の持ち主の文句なしの美少女が佇んでいた。つい私は彼女に見惚れていた。
いやいや、別に私は百合とかではないけれど……。
ここまで完璧に美しいと同性でも見惚れるだけの話である。彼女は完璧な容姿で形の良い口を開くとその美しい声が天上の学の楽の音のように響いた。
「あなたはもしや白薔薇の精のお方ですか?」
それは澄んだソプラノの声で心地よく思わず聞き惚れていた。
美人で声もいいなんて! 声優は誰? とか思っているとそれが自分に向かって言われたのだと、私は気がつくのに時間が少しかかった。
――だってね。今までに見た誰よりも目の前の彼女の方が美人だもの……。その人から自分が妖精なんかと言われるとは思ってもみないじゃない?
彼女の方が白薔薇の妖精とやらがぴったりよ。いや、女神様でも……。
それでも私はなんとか微笑みを浮かべることができた。
「私が? ……自分より貴女の方こそ薔薇の女神ではありませんか? ……いや、薔薇の花も貴女には適うまい。薔薇もそう感じて、今すぐ散り急いでしまうかもしれませんね」
私がそう彼女に話しかけると何故か彼女はその美しい頬をピンクに染めていた。
――え? 何? 私、もしかして何かのフラグ立てちゃた? まあ、いいかー。
「私は新入生のアーシア・モードレットと申します。どうぞよろしく」
私はそう言って手を差し伸べてみた。自己紹介は今後の人間関係にはとても大切だしね。
「まあ、失礼しましたわ。私も同じく新入生でジョーゼット・ローレンと申しますわ。こちらこそよろしくお願いいたします」
その名前で私は彼女があの王太子妃候補の公爵令嬢だと分かった。一応これでも私も侯爵令嬢として育てられたから有力貴族の名前ぐらいは知っている。
――でも、まるでこれこそ運命的な出会いってものよね。
私はそう考えつつ最上級の礼をとった。
勿論それは女性の型のものよ。薔薇の騎士様とやらみたいに膝をついたりしないからね!
すると彼女は可愛らしく目を丸くしていた。
……まあ、なんて、愛らしいのかしら、それも美女は絵になるわよね。眼福、眼福。
「私、てっきり先輩かと思いました。同じクラスで嬉しいわ」
ふふっと彼女はそう言うと華がほころぶように微笑んだ。
美人過ぎるわ~。美人はなにしても絵になるわ。
私はくらりと眩暈を感じながら、できれば全力で彼女のお友達になろうと思った。
15
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結済】破棄とか面倒じゃないですか、ですので婚約拒否でお願いします
紫
恋愛
水不足に喘ぐ貧困侯爵家の次女エリルシアは、父親からの手紙で王都に向かう。
王子の婚約者選定に関して、白羽の矢が立ったのだが、どうやらその王子には恋人がいる…らしい?
つまりエリルシアが悪役令嬢ポジなのか!?
そんな役どころなんて御免被りたいが、王サマからの提案が魅力的過ぎて、王宮滞在を了承してしまう。
報酬に目が眩んだエリルシアだが、無事王宮を脱出出来るのか。
王子サマと恋人(もしかしてヒロイン?)の未来はどうなるのか。
2025年10月06日、初HOTランキング入りです! 本当にありがとうございます!!(2位だなんて……いやいや、ありえないと言うか…本気で夢でも見ているのではないでしょーか……)
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる