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二十五 新たな称号?
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馬車は無事侯爵家に着くと出迎えた執事とお父様からはユリアン様に労いの言葉をかけていた。学園の寮に戻らないといけないので慌ただしくユリアン様には別れの挨拶もあまり言え無かった。
「今日はアーシアと出掛けるお許し頂いて……」
「うちのアーシアは最高の舞台でデビューさせたかったんだよねぇ」
「アーシア様は寮に戻るご準備がありますので、さあ、お早くお支度を……」
そう急かされて私は家の中に押し込むようにされたので私はユリアン様に軽く手を振って挨拶をした。
――ユリアン様。馬車でのことは、私の気のせいですよね?
それにしても、今日のパーティではクリス様が男性なのは間違いないことが分かりましたので成果は上々です。だから、以前ガブリエラちゃんの言っていた、クリス様は実は女性だったという説は違うことになる。ここはやはりゲームの世界では無く、異世界ということでいいのよね。まあ、スキルとかもあるけれどそれもあるあるだしね。今度ガブちゃんに会ったらそう説明してあげよう。
それでもクリス様には今後気を付けないといけないわ。領地の維持のために色仕掛けで籠絡されるのはごめんだものね。 第一向こうだって、実は侯爵令嬢では無かったとかいうことになったら、大変じゃない?
そんなことを私はつらつら考えていた。そして、寮へと戻るために今度は家の馬車の準備をしてもらった。するとお兄様がお戻りになったようで顔色を変えて私の部屋にやって来た。
「何があったのだ! アーシア?」
「はへ?」
間抜けた声を出したのは不意を突かれたからなのよ。そして、お兄様の手には真紅の薔薇の花束。
「まあ。お兄様、いつお戻りになられたのですか?」
今度は侯爵令嬢として恥ずかしくない振る舞いが出来たと思うの。
「レイン子爵家からこのようなものが届いたのだ」
『今度こそ、私と是非この愛の東屋で良い夢をみましょう。私のアーシア』
花束に付けられたクリス様のカードには意味深な言葉が書かれていた。
――確かにこんなの何かあったかと思われるじゃないの!
「愛の東屋だと……あの、レイン子爵家の……」
「お兄様、そこには立ち入っておりません。潔白でございます!」
そう、まだ大丈夫。セーフなの。セーフ。
そして、ゲームならあの『愛欲の東屋』にクリス様はヒロインを連れ込んで、やりたい放題なの。それがクリス様ルートなのよね。でも、ヒロインも喜んでるからね。――え? 私も危ないって? そんなのヒロインじゃないから関係ございませんわ。
――でも、私もクリス様を見ていて、だんだん思い出してきた。私の知っている『ゆるハー』のゲームのクリス様はショタなんだけど女泣かせな設定だった筈よ。最初は彼には遊び相手と思われる女性が複数いて、ゲームが進んでいくとヒロイン一筋になるの。実は領地の借金を返済するために裕福なご令嬢を探しているという設定。確かにさっきクリス様が仰っていたのと同じ。設定は確かに同じよね。
だけど騎士団長の息子のジルはガブちゃんが言うには攻略対象じゃない――。でも私の知っている『ゆるハー』では勿論彼は攻略対象者だった。でも私の知ってるのはテンプレなガチマッチョな青年。だけどジルは細身の暗い、陰キャラ系。イケメンだけど。
――私の知っている『ゆるハー』とみちるさんの言う『ゆるハー』はちょっとずつ違う。
この『許されないあなたと出会えてハッピーエンド』は道ならぬ恋で燃え上がる熱き想いとかコンセプトに作られてるらしいけど。そもそも好きになっちゃったなら、どうしようもないよね。好きに理屈は無いから。
どっちにしろ、私はヒロインのライバル令嬢。三年後にはユリアン様の元から、皆の元から去ることになるのよね。それはどの『ゆるハー』でも決まりきった王道エンディング。ガブちゃんがユリアンを選ぼうが選ぶまいと。
それが私の役割なのよね。
――いいのっ。庶民になったら、婚活をして、きっと自分の良い相手を見つけるわ。
「――今後、このようなことをしでかすと外出禁止にするぞ」
「は、はい。申し訳……」
条件反射で私はルークお兄様に謝った。いけない。考え事をして話を聞いてなかった。
「それより学園でローレン公爵家のジョーゼット嬢はどんな様子なのか教えなさい」
珍しくお兄様の叱責は無く、私はジョーゼットを褒め称える話をお兄様にした。
「……そうか、今後も友人の地位を確保しておくように」
――お兄様に言われずともそう致します。ジョーゼットは超絶可愛いの。流石王太子妃の婚約者。あれ? 候補者とか言っていたけどどうなの? 私はてっきり確定してると思っていました。
「そうやっておけば、王太子の目に留ってお声が掛かるかもしれぬ。私のようにな」
そう言って不敵な笑みを浮かべたルークお兄様に私は黙って微笑を浮かべるだけにした。
――流石、王宮からもその腹黒ぶりから諸外国との折衝を任されただけあります。色々蹴落とすとかしてそう。だけど私はそんなことはできませんよ? ジョーゼット可愛い。私は本当は庶民。無理無理。無理ゲーですよ。
「お兄様の仰せのとおりにいたしますわ」
「そうか、流石、アーシアだな。分かってくれたか」
私の胸の内は秘めて高位令嬢として優雅に会釈をしてみせるとルークお兄様も満足そうだった。そして、私は寮へと戻ったのだった。
寮の自室に戻って、確かめたのはステータス。特に好感度。いつもの画面の下を見ていく。確か『ゆるハー』の好感度はライバルキャラと100%ある好感度を分け合うシステム。ゲーム最初は50%と50八幡で半々から始まっていた。だから向こうの攻略しているキャラがあればこちらが下がっていくシステム。上がっていても油断はできないのだ。ただし、例外もあるのよ……。
《ステータス》
アーシア・モードレット……
称号 猛獣使い NEW
[スキル]
ムチ使い MAX 縫製 レベル2……
――何? 新しいのが増えてるけど。称号って……。それも猛獣使いって何なのよ。まさか、お兄様とか、クリス様のことじゃないでしょうね。
そして好感度は……。
[好感度]
ユリアン・ライル UPマックス
クリス・レイン UP↑↑↑
ルーク・モードレット UP↑
――はい? ユリアン様の好感度がマックスって早っ。流石、『ゆるハー』いやいや、乙女ゲームでもここまで上がらないよ? どうなってるのよ。そして、クリス様は分かるけど、お兄様まで上がらないでよ。
「今日はアーシアと出掛けるお許し頂いて……」
「うちのアーシアは最高の舞台でデビューさせたかったんだよねぇ」
「アーシア様は寮に戻るご準備がありますので、さあ、お早くお支度を……」
そう急かされて私は家の中に押し込むようにされたので私はユリアン様に軽く手を振って挨拶をした。
――ユリアン様。馬車でのことは、私の気のせいですよね?
それにしても、今日のパーティではクリス様が男性なのは間違いないことが分かりましたので成果は上々です。だから、以前ガブリエラちゃんの言っていた、クリス様は実は女性だったという説は違うことになる。ここはやはりゲームの世界では無く、異世界ということでいいのよね。まあ、スキルとかもあるけれどそれもあるあるだしね。今度ガブちゃんに会ったらそう説明してあげよう。
それでもクリス様には今後気を付けないといけないわ。領地の維持のために色仕掛けで籠絡されるのはごめんだものね。 第一向こうだって、実は侯爵令嬢では無かったとかいうことになったら、大変じゃない?
そんなことを私はつらつら考えていた。そして、寮へと戻るために今度は家の馬車の準備をしてもらった。するとお兄様がお戻りになったようで顔色を変えて私の部屋にやって来た。
「何があったのだ! アーシア?」
「はへ?」
間抜けた声を出したのは不意を突かれたからなのよ。そして、お兄様の手には真紅の薔薇の花束。
「まあ。お兄様、いつお戻りになられたのですか?」
今度は侯爵令嬢として恥ずかしくない振る舞いが出来たと思うの。
「レイン子爵家からこのようなものが届いたのだ」
『今度こそ、私と是非この愛の東屋で良い夢をみましょう。私のアーシア』
花束に付けられたクリス様のカードには意味深な言葉が書かれていた。
――確かにこんなの何かあったかと思われるじゃないの!
「愛の東屋だと……あの、レイン子爵家の……」
「お兄様、そこには立ち入っておりません。潔白でございます!」
そう、まだ大丈夫。セーフなの。セーフ。
そして、ゲームならあの『愛欲の東屋』にクリス様はヒロインを連れ込んで、やりたい放題なの。それがクリス様ルートなのよね。でも、ヒロインも喜んでるからね。――え? 私も危ないって? そんなのヒロインじゃないから関係ございませんわ。
――でも、私もクリス様を見ていて、だんだん思い出してきた。私の知っている『ゆるハー』のゲームのクリス様はショタなんだけど女泣かせな設定だった筈よ。最初は彼には遊び相手と思われる女性が複数いて、ゲームが進んでいくとヒロイン一筋になるの。実は領地の借金を返済するために裕福なご令嬢を探しているという設定。確かにさっきクリス様が仰っていたのと同じ。設定は確かに同じよね。
だけど騎士団長の息子のジルはガブちゃんが言うには攻略対象じゃない――。でも私の知っている『ゆるハー』では勿論彼は攻略対象者だった。でも私の知ってるのはテンプレなガチマッチョな青年。だけどジルは細身の暗い、陰キャラ系。イケメンだけど。
――私の知っている『ゆるハー』とみちるさんの言う『ゆるハー』はちょっとずつ違う。
この『許されないあなたと出会えてハッピーエンド』は道ならぬ恋で燃え上がる熱き想いとかコンセプトに作られてるらしいけど。そもそも好きになっちゃったなら、どうしようもないよね。好きに理屈は無いから。
どっちにしろ、私はヒロインのライバル令嬢。三年後にはユリアン様の元から、皆の元から去ることになるのよね。それはどの『ゆるハー』でも決まりきった王道エンディング。ガブちゃんがユリアンを選ぼうが選ぶまいと。
それが私の役割なのよね。
――いいのっ。庶民になったら、婚活をして、きっと自分の良い相手を見つけるわ。
「――今後、このようなことをしでかすと外出禁止にするぞ」
「は、はい。申し訳……」
条件反射で私はルークお兄様に謝った。いけない。考え事をして話を聞いてなかった。
「それより学園でローレン公爵家のジョーゼット嬢はどんな様子なのか教えなさい」
珍しくお兄様の叱責は無く、私はジョーゼットを褒め称える話をお兄様にした。
「……そうか、今後も友人の地位を確保しておくように」
――お兄様に言われずともそう致します。ジョーゼットは超絶可愛いの。流石王太子妃の婚約者。あれ? 候補者とか言っていたけどどうなの? 私はてっきり確定してると思っていました。
「そうやっておけば、王太子の目に留ってお声が掛かるかもしれぬ。私のようにな」
そう言って不敵な笑みを浮かべたルークお兄様に私は黙って微笑を浮かべるだけにした。
――流石、王宮からもその腹黒ぶりから諸外国との折衝を任されただけあります。色々蹴落とすとかしてそう。だけど私はそんなことはできませんよ? ジョーゼット可愛い。私は本当は庶民。無理無理。無理ゲーですよ。
「お兄様の仰せのとおりにいたしますわ」
「そうか、流石、アーシアだな。分かってくれたか」
私の胸の内は秘めて高位令嬢として優雅に会釈をしてみせるとルークお兄様も満足そうだった。そして、私は寮へと戻ったのだった。
寮の自室に戻って、確かめたのはステータス。特に好感度。いつもの画面の下を見ていく。確か『ゆるハー』の好感度はライバルキャラと100%ある好感度を分け合うシステム。ゲーム最初は50%と50八幡で半々から始まっていた。だから向こうの攻略しているキャラがあればこちらが下がっていくシステム。上がっていても油断はできないのだ。ただし、例外もあるのよ……。
《ステータス》
アーシア・モードレット……
称号 猛獣使い NEW
[スキル]
ムチ使い MAX 縫製 レベル2……
――何? 新しいのが増えてるけど。称号って……。それも猛獣使いって何なのよ。まさか、お兄様とか、クリス様のことじゃないでしょうね。
そして好感度は……。
[好感度]
ユリアン・ライル UPマックス
クリス・レイン UP↑↑↑
ルーク・モードレット UP↑
――はい? ユリアン様の好感度がマックスって早っ。流石、『ゆるハー』いやいや、乙女ゲームでもここまで上がらないよ? どうなってるのよ。そして、クリス様は分かるけど、お兄様まで上がらないでよ。
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