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新たな居場所
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コーヒーショップを出て直ぐに、日下部君から会社用のスマホに着信があった。
『お前、戻るのが遅くないか?』
「はぁ?ちゃんと仕事してましたから!今、戻るところです!」
イライラ気味の日下部君は私に対する態度が悪かった。伊能さんも失った私は一人きり。全部、リセットして新しい扉を開こう。
仕事が終わってから私は美容院に行き、髪をバッサリと切った。高校時代の髪型にした。ショートボブ。久しぶりの軽さに心も軽くなる。
帰りも一緒に帰ろうと日下部君に誘われたが、用事があるからと言って振り切った。先に帰った日下部君は私の髪型に驚くだろう。興味本位でロングにしてみただけで、私にはこのスタイルが一番楽。
覚悟は決まった。日下部君との事を今日で終わりにする。もう、うじうじ悩むのも泣くのも疲れた。
「ただいま」
「おかえ、……髪、切ったのか?似合ってたのに」
帰宅したら、日下部君が出迎えた。案の定、驚いた日下部君は目を丸くしている。
「邪魔だったから」
玄関先でヒールを脱ぎ捨て、 私は日下部君をすり抜けてリビングへと歩く。後ろから着いてくる日下部君に背を向けたまま、「私はここを出て行く。近い内に引越しするから……」と小さな声で言った。
日下部君は「人の気も知らないで……」と呟く。
その言葉を、そのままお返ししたい。
「あのね、もう、日下部君に振り回されるのは嫌なの!秋葉さんの代わりはもう嫌なの!」
リビングのソファーにバッグを置いて、近くにあったクッションを日下部君に投げつけた。日下部君は投げつけられたクッションは床に落としたまま、私を力強く抱き締めた。
「代わりになんてしてない!」
「してるよ!私は秋葉さんみたいに可愛くもないし、女らしくもない。それに……一度だって好きって言ってくれない!もう、信じられないの!」
私を力強く抱き締めている腕から抜け出したいのに、もがいても抜け出せない。
「お前に会った時、秋葉に失恋した後だったから……好きだって言えなかった。好きだって言っても、軽々しく感じるかなって思って俺だって悩んでたんだよ!」
「悩んでないで言ってよ。言わなきゃ分かんないの!……ずっと、ずっと待ってたんだよ!わ、たし……ずっと、まっ、」
駄目だ。涙腺が決壊する。言葉が詰まる。
「琴葉、愛してる」
日下部君は抱きしめていた腕を離し、私の耳に手を添えると愛の言葉を囁いた。
「これからは他の男なんかにそそのかされないで、俺だけを見てろ。……ずっと一緒に暮らそう。一生、愛すると誓うから」
どちらかともなく、自然に唇を重ねた。私は日下部君の首の裏に両腕を回し、深く愛を確かめ合う。
日下部君から欲しい言葉を貰えた私は、天にも登る位の幸福に包まれた。沢山、回り道したけれど、幸せになっても良いんだよね?
引越しを考えていたのに、新たな居場所は正式に日下部君のマンションとなった夜だった──
『お前、戻るのが遅くないか?』
「はぁ?ちゃんと仕事してましたから!今、戻るところです!」
イライラ気味の日下部君は私に対する態度が悪かった。伊能さんも失った私は一人きり。全部、リセットして新しい扉を開こう。
仕事が終わってから私は美容院に行き、髪をバッサリと切った。高校時代の髪型にした。ショートボブ。久しぶりの軽さに心も軽くなる。
帰りも一緒に帰ろうと日下部君に誘われたが、用事があるからと言って振り切った。先に帰った日下部君は私の髪型に驚くだろう。興味本位でロングにしてみただけで、私にはこのスタイルが一番楽。
覚悟は決まった。日下部君との事を今日で終わりにする。もう、うじうじ悩むのも泣くのも疲れた。
「ただいま」
「おかえ、……髪、切ったのか?似合ってたのに」
帰宅したら、日下部君が出迎えた。案の定、驚いた日下部君は目を丸くしている。
「邪魔だったから」
玄関先でヒールを脱ぎ捨て、 私は日下部君をすり抜けてリビングへと歩く。後ろから着いてくる日下部君に背を向けたまま、「私はここを出て行く。近い内に引越しするから……」と小さな声で言った。
日下部君は「人の気も知らないで……」と呟く。
その言葉を、そのままお返ししたい。
「あのね、もう、日下部君に振り回されるのは嫌なの!秋葉さんの代わりはもう嫌なの!」
リビングのソファーにバッグを置いて、近くにあったクッションを日下部君に投げつけた。日下部君は投げつけられたクッションは床に落としたまま、私を力強く抱き締めた。
「代わりになんてしてない!」
「してるよ!私は秋葉さんみたいに可愛くもないし、女らしくもない。それに……一度だって好きって言ってくれない!もう、信じられないの!」
私を力強く抱き締めている腕から抜け出したいのに、もがいても抜け出せない。
「お前に会った時、秋葉に失恋した後だったから……好きだって言えなかった。好きだって言っても、軽々しく感じるかなって思って俺だって悩んでたんだよ!」
「悩んでないで言ってよ。言わなきゃ分かんないの!……ずっと、ずっと待ってたんだよ!わ、たし……ずっと、まっ、」
駄目だ。涙腺が決壊する。言葉が詰まる。
「琴葉、愛してる」
日下部君は抱きしめていた腕を離し、私の耳に手を添えると愛の言葉を囁いた。
「これからは他の男なんかにそそのかされないで、俺だけを見てろ。……ずっと一緒に暮らそう。一生、愛すると誓うから」
どちらかともなく、自然に唇を重ねた。私は日下部君の首の裏に両腕を回し、深く愛を確かめ合う。
日下部君から欲しい言葉を貰えた私は、天にも登る位の幸福に包まれた。沢山、回り道したけれど、幸せになっても良いんだよね?
引越しを考えていたのに、新たな居場所は正式に日下部君のマンションとなった夜だった──
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