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条件2:社内では接近禁止!
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『退勤を押してからなら、お付き合いしましょう』とのお返事を貰い、酔いつぶれて失態を晒した日から今日で5日目。
私は定時で上がれるけれど、相良さんは副社長の仕事次第なので上がり時間が定まらず、その後は出かけてもいない。
社内では接近禁止命令を出されているので、見かけても近付く事さえも出来ない。
よく良く考えたら携帯の番号も知らない。
何故、あの日に聞かなかったのだろうと酷く後悔している。
「あ、あの人ですよ。副社長の婚約者!企画開発部のエース、確か…秋葉さんだと思います。彼女、スタイルもいいし可愛いですよね」
「うん、そうだね。仕事もプライベートも充実してるっていーなぁ…」
新人なのに、既に情報通の奈子ちゃんがコソコソと話し出す。
副社長の婚約者の秋葉さんは企画開発部で新商品等のデザインをしている。
歩く度に揺れるふわふわなウェーブ、大きな瞳、引き締まったウエストにそこそこボリュームがありそうな胸、バランスのとれたスタイルに目が惹かれる。
私が思うに仕事もプライベートも充実しているからこそ、キラキラオーラが増していて目を惹くのだと思う。
副社長も秋葉さんもキラキラオーラが沢山出ている。
「先輩が気になってる相良さんって、秋葉さんと良く話してますよね。無表情ですけど、お互いに見かけるとエレベーターに乗るまでずっと話してる事が多いですね。副社長繋がりなのかな?
相良さんと仲良くなるには秋葉さんから攻略したらどうかな?」
奈子ちゃんがふと言ったが、今、正に私もそう思っていた。
私が秋葉さんを気にする理由は可愛いからだけではなく、相良さんと仲が良さそうだからだ。
私は社内では相良さんに近付けないが、秋葉さんは相良さんと話している姿を良く見かける。
秋葉さんと仲良くなれたら、相良さんにももっと近付けるだろうか?
そんな邪な願いから、彼女と仲良くなりたいと願う。
「けど、秋葉さんの周りって、絶対的エースな存在ばっかりで固まっているから近付くのが難しいですよね!」
確かに秋葉さんの周りには、企画開発部の若くカッコイイ部長、女子力半端ない綺麗な同僚、総務課の癒し的存在の男性社員など、キラキラオーラをまとっている人達ばかりが集う。
その中に相良さんが入ったとしても違和感はないが、私が入ったとしたら浮いた存在になりそうだ。
どちらかと言えば童顔で特別可愛い訳でもないし、スタイルが飛び抜けて良い訳でもない、……相良さんに釣り合う存在ではないのかもしれない。
相良さんの彼女でいたいから、私も努力しなきゃいけないな。
隣に並んでも違和感がない存在を目指そう───……
「これでよしっ…!」
次の日の午後、会議室の掃除当番だった。
受付嬢と言っても座ってお客様を応対しているだけではなく、交代で会議室を掃除したり、手の空いた時にデータ入力作業をしている。
掃除機をかけて、明日の会議のセッティングをして準備は完了。
告白の日から、相良さんは会議室に現れなかった。
その前は何故、相良さんが覗きに来ていたのだろうか?
偶然?通りすがり?
今日も多分、来ないはずだ。
会いたいな、話をしたい、相良さんの車でドライブしたい。
先日のお詫びもしていない。
どうしたら、もっと親密になれるのだろうか?
掃除道具をしまい、受付カウンターまで戻ろうとエレベーターの降下ボタンを押す。
エレベーターが止まり、ぼんやりと考え事をしながら乗るとボタンを押し間違えた事に気付いた。
マズい、最上階に向かっている。
降下ボタンではなく、上昇ボタンを押していたらしい。
最上階と言えば、社長室、副社長室、秘書室など、一般社員は余程の事がない限りは立ち入らない場所だ。
ど、どうしよう…!
万が一、どなたかに会ったら真っ先に謝る覚悟で行くしかないと思った。
いざエレベーターが最上階で止まり、扉が開くと女性が立っていた。
お互いに驚いて目が丸くなり、目線を反らし、社交辞令の『お疲れ様です』を交わす。
目の前にはスタイルが良く、可愛い女子社員が立っていた。
もしかして、この人が秋葉さん?
首から下げていた社員証を確認すると、やっぱり秋葉さんで間近で見ると本当に可愛い。
肌も白くて、目元もパッチリ、ナチュラルメイクに見えるけれどこんなにも可愛いのは、素顔が元々可愛いからだと思った。
「あ、あの…その制服は受付の方ですか?図々しいお願いなんですけど、今、ここで会ったのは内緒にして欲しいんです… 」
推測だけれども、副社長に会いに来たのだと思われる。
「大丈夫ですよ、誰にも言いません。私は押し間違えて最上階に来てしまいました」
「ありがとうございます!すみません、初対面なのに…」
ペコリとお辞儀をしてお礼を伝える秋葉さんは物腰柔らかな方で、話しをしやすそうだった。
「わ、私からも1つ聞いても大丈夫ですか?」
「はい、どうぞ?」
秋葉さんに近付くチャンスなんて、そうそうない。
勇気を出して相良さんの事を聞いたのだが、咄嗟に出たのは、
「相良さんって…いつも無表情ですか?」
だった。
「……そうですね、でも、とても素敵な方だと思いますよ。では、また」
企画開発部の階にエレベーターが止まり、微笑みとふんわりと良い残り香を残して彼女は去った。
私は定時で上がれるけれど、相良さんは副社長の仕事次第なので上がり時間が定まらず、その後は出かけてもいない。
社内では接近禁止命令を出されているので、見かけても近付く事さえも出来ない。
よく良く考えたら携帯の番号も知らない。
何故、あの日に聞かなかったのだろうと酷く後悔している。
「あ、あの人ですよ。副社長の婚約者!企画開発部のエース、確か…秋葉さんだと思います。彼女、スタイルもいいし可愛いですよね」
「うん、そうだね。仕事もプライベートも充実してるっていーなぁ…」
新人なのに、既に情報通の奈子ちゃんがコソコソと話し出す。
副社長の婚約者の秋葉さんは企画開発部で新商品等のデザインをしている。
歩く度に揺れるふわふわなウェーブ、大きな瞳、引き締まったウエストにそこそこボリュームがありそうな胸、バランスのとれたスタイルに目が惹かれる。
私が思うに仕事もプライベートも充実しているからこそ、キラキラオーラが増していて目を惹くのだと思う。
副社長も秋葉さんもキラキラオーラが沢山出ている。
「先輩が気になってる相良さんって、秋葉さんと良く話してますよね。無表情ですけど、お互いに見かけるとエレベーターに乗るまでずっと話してる事が多いですね。副社長繋がりなのかな?
相良さんと仲良くなるには秋葉さんから攻略したらどうかな?」
奈子ちゃんがふと言ったが、今、正に私もそう思っていた。
私が秋葉さんを気にする理由は可愛いからだけではなく、相良さんと仲が良さそうだからだ。
私は社内では相良さんに近付けないが、秋葉さんは相良さんと話している姿を良く見かける。
秋葉さんと仲良くなれたら、相良さんにももっと近付けるだろうか?
そんな邪な願いから、彼女と仲良くなりたいと願う。
「けど、秋葉さんの周りって、絶対的エースな存在ばっかりで固まっているから近付くのが難しいですよね!」
確かに秋葉さんの周りには、企画開発部の若くカッコイイ部長、女子力半端ない綺麗な同僚、総務課の癒し的存在の男性社員など、キラキラオーラをまとっている人達ばかりが集う。
その中に相良さんが入ったとしても違和感はないが、私が入ったとしたら浮いた存在になりそうだ。
どちらかと言えば童顔で特別可愛い訳でもないし、スタイルが飛び抜けて良い訳でもない、……相良さんに釣り合う存在ではないのかもしれない。
相良さんの彼女でいたいから、私も努力しなきゃいけないな。
隣に並んでも違和感がない存在を目指そう───……
「これでよしっ…!」
次の日の午後、会議室の掃除当番だった。
受付嬢と言っても座ってお客様を応対しているだけではなく、交代で会議室を掃除したり、手の空いた時にデータ入力作業をしている。
掃除機をかけて、明日の会議のセッティングをして準備は完了。
告白の日から、相良さんは会議室に現れなかった。
その前は何故、相良さんが覗きに来ていたのだろうか?
偶然?通りすがり?
今日も多分、来ないはずだ。
会いたいな、話をしたい、相良さんの車でドライブしたい。
先日のお詫びもしていない。
どうしたら、もっと親密になれるのだろうか?
掃除道具をしまい、受付カウンターまで戻ろうとエレベーターの降下ボタンを押す。
エレベーターが止まり、ぼんやりと考え事をしながら乗るとボタンを押し間違えた事に気付いた。
マズい、最上階に向かっている。
降下ボタンではなく、上昇ボタンを押していたらしい。
最上階と言えば、社長室、副社長室、秘書室など、一般社員は余程の事がない限りは立ち入らない場所だ。
ど、どうしよう…!
万が一、どなたかに会ったら真っ先に謝る覚悟で行くしかないと思った。
いざエレベーターが最上階で止まり、扉が開くと女性が立っていた。
お互いに驚いて目が丸くなり、目線を反らし、社交辞令の『お疲れ様です』を交わす。
目の前にはスタイルが良く、可愛い女子社員が立っていた。
もしかして、この人が秋葉さん?
首から下げていた社員証を確認すると、やっぱり秋葉さんで間近で見ると本当に可愛い。
肌も白くて、目元もパッチリ、ナチュラルメイクに見えるけれどこんなにも可愛いのは、素顔が元々可愛いからだと思った。
「あ、あの…その制服は受付の方ですか?図々しいお願いなんですけど、今、ここで会ったのは内緒にして欲しいんです… 」
推測だけれども、副社長に会いに来たのだと思われる。
「大丈夫ですよ、誰にも言いません。私は押し間違えて最上階に来てしまいました」
「ありがとうございます!すみません、初対面なのに…」
ペコリとお辞儀をしてお礼を伝える秋葉さんは物腰柔らかな方で、話しをしやすそうだった。
「わ、私からも1つ聞いても大丈夫ですか?」
「はい、どうぞ?」
秋葉さんに近付くチャンスなんて、そうそうない。
勇気を出して相良さんの事を聞いたのだが、咄嗟に出たのは、
「相良さんって…いつも無表情ですか?」
だった。
「……そうですね、でも、とても素敵な方だと思いますよ。では、また」
企画開発部の階にエレベーターが止まり、微笑みとふんわりと良い残り香を残して彼女は去った。
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