社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"

桜井 響華

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【番外編】溺愛時間を確保する為にすべき事とは?(side:大貴)

───遊園地は遊園地でも、夢の国の遊園地は想像を遥かに超えている別世界だった。

早めにベッドに入ったとはいえ、和奏と触れ合ってから眠りについた為に深い眠りについていた。

珍しく先に起きた和奏に無理矢理に起こされて、まだ眠り足りなかった身体が目覚めを知り、和奏から行先を聞かされる。

夢の国の遊園地には幼稚園ぐらいの幼い頃に来た記憶もあるが…大人になってからは一度もなかった。

多少並ぶのには慣れているが、60分待ちなど経験した事がない。

「大貴さん、疲れました?大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

乗り物は5分程度で終わってしまうのだが、その一時を体験する為に皆が並ぶ。

60分間は和奏と一緒に色々な話をしていたから、時間的には長くもあり、貴重な時間でもあった。

様々な乗り物に乗ってパレードまで見終わり、閉園が近付く夢の国を名残り惜しさを残しながらもゲートへと歩く。

和奏は疲れを知らない子供みたいにはしゃいで、終始、笑顔だった。

パンフレットを片手にあちこち歩き回る和奏を見ていただけでも飽きなかった。

車に乗り込み、運転しながら話をかけたら即座に寝ていたみたいで…スヤスヤと静かに寝息を立てている。

本当に子供みたいだ。

そんな和奏を見て微笑ましくなり、一人でクスクスと笑ってしまった。

明日は仕事だと言うのにお構い無しに遊んでしまって、和奏と一緒に居ると今までとは違う世界が広がる。

25歳を過ぎてアラサーと呼ばれる世代になったのだが、遊園地は何歳になっても楽しめるものだと知った。

遊び疲れた身体は和奏を送ってから自宅まで帰るのも面倒になり、和奏のアパートに泊まる事にした。

アパート付近まで着いても和奏は起きず、一旦和奏をベッドまで連れて行き、車を近場の有料駐車場に停めてから再び部屋へと向かった。

部屋に向かうと直ぐに和奏の眠るベッドに項垂れる。

「相良…しゃん、次はアレ…」

今日の夢を見ているのか、寝言を言っている。

夢の中ではまだ"相良さん"と言う呼び方なんだと思い、可笑しくなる。

そんな和奏が愛おしくて、そっと抱き締めると眠っているのにも関わらずにぎゅっと抱き締め返して来た。

額に唇を触れさせ、「おやすみ」と言ってから自分も眠りについた。

───翌朝、スマホのアラームが鳴り響き、疲れが残る身体を無理矢理に起こす。

アラームが鳴り響く中、まだ寝足りないのか、一向に起きようとしない和奏。

まだ時間には余裕があるから、もう少しだけ寝かせておくことにして、自分はシャワーを浴びる。

シャワーを浴びた事により、頭の中もスッキリしてきて目覚めを実感する。

昨日も泊まる予定ではなかったが、万が一の時に備えて、そのまま出勤出来るようにYシャツの替えなど持って来ていて良かったと心底思いながら準備をする。

簡単な朝食でも…と思い、冷蔵庫を覗いて見ると和奏が起き出したようだ。

「おはようございます…大貴さん…」

「おはよう。シャワー浴びて来たら?」

「……はい」

まだ寝ぼけているような様子の和奏はドアに頭をぶつけて、痛がっている。

そんな和奏を微笑ましく思いながら、朝食の準備をして、和奏が戻って来たら一緒に朝食をとる事にした。

「すみません…朝食の準備までして貰い、ありがとうございます。先に起きれば良かったのですが起きられませんでした…」

「大丈夫だよ。それより、今日は時間が余りないから送っては行けないけど…?」

「私は遅番ですから気にしないで下さい」

簡単な朝食を二人でとりながら、何気ない会話を交わす。

当たり前のような光景も、今日から1週間はなくなる。

職場も別になり出勤時間も違うので、平日は会えない事が多くなって来た。

「また週末まで会えないかもしれないけど、賃貸はネットとかでも探してみるから」

朝食後、食器を二人で片付けをしながら和奏に賃貸の件を持ちかけたら…

「あの…大貴さん、なかなか見つからないし、染野さんに提案された、染野さんが住んでいる社宅にお世話になっても良いかなと思っています。社長夫人も後押しして下さってますし…」

との返答が返って来た。

花野井家の自宅横に離れがあるのだが、その場所は以前、俺の祖父母が住んでいた社宅でもあり、現在は家政婦の染野さんが住んでいる。

一人暮らしの為、部屋が余っているし、和奏が来てくれたら嬉しいと染野さんも言ってくれているのだけれども…しかし…。

「それは、どうしてもの時の最終手段にしよう」

「けど…相良さんに毎週のようにご迷惑かけるのも申し訳ないですし…。相良さんの負担になるのは嫌なんですっ」

「別に迷惑じゃないし、負担にもなってないけど?」

「大貴さんはそう言ってても私は気にしますっ。仕事でお疲れなのに…1日中探しても見つからないし…」

目尻に少しだけ、涙が溜まって来た和奏。

泣く事ないのに───……

「何で泣いてるの?」

泣いている和奏をなだめるように抱き締めると、背中にぎゅっと腕を回してくる。

「それに…和奏が染野さんの社宅に居候したら、なかなか二人きりになれないよ?週末も和奏と一緒に寝起き出来ないし…俺の我儘かもしれないけど、それはそれで嫌だ…」

「……大貴さん」

「とにかく、俺が和奏と一緒に居たいんだ。本当は今すぐにでも籍を入れて、一緒に暮らしたい。その前に和奏の御両親に挨拶したり、有澄君に早く籍を入れて貰って結婚式を挙げて欲しいんだけどね…。更にまた泣いてるし…!」

「…っ、嬉しくて涙が止まらないんです。こんなにも大貴さんに思われていて和奏は幸せ者です…!」

和奏の顔を上に上げて、涙で濡れている目尻に優しくキスを落とす。

こんなにも愛おしくて離れ難い存在は、和奏だけだと改めて実感する。

入籍をして一緒に暮らすまでの道のりはそう遠くはないのだろうけれど…自分自身が和奏に溺れているのだ。

本当は片時も離したくはない。

───だから私利私欲の為だろうと何だろうと…賃貸を探そうと思っている。

夫婦の真似事かもしれないが、朝晩を共にする事は自分にとっては最高の癒しでもあるから…。

・*:..。o♬*゚END・*:..。o♬*゚
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