和詩集

江馬 百合子

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回雪

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白き世をなす回雪に
赤く色づき凍てつくはだえ
行方を尋ねられようと
我らに目指す地などなし

君の信ずるこの道を
歩み支えとならんがために
ただ前を行く君の背は
本に幾許の命を背負う

衣の闇をひるがえし
命の瀬戸を済わんとす
続くこの世の営みに
共に抗い いつの日か


白き世をなす回雪も
赤き椿を隠せはしない
行方を尋ねられようと
我らに帰る地などなし

何も残らぬこの道の
君の癒しとならんがために
ただ前を向く君の目は
数多の命の終わりを見ゆる

衣の闇をなびかせて
この世の者を済わんとす
望まぬ命の終わりにも
共に抗い いつの日か

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