RISE

滅びゆく国2

　階段を降りると風が吹き上げ舞う砂埃に目を細める。両端に並ぶ白い土壁で作られた建物は家だろうか、木の戸がついていた。たまに見かける花壇の花は枯れた状態で放置されており、時々ローファーに入り込む砂を落としては前に進んだ。

　美味しそうな匂いも人々の話し声も、微かに聞こえるはずなのに街には誰もいないような。無人のような奇妙な静けさと薄暗い雰囲気を漂わせていた。

　早く人に会いたい……でも変な人だったらどうしよう……。そもそも日本なのか、外国なのかも分からないし言葉通じるのかな。

　しばらく歩いていると、大きく開いた通りに出た。

 ｢い、居た……。｣

　愛俚は思わず微笑んだ。大きなその通りは、両端にたくさんの出店が並んでいた。そしてまばらながらも客らしき人達の姿も見えた。

　良かった……店もある、人もいる。無人島、島ではないけど、そういうのじゃなくて良かった。

　愛俚は財布を握りしめながら、ゆっくりと歩きだす。どの店も屋台のように、小さなスペースにたくさんの商品を並べていた。

　野菜、果物、魚に香ばしい匂いのする肉からパン、中にはアクセサリーや服なども売られていた。

　お腹空いた……何でもいいから食べたい。今何時なんだろう。朝食からだいぶ時間が経ってる気がする。そもそも朝ご飯もろくに食べてない。

　しずが亡くなって、食欲や気力、何もかもが体から消えたように感じていた。しかし突然の出来事のせいか、愛俚のお腹は空腹を訴えている。

　それにしても……みんなやっぱり日本人じゃない。
客寄せの声は、何を言っているのかは分かる。でも明らかに見た目は外国の人だ。それにしても……。