DTガール!

Kasyta

文字の大きさ
129 / 453
がっこうにいこう!

100話「飯タイム」

しおりを挟む
 響く鈴の音を頼りに、図書館を彷徨う少女と再びまみえた。
 先程と変わらず四足で歩く少女に手に入れた本を差し出す。

「それ、わたしが・・・・・・借りてた本?」
「君の名前だよね、これ。」

 本を開いて貸し出しカードを見せると、少女の瞳から雫が溢れ出した。

「ひっく・・・・・・ありがとう・・・・・・。これで、やっと・・・・・・。」
「・・・・・・良かったね。」

 嗚咽を漏らしながら本を大事そうに抱えた女の子は光に包まれ、そのまま消えてしまった。
 少女が残した六つ星の水晶を手にした俺達は図書館を後にし、校舎へ戻らずに中庭へ向かう事に。

「どうして中庭などへ行くのだ?」
「さっき校舎の中から気になるものが見えてね。せっかく外に出たんだし、先にそっちを調べちゃおうかなと。」

「そ、そうなのか? 何も見なかった気がするが・・・・・・。」

 周りを見る余裕なんてあんまり無さそうだしね・・・・・・。

「まぁ、そこを調べたら校舎の方へ戻るつもりだし、そんなに時間は掛からないと思うよ。」

 中庭に到着し、見渡せば小さな池とベンチがいくつか、そして銅像が立っている。
 銅像は光で照らされており、調べてくれと言わんばかりだ。

「確かに何かあるみたいね。でも、あの像は何故薪なんて背負って本を読んでるのかしら?」
「仕事中でも本を読んで勉強してた偉い人なんだって。」

「・・・・・・そんなの、どっちも疎かになると思うのだけれど。」
「頭の出来が違うんだよ、きっと。」

「貴女が言うと随分な皮肉に聞こえるわ。」
「私は・・・・・・そういうのとは違うからね。それより、あれ調べてみようよ。」

 ふと、自分が小学生だった頃に耳にした話を思い出す。

「あ、そうそう。噂では夜中に走り出したりするんだって、あの像。」
「や、止めてよ怖い話は!」

 そんな会話をしながら銅像に近づいて行くと、台座に赤い文字が現れた。

<ち カ づ ク ナ>

「ち・・・・・・近寄るな、って言ってるわよ?」
「うーん、でもそうしないと調べられないしなぁ。」

 もう一歩踏み出してみる。

<と マ レ>

 更にもう一歩。

<サ ワ る ナ>

 血文字の警告は止まないが、何か起こる様子はない。

「ちょ、ちょっと・・・・・・大丈夫なの?」
「この文字以外は何かしてきそうな気配は無いし・・・・・・多分?」

「た、多分って・・・・・・。」

 像の元へ辿り着いた俺は像の周囲を調べてみた。
 すると、像の後ろ側には引き摺ったような跡がついている。

「これ、前から押す感じ?」

<や メ ロ>

 どうやらそれで正解らしい。
 キシドーに指示を出し、銅像を動かす。
 ゴリゴリと音を立てて移動する台座の下から、扉が徐々に姿を現してきた。
 完全に姿を晒した扉を引き上げる様に開けると、そこには地下へ続く階段。

<す ス む な>

「少し狭いみたいだし、行くのは私とフラムと・・・・・・あと一人くらいかな? 行きたい人いる?」

 返答なし。仕方ないか。

「じゃあ私とフラムの二人で――」
「ま、待って! ・・・・・・私も行くよ。」

「大丈夫なの、ラビ?」
「う・・・・・・あ、あんまり平気じゃないけど、地図・・・・・・描かないとだし。」

 まぁ、下りたら”地下に迷宮が広がってました”なんて話もありえなくはないだろうが。

「地図が必要そうなら戻って来るし、無理しなくてもいいよ?」
「で、でも必要なかったら下にはもう行かないかもしれないんだよね?」

「それはそうだけど、わざわざそんな所まで描かなくても――」
「わ、私が役に立てるの・・・・・・これぐらいしかないから・・・・・・。」

 ノートをギュッと胸に抱えるラビ。
 そのノートには、この学校の地図もきちんと書き込まれている。
 校内図があったにも関わらずだ。

「分かった。お願いするよ。他の皆はこの辺で休憩してて、ベンチもあるし。」
「こ、こんなところで落ち着けないわよ!」

*****

<モ ど れ><ヒ き か エ せ><タ ち さ レ>

 階段を一段下りる度に血文字が現れ、その度にフラムとラビが小さな悲鳴を上げている。
 魔法の光で先を照らすと階段は真っ直ぐに続いており、床も見えているため、それ程深くはなさそうだ。
 だがその分一段が高く、自分の身長には合わないため少し歩き辛い。

 最後の段を飛ぶように降り立つ。

 そこには迷宮など広がっておらず、小さな四角い部屋になっていた。
 部屋の奥には次の迷宮への門。

「・・・・・・何でこんな所に?」

 ふと口をついて出た疑問。
 それはそうだ。今まで集めた水晶玉とは何だったのか、という話になる。

<だ メ><い か ナ い デ><オ ね ガ イ><タ す け テ>

 増え続ける血文字は最早警告文というより、悲痛な叫びのようだ。
 考え込んでいると、フラムが袖を引く。

「も、もう・・・・・・戻ろう?」
「そ、そうだよぉ・・・・・・ち、地図はもう描けたからぁ~・・・・・・。」

「・・・・・・そうだね、一旦戻ろうか。」

 下りてきた急な階段を上り、地上へと出る。
 リーフ達は俺達の姿を見て驚いたような顔で集まって来た。

「どうしたのよ、アリス。随分早かったけれど・・・・・・何かあったの?」
「小さな部屋と門があっただけだったよ。」

「門って・・・・・・次への?」
「そうだよ。」

 俺の返答を聞いてホッと胸を撫で下ろすリーフ。

「良かった・・・・・・ようやく此処から出られるのね。」

 ”ようやく”と言っても、まだ一日も経ってないのだが。
 まぁ、お化け屋敷にしては長いか。
 ただ俺としては、このまま進んでしまうのは少し後ろ髪を引かれる思いだ。

「んー・・・・・・、もうちょっと此処を調べたいんだけど。」
「ど、どうしてよ!? こんな所早く終わらせましょう?」

「この水晶玉の事とかも気になるしね。」
「それは・・・・・・そうだけど・・・・・・。」

「どうせ次は三十階なんだし、先に行って待っててくれても構わないよ?」
「そんなのっ! ・・・・・・出来ないわよ。出来る訳ないじゃない・・・・・・。卑怯だわ、分かっているクセに。」

「・・・・・・ごめんなさい。」
「はぁ・・・・・・私は構わないわ。皆の意見はどう?」

 やりとりを黙って見ていたヒノカが口を開く。

「ふむ・・・・・・まぁ、これも精神の鍛錬だと思えば良いだろう。なぁ、ニーナ?」
「えぇ~! ボ、ボクもぉ~!? ・・・・・・分かったよぉ~。」

「・・・・・・アリスの面倒はわたしが見ないといけないから。」
「ア、アリスがそうしたいなら、い・・・・・・いいよ。」

「こ・・・・・・怖いけど頑張って地図描くから!」
「ご飯まだにゃ?」

 この流れでそれを言うか。
 まぁ、サーニャは特に怖がってる様子は無かったしな・・・・・・。
 注目を浴びたサーニャは首を傾げる。

「みんなどうしたにゃ? もうご飯の時間過ぎてるにゃ。」

 彼女の腹時計が言うのなら正しいのだろう。
 毒気を抜かれた皆はクスクスと笑いだす。

「ぷっ・・・・・・ふふっ・・・・・・。そうね、すっかり忘れていたわ。」
「そうだな・・・・・・まずは腹ごしらえをするとしよう。」

 食事の準備を始めた皆を余所に開けっ放しになっていた地下への扉を閉める。
 誰かが落ちたりしたら危ないしな。
 すると、扉に血文字が浮かび上がって来た。

<あ リ ガ と ウ>
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

処理中です...