DTガール!

Kasyta

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がっこうにいこう!

222話「僕と契約して」

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 先に行くギルド長の後ろを歩き、整えられた裏庭を進んでいく。進んだ先には裏口が設けられており、見張りの兵が一人立っていた。
 黒ずくめの集団がゾロゾロとやって来たのに眉一つ動かさないのは、彼が優秀なのか、はたまたこういう事態に慣れているからなのか、その表情から推し量ることは出来ない。

「顔は見せないようにな。」

 ギルド長の言葉に頷いて返し、フードの具合を確かめる。やはりお客さんとして招待された感じではない。
 彼が見張りの兵に声を掛けると、こちらでも兵が操作盤を使って小さな扉を開いた。こんな裏口にまで魔道具を使ってるのか・・・・・・。

 さらに裏口から続く廊下には灯りの魔道具まで設置されている。表側だけのハリボテ城ではなかったようだ。
 中に入ると、スゥーっと優しくて涼しい風が、外套のおかげで上がった体温を下げてくれた。・・・・・・空調まで利いてる。それもこんな場所にまでとなると、城全体に張り巡らされていてもおかしくない。

 廊下は使用人たちがよく使うのか数人の侍女とすれ違ったが、皆一様に小さく会釈をしてから目を逸らして通り過ぎていく。
 敵対的というわけではなく、関わり合いになりたくないといった感じだ。おそらく事情も何も聞かされていないのだろう。

 通路を進んでいくと、人が三人並んで通れそうな程の階段があり、その隣には昇降機。ここまでくるともう驚きは若干薄れている。
 ギルド長が当然のように昇降機に乗り込み、俺たちもそれに続いた。
 さすがにエレベーターガールみたいなのは居ないのか、ここではギルド長が操作盤を使った。目的階は・・・・・・地下だなー、あれはどう見ても。
 身体が沈むような感覚と共に昇降機が動きだした。箱の中をぐるりと見渡す。これも魔道具なのは言わずもがな。

 ここでふと疑問が浮かんだ。
 金を出せば手に入るとは言え、いくら王族でもこれだけの量と規模の魔道具を集めるのは難しいはずだ。それこそ”塔”との繋がりがあるくらいでなければ。
 今乗っている昇降機なんかは城に合わせて設計する必要がある。そんな芸当が可能なのは、俺の知る限り”塔”に居る魔女くらいだろう。
 モヤモヤとした疑問に答えが出ないまま、昇降機は動きを止めた。昇降機の現在位置を示す針は最下層のさらに下を指している。うわぁ~・・・・・・隠しフロアって感じ?

「さ、ここで降りるぞ。」

 昇降機の扉の向こうには、通路が一本真っ直ぐ伸びている。
 地下ではあるが、随所に取り付けられた魔光灯のお陰で、むしろ明るい印象を受ける。空調設備もしっかり整っており、息苦しい感じもしない。
 しかし地上階にあった華美な装飾は無く、控えめに抑えられている。

 通路の先には部屋が一つだけ。
 その部屋に至る通路はいくつか伸びており、城内に複数設置された昇降機にそれぞれ繋がっているようだ。
 そして目の前にあるその部屋は・・・・・・密会部屋、か?
 ギルド長が操作盤を操作すると、重く分厚い扉がスーっと開いた。

「王はじきに来られる。それまでしばし待っていろ。」
「分かりました。もう顔を隠す必要はありませんよね?」

「あぁ、だが・・・・・・。」

 ギルド長の視線がチラリとサーニャの方へ向いた。

「分かってますよ。王様が来たら隠させるようにします。」
「なら良い。」

 フードを脱いで一息ついてから部屋の中を眺める。
 間取りは応接室といったものではなく、何人かの人間が暮らせるような造りになっている。お風呂にトイレに簡易キッチンまで至れり尽くせり。
 多分この部屋はシェルターとか、パニックルームといった類のものだろう。それを密会部屋として使用しているらしい。設計者の意図を知ってか知らずかは分からないが。

「ちょっと、アリス!」

 いきなりリーフに肩を掴まれ、耳打ちされる。

「どうしたのよ、その――」

 何か言いかけた彼女に、シーッと口元に人差し指を立てて黙るようにジェスチャーを送り、口を噤んだ彼女に答えた。

「終わったら説明するよ。」

 落ち着いた場所でフードを脱いだため仕込みがバレてしまったのだろう。
 こちらを訝し気な顔で窺っていたヒノカ達にもウィンクで合図を送っておく。
 フラムとサーニャは同じ馬車だったから仕込みの説明は済んである。
 問題はギルド長だが・・・・・・全く気付いた様子はない。まぁ、道中はフードを被ってることが多かったしね。後は仕掛けを、と言ったところか。

 咎められない程度に部屋の中を見学していると、外が騒がしくなってきた。慌ててサーニャにフードを被るよう指示する。
 そして、閉じられていた扉が開かれた。

 そこには豪奢なマントに王冠を被った、ザ・王様スタイルと言わんばかりの男性が複数の騎士を引き連れていた。王様はその内二人を伴って部屋へ入ってくる。残りの騎士は外で待機のようだ。
 俺たちを一瞥した王様は部屋の奥へ進み、二人掛けくらいのソファに腰を下ろした。その両脇に騎士が控える。なんかシュールな図だな。
 ギルド長がサッと王様の近くに陣取り、膝をついた。俺も一応彼に倣っておく。

「その者らが例の冒険者・・・・・・なのか?」
「ハッ! まだ若いですが、我がギルドの有望株に御座います。」

 なんかギルド長の手駒みたいに言われてるが・・・・・・とりあえずは好きに言わせておこう。

「ふむ・・・・・・そうなのか。」

 王様の品定めするような視線が俺たちに注がれる。

「そちは、頭巾を取らぬのか?」

 王様の好奇心と好色を伴った目が、フードを被ったままのサーニャを捉えた。
 まぁ、外套越しでもしっかり強調している二つの膨らみに鼻を伸ばす気持ちは分からんでもないが・・・・・・。
 サーニャの困った瞳と目が合う。

「脱いでいいよ、サーニャ。」

 フードを脱いでぴょこんと飛び出した耳に、王様の顔が露骨に歪んだが、すぐに元の表情に戻る。

「あー・・・・・・もうよい。」

 王様の口から罵るような言葉は出てこなかったのは幸いか。さすがに自制心はあったらしい。
 サーニャがフードを被りなおすのを見届け、王様の方へ向き直った。
 さっさとサーニャから興味を逸らしてもらうため、口を開く。

「それで、あの・・・・・・私たちは何故このような場所に呼ばれたのでしょう?」
「聞いておらぬのか?」

「えっと、今回の件についての報酬と、お褒めの言葉を頂けると聞きました。」
「その通りだ。まずは掛けるがよい。」

 テーブルを挟んだ対面のソファを勧められ、腰を掛けた。隣には俺の側にいたフラムが座った。
 王様に対する礼儀として正しいのかは甚だ疑問だが、場所が場所だけに仕方ないだろう。今からテーブルとか片付けるのも間抜けだし。

 王様が控えている騎士に目を配ると、テーブルの上に革袋を置いて広げた。中には金貨が二十枚。

「え・・・・・・少し、というかかなり多い気がしますが・・・・・・。」
「そなたらには契約を結んでもらう。その代金も含んでおる。」

「け、契約・・・・・・ですか?」

 思わず聞き返してしまった。
 嫌な予感しかしねぇーー!!
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