DTガール!

Kasyta

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BACK TO THE ・・・・・・

00042話「優勝者は?」

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 やはり魔力測定器は壊れてしまったらしく、新しい測定器が設置されて魔法道大会が再開された。
 次は前回大会の優勝者くんの番だ。

「お、アイツも距離2に行くのか!?」

 隣に座っている生徒たちが小声で実況をはじめた。
 舞台の方に目をやると、前回優勝者くんが距離2の位置まで歩いている。
 まぁ、今回も優勝を狙うならそうせざるを得ない。
 観測員はさっきので懲りたのか、慌てて測定器から距離を取る。

「はぁぁぁぁぁーーっ・・・・・・”火”!!」

 規定の位置に立ち、気合を入れた彼が魔法を使うと手のひらの先に拳大の火が出現した。

「さ、さっきのに比べるとアレだけど・・・・・・やっぱり凄い!」

 前回優勝というのは間違いないのだろう。今までの生徒たちに比べると頭一つ抜けている。
 あの魔力なら確かに5点を超える点数を狙えそうだ。
 ・・・・・・ただ、届けばなのだが。

「ああっ、ダメだ! 威力が・・・・・・。」

 彼の放った火の玉は半分の距離を過ぎた辺りで急激に失速しだし、的に届く前に消えてしまった。

「ゼ・・・・・・0!」

 観測員の言葉が無慈悲に響く。魔力測定器に届いていないのだから当然の結果だ。
 風の魔法なら少しは届いたかもしれないが・・・・・・俺に対抗して火の魔法を使ったのだろう。
 がっくりと肩を落とした彼だが、すぐさま係員に何かを訴えかける。何をやってるんだ?
 係員が頷くと、彼はもう一度位置に着いた。

「アイツ・・・・・・二回目やる気か?」

 なるほど、二回目か。
 一応大会のルールでは、一人二回まで測定することが可能だ。
 だが魔力が低いこの時代の人たちでは二回目に挑むことすら難しいため、そのルールは形骸化されている。

「いっけえぇぇぇぇっ・・・・・・”火”!!」

 しかし彼の気合とは裏腹に、マッチほどの火が一瞬灯っただけ。当然得点も無し。
 前回優勝者くんは1点も得ることなく彼の出番は終わってしまった。
 その後、続く生徒たちは2~4点ほどの点数を取り、危な気なく俺の優勝が決まったのだった。

*****

 こじんまりとした閉会式も終わり、先生たちと合流する。

「おめでとうございます、アリューシャさん、コレットさん。」
「ありがとうございます、先生。」

「凄かったわよ、二人とも!」
「あ、ありがとう・・・・・・おかあさん。」

 大会の結果は、俺とコレットのワンツーフィニッシュってやつだ。
 二位になったコレットも、次の王国大会へと進出することができる。

「この後、先生を連れて事務室に行くよう言われているんですけど・・・・・・。」
「分かりました。早速うかがいましょうか。」

 先生たちと一緒に大会の事務室へ訪れると、人の良さそうなおじさんが出迎えてくれる。

「あぁ、キミは優勝者の・・・・・・いやぁ、あんな凄い魔法は初めて見たよ。はい、コレ。当日まで無くさないようにね。」

 手渡されたのは一枚のチケット。魔法道大会の刻印がされ運搬車両の乗車券と書かれている。
 先生が受けている説明を隣で聞いていると、どうやら王国大会への送迎用車両が学校に派遣されるそうだ。
 それに乗って王都へ行くことになるらしい。
 チケット一枚につき本人と追加で三名まで。先生は引率者として別枠なので、親兄弟を連れてちょうどと言ったところか。
 ちなみに宿もこのチケットで泊まれ、一枚で四名までの大部屋が用意されるようだ。やはり家族が想定されているのだろう。

 説明も一通り終わり、ようやく帰ることができる。
 外はもう茜色に染まっていた。

「やっと帰れるね、コレットちゃん。」
「ぅ、うん・・・・・・でも、わたしも次にいけるとは・・・・・・思わなかった。」

「コレットちゃんも頑張ったからね。次も頑張ろう。」

 次の大会は約一ヶ月後。
 練習次第ではまだまだコレットの得点を伸ばせるだろう。
 出来ることなら大陸大会まで一緒に行きたいし、それに向けて特訓するのも悪くない。

「それでは今日はここで解散にしましょう。」
「分かりました。また学校でね、コレットちゃん。」

 学校で解散し、それぞれ家路に着く。
 そのまま真っすぐ自宅へ・・・・・・は向かわず、カレンのバイト先へ向かう。
 カレンが仕事を始めてから夕食は店で摂るようになっているのだ。
 賑やかな声と光が漏れる定食屋の扉を開けると、マレルが出迎えてくれる。

「いらっしゃ・・・・・・あ、おかえりなさい、アリスちゃん! カレンさんから聞いたよ、今日は大会だったんだって? それで、どうだったの?」
「えっと・・・・・・私が優勝で、友達のコレットちゃんが二位でした。」

「えぇ、ホントに!? だから今日は仕事休んで応援に行っても良いって言ったのに、カレンさん!」
「あン? ガキじゃねえんだし、別にいいだろそんなの?」

「アリスちゃんは子供でしょ!」
「気にしてないので大丈夫ですよ。」

「もうっ、アリスちゃんまでそんなこと言って! アリスちゃんはもっと甘えて良いんだからね!?」

 でも応援に来たところであんな大会じゃ退屈だろうしな・・・・・・。逆に気を使いそうだ。それならここで仕事でもしてくれてた方が助かる。

「ま、さっさと座りな。メシ用意するからよ。」
「そうね。今日は優勝記念で特盛よ!」

「それはいつもだろ・・・・・・。」
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