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BACK TO THE ・・・・・・
00041話「あなたの距離、わたしの距離」
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長ったらしい開会の挨拶が終わり、大会が始まる。
魔法道大会と言えば聞こえは良いものの、いざ始まってみると想像よりもずっと地味なものだった。
「3番、ランダレル学園初等部。」
呼ばれた学校の子たちが立ち上がり、舞台へ上がっていく。
と言っても実際に舞台があるわけではなく、地面に大人の背丈ほどの大きさの魔力測定器がデンと置かれているだけだ。
「エミリー・バッセル。」
「はいっ!」
名前を呼ばれた子が魔力測定器の前に立ち、構える。
「”風”!」
傍目には何も起こったように見えないが、間違いなく風の魔法は発動し、測定器に命中した。
魔力測定器の近くに立っていた観測員が目盛りを読み上げる。
「3.7!」
魔法を撃った子が同じ学校の子たちとハイタッチして喜び合っている。
結構良い点数のようだ。
去年の優勝者が6点弱だったことを考えると悪くはないのだろうが・・・・・・絵面が地味すぎる。これじゃ人気も出ないわけだ。
何というか、地球に居た時に学校でやらされた体力測定を思い出す。ぶっちゃけただの魔力測定なのである、この大会。
魔法がもっと派手なら人気も違ってくるだろうが・・・・・・それは高望みか。魔法の撃ち合いバトルなんて夢のまた夢だ。
それからも2~4点くらいの地味な点数合戦が二時間ほど続き――
「テルナ市第五区下級学校。」
ようやく俺たちの順番が回ってきた。
他の学校の生徒たちと同じように二人で舞台へ上がる。
「コレット・クラレンス。」
「は・・・・・・ひゃいっ。」
俺の出番はもうちょっと先か。
「頑張って、コレットちゃん。」
名前を呼ばれたコレットが、地面に引かれた線の上に立つ。
その場所が魔法を撃つ規定の位置だ。
緊張の面持ちのまま、コレットが構える。
「・・・・・・”風”っ。」
コレットが放った風魔法の音が耳に届く。
今日見た中では一番の威力だ。
観測員が魔力測定器の目盛りを読み上げる。
「じゅ・・・・・・11.2!」
観測員の声が響き、ざわっと騒がしくなる。おー、中々の点数だ。
上手く魔力を集中させて測定器に命中させられたようだ。練習した甲斐があったな。
そんな喧噪もコレットの耳には入っていないようで、満面の笑みを零しながら俺のもとへ駆け寄ってきた。
「ア、アリスちゃんっ。や、やったよ・・・・・・!」
「たくさん練習頑張ったんだから、当然だよ。」
コレットの表情とは反対に、先ほど絡んできた男子生徒の表情は若干青ざめているようだ。
まぁ、さっき優勝者だなんだと周りにも聞こえるように騒いでたしな・・・・・・。
少なくとも優勝するには、去年の2倍ほどの点数を出さなくてはならなくなってしまったわけだ。
会場が冷めやらぬ中、とうとう俺の名が呼ばれた。
「つ、次。アリューシャ・シュトーラ。」
さて、やっと俺の番だ。
あまり目立たないよう抑えることも可能だが・・・・・・難癖を付けられる隙は無くしたいし、何よりコレットが折角出した点数にまで物言いが入ることは絶対に避けたい。
次へ進むためには三位までに入らなければならないのだし、どうせ目立ってしまうのだ。
つまりは――
「徹底的にやるか。」
俺は舞台に上がり、コレットが立っていた更に後ろにある線の上に立つ。
「き、君。そこは・・・・・・。」
「ここが距離2の位置ですよね?」
「そうだが・・・・・・。」
魔法道大会で競われる点数には、魔力測定器での測定値のほかに距離も関係してくる。
今までの子たちが行っていたのは距離1での測定で、魔力測定器までの距離は約5メートル。
距離2はその倍の約10メートルで、測定値が2倍されたものが得点となるのだ。
そして都市大会での魔力測定値の最大は50。つまり都市大会では100点が最大点数となる。
ちなみにこの都市大会では距離2まで、次の全国大会では距離5まで、最後の大陸大会では距離10までが測定範囲となっている。
「私は距離2での測定をお願いします。」
「では、その位置から魔法を撃つように。」
「はい、分かりました。」
距離2の位置に立ち、魔力測定器に向かって構えた。
手のひらに魔力を集中させていく。
やはり派手にいくなら・・・・・・”火”かな。
「”火”。」
集めた魔力を炎に変換し、魔力測定器に向かって撃ち出した。
大きくなった炎のうねりは測定器を飲み込む。
「うわぁっ! 熱っ!」
測定器のすぐ傍に居た観測員が尻もちをついて後退る。
的のすぐ隣で待機してたらそりゃそうなるだろう。
まぁ、いちいち離れたりしていたら面倒なんだろうけど。
炎が収まり、周りがシンと静まり返る。
「あの、測定をお願いします。」
尻もちをついたまま動こうとしない観測員に声を掛けると、やっと気づいたようで這うようにして測定器の目盛りに顔を近づける。
「ご・・・・・・50!」
よし、文句無しに満点だ。
「す、すごかったよ、アリスちゃんっ。」
「ありがとう、コレットちゃんが応援してくれたおかげだよ。」
これであとは閉会式まで待機するだけか。
「次、26番――」
次の学校が呼ばれ、俺たちは舞台から戻っていく。
どうやら次は俺たちに絡んできた子たちのようだ。
青い顔をしているので、すれ違いざまに激励の言葉をかけてあげることにする。
「頑張ってね、去年の優勝者さん。」
「う、うるせえ!!」
顔を青くしたり赤くしたり大変だな。
席に戻り、少しの間待ったが、中々次の測定が始まらない。
観測員の人がまだ測定器の前で何かやっているようだ。
シビレを切らした係員が彼に声を掛ける。
「おい、何やってる!?」
「あ、あの、それが・・・・・・針が戻りません!」
どうやらさっきので測定器が壊れてしまったようだ。撃った魔法がちょっと強すぎたか。
・・・・・・弁償とかはしないでいいよね?
魔法道大会と言えば聞こえは良いものの、いざ始まってみると想像よりもずっと地味なものだった。
「3番、ランダレル学園初等部。」
呼ばれた学校の子たちが立ち上がり、舞台へ上がっていく。
と言っても実際に舞台があるわけではなく、地面に大人の背丈ほどの大きさの魔力測定器がデンと置かれているだけだ。
「エミリー・バッセル。」
「はいっ!」
名前を呼ばれた子が魔力測定器の前に立ち、構える。
「”風”!」
傍目には何も起こったように見えないが、間違いなく風の魔法は発動し、測定器に命中した。
魔力測定器の近くに立っていた観測員が目盛りを読み上げる。
「3.7!」
魔法を撃った子が同じ学校の子たちとハイタッチして喜び合っている。
結構良い点数のようだ。
去年の優勝者が6点弱だったことを考えると悪くはないのだろうが・・・・・・絵面が地味すぎる。これじゃ人気も出ないわけだ。
何というか、地球に居た時に学校でやらされた体力測定を思い出す。ぶっちゃけただの魔力測定なのである、この大会。
魔法がもっと派手なら人気も違ってくるだろうが・・・・・・それは高望みか。魔法の撃ち合いバトルなんて夢のまた夢だ。
それからも2~4点くらいの地味な点数合戦が二時間ほど続き――
「テルナ市第五区下級学校。」
ようやく俺たちの順番が回ってきた。
他の学校の生徒たちと同じように二人で舞台へ上がる。
「コレット・クラレンス。」
「は・・・・・・ひゃいっ。」
俺の出番はもうちょっと先か。
「頑張って、コレットちゃん。」
名前を呼ばれたコレットが、地面に引かれた線の上に立つ。
その場所が魔法を撃つ規定の位置だ。
緊張の面持ちのまま、コレットが構える。
「・・・・・・”風”っ。」
コレットが放った風魔法の音が耳に届く。
今日見た中では一番の威力だ。
観測員が魔力測定器の目盛りを読み上げる。
「じゅ・・・・・・11.2!」
観測員の声が響き、ざわっと騒がしくなる。おー、中々の点数だ。
上手く魔力を集中させて測定器に命中させられたようだ。練習した甲斐があったな。
そんな喧噪もコレットの耳には入っていないようで、満面の笑みを零しながら俺のもとへ駆け寄ってきた。
「ア、アリスちゃんっ。や、やったよ・・・・・・!」
「たくさん練習頑張ったんだから、当然だよ。」
コレットの表情とは反対に、先ほど絡んできた男子生徒の表情は若干青ざめているようだ。
まぁ、さっき優勝者だなんだと周りにも聞こえるように騒いでたしな・・・・・・。
少なくとも優勝するには、去年の2倍ほどの点数を出さなくてはならなくなってしまったわけだ。
会場が冷めやらぬ中、とうとう俺の名が呼ばれた。
「つ、次。アリューシャ・シュトーラ。」
さて、やっと俺の番だ。
あまり目立たないよう抑えることも可能だが・・・・・・難癖を付けられる隙は無くしたいし、何よりコレットが折角出した点数にまで物言いが入ることは絶対に避けたい。
次へ進むためには三位までに入らなければならないのだし、どうせ目立ってしまうのだ。
つまりは――
「徹底的にやるか。」
俺は舞台に上がり、コレットが立っていた更に後ろにある線の上に立つ。
「き、君。そこは・・・・・・。」
「ここが距離2の位置ですよね?」
「そうだが・・・・・・。」
魔法道大会で競われる点数には、魔力測定器での測定値のほかに距離も関係してくる。
今までの子たちが行っていたのは距離1での測定で、魔力測定器までの距離は約5メートル。
距離2はその倍の約10メートルで、測定値が2倍されたものが得点となるのだ。
そして都市大会での魔力測定値の最大は50。つまり都市大会では100点が最大点数となる。
ちなみにこの都市大会では距離2まで、次の全国大会では距離5まで、最後の大陸大会では距離10までが測定範囲となっている。
「私は距離2での測定をお願いします。」
「では、その位置から魔法を撃つように。」
「はい、分かりました。」
距離2の位置に立ち、魔力測定器に向かって構えた。
手のひらに魔力を集中させていく。
やはり派手にいくなら・・・・・・”火”かな。
「”火”。」
集めた魔力を炎に変換し、魔力測定器に向かって撃ち出した。
大きくなった炎のうねりは測定器を飲み込む。
「うわぁっ! 熱っ!」
測定器のすぐ傍に居た観測員が尻もちをついて後退る。
的のすぐ隣で待機してたらそりゃそうなるだろう。
まぁ、いちいち離れたりしていたら面倒なんだろうけど。
炎が収まり、周りがシンと静まり返る。
「あの、測定をお願いします。」
尻もちをついたまま動こうとしない観測員に声を掛けると、やっと気づいたようで這うようにして測定器の目盛りに顔を近づける。
「ご・・・・・・50!」
よし、文句無しに満点だ。
「す、すごかったよ、アリスちゃんっ。」
「ありがとう、コレットちゃんが応援してくれたおかげだよ。」
これであとは閉会式まで待機するだけか。
「次、26番――」
次の学校が呼ばれ、俺たちは舞台から戻っていく。
どうやら次は俺たちに絡んできた子たちのようだ。
青い顔をしているので、すれ違いざまに激励の言葉をかけてあげることにする。
「頑張ってね、去年の優勝者さん。」
「う、うるせえ!!」
顔を青くしたり赤くしたり大変だな。
席に戻り、少しの間待ったが、中々次の測定が始まらない。
観測員の人がまだ測定器の前で何かやっているようだ。
シビレを切らした係員が彼に声を掛ける。
「おい、何やってる!?」
「あ、あの、それが・・・・・・針が戻りません!」
どうやらさっきので測定器が壊れてしまったようだ。撃った魔法がちょっと強すぎたか。
・・・・・・弁償とかはしないでいいよね?
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