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BACK TO THE ・・・・・・
00040話「都市大会」
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「ふぁ~・・・・・・ん? おまえ、今日は学校休みじゃなかったか? なんでこんな朝っぱらから起きてるんだ? しかも体操着なんか着て。」
大きな欠伸をしながら起きてきたカレンに、ため息を吐きながら答える。
「確かに学校は休みですけど、今日は大会があるんですよ。・・・・・・って、数日前から何回か言ってますよね。」
「あー・・・・・・そうだったか? で、何の大会があるんだ?」
「魔法道の、です。」
そう、今日はついに魔法道大会の日だ。
と言っても、まだ一番規模の小さい都市大会である。先は長い。
「そういやそんな部活あったなぁ・・・・・・ま、とにかく頑張れよ。」
カレンに送り出され、向かうのは集合場所である学校だ。
そこから先生に引率され、会場へと向かう手はずになっている。
俺が校門前に到着すると、すでに三人の人影が。
「おはようございます、キャサドラ先生。コレットちゃんとコレットちゃんのお母さんも。」
「はい、おはようございます、アリューシャさん。時間丁度ですね。」
「おはよう、アリスちゃん。」
「ぉ、おはよう・・・・・・。」
大会は保護者同伴が可能なので、コレットの母親は応援に来たようだ。
あんな事故があった後だし、心配になるのも当然か。
コレットも俺と同じく体操着姿で、若干緊張しているみたいだ。
「アリューシャさん、カレンさんは来られてないのですか?」
「えーっと、今日は仕事で・・・・・・。」
「そうですか・・・・・・であれば仕方ありませんね。」
「ふふ、だったら私がカレンさんの分まで応援するわね、アリスちゃん。」
「ありがとうございます。」
「それでは参りましょうか、皆さん。」
キャサドラ先生に連れられ、俺たちは会場へと向かう。
バスに乗り、見覚えのあるバス停で降りる。
図書館や博物館近くのバス停だ。競技場も近くにあるらしい。
「着きましたよ、ここが今日の会場です。」
そこには野球の試合でもできそうなほど大きなドームが聳え立っていた。
入り口のゲートには結構な人だかりができている。おそらくは大会参加者とその引率の先生と保護者だろう。
思っていたよりもずっと人数が多い・・・・・・が、目の前の競技場に比べると規模は小さい。
「ずいぶん立派なんですね。それに、あそこに居るのはみんな参加者なんですよね? 想像してたよりも多いです。」
「周辺の都市からも参加者が来ていますからね。」
「他の街の人も参加するんですか?」
「えぇ、競技人口が少なくなってきていますから。」
なるほど・・・・・・世知辛い理由だ。
そしてそれだけの都市から集めても競技場の十分の一も埋められそうにない。役不足というか何というか・・・・・・。
「けれど、こうして立派な会場を使えるのはテルナ市長のおかげなのですよ。他所の街から来られる方々には旅費も出されているのだとか。ありがたいことです。」
不人気にも関わらず、何故だか魔法道にはスポンサーとなっている大手商会が多い。
各国の大会や大陸大会で旅費や滞在費が出るのも、その商会からの寄付のお陰なのだ。
それらの商会の中には、俺が千年前から知っている名も入っている。
おそらく転生者を見つけやすくするため、この大会を利用しているのだろう。
過去の大会記録を見れば、俺でも誰が転生者か見当がつくくらいに点数差に表れているからだ。
金を撒いて待っているだけで向こうからやってきてくれるのだから、魔女たちにとっては楽なものである。
「さて、それでは受け付けを済ませましょう。」
俺たちも入り口の人だかりに混ざり、受け付けへゆっくりと歩を進めていく。
「テルナ市第五区下級学校です。」
キャサドラ先生が学校名を告げると、受け付けのお姉さんがペラペラと名簿をめくっていく。
「えーっと・・・・・・参加者はアリューシャ・シュトーラさんと、コレット・クラレンスで間違いありませんね?」
「はい。」「は、はい・・・・・・っ。」
「ではこちらの札を。」
受け取った札には番号が書かれている。これが俺たちの順番になるようだ。
案内に従って場内を進んでいくと、そのまま真っすぐ競技場内へと通された。というより、他の場所は立ち入り禁止になっていた。
更衣室も立ち入り禁止になっている。だから体操着で来させられたのか。
まぁ、人数が人数だし、余計な場所をうろついて欲しくないのだろう。立ち入れる場所だけでも十分なスペースが確保できているし。
「引率の方はこちらへどうぞ。」
競技場内に入ると、別の係員に先生たちが呼ばれる。
「私たちはここまでですね。」
「そうみたいですね。コレット、アリスちゃん、頑張ってね。」
二人は競技場内に椅子を並べて作られた観覧席へと案内されて行った。
競技場にある通常の観客席は立ち入り禁止なのである。
「参加者の子はあっちで待っていてね。」
観覧席の対岸側にロープで区切られた一角があり、そこが参加者の待機場所のようだ。
観覧席と違って椅子は一つもなく、地べたに座るか持参した敷物を敷いて座っている。
当然俺たちはそんなもの持って来ていないので、地べた組だ。
競技場内を見渡すとかなり広く造られているが、こちらも必要なスペース以外はロープが張られており、それ以上奥は立ち入り禁止になっている。
整備なんかが必要だろうから仕方ないとは思うが・・・・・・魔法道の不人気さをそのまま物語っているようだ。
「が、がんばろうね・・・・・・アリスちゃん。」
「そうだね、でもコレットちゃんはあまり気負い過ぎないようにね。」
「ってことは、オマエが親無しの方か。」
俺たちの側に陣取った男子が不躾に話しかけてきた。
さっき受け付けで名前を呼ばれたときに分かったのだろう。
「はぁ・・・・・・そうだけど、何か用ですか?」
「オマエたちみたいなのはどうせロクな点数取れないんだから、さっさと棄権しろ。」
「いや、お断りしますけど。」
「ハァ~・・・・・・良いか、僕は去年の優勝者で、5.8点だったんだぞ。オマエたちみたいなのは、やるだけ時間の無駄だろ。」
わざとらしく大きなため息を吐き、周りに聞こえるように自分の点数を自慢した。
俺は思わず吹き出してしまった。
「な、何がおかしい!」
「去年の王国大会では20点越えた人が優勝してましたよね、確か。」
つまり、去年の彼は次の大会で負けたのである。
「なので、あなたもやるだけ無駄なんじゃないですか。」
「う、うるさい! 二度と話しかけるな!!」
いや、話しかけてきたのはそっちだろ・・・・・・。
彼は顔を真っ赤にさせながら、取り巻きを連れて離れて行ってしまった。
まぁ、待機場所はそこまで広くないから目が届く範囲なんだけど。
「だ、大丈夫・・・・・・アリスちゃん?」
「平気平気。逆に緊張が解れたかも。」
こちとらもっと厳ついオッサンに絡まれた経験もあるのだ。あれくらい可愛いものである。むしろ生の情報が聞けて感謝したいところだ。
そんないざこざに巻き込まれながらも、大会の開催時刻は迫っていた。
大きな欠伸をしながら起きてきたカレンに、ため息を吐きながら答える。
「確かに学校は休みですけど、今日は大会があるんですよ。・・・・・・って、数日前から何回か言ってますよね。」
「あー・・・・・・そうだったか? で、何の大会があるんだ?」
「魔法道の、です。」
そう、今日はついに魔法道大会の日だ。
と言っても、まだ一番規模の小さい都市大会である。先は長い。
「そういやそんな部活あったなぁ・・・・・・ま、とにかく頑張れよ。」
カレンに送り出され、向かうのは集合場所である学校だ。
そこから先生に引率され、会場へと向かう手はずになっている。
俺が校門前に到着すると、すでに三人の人影が。
「おはようございます、キャサドラ先生。コレットちゃんとコレットちゃんのお母さんも。」
「はい、おはようございます、アリューシャさん。時間丁度ですね。」
「おはよう、アリスちゃん。」
「ぉ、おはよう・・・・・・。」
大会は保護者同伴が可能なので、コレットの母親は応援に来たようだ。
あんな事故があった後だし、心配になるのも当然か。
コレットも俺と同じく体操着姿で、若干緊張しているみたいだ。
「アリューシャさん、カレンさんは来られてないのですか?」
「えーっと、今日は仕事で・・・・・・。」
「そうですか・・・・・・であれば仕方ありませんね。」
「ふふ、だったら私がカレンさんの分まで応援するわね、アリスちゃん。」
「ありがとうございます。」
「それでは参りましょうか、皆さん。」
キャサドラ先生に連れられ、俺たちは会場へと向かう。
バスに乗り、見覚えのあるバス停で降りる。
図書館や博物館近くのバス停だ。競技場も近くにあるらしい。
「着きましたよ、ここが今日の会場です。」
そこには野球の試合でもできそうなほど大きなドームが聳え立っていた。
入り口のゲートには結構な人だかりができている。おそらくは大会参加者とその引率の先生と保護者だろう。
思っていたよりもずっと人数が多い・・・・・・が、目の前の競技場に比べると規模は小さい。
「ずいぶん立派なんですね。それに、あそこに居るのはみんな参加者なんですよね? 想像してたよりも多いです。」
「周辺の都市からも参加者が来ていますからね。」
「他の街の人も参加するんですか?」
「えぇ、競技人口が少なくなってきていますから。」
なるほど・・・・・・世知辛い理由だ。
そしてそれだけの都市から集めても競技場の十分の一も埋められそうにない。役不足というか何というか・・・・・・。
「けれど、こうして立派な会場を使えるのはテルナ市長のおかげなのですよ。他所の街から来られる方々には旅費も出されているのだとか。ありがたいことです。」
不人気にも関わらず、何故だか魔法道にはスポンサーとなっている大手商会が多い。
各国の大会や大陸大会で旅費や滞在費が出るのも、その商会からの寄付のお陰なのだ。
それらの商会の中には、俺が千年前から知っている名も入っている。
おそらく転生者を見つけやすくするため、この大会を利用しているのだろう。
過去の大会記録を見れば、俺でも誰が転生者か見当がつくくらいに点数差に表れているからだ。
金を撒いて待っているだけで向こうからやってきてくれるのだから、魔女たちにとっては楽なものである。
「さて、それでは受け付けを済ませましょう。」
俺たちも入り口の人だかりに混ざり、受け付けへゆっくりと歩を進めていく。
「テルナ市第五区下級学校です。」
キャサドラ先生が学校名を告げると、受け付けのお姉さんがペラペラと名簿をめくっていく。
「えーっと・・・・・・参加者はアリューシャ・シュトーラさんと、コレット・クラレンスで間違いありませんね?」
「はい。」「は、はい・・・・・・っ。」
「ではこちらの札を。」
受け取った札には番号が書かれている。これが俺たちの順番になるようだ。
案内に従って場内を進んでいくと、そのまま真っすぐ競技場内へと通された。というより、他の場所は立ち入り禁止になっていた。
更衣室も立ち入り禁止になっている。だから体操着で来させられたのか。
まぁ、人数が人数だし、余計な場所をうろついて欲しくないのだろう。立ち入れる場所だけでも十分なスペースが確保できているし。
「引率の方はこちらへどうぞ。」
競技場内に入ると、別の係員に先生たちが呼ばれる。
「私たちはここまでですね。」
「そうみたいですね。コレット、アリスちゃん、頑張ってね。」
二人は競技場内に椅子を並べて作られた観覧席へと案内されて行った。
競技場にある通常の観客席は立ち入り禁止なのである。
「参加者の子はあっちで待っていてね。」
観覧席の対岸側にロープで区切られた一角があり、そこが参加者の待機場所のようだ。
観覧席と違って椅子は一つもなく、地べたに座るか持参した敷物を敷いて座っている。
当然俺たちはそんなもの持って来ていないので、地べた組だ。
競技場内を見渡すとかなり広く造られているが、こちらも必要なスペース以外はロープが張られており、それ以上奥は立ち入り禁止になっている。
整備なんかが必要だろうから仕方ないとは思うが・・・・・・魔法道の不人気さをそのまま物語っているようだ。
「が、がんばろうね・・・・・・アリスちゃん。」
「そうだね、でもコレットちゃんはあまり気負い過ぎないようにね。」
「ってことは、オマエが親無しの方か。」
俺たちの側に陣取った男子が不躾に話しかけてきた。
さっき受け付けで名前を呼ばれたときに分かったのだろう。
「はぁ・・・・・・そうだけど、何か用ですか?」
「オマエたちみたいなのはどうせロクな点数取れないんだから、さっさと棄権しろ。」
「いや、お断りしますけど。」
「ハァ~・・・・・・良いか、僕は去年の優勝者で、5.8点だったんだぞ。オマエたちみたいなのは、やるだけ時間の無駄だろ。」
わざとらしく大きなため息を吐き、周りに聞こえるように自分の点数を自慢した。
俺は思わず吹き出してしまった。
「な、何がおかしい!」
「去年の王国大会では20点越えた人が優勝してましたよね、確か。」
つまり、去年の彼は次の大会で負けたのである。
「なので、あなたもやるだけ無駄なんじゃないですか。」
「う、うるさい! 二度と話しかけるな!!」
いや、話しかけてきたのはそっちだろ・・・・・・。
彼は顔を真っ赤にさせながら、取り巻きを連れて離れて行ってしまった。
まぁ、待機場所はそこまで広くないから目が届く範囲なんだけど。
「だ、大丈夫・・・・・・アリスちゃん?」
「平気平気。逆に緊張が解れたかも。」
こちとらもっと厳ついオッサンに絡まれた経験もあるのだ。あれくらい可愛いものである。むしろ生の情報が聞けて感謝したいところだ。
そんないざこざに巻き込まれながらも、大会の開催時刻は迫っていた。
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