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BACK TO THE ・・・・・・
00039話「大会へ向けて」
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「コレットさん、アリューシャさん、こちらに記入をお願いします。」
ある日の部活の時間、キャサドラ先生から一枚の用紙を手渡された。
用紙には魔法道大会参加申込書と印字されている。
ついにこの時が来たようだ。
俺はサラサラっと必要事項を記入し、キャサドラ先生に提出する。
コレットの方を見ると、筆が止まっている。
「どうしたの、コレットちゃん?」
俺が声を掛けると、コレットが顔を上げてキャサドラ先生に問いかける。
「あ、あの・・・・・・わ、わたしが・・・・・・出ても、いいんですか?」
「ええ、条件は満たしていますからね。」
「条件なんてあるんですか?」
「そういえば、アリューシャさんには教えていませんでしたね。問題無さそうでしたので。」
大会の参加条件というのは、一定距離から魔力測定器に魔法を撃ち、一目盛り以上の点数を出せることらしい。
キャサドラ先生の言う通り、俺には引っ掛かりそうもない条件だ。
ずいぶん緩い条件かとも思ったが・・・・・・以前のコレットを基準にすると結構厳しいのかもしれない。
「か・・・・・・書けました。」
「はい、確かに。二人とも頑張ってくださいね。」
大会までもう一月もない。
コレットの特訓も、より大会を見据えたものにする必要があるだろう。
「キャサドラ先生、外に魔力測定器持って行ってもいいですか?」
「・・・・・・分かりました、許可しましょう。」
「それじゃあ外で練習しようか、コレットちゃん。」
「う、うん・・・・・・。」
魔力測定器を持ち、コレットを連れて校庭へ。
外周する陸上部たちを後目に、俺たちは隅っこの方に陣取った。
適当に土台を作って魔力測定器を置き、そこから10メートルほど離れる。
俺たちが参加する都市大会では、この距離から魔力測定器に魔法をぶつけた時の点数を競うようだ。
そして点数の高い上位三名が、次の王国大会へと駒を進めることが出来るのである。
「まず私がやってみるね。」
土台に置いた魔力測定器に向かって魔力で風を撃ち出す。
圧縮された風が魔力測定器に直撃し、その威力で土台の上から測定器が転がり落ちた。
「あっ。」
慌てて拾い上げる。壊れたりはしていないようだ。
針は振り切れていた。やはりこの測定器では測り切れないか。
今度は倒れないようしっかりと測定器を固定する。
「次はコレットちゃんだね。せっかく外に出たんだし、風弾の魔法を使おうか。」
「あ、あぶなく・・・・・・ない?」
「大丈夫、何かあれば私が何とかするよ。」
「わ、わかった・・・・・・”風弾”っ。」
コレットの魔法が測定器にぶつかり、カタカタと揺れた。
「っハァ・・・・・・ハァ・・・・・・。」
彼女は今ので殆ど魔力を使い切ってしまったようだ。
魔力回復薬を手渡し、測定器の針を調べる。
「おっ、二目盛り越えてるよ。」
「そ、それだけ・・・・・・?」
「まぁ今回のは距離が少しあったしね。でも魔法を上手く操作できれば、もっと増やせると思うよ。」
風の魔法は慣れてしまえば操りやすいのだが、視認できない分、慣れるまでが難しいのだ。
「それじゃあ今度は水の魔法にしようか。こんな感じで。」
水の魔法なら視認しやすい分、魔力操作を慣らすには最適だろう。水浸しになるから部屋の中で使えないのが難点だが。
指先にビー玉くらいの水球を作り、それを放って測定器に命中させる。これも測定不能だった。
「あ、あんなに小さかったのに・・・・・・?」
「んー、この測定器はあくまで魔力を測るだけのものだから、威力とか大きさは関係ないんだよ。」
要するに、測定器に付いた的にどれだけ魔力を吸収させるかが肝心なのだ。
魔法の威力云々はその副産物に過ぎない。
「そうだ、ちょっと見てて。」
針を戻し、今度は測定器を寝かせて、その上に魔力を込めた水滴を一滴垂らす。
測定器に水滴が付くと、針がビンッと動き最大値を指した。
「す、すごい・・・・・・。」
「あ、でも魔法の大きさは関係あるかも。測定器からはみ出た分は計測されないからね。」
つまり、”風”のように広範囲に影響を及ぼす魔法は、しっかり的に集中させないと魔力の殆どが無駄になってしまうのだ。
コレットがさっき使った魔法も的から少しズレていたし、命中率も一緒に上げる必要があるかもしれない。
「まぁ、大会の時に使われる測定器はもっと大きいみたいだし、そこまで気にする必要は無いかもだけど。」
今度の都市大会では目盛りが五十まである、もう少し大きい測定器が使われるそうだ。
魔法道が盛んな学校ではその測定器を備品で使っているらしい。
そして弱小の学校では、俺たちのように卓上測定器を使っているのである。
「う、ううん・・・・・・がんばる。い、今のはどうやったの?」
「えーっと、魔法で水を作ってその水に更に魔力を溶かしていく・・・・・・みたいな?」
口で説明しろと言われても中々難しいものがあるな。
でも神サマが創った魔法はアレンジが効くようになっているし、似たような事は出来るはずだ。
「・・・・・・”水”っ。」
ポタリ、と測定器に雫が落ちたが、針はピクリとも動かない。
それもそのはず、魔力を込めることが出来ておらずただ水の魔法が発動しただけだ。
でも”水を一滴だけ出す”という制御には成功している。その辺りから魔法の制御を学ぶのも悪くないかもしれない。
増えたとはいえコレットの魔力量は限られているし、無目的に魔法を撃たせるよりは上達できるだろう。
土からバラバラの大きさのコップを三つ作り台の上に並べる。
「まずは魔力のことは気にせず、一発でそれぞれの水呑みをピッタリ満たせるように練習しようか。多過ぎても少な過ぎてもダメだよ。」
「そ、そんなのでいいの・・・・・・?」
「それじゃあコレからやってみようか。」
一番小さいコップをコレットに手渡し、少しだけ離れた。
「・・・・・・”水”っ。」
コレットが魔法を唱えると小さなコップの中から水が湧き上がってきた。
しかしコップが満たされても水は止まらず、ついには溢れだしてコレットの服やスカートを濡らしていく。
「ひゃぁ・・・・・・っ!?」
やっと水が止まると、コレットの周囲はバケツをひっくり返したように水浸しになっていた。
「あはは、最初は仕方ないよ。」
「もぉ~・・・・・・ひ、ひどいよアリスちゃん。」
こうして、コレットとの特訓は終業の鐘がなるまで続いたのだった。
ある日の部活の時間、キャサドラ先生から一枚の用紙を手渡された。
用紙には魔法道大会参加申込書と印字されている。
ついにこの時が来たようだ。
俺はサラサラっと必要事項を記入し、キャサドラ先生に提出する。
コレットの方を見ると、筆が止まっている。
「どうしたの、コレットちゃん?」
俺が声を掛けると、コレットが顔を上げてキャサドラ先生に問いかける。
「あ、あの・・・・・・わ、わたしが・・・・・・出ても、いいんですか?」
「ええ、条件は満たしていますからね。」
「条件なんてあるんですか?」
「そういえば、アリューシャさんには教えていませんでしたね。問題無さそうでしたので。」
大会の参加条件というのは、一定距離から魔力測定器に魔法を撃ち、一目盛り以上の点数を出せることらしい。
キャサドラ先生の言う通り、俺には引っ掛かりそうもない条件だ。
ずいぶん緩い条件かとも思ったが・・・・・・以前のコレットを基準にすると結構厳しいのかもしれない。
「か・・・・・・書けました。」
「はい、確かに。二人とも頑張ってくださいね。」
大会までもう一月もない。
コレットの特訓も、より大会を見据えたものにする必要があるだろう。
「キャサドラ先生、外に魔力測定器持って行ってもいいですか?」
「・・・・・・分かりました、許可しましょう。」
「それじゃあ外で練習しようか、コレットちゃん。」
「う、うん・・・・・・。」
魔力測定器を持ち、コレットを連れて校庭へ。
外周する陸上部たちを後目に、俺たちは隅っこの方に陣取った。
適当に土台を作って魔力測定器を置き、そこから10メートルほど離れる。
俺たちが参加する都市大会では、この距離から魔力測定器に魔法をぶつけた時の点数を競うようだ。
そして点数の高い上位三名が、次の王国大会へと駒を進めることが出来るのである。
「まず私がやってみるね。」
土台に置いた魔力測定器に向かって魔力で風を撃ち出す。
圧縮された風が魔力測定器に直撃し、その威力で土台の上から測定器が転がり落ちた。
「あっ。」
慌てて拾い上げる。壊れたりはしていないようだ。
針は振り切れていた。やはりこの測定器では測り切れないか。
今度は倒れないようしっかりと測定器を固定する。
「次はコレットちゃんだね。せっかく外に出たんだし、風弾の魔法を使おうか。」
「あ、あぶなく・・・・・・ない?」
「大丈夫、何かあれば私が何とかするよ。」
「わ、わかった・・・・・・”風弾”っ。」
コレットの魔法が測定器にぶつかり、カタカタと揺れた。
「っハァ・・・・・・ハァ・・・・・・。」
彼女は今ので殆ど魔力を使い切ってしまったようだ。
魔力回復薬を手渡し、測定器の針を調べる。
「おっ、二目盛り越えてるよ。」
「そ、それだけ・・・・・・?」
「まぁ今回のは距離が少しあったしね。でも魔法を上手く操作できれば、もっと増やせると思うよ。」
風の魔法は慣れてしまえば操りやすいのだが、視認できない分、慣れるまでが難しいのだ。
「それじゃあ今度は水の魔法にしようか。こんな感じで。」
水の魔法なら視認しやすい分、魔力操作を慣らすには最適だろう。水浸しになるから部屋の中で使えないのが難点だが。
指先にビー玉くらいの水球を作り、それを放って測定器に命中させる。これも測定不能だった。
「あ、あんなに小さかったのに・・・・・・?」
「んー、この測定器はあくまで魔力を測るだけのものだから、威力とか大きさは関係ないんだよ。」
要するに、測定器に付いた的にどれだけ魔力を吸収させるかが肝心なのだ。
魔法の威力云々はその副産物に過ぎない。
「そうだ、ちょっと見てて。」
針を戻し、今度は測定器を寝かせて、その上に魔力を込めた水滴を一滴垂らす。
測定器に水滴が付くと、針がビンッと動き最大値を指した。
「す、すごい・・・・・・。」
「あ、でも魔法の大きさは関係あるかも。測定器からはみ出た分は計測されないからね。」
つまり、”風”のように広範囲に影響を及ぼす魔法は、しっかり的に集中させないと魔力の殆どが無駄になってしまうのだ。
コレットがさっき使った魔法も的から少しズレていたし、命中率も一緒に上げる必要があるかもしれない。
「まぁ、大会の時に使われる測定器はもっと大きいみたいだし、そこまで気にする必要は無いかもだけど。」
今度の都市大会では目盛りが五十まである、もう少し大きい測定器が使われるそうだ。
魔法道が盛んな学校ではその測定器を備品で使っているらしい。
そして弱小の学校では、俺たちのように卓上測定器を使っているのである。
「う、ううん・・・・・・がんばる。い、今のはどうやったの?」
「えーっと、魔法で水を作ってその水に更に魔力を溶かしていく・・・・・・みたいな?」
口で説明しろと言われても中々難しいものがあるな。
でも神サマが創った魔法はアレンジが効くようになっているし、似たような事は出来るはずだ。
「・・・・・・”水”っ。」
ポタリ、と測定器に雫が落ちたが、針はピクリとも動かない。
それもそのはず、魔力を込めることが出来ておらずただ水の魔法が発動しただけだ。
でも”水を一滴だけ出す”という制御には成功している。その辺りから魔法の制御を学ぶのも悪くないかもしれない。
増えたとはいえコレットの魔力量は限られているし、無目的に魔法を撃たせるよりは上達できるだろう。
土からバラバラの大きさのコップを三つ作り台の上に並べる。
「まずは魔力のことは気にせず、一発でそれぞれの水呑みをピッタリ満たせるように練習しようか。多過ぎても少な過ぎてもダメだよ。」
「そ、そんなのでいいの・・・・・・?」
「それじゃあコレからやってみようか。」
一番小さいコップをコレットに手渡し、少しだけ離れた。
「・・・・・・”水”っ。」
コレットが魔法を唱えると小さなコップの中から水が湧き上がってきた。
しかしコップが満たされても水は止まらず、ついには溢れだしてコレットの服やスカートを濡らしていく。
「ひゃぁ・・・・・・っ!?」
やっと水が止まると、コレットの周囲はバケツをひっくり返したように水浸しになっていた。
「あはは、最初は仕方ないよ。」
「もぉ~・・・・・・ひ、ひどいよアリスちゃん。」
こうして、コレットとの特訓は終業の鐘がなるまで続いたのだった。
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