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BACK TO THE ・・・・・・
00067話「旅路」
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王族専用の魔導装甲車での旅はかなり快適なものだった。
中は広く、クッションもフカフカ。振動なんてほとんど感じず、音も静か。
内装はまぁ・・・・・・めちゃくちゃ派手で落ち着かないが、数日も過ごせば慣れた。
さすがにキャンピングカーとまではいかないが、テント代わりに車内泊も可能になっている。
街道を行く車列は、俺たちの乗る王族専用の車両の前後に護衛の魔導装甲車が一台ずつ、さらに馬に乗った騎士団が周囲を取り囲んでいる。
大所帯なため、目的地までの道のりは時間がかかりそうだ。
騎士たちの纏う鎧にも王族車両に負けず劣らずな装飾を施されており、訪れた先の住民からは羨望の眼差しで見つめられていた。
護衛としては少々動きづらそうだが、野盗への威圧効果はバッチリだろう。
魔物に対してはその限りではないが、そんな時は彼らが担いでいる魔導銃が火を噴くことになる。腰に差した剣の出番は多分無い。
ダラダラと過ごしながら景色を眺めていると、一人の騎士が近づいてきて窓をコンコンと叩いた。
車内に乗っている侍女が窓を開けて応対する。
「皆さま、もうすぐ国境近くの街へ到着いたします。そこで三日間しっかりと休息を取っていただきます。」
「三日もですか?」
「はい。国境を出てしまうと野営が続くことになってしまいますので。」
侍女の説明によると、レンシア市へ近づくほど他の国の団体とかち合ってしまうことが多くなり、その場所で一番良い宿や食事処の取り合いが発生してしまうのだ。まぁ要するに見栄の張り合いというやつである。
そういったトラブルを防ぐため、大会規定では他国での宿や食事処の使用は禁止されおり、レンシア市に到着するまでは野営続きになってしまうのだ。とはいえ長旅となるため、さすがに道中での必要な物資の買い付けまでは禁止されてるわけではないようだが。
そのため、国境近くの街でしっかりと休息を取ってから出発することが慣例になっているらしい。
王族専用の車両は快適で野営が続こうが問題無いが、護衛の騎士たちはそうもいかないからな。
「お、ようやく街が見えてきたぞ。」
カレンの言葉に窓に引っ付くようにして前方を確認すると、高く分厚い壁に囲まれた街が見えた。
国境付近の街ということもあり、外壁はかなり頑強に造られているようだ。
門には門番の他にも多数の兵士が警戒に立っており、物々しい雰囲気である。
だが、俺たちの乗った王族車両が近づくのに気づくと慌ただしく動き、大急ぎで大門を開き始めた。
このペースだと門に着くころには門が通れるようになっているだろう。
門に近づくにつれ、街へ入る審査待ちの人たちも道を空けて王族車両が通り過ぎるのを、ある者は羨望の眼差しで、ある者は頭を垂れてじっと待っている。
門番たちの敬礼に迎えられながら悠々と門をくぐっていく。当然審査なんかで足止めを喰らうことはない。
街へ入ると、住民たちは興味津々で一目王族車両を見ようと続々と集まってきていた。住民たちにとってはこれも娯楽の一部、ということなのだろう。だからこその派手派手ボディというわけだ。
王族車両が通る大きな道に面した食事処の二階のテラス席には貴族まで陣取っている。まるで凱旋でも行っているかのようだ。
「だ、大歓迎ですね。」
「年に一度の催しですからね。それに今年はアリューシャさんが圧倒的な力で代表になりましたから。」
なるほど、すでに王国大会の情報は届いていたようだ。大会後も王都で数日滞在していたし、車列の進行速度を考えれば不思議ではない。
そして届けられた王国大会の結果から、大陸大会での活躍も期待されているということなのだろう。だから貴族も野次馬に混じって見に来ているのだ。
車列は人波の中を進み、領主の館の前で歩みを止めた。三日間はここで過ごすらしい。
領主夫妻と挨拶を交わし、俺たちは客室へと案内された。
「スゲー部屋だな。貴族にでもなったみたいだ。」
カレンがベッドにダイブする様を呆れ顔で眺める。
まぁカレンがはしゃぐのも無理はない。王都で泊った宿よりも数段上の調度品。ホントに貴族扱いされてるように感じてしまう。
かくいう俺も、これから数日間の食事には期待してしまった。
*****
三日間十分な休息を取ったのち、俺たちはまたまた盛大に見送られながら街を後にした。
連日街に住む貴族たちに挨拶をと押しかけられたが、食事は美味しいものばかりをたらふく食べさせてもらった。さすがにこんな生活をしていたら太ってしまいそうだ。・・・・・・ちょっと外走るか?
そして国境を越えて野営をしながら数日かけて進み、隣国最初の大きな街へ辿り着いた。
国境近くの街の時とは違って、門から少し離れた外壁近くに陣取ると、門から数人の兵士が馬に乗ってかけてきた。街の警備を統括している兵士の代表とそのお供らしい。
護衛騎士の代表と、警備兵の代表が和やかに談笑しながら打ち合わせを始めた。話はすでに通っているのであろう、事はスムーズに進んでいるようだ。
買い出し部隊は街の警備兵に案内され街中へ、残った護衛騎士たちは荷物を広げて野営の準備を始めた。
騎士たちが野営の準備を始めるなか、広場には続々と露店が立ち始める。というかすでに商売を開始している露店もあるようだ。街中では必要な物資以外の調達は禁止されているが、外では・・・・・・ということである。
街中よりはお高いが、そこは持ちつ持たれつ。温かいものを簡単に食べられるので、騎士たちもその値段を咎めたりすることはない。
ちなみに大会が終わって帰る際には、土産物屋の露店も立つらしい。商魂たくましいというかなんというか。
そして夜が明ければさっさと撤収。世話になった警備兵たちと簡単に挨拶を交わし、次の目的地まで歩みを進める。
そんな旅路を繰り返しながら、幾つかの国をまたいで進み――俺たちはついにレンシア市へと辿り着いた。
中は広く、クッションもフカフカ。振動なんてほとんど感じず、音も静か。
内装はまぁ・・・・・・めちゃくちゃ派手で落ち着かないが、数日も過ごせば慣れた。
さすがにキャンピングカーとまではいかないが、テント代わりに車内泊も可能になっている。
街道を行く車列は、俺たちの乗る王族専用の車両の前後に護衛の魔導装甲車が一台ずつ、さらに馬に乗った騎士団が周囲を取り囲んでいる。
大所帯なため、目的地までの道のりは時間がかかりそうだ。
騎士たちの纏う鎧にも王族車両に負けず劣らずな装飾を施されており、訪れた先の住民からは羨望の眼差しで見つめられていた。
護衛としては少々動きづらそうだが、野盗への威圧効果はバッチリだろう。
魔物に対してはその限りではないが、そんな時は彼らが担いでいる魔導銃が火を噴くことになる。腰に差した剣の出番は多分無い。
ダラダラと過ごしながら景色を眺めていると、一人の騎士が近づいてきて窓をコンコンと叩いた。
車内に乗っている侍女が窓を開けて応対する。
「皆さま、もうすぐ国境近くの街へ到着いたします。そこで三日間しっかりと休息を取っていただきます。」
「三日もですか?」
「はい。国境を出てしまうと野営が続くことになってしまいますので。」
侍女の説明によると、レンシア市へ近づくほど他の国の団体とかち合ってしまうことが多くなり、その場所で一番良い宿や食事処の取り合いが発生してしまうのだ。まぁ要するに見栄の張り合いというやつである。
そういったトラブルを防ぐため、大会規定では他国での宿や食事処の使用は禁止されおり、レンシア市に到着するまでは野営続きになってしまうのだ。とはいえ長旅となるため、さすがに道中での必要な物資の買い付けまでは禁止されてるわけではないようだが。
そのため、国境近くの街でしっかりと休息を取ってから出発することが慣例になっているらしい。
王族専用の車両は快適で野営が続こうが問題無いが、護衛の騎士たちはそうもいかないからな。
「お、ようやく街が見えてきたぞ。」
カレンの言葉に窓に引っ付くようにして前方を確認すると、高く分厚い壁に囲まれた街が見えた。
国境付近の街ということもあり、外壁はかなり頑強に造られているようだ。
門には門番の他にも多数の兵士が警戒に立っており、物々しい雰囲気である。
だが、俺たちの乗った王族車両が近づくのに気づくと慌ただしく動き、大急ぎで大門を開き始めた。
このペースだと門に着くころには門が通れるようになっているだろう。
門に近づくにつれ、街へ入る審査待ちの人たちも道を空けて王族車両が通り過ぎるのを、ある者は羨望の眼差しで、ある者は頭を垂れてじっと待っている。
門番たちの敬礼に迎えられながら悠々と門をくぐっていく。当然審査なんかで足止めを喰らうことはない。
街へ入ると、住民たちは興味津々で一目王族車両を見ようと続々と集まってきていた。住民たちにとってはこれも娯楽の一部、ということなのだろう。だからこその派手派手ボディというわけだ。
王族車両が通る大きな道に面した食事処の二階のテラス席には貴族まで陣取っている。まるで凱旋でも行っているかのようだ。
「だ、大歓迎ですね。」
「年に一度の催しですからね。それに今年はアリューシャさんが圧倒的な力で代表になりましたから。」
なるほど、すでに王国大会の情報は届いていたようだ。大会後も王都で数日滞在していたし、車列の進行速度を考えれば不思議ではない。
そして届けられた王国大会の結果から、大陸大会での活躍も期待されているということなのだろう。だから貴族も野次馬に混じって見に来ているのだ。
車列は人波の中を進み、領主の館の前で歩みを止めた。三日間はここで過ごすらしい。
領主夫妻と挨拶を交わし、俺たちは客室へと案内された。
「スゲー部屋だな。貴族にでもなったみたいだ。」
カレンがベッドにダイブする様を呆れ顔で眺める。
まぁカレンがはしゃぐのも無理はない。王都で泊った宿よりも数段上の調度品。ホントに貴族扱いされてるように感じてしまう。
かくいう俺も、これから数日間の食事には期待してしまった。
*****
三日間十分な休息を取ったのち、俺たちはまたまた盛大に見送られながら街を後にした。
連日街に住む貴族たちに挨拶をと押しかけられたが、食事は美味しいものばかりをたらふく食べさせてもらった。さすがにこんな生活をしていたら太ってしまいそうだ。・・・・・・ちょっと外走るか?
そして国境を越えて野営をしながら数日かけて進み、隣国最初の大きな街へ辿り着いた。
国境近くの街の時とは違って、門から少し離れた外壁近くに陣取ると、門から数人の兵士が馬に乗ってかけてきた。街の警備を統括している兵士の代表とそのお供らしい。
護衛騎士の代表と、警備兵の代表が和やかに談笑しながら打ち合わせを始めた。話はすでに通っているのであろう、事はスムーズに進んでいるようだ。
買い出し部隊は街の警備兵に案内され街中へ、残った護衛騎士たちは荷物を広げて野営の準備を始めた。
騎士たちが野営の準備を始めるなか、広場には続々と露店が立ち始める。というかすでに商売を開始している露店もあるようだ。街中では必要な物資以外の調達は禁止されているが、外では・・・・・・ということである。
街中よりはお高いが、そこは持ちつ持たれつ。温かいものを簡単に食べられるので、騎士たちもその値段を咎めたりすることはない。
ちなみに大会が終わって帰る際には、土産物屋の露店も立つらしい。商魂たくましいというかなんというか。
そして夜が明ければさっさと撤収。世話になった警備兵たちと簡単に挨拶を交わし、次の目的地まで歩みを進める。
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