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BACK TO THE ・・・・・・
00071話「千年越しの再開」
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「おいおい、神聖な場でインチキしてるんじゃねーぞ!」
どよめいていた会場から少しずつ怒号が上がり始めた。
「うーむ、さすがに地味過ぎたか・・・・・・? でも下手にエフェクトを付けると維持が難しいしなぁ・・・・・・。」
まだまだ魔力操作の修行が足りないようだ。
しかし最初の内は俺への罵声が多かったが、徐々に対抗勢力が増えてきた。
「何言ってやがる! お前こそ神聖な場でイチャモンつけてるんじゃねえぞ!」
言い合う彼らの手には賭け札が握られていた。彼らが誰に賭けたのかは一目瞭然だ。
要するに俺を勝たせたい連中と勝たせたくない連中の言い合いである。
神聖な場で賭け事は良いのか、アンタらよ・・・・・・。
「なんだと、テメェ!」
「やんのか!?」
収集がつかないほどの騒ぎにまで発展しそうになったが、とある人物が競技場へ降りてきたことで、騒ぎはピタリと収まった。
ローブを纏い、ひげと威厳をたっぷりと蓄えた老人がこちらへゆっくりと歩いてくる。
「あっ、学院長先生だ!」
観客席にいるレンシア魔術学院の生徒が声をあげた。
なるほど。どうりで偉そうな恰好なわけだ。
近づいてきた学院長と目が合うと、彼は目を見開いて驚いた表情を見せる。
「ええと・・・・・・魔女様? 何故このような場に?」
学院長がひそひそ声で俺にだけ聞こえるよう話しかけてきた。
どうやらすぐに正体がバレてしまったらしい。まぁ、魔力がこれだけあって紅い瞳を見れば関係者なら分かってしまうか。
だが俺にとっては好都合だ。
「わけあってレンシアと連絡が取れなくなってしまったんです、それであなたに渡りをつけてもらおうと思って。」
「そういう事情でしたか。かしこまりました、取り計らっておきます。それから――」
言い淀みながら学院長が観客席に視線を巡らせる。
今のところ騒ぎは収まっているが、事の成り行きをじっと見守っているようだ。
「――この騒動に決着をつけたいのですが・・・・・・構いませんでしょうか?」
俺としては既に目標は達成できたので結果はどうでもいいが、インチキをしたとかいう話になってしまうと、キャサドラ先生に迷惑をかけることになってしまう。
それは避けたい。
「ええ、構いません。そうしないと観客の人たちも納得できないでしょうしね。」
「おお、ありがとうございます! それではこういう手筈で――」
学院長の提案に、頷いて答える。
「分かりました。それでいきましょう。」
学院長の提案は何ということは無い、彼の監視の下もう一度測定するというものだった。
俺としては特に断る理由もないし、見られたところで困ることもない。
観客たちにも同様の説明がなされ、騒ぎは一応の終息を見た。
「しかしいくら魔女様とはいえ、しっかり拝見させて頂きますぞ。」
「はい。問題ありませんよ。」
学院長が観測員を呼び、魔力測定器をリセットさせた。
俺は学院長とともに測定位置につく。
「ではいきますね。」
学院長や観客たちが固唾を飲んで見守る中、俺は再び魔力測定器に向かって構え、触手を伸ばした。
魔力測定器に触れ、魔力を流していく。
「い、一万点!!」
観測員が最高点を読み上げる。
「どうですか、学院長先生?」
「問題は無い・・・・・・ように思います。」
「それなら良かったです。」
「参考までに、どのような魔法をお使いに?」
「魔力の触・・・・・・紐を伸ばして魔力測定器に触れて直接魔力を流しただけですよ。」
「そ、そのような魔法が・・・・・・!?」
「あー・・・・・・長年の修行の成果です。とにかく、測定はこれで良いですね?」
「はい、観客たちにも不正は無かったと説明させます。」
「お願いします。私は試合が終わるまで休んでますね。」
こうして俺の記録は正式に認められることとなった。今後並ぶ者の無い記録として。
*****
「優勝はアリューシャ・シュトーラ!!」
学院長から直々に優勝者の証である黄金の杖と賞状を受け取る。
「魔女様。レンシア様に話は通してあります。後ほど、学院長室にお尋ねください。」
「分かりました。大会が終われば伺います。」
学院長との会話を短く終え、表彰式も無事終わって大会の全工程が終了した。
控え室へ戻ると、大きく落ち込んでいる選手が一人。今大会第二位の成績を収めたエリノーラだ。
何か声を掛けようかとも思ったが、何の慰めにもならないだろうと思い止まり、着替えだけをさっさと済ませて控え室を後にする。
「アリューシャさん、おめでとうございます。」
控え室の外ではキャサドラ先生が待ってくれていた。
いつもより少し誇らしげな表情だ。
「ありがとうございます、キャサドラ先生。」
「試合で疲れているでしょうし、今日は寄り道無しで戻りますよ。」
「待ってください。学院長先生に呼ばれているので、キャサドラ先生は先に戻っていてください。」
「そういうことでしたら私も参ります。」
「いえ、でも・・・・・・。」
「私とこちらの学院長は知己ですから、安心してください。」
し、知り合いだったのか・・・・・・? 知ってれば最初から頼んだのに! いや・・・・・・いきなり学院長に会わせろと言ってもさすがに無理だったか。
彼女に言われるがままに学内を歩き、学院長室へと向かう。
校舎内の構造も全く変わっていないようで、迷うことなく辿り着くことが出来た。
ちゃんと話は通っていたようで、扉の前に着くなりすぐさま中へと招き入れられる。
「ようこそ魔女様・・・・・・と、キャシーちゃんか、久しぶりだの。」
「キャシーちゃんは止めてください。それより何故アリューシャさんを招いたのですか?」
「そちらの魔女様にレンシア様と連絡が取りたいと頼まれての。さぁ、こちらです魔女様。」
学院長室の奥にある重厚な扉まで招かれる。
一歩踏み出そうとしたとき、恐ろしい気配を感じて隣に視線を向けた。
「後ほど全て説明して頂きますからね、アリューシャ様?」
今まで見た中で一番怖い笑顔をしたキャサドラ先生に見送られながら、俺は逃げるように扉の奥へと駆けこんだ。
「よぉ、やっと来たな。待ってたぜ。」
どよめいていた会場から少しずつ怒号が上がり始めた。
「うーむ、さすがに地味過ぎたか・・・・・・? でも下手にエフェクトを付けると維持が難しいしなぁ・・・・・・。」
まだまだ魔力操作の修行が足りないようだ。
しかし最初の内は俺への罵声が多かったが、徐々に対抗勢力が増えてきた。
「何言ってやがる! お前こそ神聖な場でイチャモンつけてるんじゃねえぞ!」
言い合う彼らの手には賭け札が握られていた。彼らが誰に賭けたのかは一目瞭然だ。
要するに俺を勝たせたい連中と勝たせたくない連中の言い合いである。
神聖な場で賭け事は良いのか、アンタらよ・・・・・・。
「なんだと、テメェ!」
「やんのか!?」
収集がつかないほどの騒ぎにまで発展しそうになったが、とある人物が競技場へ降りてきたことで、騒ぎはピタリと収まった。
ローブを纏い、ひげと威厳をたっぷりと蓄えた老人がこちらへゆっくりと歩いてくる。
「あっ、学院長先生だ!」
観客席にいるレンシア魔術学院の生徒が声をあげた。
なるほど。どうりで偉そうな恰好なわけだ。
近づいてきた学院長と目が合うと、彼は目を見開いて驚いた表情を見せる。
「ええと・・・・・・魔女様? 何故このような場に?」
学院長がひそひそ声で俺にだけ聞こえるよう話しかけてきた。
どうやらすぐに正体がバレてしまったらしい。まぁ、魔力がこれだけあって紅い瞳を見れば関係者なら分かってしまうか。
だが俺にとっては好都合だ。
「わけあってレンシアと連絡が取れなくなってしまったんです、それであなたに渡りをつけてもらおうと思って。」
「そういう事情でしたか。かしこまりました、取り計らっておきます。それから――」
言い淀みながら学院長が観客席に視線を巡らせる。
今のところ騒ぎは収まっているが、事の成り行きをじっと見守っているようだ。
「――この騒動に決着をつけたいのですが・・・・・・構いませんでしょうか?」
俺としては既に目標は達成できたので結果はどうでもいいが、インチキをしたとかいう話になってしまうと、キャサドラ先生に迷惑をかけることになってしまう。
それは避けたい。
「ええ、構いません。そうしないと観客の人たちも納得できないでしょうしね。」
「おお、ありがとうございます! それではこういう手筈で――」
学院長の提案に、頷いて答える。
「分かりました。それでいきましょう。」
学院長の提案は何ということは無い、彼の監視の下もう一度測定するというものだった。
俺としては特に断る理由もないし、見られたところで困ることもない。
観客たちにも同様の説明がなされ、騒ぎは一応の終息を見た。
「しかしいくら魔女様とはいえ、しっかり拝見させて頂きますぞ。」
「はい。問題ありませんよ。」
学院長が観測員を呼び、魔力測定器をリセットさせた。
俺は学院長とともに測定位置につく。
「ではいきますね。」
学院長や観客たちが固唾を飲んで見守る中、俺は再び魔力測定器に向かって構え、触手を伸ばした。
魔力測定器に触れ、魔力を流していく。
「い、一万点!!」
観測員が最高点を読み上げる。
「どうですか、学院長先生?」
「問題は無い・・・・・・ように思います。」
「それなら良かったです。」
「参考までに、どのような魔法をお使いに?」
「魔力の触・・・・・・紐を伸ばして魔力測定器に触れて直接魔力を流しただけですよ。」
「そ、そのような魔法が・・・・・・!?」
「あー・・・・・・長年の修行の成果です。とにかく、測定はこれで良いですね?」
「はい、観客たちにも不正は無かったと説明させます。」
「お願いします。私は試合が終わるまで休んでますね。」
こうして俺の記録は正式に認められることとなった。今後並ぶ者の無い記録として。
*****
「優勝はアリューシャ・シュトーラ!!」
学院長から直々に優勝者の証である黄金の杖と賞状を受け取る。
「魔女様。レンシア様に話は通してあります。後ほど、学院長室にお尋ねください。」
「分かりました。大会が終われば伺います。」
学院長との会話を短く終え、表彰式も無事終わって大会の全工程が終了した。
控え室へ戻ると、大きく落ち込んでいる選手が一人。今大会第二位の成績を収めたエリノーラだ。
何か声を掛けようかとも思ったが、何の慰めにもならないだろうと思い止まり、着替えだけをさっさと済ませて控え室を後にする。
「アリューシャさん、おめでとうございます。」
控え室の外ではキャサドラ先生が待ってくれていた。
いつもより少し誇らしげな表情だ。
「ありがとうございます、キャサドラ先生。」
「試合で疲れているでしょうし、今日は寄り道無しで戻りますよ。」
「待ってください。学院長先生に呼ばれているので、キャサドラ先生は先に戻っていてください。」
「そういうことでしたら私も参ります。」
「いえ、でも・・・・・・。」
「私とこちらの学院長は知己ですから、安心してください。」
し、知り合いだったのか・・・・・・? 知ってれば最初から頼んだのに! いや・・・・・・いきなり学院長に会わせろと言ってもさすがに無理だったか。
彼女に言われるがままに学内を歩き、学院長室へと向かう。
校舎内の構造も全く変わっていないようで、迷うことなく辿り着くことが出来た。
ちゃんと話は通っていたようで、扉の前に着くなりすぐさま中へと招き入れられる。
「ようこそ魔女様・・・・・・と、キャシーちゃんか、久しぶりだの。」
「キャシーちゃんは止めてください。それより何故アリューシャさんを招いたのですか?」
「そちらの魔女様にレンシア様と連絡が取りたいと頼まれての。さぁ、こちらです魔女様。」
学院長室の奥にある重厚な扉まで招かれる。
一歩踏み出そうとしたとき、恐ろしい気配を感じて隣に視線を向けた。
「後ほど全て説明して頂きますからね、アリューシャ様?」
今まで見た中で一番怖い笑顔をしたキャサドラ先生に見送られながら、俺は逃げるように扉の奥へと駆けこんだ。
「よぉ、やっと来たな。待ってたぜ。」
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