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第7話
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「おっ、目が覚めたようやな」
人の気配を感じ、目を開けると、そこには若い男の姿が目に入った。ひょろっとしていて、ボサボサの髪が特徴的。近くに大きな荷台があるのが目に映った。
この荷台、見覚えが……
「あっ!」
僕は声を上げて起き上がる。
これは列車に乗った時に車両を塞いでいた荷台。と言う事は、目の前にいる男はその持ち主か。
すぐさま辺りを見回す。
どうやら、ここは草原のただ中にある岩陰のようだ。
「見ての通り、ここはフィールドのど真ん中。列車の衝突事故に巻き込まれて、ここまで飛ばされたんや。何であんな事故が起きたのか分からんけど、その原因を追究するよりも、とりあえずワイ等の態勢を立て直す事のほうが重要やと思う」
「そうですね」
「まぁ、第一階層の序盤のフィールドだと思うし、3人居ればどうにかなるやろ」
「3人?」
人数の違和感に、僕は首を傾げる。
「ほれ、そこにおるやろ」
男はそう言って岩陰の端を指した。するとそこには僕の体格の2倍はあるかという毛むくじゃらの獣人が座り込んでいるのが見える。
こんな所に人が居たんだ。
「あっ、あの……」
話しかけようとしたけれど、
「無駄や」
男に制される。
「幾ら話しかけても、返事せんのや。無視なのか、喋られんのか分からへんけどな」
確かに、獣人は黙ったまま、話し出す気配はなかった。
「けどな、アンタが列車の窓から投げ出された時、そいつは身を挺して救ってくれたから、悪い奴じゃないと思う」
「そ、そうだったんですか!」
僕は驚きの声をあげる。
確かに、僕が列車の窓から投げ出された時、黒い何かに覆われたような感覚があった。もしかすると、それは獣人さんが救ってくれたのかもしれない。
「助けてくれてありがとうございました」
僕は精いっぱいの感謝の気持ちを込めて、獣人さんにお辞儀をする。けど、何も言葉を返してはくれなかった。
「何も話せなくても、一緒に戦ってくれるならワイは構わへん。まぁ、どのみち人を選んでいる余裕なんてないしな」
「僕も賛成です。この場は3人で協力して、一緒に行動しましょう。獣人さんもいいですか?」
男の意見に賛同し、僕は座り込んでいる獣人さんに声を掛ける。すると、彼はまっすぐ僕の目を見詰め、手を差し出してきた。
「うん?」
獣人さんの行動の意図が読めず、僕は首を傾げる。
「なるほどな。一緒に行動するなら、いっそパーティを組んでしまおうって訳か」
「えっ!」
「パーティを組めば、全員のステータスを把握しやすいし、はぐれてしまった時も液晶パネルを通じて連絡を取り合う事が出来る」
「それは便利ですね」
「決まりやな。獣人はんもそれでええやろ?」
相変わらず、獣人さんからの返事はなかったけど、手を引っ込めない所を見ると、反対という訳ではなさそうだ。
「それでは、お願いします」
僕は〝パーティを組みたい〟という気持ちを込めて、差し出された獣人さんの手を握った。
すると――
〝パーティが結成されました〟
〝『ゆうすけ』がパーティのリーダーとなりました〟
〝パーティに『王者』が加わりました〟
液晶パネルから、せわしなく機械的なアナウンスが再生された。
人の気配を感じ、目を開けると、そこには若い男の姿が目に入った。ひょろっとしていて、ボサボサの髪が特徴的。近くに大きな荷台があるのが目に映った。
この荷台、見覚えが……
「あっ!」
僕は声を上げて起き上がる。
これは列車に乗った時に車両を塞いでいた荷台。と言う事は、目の前にいる男はその持ち主か。
すぐさま辺りを見回す。
どうやら、ここは草原のただ中にある岩陰のようだ。
「見ての通り、ここはフィールドのど真ん中。列車の衝突事故に巻き込まれて、ここまで飛ばされたんや。何であんな事故が起きたのか分からんけど、その原因を追究するよりも、とりあえずワイ等の態勢を立て直す事のほうが重要やと思う」
「そうですね」
「まぁ、第一階層の序盤のフィールドだと思うし、3人居ればどうにかなるやろ」
「3人?」
人数の違和感に、僕は首を傾げる。
「ほれ、そこにおるやろ」
男はそう言って岩陰の端を指した。するとそこには僕の体格の2倍はあるかという毛むくじゃらの獣人が座り込んでいるのが見える。
こんな所に人が居たんだ。
「あっ、あの……」
話しかけようとしたけれど、
「無駄や」
男に制される。
「幾ら話しかけても、返事せんのや。無視なのか、喋られんのか分からへんけどな」
確かに、獣人は黙ったまま、話し出す気配はなかった。
「けどな、アンタが列車の窓から投げ出された時、そいつは身を挺して救ってくれたから、悪い奴じゃないと思う」
「そ、そうだったんですか!」
僕は驚きの声をあげる。
確かに、僕が列車の窓から投げ出された時、黒い何かに覆われたような感覚があった。もしかすると、それは獣人さんが救ってくれたのかもしれない。
「助けてくれてありがとうございました」
僕は精いっぱいの感謝の気持ちを込めて、獣人さんにお辞儀をする。けど、何も言葉を返してはくれなかった。
「何も話せなくても、一緒に戦ってくれるならワイは構わへん。まぁ、どのみち人を選んでいる余裕なんてないしな」
「僕も賛成です。この場は3人で協力して、一緒に行動しましょう。獣人さんもいいですか?」
男の意見に賛同し、僕は座り込んでいる獣人さんに声を掛ける。すると、彼はまっすぐ僕の目を見詰め、手を差し出してきた。
「うん?」
獣人さんの行動の意図が読めず、僕は首を傾げる。
「なるほどな。一緒に行動するなら、いっそパーティを組んでしまおうって訳か」
「えっ!」
「パーティを組めば、全員のステータスを把握しやすいし、はぐれてしまった時も液晶パネルを通じて連絡を取り合う事が出来る」
「それは便利ですね」
「決まりやな。獣人はんもそれでええやろ?」
相変わらず、獣人さんからの返事はなかったけど、手を引っ込めない所を見ると、反対という訳ではなさそうだ。
「それでは、お願いします」
僕は〝パーティを組みたい〟という気持ちを込めて、差し出された獣人さんの手を握った。
すると――
〝パーティが結成されました〟
〝『ゆうすけ』がパーティのリーダーとなりました〟
〝パーティに『王者』が加わりました〟
液晶パネルから、せわしなく機械的なアナウンスが再生された。
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