9 / 18
8 デートの準備
しおりを挟む
「それってデートではないですか!」
「そうなの?」
すぐにやって来た次の休日は、よく晴れていた。
リゼルは朝から自室にネイを呼びつけ、「今日は旦那様とお出かけなのだけど、何を着たらいいかしら」と馬鹿正直に相談したところだった。
ネイははしゃいだ様子で両手をぱんと打ち合わせ、衣装部屋に続く扉を勢いよく開け放つ。そこに収められた色とりどりのドレスを見比べ、両頬を手で押さえた。
「やっとこのドレスの出番が来たのですね、どれにしましょう!」
「……なんだか、嬉しそうね?」
ネイはあまりグレンを好きではないようだった。二人で出かけるのを快く送り出してくれるとは思っておらず、鏡台の前に座ったリゼルは困惑する。
薄青のサテン地に銀糸で華やかな刺繍の入ったアフタヌーンドレスを手にしていたネイが、くるりとこちらを向いた。
「私の一番大切なものはリゼル様の幸せです。ですから、今までの旦那様の行状は許し難いものでした。でも最近の旦那様はリゼル様を大切にしているようですから、喜ばしく思いますよ」
「そう……」
ちら、と鏡に視線を移せば、不安そうに顔を翳らせた自分自身と目が合う。ネイの気持ちは嬉しいのに、その言葉が胸の隅を引っ掻いて小さな疵をつける。
「最近の、というか……記憶を失ってからの旦那様よね」
「そうですね。最初はどうなることかと思いましたが、案外慣れてしまうものですよねえ。むしろ今の旦那様の方が取っ付きやすいと、使用人達の間では評判が良いですよ」
これまでグレンの一挙手一投足に屋敷には緊張が走っていたものだが、皆の順応性は思いの外高かった。今ではグレンがリゼルに花を贈っても、二人が並んでお茶を飲んでいても、またか、と微笑ましい目で見られるだけだ。
そう、人間は慣れてしまう。悲しいほど残酷に。
「なら……旦那様の記憶が戻ったら、どうなってしまうのかしら」
「リゼル様?」
ぽろりと零した独白は、存外か細くなってしまった。ネイが不審そうな顔になって、ドレスを選ぶ手を止める。
「何かご不安があるのですか?」
そばまで寄ってきたネイがそっと背中に手を当ててくれる。リゼルはぎゅっと自分の体を抱きしめ、無理に口角を上げてみせた。
「ごめんなさい……何でもないの。ただ、今の状態を当たり前だと思わないようにしないとって。記憶がないのは、きっと不安なことだもの。早く戻ると良いわね」
グレンは優しくしてくれるが、本来あるはずのモノがないというのは心許ないはずだ。今の今までそこに思い至らなかった自分に恥じ入る。
(思っちゃいけない……旦那様に記憶がないままだったら、なんて。考えるだけでも不誠実だわ)
今のリゼルは、グレンとの出会い方を変えた『もしも』の世界を生きているようだった。
もしも、祖父の約束がなかったら。
もしも、普通の貴族同士として社交場ですれ違っていたら。
もしも――。
だが現実にはあり得ない。祖父の約束がなければ、リゼルはグレンに出会うことすらなかったのだから。
懸命に自分を説き伏せていると、ネイが背を撫でてくれた。
「いつも思うのですが、リゼル様は少し考えすぎですね」
「え……?」
頼りなく顔を上げると、自信満々に笑うネイと視線がぶつかる。
「確かに、今の旦那様はまっさらで人が変わったようです。でも、それが偽物だというわけではないでしょう? お医者様も、一面だと仰っていたではありませんか。それに記憶が戻ったとしても、今お二人が積み重ねている時間が消えてしまうわけではありません」
ネイはしゃがみこんで、お仕着せのエプロンドレスの裾が床につくのも構わず、リゼルと目線の高さを合わせてくれた。
「この騒動がなければ、お二人が心を交わすことはなかったでしょう。でも今、その道は変わりました。お二人はもう、お互いを知ってしまった。知らない頃には戻れません。――だから、大丈夫ですよ」
「どうしてそう言えるの……?」
頑是なく問い返すリゼルに、ネイは目元を和らげた。
「そんなの、見ていればわかります」
優しく言って、何かを思い出すように視線を斜め上に向ける。それから、ふふっと肩を揺らして笑った。
「旦那様の、リゼル様を見る目の甘さったら! 糖蜜で煮詰めた蜜飴より甘いですよ。あんな顔をしておいて、今更元に戻れるものですか!」
ネイの弾けるような笑い声を聞いていると、リゼルのこわばった体からゆるゆると力が抜けていく。彼女の発言の真偽はともかくとして。
ネイの言う通り、今のリゼルとグレンの間で重ねた時間がいつかの未来を変えるなら、それは命に代えた魔法でも叶えられない奇跡だった。
……とはいえ。
(旦那様、そんなお顔をしていたかしら……?)
全く身に覚えがない。というより、リゼルは自分以外と接するグレンを見る機会がないので、誰に対してもあんな感じなのかと思っていた。
リゼルの顔色が良くなったのを察したか、ネイがスカートの裾をさっと払って立ち上がる。そうして腰に手を当て、ビシリと指を突き出し宣言した。
「だから今、リゼル様がすべきことは、とびっきりお洒落をして、旦那様を籠絡することです!」
「ろ、籠絡?」
「そうです! リゼル様はお美しいのですから、ちょっと化粧をすればどんな殿方だって落とせますよ。こうなっては、私一人では手が足りないですね」
ネイは慌ただしく部屋の入口へ向かう。勢いよく扉を開けたかと思うと、廊下に向かって声を張り上げた。
「リゼル様を着飾りたい人、集合! 集合ーっ!」
何事かと目を剥いていると、その呼び声でわらわらと侍女達が集まりだす。口々に「やっとこの機会が!?」「せっかく伯爵家に務めているのに奥様を着飾れなくて残念だったのよね」「奥様の銀髪に絶対この髪飾りが合うのよ」などと好き勝手言いながら部屋に入ってきた。好奇心に目を輝かせてリゼルを見つめるその人数、老いも若きも合わせてゆうに十を超える。
「えっ、何が……?」
「みんな、リゼル様と関わりたくて仕方がないんですよ」
最後に戻ってきたネイが、ぱちんと片目を瞑る。何を、と思っているうちに、侍女達がきゃいきゃいとリゼルを囲んだ。
「奥様にもらった魔法薬、本当に効き目がありました!」「いつも庭の手入れを手伝ってくださってありがとうございます」「洗濯場に魔法をかけてくださったおかげで、ずっと仕事が楽になりました」
リゼルは当惑とともに唇を震わせる。どれも以前、リゼルがしたことだった。少しでも役に立ちたくて、屋敷に魔法をかけて回った。でも誰からも無反応で、特に感謝なんてされていないと思っていたのに。
侍女達の手によってもみくちゃにされながら、リゼルはもしかすると、と思い直した。
自分は知らないものを見たいと言いながら、足元を照らしてくれる光の欠片を見落としていたのかもしれない、と。
「そうなの?」
すぐにやって来た次の休日は、よく晴れていた。
リゼルは朝から自室にネイを呼びつけ、「今日は旦那様とお出かけなのだけど、何を着たらいいかしら」と馬鹿正直に相談したところだった。
ネイははしゃいだ様子で両手をぱんと打ち合わせ、衣装部屋に続く扉を勢いよく開け放つ。そこに収められた色とりどりのドレスを見比べ、両頬を手で押さえた。
「やっとこのドレスの出番が来たのですね、どれにしましょう!」
「……なんだか、嬉しそうね?」
ネイはあまりグレンを好きではないようだった。二人で出かけるのを快く送り出してくれるとは思っておらず、鏡台の前に座ったリゼルは困惑する。
薄青のサテン地に銀糸で華やかな刺繍の入ったアフタヌーンドレスを手にしていたネイが、くるりとこちらを向いた。
「私の一番大切なものはリゼル様の幸せです。ですから、今までの旦那様の行状は許し難いものでした。でも最近の旦那様はリゼル様を大切にしているようですから、喜ばしく思いますよ」
「そう……」
ちら、と鏡に視線を移せば、不安そうに顔を翳らせた自分自身と目が合う。ネイの気持ちは嬉しいのに、その言葉が胸の隅を引っ掻いて小さな疵をつける。
「最近の、というか……記憶を失ってからの旦那様よね」
「そうですね。最初はどうなることかと思いましたが、案外慣れてしまうものですよねえ。むしろ今の旦那様の方が取っ付きやすいと、使用人達の間では評判が良いですよ」
これまでグレンの一挙手一投足に屋敷には緊張が走っていたものだが、皆の順応性は思いの外高かった。今ではグレンがリゼルに花を贈っても、二人が並んでお茶を飲んでいても、またか、と微笑ましい目で見られるだけだ。
そう、人間は慣れてしまう。悲しいほど残酷に。
「なら……旦那様の記憶が戻ったら、どうなってしまうのかしら」
「リゼル様?」
ぽろりと零した独白は、存外か細くなってしまった。ネイが不審そうな顔になって、ドレスを選ぶ手を止める。
「何かご不安があるのですか?」
そばまで寄ってきたネイがそっと背中に手を当ててくれる。リゼルはぎゅっと自分の体を抱きしめ、無理に口角を上げてみせた。
「ごめんなさい……何でもないの。ただ、今の状態を当たり前だと思わないようにしないとって。記憶がないのは、きっと不安なことだもの。早く戻ると良いわね」
グレンは優しくしてくれるが、本来あるはずのモノがないというのは心許ないはずだ。今の今までそこに思い至らなかった自分に恥じ入る。
(思っちゃいけない……旦那様に記憶がないままだったら、なんて。考えるだけでも不誠実だわ)
今のリゼルは、グレンとの出会い方を変えた『もしも』の世界を生きているようだった。
もしも、祖父の約束がなかったら。
もしも、普通の貴族同士として社交場ですれ違っていたら。
もしも――。
だが現実にはあり得ない。祖父の約束がなければ、リゼルはグレンに出会うことすらなかったのだから。
懸命に自分を説き伏せていると、ネイが背を撫でてくれた。
「いつも思うのですが、リゼル様は少し考えすぎですね」
「え……?」
頼りなく顔を上げると、自信満々に笑うネイと視線がぶつかる。
「確かに、今の旦那様はまっさらで人が変わったようです。でも、それが偽物だというわけではないでしょう? お医者様も、一面だと仰っていたではありませんか。それに記憶が戻ったとしても、今お二人が積み重ねている時間が消えてしまうわけではありません」
ネイはしゃがみこんで、お仕着せのエプロンドレスの裾が床につくのも構わず、リゼルと目線の高さを合わせてくれた。
「この騒動がなければ、お二人が心を交わすことはなかったでしょう。でも今、その道は変わりました。お二人はもう、お互いを知ってしまった。知らない頃には戻れません。――だから、大丈夫ですよ」
「どうしてそう言えるの……?」
頑是なく問い返すリゼルに、ネイは目元を和らげた。
「そんなの、見ていればわかります」
優しく言って、何かを思い出すように視線を斜め上に向ける。それから、ふふっと肩を揺らして笑った。
「旦那様の、リゼル様を見る目の甘さったら! 糖蜜で煮詰めた蜜飴より甘いですよ。あんな顔をしておいて、今更元に戻れるものですか!」
ネイの弾けるような笑い声を聞いていると、リゼルのこわばった体からゆるゆると力が抜けていく。彼女の発言の真偽はともかくとして。
ネイの言う通り、今のリゼルとグレンの間で重ねた時間がいつかの未来を変えるなら、それは命に代えた魔法でも叶えられない奇跡だった。
……とはいえ。
(旦那様、そんなお顔をしていたかしら……?)
全く身に覚えがない。というより、リゼルは自分以外と接するグレンを見る機会がないので、誰に対してもあんな感じなのかと思っていた。
リゼルの顔色が良くなったのを察したか、ネイがスカートの裾をさっと払って立ち上がる。そうして腰に手を当て、ビシリと指を突き出し宣言した。
「だから今、リゼル様がすべきことは、とびっきりお洒落をして、旦那様を籠絡することです!」
「ろ、籠絡?」
「そうです! リゼル様はお美しいのですから、ちょっと化粧をすればどんな殿方だって落とせますよ。こうなっては、私一人では手が足りないですね」
ネイは慌ただしく部屋の入口へ向かう。勢いよく扉を開けたかと思うと、廊下に向かって声を張り上げた。
「リゼル様を着飾りたい人、集合! 集合ーっ!」
何事かと目を剥いていると、その呼び声でわらわらと侍女達が集まりだす。口々に「やっとこの機会が!?」「せっかく伯爵家に務めているのに奥様を着飾れなくて残念だったのよね」「奥様の銀髪に絶対この髪飾りが合うのよ」などと好き勝手言いながら部屋に入ってきた。好奇心に目を輝かせてリゼルを見つめるその人数、老いも若きも合わせてゆうに十を超える。
「えっ、何が……?」
「みんな、リゼル様と関わりたくて仕方がないんですよ」
最後に戻ってきたネイが、ぱちんと片目を瞑る。何を、と思っているうちに、侍女達がきゃいきゃいとリゼルを囲んだ。
「奥様にもらった魔法薬、本当に効き目がありました!」「いつも庭の手入れを手伝ってくださってありがとうございます」「洗濯場に魔法をかけてくださったおかげで、ずっと仕事が楽になりました」
リゼルは当惑とともに唇を震わせる。どれも以前、リゼルがしたことだった。少しでも役に立ちたくて、屋敷に魔法をかけて回った。でも誰からも無反応で、特に感謝なんてされていないと思っていたのに。
侍女達の手によってもみくちゃにされながら、リゼルはもしかすると、と思い直した。
自分は知らないものを見たいと言いながら、足元を照らしてくれる光の欠片を見落としていたのかもしれない、と。
143
あなたにおすすめの小説
私を愛してくれない婚約者の日記を読んでしまいました〜実は溺愛されていたようです〜
侑子
恋愛
成人間近の伯爵令嬢、セレナには悩みがあった。
デビュタントの日に一目惚れした公爵令息のカインと、家同士の取り決めですぐに婚約でき、喜んでいたのもつかの間。
「こんなふうに婚約することになり残念に思っている」と、婚約初日に言われてしまい、それから三年経った今も全く彼と上手くいっていないのだ。
色々と努力を重ねてみるも、会話は事務的なことばかりで、会うのは決まって月に一度だけ。
目も合わせてくれないし、誘いはことごとく断られてしまう。
有能な騎士であるたくましい彼には、十歳も年下で体も小さめな自分は恋愛対象にならないのかもしれないと落ち込む日々だが、ある日当主に招待された彼の公爵邸で、不思議な本を発見して……?
婚約破棄?結構ですわ。公爵令嬢は今日も優雅に生きております
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された直後、階段から転げ落ちて前世の記憶が蘇った公爵令嬢レイラ・フォン・アーデルハイド。
彼女の前世は、ブラック企業で心身をすり減らして働いていたOLだった。――けれど、今は違う!
「復讐? 見返す? そんな面倒くさいこと、やってられませんわ」
「婚約破棄? そんなの大したことじゃありません。むしろ、自由になって最高ですわ!」
貴族の婚姻は家同士の結びつき――つまりビジネス。恋愛感情など二の次なのだから、破談になったところで何のダメージもなし。
それよりも、レイラにはやりたいことがたくさんある。ぶどう園の品種改良、ワインの販路拡大、新商品の開発、そして優雅なティータイム!
そう、彼女はただ「貴族令嬢としての特権をフル活用して、人生を楽しむ」ことを決めたのだ。
ところが、彼女の自由気ままな行動が、なぜか周囲をざわつかせていく。
婚約破棄した王太子はなぜか複雑な顔をし、貴族たちは彼女の事業に注目し始める。
そして、彼女が手がけた最高級ワインはプレミア化し、ついには王室から直々に取引の申し出が……!?
「はぁ……復讐しないのに、勝手に“ざまぁ”になってしまいましたわ」
復讐も愛憎劇も不要!
ただひたすらに自分の幸せを追求するだけの公爵令嬢が、気づけば最強の貴族になっていた!?
優雅で自由気ままな貴族ライフ、ここに開幕!
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
【完結済】春を迎えに~番という絆に導かれて~
廻野 久彩
恋愛
辺境の村から王都の星環教会へやってきた研修生アナベル・ウィンダーミア。
門で出会った王族直属騎士団副団長ルシアン・ヴァルセインと握手を交わした瞬間、二人の手首に金色の光が浮かび上がる。
それは"番"——神が定めた魂の半身の証。
物語の中でしか聞いたことのない奇跡的な出会いに胸を躍らせるアナベルだったが、ルシアンの口から告げられたのは冷酷な現実だった。
「俺には……すでに婚約者がいる」
その婚約者こそ、名門ルヴェリエ家の令嬢セレナ。国境の緊張が高まる中、彼女との政略結婚は王国の命運を左右する重要な政治的意味を持っていた。
番の衝動に身を焼かれながらも、決して越えてはならない一線を守ろうとするルシアン。
想い人を諦めきれずにいながら、彼の立場を理解しようと努めるアナベル。
そして、すべてを知りながらも優雅に微笑み続けるセレナ。
三人の心は複雑に絡み合い、それぞれが異なる痛みを抱えながら日々を過ごしていく。
政略と恋情、義務と本心、誠実さと衝動——
揺れ動く想いの果てに、それぞれが下す選択とは。
番という絆に翻弄されながらも、最後に自分自身の意志で道を選び取る三人の物語。
愛とは選ぶこと。
幸せとは、選んだ道を自分の足で歩くこと。
番の絆を軸に描かれる、大人のファンタジーロマンス。
全20話完結。
**【キーワード】**
番・運命の相手・政略結婚・三角関係・騎士・王都・ファンタジー・恋愛・完結済み・ハッピーエンド
元男装傭兵、完璧な淑女を演じます。――嫁ぎ先はかつての団長でした!?
中野森
恋愛
貧乏男爵家の長女クラリスは、弟の学費を稼ぐために男装して傭兵団へ入団した。
副団長にまで上り詰め、団長をはじめとした仲間から信頼を得るが、決して正体は明かさなかった。
やがて戦争が終わり、傭兵団は解散となる。
出稼ぎするために流した嘘の悪評により、修道院入りを覚悟していたクラリスだったが、帰郷した彼女を待っていたのは父からの「嫁ぎ先が決まった」という一言だった。
慌ただしく始まる淑女教育、そして一度も未来の夫と顔合わせすることなく迎えた結婚式当日。
誓いの言葉を促され隣からきこてくる声に、クラリスは凍りつく。
……嘘でしょ、団長!?
かつての想い人でもある傭兵仲間が今は夫となり、妻の正体には気づいていない――気づかれてはいけないのだ、絶対に!
本作品はゆるふわ設定、ご都合主義、細かいことは気にしたら負け!
※この小説は、ほかの小説投稿サイトにも投稿しています。
白い結婚をご希望ですか? 良いですよ。私はジャガイモと筋肉を育てますので!
松本雀
恋愛
「……いいか、エルゼ。あらかじめ言っておくが、私は君を愛するつもりはない」
「願ったり叶ったりです! 実は私、国境警備隊に幼馴染の恋人がいまして。この結婚が決まった時、二人で『体は売っても心は売らない』って涙ながらに誓い合ったんです。閣下が愛してくださらないなら、私の貞操も守られます! ありがとうございます、公爵閣下!」
「……こいびと?」
◆
「君を愛するつもりはない」
冷徹な公爵ギルベルトが新婚初夜に放った非情な宣告。しかし、新妻エルゼの反応は意外なものだった。
「よかった! 実は私、国境警備隊に恋人がいるんです!」
利害が一致したとばかりに秒速で就寝するエルゼ。彼女の目的は、愛なき結婚生活を隠れ蓑に、恋人への想いを込めた「究極のジャガイモ」を育てることだった!
公爵家の庭園を勝手に耕し、プロテインを肥料にするエルゼに、最初は呆れていたギルベルト。だが、彼女のあまりにフリーダムな振る舞いと、恋人への一途(?)な情熱を目の当たりにするうち、冷徹だった彼の心(と筋肉)に異変が起き始めて……!?
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる