【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華

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一章 新たな出会い

1‐05 帰り道

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 結局のところ、このまま永睦と仁の待つ三年生の棟へ向かうわけにもいかず、雅玖とは昇降口で別れた。

 どうやら龍冴の気持ちも汲んでくれるよう、説得してくれるらしい。

 実際、龍冴が誰と付き合っているかは雅玖以外に言っていないのだ。

 それこそ椰一が『付き合ってることは誰にも言うなよ』と言われたが、この言葉を今の今まで忘れていた部分がある。

 他にも校内では見掛けたり、たまたま会ったりしても話し掛けない事を念押しされていた。

 思い返せば告白された時はそれほど好きではなかったのに、いつの間にか優しくされて愛されるにつれて、龍冴の方が好意を抱いてしまっていたように思う。

 これこそ椰一の思う壺で、手の平で踊らされたといってもいいだろう。

(あ、顔洗いにいかないとだった)

 昇降口で靴を履き替えて校門を出ようとしていたところで、ふと立ち止まる。

『嗅ぎ回ってるってバレたら色々面倒そうだろ。あと、あっちに行ったら嫌でも佐野先輩と会うだろうし。まぁあの馬鹿二人には俺が上手く言っとくからさ……その顔、洗ってから帰れよ?』

 考え事をしていたからか、つい今しがた雅玖に言われたことを思い出したが、もう一度靴を履き替えて洗い場まで行くのは面倒臭い。

 時々雅玖が母親と同じか、それに近いお節介を焼くようになったのは、ひとえに龍冴を想ってのくれてのことだ。

 けれど、そこまで酷い顔をしているとも思えない。

 試しに携帯のカメラで顔を見てみたが、目元がほんのりと赤くなっている程度であまり変わらないように思う。
 
「……どうすっかなぁ」

 生徒もまばらの昇降口で、誰にともなくぼやく。

 家までの通り道に公園があるが、そこで顔を洗う気にもなれなかった。

 こうも鬱屈とするのは、昨年もあった。

 上級生の女子生徒にストーカー一歩手前の事をされた時以来で、同時に二ヶ月ほど前も思い出していたなと思う。

 けれどその時とは状況が違い、自分の身に幼馴染みと同じ事が降り掛かるとは、誰が想像したというのか。

「こんくらい大丈夫だろ、うん!」

 ほとんど自分に言い聞かせるように言い、パンと両頬を叩く。

 一度泣いたからか、はたまた喝を入れたからか頭の中はすっきりとしていた。

 けれど思い切り叩き過ぎたようで、駅に向かうまでの数分は引き攣ったような痛みが走ったのはお約束だ。
 
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