竜剣《タルカ》

第七幕 交錯するモノたちへ

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　何となく意識が朦朧もうろうとしている。
　ミランは吐息を漏らした。
　妙に体が重かった。
　熱い。
　それなのに寒い。
「……ラン。ミラン？」
　セカイの声が、朧おぼろげに聴覚を刺激する。
「……あっ、はい、なんでしょう」
「顔が赤いわ」
「そう……ですか？」
　セカイの左手が、額ひたいに触れた。
「あ……」
　冷たくて心地よい。
「熱いわね。風邪なんじゃない？」
「……たいしたことありません」
　虚勢きょせいを張ってみるものの、声に力がない。
「少しベッドで横になりなさい」
「ご心配には及びません。すぐに治りますから」
「その顔で言われても、説得力がないわ」
「ですが……」
　そんなに、ひどい顔をしているのだろうか。
「いいから黙って休みなさい。それとも、わたしのベッドじゃ不服だって言うの？」
「判りましたから……そういう変な言い回しはやめてください」
　二重の意味で頭が痛くなってきた。
　やむなくミランは、覚束おぼつかない足取りでベッドに倒れ込んだ。すると即座に目蓋まぶたが下りてきた。
「少しだけ、お言葉に甘えさせて……」
　最後までは声にならなかった。
　落ちるように眠ったミランに、セカイは毛布を掛けてやった。
　呼吸が荒い。
「あんな雨のなか、ずっと立ってたりするから」
　苦しげな寝顔を見下ろす。
　それから思い立ったように振り返ると、外套を着込み、セカイは家を出ていった。