馳走であった

チゲン

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 深川安池町やすいけちょうの次郎長屋に、田島たじま佐之介さのすけという貧乏浪人がいる。
 その女房おさよは、界隈かいわいで並ぶ者なしと評判の美人である。

 佐之介に過ぎたるものが二つあり。嫁のおさよと御腰の刀。

 口さがない連中にそんな皮肉を言われるほど、おさよはできた女だった。
 よく働き、よく尽くす。表を歩くときは佐之介の三歩後ろを歩いたし、口答えをすることもなかった。
 まさに理想の女房と言ってよかった。
 ただひとつ、絶望的に料理が下手という一点を除いては。
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