冬王と鞠姫

チゲン

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第一話 冬王と鞠姫

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 いおりの裏手の小さな庭を眺めながら、少女は溜め息を吐いた。
 庭は雑草だらけで、ひどく荒れている。手入れをしていた者もいなくなって久しい。かと言って、誰かに庭仕事を頼むことはできなかった。
 この庭のように、我が身もただてていくだけなのだろうか。
「……!」
 不意に胸騒ぎがして、少女は顔を上げた。
 しかしすぐにうつむいてしまう。
 また余計な混乱を招くことになる。皆に迷惑をかけてしまう。
「でも……」
 この感覚は今までにないものだった。行かねばきっと後悔する。
 少女は意を決して立ち上がった。
 板敷きの床がぎしりと音を立てた。
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