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第1章 新世界創造
11 マナトの世界はオタク?
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ルキナが片付けを終えると、新世界創造にとりかかる。
電源は落ちておらず、ずっとつきっぱなしだったようで、座椅子に座って画面を覗き込んだマナトは、その変わりように目を見開いた。
宇宙が出来ている。
星雲から生み出された星々が帯になり、美しく煌めいている。遠くの方にはそれ以上大きさのもの——惑星もあった。
「君が二日も寝ている内に、小銀河どころか、恒星まで出来てしまっているではないか」
「恒星……って太陽みたいなの?」
「そうだ。
必ず出来ると言うものではないし、生成されなければ、一からやり直すつもりだったんだが、マナトは運がいいな。
——これなんか使えそうじゃないか?」
「どれ?」
「この少し緑がかった地球と同じ大きさくらいのこれだ」
ルキナが隣から指を差して、一つの星を示す。
確かに彼女の言う通りの星があった。
多数ある銀河系の一つにあり、恒星から距離もほどよい所にあるためか、見た目からして水があることが分かる惑星だった。
ガスか雲か分からない白い筋が、大地と海の上を流れていく。
「……これが俺の世界?」
パソコンの画面越しなんて、現代においては見慣れているはずなのに、マナトにはそれ以上の美しい映像に見えていた。
まるで、生で見ているような。
自分で創った世界だから、というのもあるかもしれない。
マナトは自分でも気づかないくらい、その星に魅入ってしまった。
「じゃあまず、加速進化を切ろう。そして、その星をクリックしてみてくれ、詳細情報が出る」
「あいよ」
画面右の加速進化の百億倍を『×1』に戻して、マウスで緑の星に矢印を持ってくると、クリックした。
緑の星がズームアップし、今まで何もなかった左側にウインドウが開く。
__________________________
名前 :???
誕生 :3004(万年)
種類 :惑星
中核 :ケイ酸塩鉱物
直径 :15600(km)
__________________________
「おおー、すげぇ」
情報が多すぎてスクロールしてもまだまだ出てくる。
今見ているのは大気中の成分だろうか。中学の理科で習ったような気体の名前が並んでいた。
「空気は——手を入れなくても良さそうだ。動植物が生存していける環境は整っている。
ただ、動植物の起源となる単細胞生物がいない。アミノ酸から創作して放り込もう」
「こういうところは手動なのか?」
進化に任せる所と手動の違いが今いち分からない。
「マニュアルが欲しいな。
アミノ酸を入れて、進化で単細胞生物を創らないのか?
ん? それだとアミノ酸を入れてる時点で神の手が入ってしまってるから意味がないのか……」
「君は本当に仕事嫌いなのか? 深く考えるのが好きなんだな。
君の質問に答えるなら、どちらでも出来る、だな。
ただ、アミノ酸だけ入れても、単細胞生物が生まれるという保証がないし、外で確実に創ってしまってから入れた方が確実というだけだ。
他の神にも、自分の手を極力入れず、進化だけで世界を創っている奴もいる。私の世界で言うオタクだな」
「オタク……。
さ、さぁ、アミノ酸から単細胞生物を創作しよう」
「オタクという言葉に苦い思い出があるようだな。
くくくくっ、なるほどそう言うことか」
「人の記憶を勝手に読むな!
少年には青春と言う、何をやらかしても許される時代があるんだよ」
「その割に後悔しまくりじゃないか」
「うっせぇ!」
外から放り込んだ単細胞生物は、進化して多細胞生物になった。
電源は落ちておらず、ずっとつきっぱなしだったようで、座椅子に座って画面を覗き込んだマナトは、その変わりように目を見開いた。
宇宙が出来ている。
星雲から生み出された星々が帯になり、美しく煌めいている。遠くの方にはそれ以上大きさのもの——惑星もあった。
「君が二日も寝ている内に、小銀河どころか、恒星まで出来てしまっているではないか」
「恒星……って太陽みたいなの?」
「そうだ。
必ず出来ると言うものではないし、生成されなければ、一からやり直すつもりだったんだが、マナトは運がいいな。
——これなんか使えそうじゃないか?」
「どれ?」
「この少し緑がかった地球と同じ大きさくらいのこれだ」
ルキナが隣から指を差して、一つの星を示す。
確かに彼女の言う通りの星があった。
多数ある銀河系の一つにあり、恒星から距離もほどよい所にあるためか、見た目からして水があることが分かる惑星だった。
ガスか雲か分からない白い筋が、大地と海の上を流れていく。
「……これが俺の世界?」
パソコンの画面越しなんて、現代においては見慣れているはずなのに、マナトにはそれ以上の美しい映像に見えていた。
まるで、生で見ているような。
自分で創った世界だから、というのもあるかもしれない。
マナトは自分でも気づかないくらい、その星に魅入ってしまった。
「じゃあまず、加速進化を切ろう。そして、その星をクリックしてみてくれ、詳細情報が出る」
「あいよ」
画面右の加速進化の百億倍を『×1』に戻して、マウスで緑の星に矢印を持ってくると、クリックした。
緑の星がズームアップし、今まで何もなかった左側にウインドウが開く。
__________________________
名前 :???
誕生 :3004(万年)
種類 :惑星
中核 :ケイ酸塩鉱物
直径 :15600(km)
__________________________
「おおー、すげぇ」
情報が多すぎてスクロールしてもまだまだ出てくる。
今見ているのは大気中の成分だろうか。中学の理科で習ったような気体の名前が並んでいた。
「空気は——手を入れなくても良さそうだ。動植物が生存していける環境は整っている。
ただ、動植物の起源となる単細胞生物がいない。アミノ酸から創作して放り込もう」
「こういうところは手動なのか?」
進化に任せる所と手動の違いが今いち分からない。
「マニュアルが欲しいな。
アミノ酸を入れて、進化で単細胞生物を創らないのか?
ん? それだとアミノ酸を入れてる時点で神の手が入ってしまってるから意味がないのか……」
「君は本当に仕事嫌いなのか? 深く考えるのが好きなんだな。
君の質問に答えるなら、どちらでも出来る、だな。
ただ、アミノ酸だけ入れても、単細胞生物が生まれるという保証がないし、外で確実に創ってしまってから入れた方が確実というだけだ。
他の神にも、自分の手を極力入れず、進化だけで世界を創っている奴もいる。私の世界で言うオタクだな」
「オタク……。
さ、さぁ、アミノ酸から単細胞生物を創作しよう」
「オタクという言葉に苦い思い出があるようだな。
くくくくっ、なるほどそう言うことか」
「人の記憶を勝手に読むな!
少年には青春と言う、何をやらかしても許される時代があるんだよ」
「その割に後悔しまくりじゃないか」
「うっせぇ!」
外から放り込んだ単細胞生物は、進化して多細胞生物になった。
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