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第1章 新世界創造
13 悪夢のお告げ
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深夜、マナトはベッドで眠りについていた。
いつもなら朝まで夢など見ず、ぐっすりと寝れるのに、この日だけは違っていた。
それは生前の職場の夢だった。
「野崎! またお前か!
何度同じことを言わせたら気が済むんだ!」
他の従業員もいるオフィスの衆人環視の中、今日も上司からマナトは呼び出され怒鳴られていた。
上司の役職は課長だ。もともと従業員数が少ないこの会社では、課長になるのも早く、彼は四十代だった。
決して能力があって課長に就任した訳ではない。
上司はマナトのことを毛嫌いしていた。理由は分からない。
気づいた時には、修復不可能なまでに、マナト=ストレスの捌け口、の図式が出来上がってしまっていた。
すみませんと口だけ謝る。心から謝罪したところで通じないことは証明済だ。
「なんだ、その反抗的な態度は!!
無能のくせに、嫌ならとっとと辞職願を提出してくれてもいいんだぞ!
無能の上に、お前を働かせてやってる会社に感謝もしない厚顔無恥さには感心するな!」
同僚たちからは、「またかよ」「もう他所でやってよ」「早く辞めろよ」とヒソヒソ話が聞こえてくる。
最初は同情的な目で見てくれていたが、最近ではそっぽを向いて迷惑そうにしている。
時間外労働が当たり前のこの会社で、働きながら次の就職先は見つけられないし、安月給で貯金がないから辞めたらすぐに路頭に迷うというのももちろんあった。
だが、それ以上に意地だった。
ここまで言われて辞めてたまるか!と辞めないことで上司に嫌がらせを仕返していた。
「丁度いい。
今日からお前にはいつもの仕事の他に、辞めて穴が空いた事務員の雑用もしてもらう。
まともに仕事もこなせないんだから、別のことをしてもらわないとな」
さすがに認められなくて抗議すると、ドンッと上司はデスクを叩いた。
「フン! 会社に奉仕もしてないくせに、抗議だけは一人前とくる。
お前、親がいないらしいな。まともに教育もされてないと、こんなろくでなしに育つという見本だな」
「!!」
一瞬、頭に血が昇って、本気で殴ってやろうかと思った。
家族のことを出してくるなんて、まるで子供の喧嘩だ。
だが、怒りが持続できずに、自分の胸に重いものだけ残して去っていく。
結局、マナトはいつも通り、上司の怒りが収まるのをただ待ち続けた——
「…………あー、最悪な夢見たな」
マナトはそう呟きながら、目を開けた。
辺りは真っ暗だった。頭だけを上げて、修復された目覚ましを見ると、逆さまに深夜四時が浮かび上がっていた。
気持ちが高ぶって寝直すのは無理そうだったので、マナトは潔くベッドから抜け出す。
水でも飲もうかと台所へ行こうとして、ふとローデスクのパソコンに目がいった。
神の力で動くパソコンは、電源を切るということがない。この時間でも変わらず動き続けていて、煌々と明るい光を放っていた。
マナトの世界。動植物がやっと誕生し、加速進化を使えば、明日にでも知的生命体を生み出せる段階まできている。
『君はこの世界を、どんな世界にしたい?』
ふと、ルキナの言葉が脳裏に浮かんだ。
そう言われたときは、特にこだわりもないし、ルキナのもう一つの世界のようにファンタジーにしてもいいかなと思っていた。
だが——
「…………」
マナトは画面から目を逸らすと、水を飲むのを諦め、ベッドに戻っていった。
翌日、ルキナが起こしに来る前に目覚めて待っていたマナトは、彼女が驚くのにも構わず宣言した。
「俺の世界はこれで完成だ」
いつもなら朝まで夢など見ず、ぐっすりと寝れるのに、この日だけは違っていた。
それは生前の職場の夢だった。
「野崎! またお前か!
何度同じことを言わせたら気が済むんだ!」
他の従業員もいるオフィスの衆人環視の中、今日も上司からマナトは呼び出され怒鳴られていた。
上司の役職は課長だ。もともと従業員数が少ないこの会社では、課長になるのも早く、彼は四十代だった。
決して能力があって課長に就任した訳ではない。
上司はマナトのことを毛嫌いしていた。理由は分からない。
気づいた時には、修復不可能なまでに、マナト=ストレスの捌け口、の図式が出来上がってしまっていた。
すみませんと口だけ謝る。心から謝罪したところで通じないことは証明済だ。
「なんだ、その反抗的な態度は!!
無能のくせに、嫌ならとっとと辞職願を提出してくれてもいいんだぞ!
無能の上に、お前を働かせてやってる会社に感謝もしない厚顔無恥さには感心するな!」
同僚たちからは、「またかよ」「もう他所でやってよ」「早く辞めろよ」とヒソヒソ話が聞こえてくる。
最初は同情的な目で見てくれていたが、最近ではそっぽを向いて迷惑そうにしている。
時間外労働が当たり前のこの会社で、働きながら次の就職先は見つけられないし、安月給で貯金がないから辞めたらすぐに路頭に迷うというのももちろんあった。
だが、それ以上に意地だった。
ここまで言われて辞めてたまるか!と辞めないことで上司に嫌がらせを仕返していた。
「丁度いい。
今日からお前にはいつもの仕事の他に、辞めて穴が空いた事務員の雑用もしてもらう。
まともに仕事もこなせないんだから、別のことをしてもらわないとな」
さすがに認められなくて抗議すると、ドンッと上司はデスクを叩いた。
「フン! 会社に奉仕もしてないくせに、抗議だけは一人前とくる。
お前、親がいないらしいな。まともに教育もされてないと、こんなろくでなしに育つという見本だな」
「!!」
一瞬、頭に血が昇って、本気で殴ってやろうかと思った。
家族のことを出してくるなんて、まるで子供の喧嘩だ。
だが、怒りが持続できずに、自分の胸に重いものだけ残して去っていく。
結局、マナトはいつも通り、上司の怒りが収まるのをただ待ち続けた——
「…………あー、最悪な夢見たな」
マナトはそう呟きながら、目を開けた。
辺りは真っ暗だった。頭だけを上げて、修復された目覚ましを見ると、逆さまに深夜四時が浮かび上がっていた。
気持ちが高ぶって寝直すのは無理そうだったので、マナトは潔くベッドから抜け出す。
水でも飲もうかと台所へ行こうとして、ふとローデスクのパソコンに目がいった。
神の力で動くパソコンは、電源を切るということがない。この時間でも変わらず動き続けていて、煌々と明るい光を放っていた。
マナトの世界。動植物がやっと誕生し、加速進化を使えば、明日にでも知的生命体を生み出せる段階まできている。
『君はこの世界を、どんな世界にしたい?』
ふと、ルキナの言葉が脳裏に浮かんだ。
そう言われたときは、特にこだわりもないし、ルキナのもう一つの世界のようにファンタジーにしてもいいかなと思っていた。
だが——
「…………」
マナトは画面から目を逸らすと、水を飲むのを諦め、ベッドに戻っていった。
翌日、ルキナが起こしに来る前に目覚めて待っていたマナトは、彼女が驚くのにも構わず宣言した。
「俺の世界はこれで完成だ」
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